総務省が支援し、IT起業家を支援する「異能vation」、内閣府が手がける被災地復興支援を目的にした起業家支援、日本政策金融公庫の女性起業家向け支援金---。経済活性化を目指し、官主導の起業支援が盛り上がっている。時節柄、女性を対象にしたものも少なくない。今回は、岩手県盛岡市で地域のために働く、あるコンサルタントを紹介する。
必要なのは300万円---。ある女性経営者からこんな資金繰りの相談を受けた時、コンサルタントの関洋一さんは、こう言った。「それくらいなら、友達に聞いてみたらどうでしょう?」。関さんのアドバイスに従い、女性経営者は13人から必要な金額を集めてきた。
普通なら銀行へ融資を頼みに行くだろう。なぜ「友達に借りろ」と言ったのか。「この社長はとにかく人脈が広くて、県内で長者番付に入るようなお金持ちの奥さんとも友達です。銀行で面倒な書類を書くより、その人脈を活用した方が、効率がいいはず、と思ったのです。誰にでもおすすめできる方法ではありませんが」と、関さんはそのときのことを振り返る。経済・社会的な資産を多方面から分析し、個々人に合った助言を与える。
綺麗ごとでなく本音を書きなさい
肩書きは「盛岡市企業支援マネジャー」。市から委託を受け、経営者や起業家の卵の相談に乗る。通称「企業世話人」。
「行政やMBAの起業支援は、起業をパターンにおさめようとする。それは間違いです。人それぞれ、違いますから」と言う。その手法は独特だ。
たとえば「本音のWhy」を書く作業を、起業家志望の人に必ずやらせる。「なぜ起業するのか」という、事業の目的を書き出す作業と言ってもいい。
あるとき、若い男性が「3年後に真っ赤なフェラーリに乗りたい」と書いた。「これは分かりやすい本音です。その人が何を拠りどころにしているか。それを引き出すのが私のような、起業サポーターの役割です」。
本音を引き出す---。それは言うは易し、実行は難しいコミュニケーションだ。読者のみなさんも、部下や後輩の指導で困った経験があるのではないか。彼・彼女は何のために働いているのだろう。何が彼・彼女のモチベーションを上げるのに役立つのだろう。どうしたら、やる気になるだろうか、と。
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