不手際の「おわび」の際に「寄付」を募ることは是か非か−。

 ベネッセホールディングス(HD)は、子会社のベネッセコーポレーションの顧客情報流出問題で、500円相当の金券などをおわびとして顧客に配布するとしたが、その案内書に「寄付」という選択肢が示されていたことに、“被害者”から疑問の声が続出している。

 ベネッセは9月10日、情報流出が確認可能な顧客に対し、500円相当の電子マネーや図書券などの金券を用意すると発表。同月下旬から、受け取り手続きの案内を郵送している。

 それによると、インターネットで電子マネーの付与を受けることができるほか、はがきで500円分の図書カードの受け取り手続きを取ることが可能。ただ、手続きのための返信用はがきには「全国共通図書カード500円分」と「財団法人ベネッセこども基金へのご寄付」という2つの選択肢が記載されている。

 同封の文書によると、同財団は今回の問題を受けて、ベネッセが新設。外部の有識者らで理事会を構成し、経済的理由や病気などで学習が困難な子供たちの支援などを目指すという。

 ベネッセは、「お客さまから『金券を配るよりも、子供たちに役に立つことを』というご意見をいただき、継続的にその責任を果たすことを考えた結果」(広報)と説明する。

 しかし、この対応に、ネットの交流サイト(SNS)などには「謝罪と募金は別の話」「黙って500円の図書券送ってきたらいいだけ」「誠意のかけらもない」と、顧客から非難の書き込みが相次いでいる。

 原田泳幸会長兼社長は記者会見で「お客さまにこれだけ迷惑をかけた点で加害者だと思っている」と語っていたが、被害者の理解は得られていないようだ。