October 6, 2014
西アフリカ以外で初めてエボラ出血熱と診断された患者の治療が、米国テキサス州ダラスの病院で続けられている。一方、致死的な病は依然としてリベリア、ギニア、シエラレオネで猛威を振るっており、エボラウイルスに対する懸念はアフリカ以外でも高まっている。
米国は感染拡大を抑え込む準備が本当にできているのか。地下鉄に乗って感染することはないのか。ウイルスは変異するのか。
米国の公衆衛生当局は先週、エボラ拡大の可能性に対する恐怖を和らげるのに奔走した。米国疾病予防管理センター(CDC)は、米国で初めてエボラ出血熱と診断された患者、トーマス・エリック・ダンカンさんと接触した約50人を厳重に観察している。
感染拡大の不安が高まる中、ウイルスについての主要な疑問と解説を以下にまとめた。
◆そもそも、エボラウイルスとは何なのか?
エボラウイルスは、発熱、消化器系・・・
米国は感染拡大を抑え込む準備が本当にできているのか。地下鉄に乗って感染することはないのか。ウイルスは変異するのか。
米国の公衆衛生当局は先週、エボラ拡大の可能性に対する恐怖を和らげるのに奔走した。米国疾病予防管理センター(CDC)は、米国で初めてエボラ出血熱と診断された患者、トーマス・エリック・ダンカンさんと接触した約50人を厳重に観察している。
感染拡大の不安が高まる中、ウイルスについての主要な疑問と解説を以下にまとめた。
◆そもそも、エボラウイルスとは何なのか?
エボラウイルスは、発熱、消化器系の強い痛みを引き起こし、多くの場合異常な出血を伴う。患者の半数近くが体液の喪失と臓器不全で死亡する。
◆エボラ出血熱はいつ、どこから広まったのか?
エボラ出血熱は1970年代半ば、アフリカ中部の郊外にある小さな村で初めて出現した。専門家の間では、コウモリの体内で進化したウイルスが、血液や排泄物といったコウモリの体液を介してサルや人間などの霊長類に感染したというのが定説となっている。感染したコウモリまたは霊長類に触れたり、その肉を食べたりしても感染することがある。
◆エボラウイルスはどのように感染するのか?
エボラウイルスは、発病している患者の体液に触れることで感染する。感染しても、発熱などの症状が出ていないうちは他人にうつすことはない。感染力は風邪よりもずっと低い。
これまでの感染者の多くは、エボラ患者の治療に当たっていたか、エボラによる死者の葬儀に参列していた。
患者がエボラ出血熱から回復し、2種類の検査で24時間にわたって血液中にウイルスが検出されなければ他人への感染力は消えており、少なくとも一定期間はエボラに対し免疫があると考えられている。
◆ウイルスが変異して空気感染力を得るなど、感染力が強まる可能性はあるのか?
一般にウイルスは頻繁に変異し、それにより危険度が変わることがある。しかし専門家によれば、ウイルスの本質的性質である感染経路が変わり、体液を介した感染から空気感染に変化する可能性は極めて低いという。
国連は3日に出した声明の中で「現時点でエボラウイルスが変異して空気感染力を得た証拠はなく、そのような予想もしていない」と述べている。
◆なぜ今回のエボラ流行は、これまでと比べて非常に大規模になっているのか?
今回の流行では、分かっている中で最初の犠牲者はギニアで昨年12月に死亡した2歳の男児だった。これまでは数人の感染例が出た段階で保健当局が患者を隔離し、患者に接触した人に受診を呼び掛けていたが、今回は3月になるまで当局が患者の発生を把握せず、その時にはすでに感染が広がっていた。
感染が郊外の小さな村だけにとどまっていた従来のケースと異なり、今回はウイルスがあっという間に主要な都市に運ばれ、人と人との接触が頻繁に起こる都会で爆発的に広まった。
◆なぜ公衆衛生の専門家は、米国ではエボラ拡大の懸念は小さいと言っているのか?
米国ではどの病院も、手袋、ガウン、微生物を洗い流すのに必要な洗浄機器など、感染症患者を取り扱うための設備がそろっている。米国にエボラ感染者が多数いるとは考えにくいため、公衆衛生当局はウイルスに触れた可能性のある人を全員追跡し、まめに体温を測り、初期症状が出ればすぐに医療機関にかかるよう呼び掛けることが可能なはずだ。ダラスで治療中のトーマス・エリック・ダンカンさんについて、現在こうした対応が取られている。
◆エボラ出血熱の治療はどのようなものか?
現在、複数の治療法が開発中で、実際の患者を対象とした初の試験がこの数週間で行われているが、エボラ出血熱を標的とする承認された治療法はまだ存在しない。西アフリカでの治療は最小限にとどまり、患者への水分補給と清潔の維持が最優先されている。今回の流行では、患者の約半数が死亡している。
これまで米国で治療を受けた数人の患者は、静脈内輸液や電解質補給、酸素レベル・血圧の管理、他の感染症に用いられる治療といった積極的な対症療法によって回復している。
◆どうすればエボラ拡大を止められるのか?
9月、国際社会は流行の封じ込めを目指し、これまで以上に大掛かりな対策に着手した。米国は10億ドル近くを投じ、物資輸送を支援するため3000人規模の部隊を流行地域に派遣する。キューバ、中国といった他の国々や、EUからの支援も西アフリカに到着し始めている。
流行の終息にどの程度時間がかかるかは不透明だが、公的機関の予測では半年から1年とされている。
Photograph by Boris Roessler/picture-alliance/dpa/AP Images