「後を付けてきているピンクのTシャツ、見えるでしょ? あいつがきょうの露天商たちの偵察兵ですよ」。刑事の車が一回りして行った後、露天商タワーの様子を観察していたオ班長が後ろをちらりと振り返りながら言った。そちらを見てみると、大柄な30代くらいの男が後を付けてきていた。オ班長は「取り締まりがあるとああいうのが一人ずつ付いてきて、カカオトーク(スマートフォンの無料メッセンジャーアプリ)などで取り締まり班の動きをリアルタイムで知らせているため、DDPの反対側まで瞬時に情報が広がるんです。だから単なる鬼ごっこでは済みません」と話した。
取り締まりが強化されていることから、露天商の対応もかつてないほど機敏になった。中区庁のチョ・ドクジン市場経済チーム長は「今は類似商標のものだけ露台の上に並べるケースが増えている」と語った。類似商標とは、「ナイキ」などのロゴをコピー商品にそのまま入れるのではなく、「ナイス」などのようによく似た形で入れた商品のことだ。本物と同じブランドロゴを付けているコピー商品は現場ですぐに取り締まることができるが、類似商標の場合は商標権者が申告しなければ処罰できないという「法の盲点」を突いた物だ。
取り締まりを避けるため、コピー商品をトッポッキ屋台に隠したり、さらには生ごみ用のごみ箱と一緒に入れたりすることもある。中部警察署のユン・ソシク署長は「東大門の露店商にはコピー商品でかなりの収入を上げている商人も少なくない。このため、場所代がはね上がっているという情報もある。そうした(違法行為で稼ぐ)商人ではなく、生計を立てるために商売している零細業者だけを露天商として登録・管理し、長期的にコピー商品などを締め出すなどの対策を進めている」と語った。