Googleウェブマスターツールの「検索クエリ」を使った、新規ページの評価方法
はじめに
サイトを運営する上では、ユーザーが求めていることや、自サイトが提供可能なコンテンツを継続的に公開していくのが望ましい。そのためには、現在行っている施策が有効にヒットしているか否かを判断する必要があるが、その「判断」を一体どのように行うべきなのか、頭を悩ませているサイトオーナーも少なくないのではないだろうか。
そこで今日は、「新規ページを追加した後、そのページが効果的に働いているか、サイト価値の向上に貢献しているか」を自身で評価する方法をご紹介したい。これは、新規ページの追加が完了した時点で満足してしまいがちだった社内の状況を見て、「ページを追加してハイ終了、では意味がない。適正な評価をするために何かいい方法はないだろうか…」と試行錯誤した末に編み出した手法である。
その後しばらく継続してみて、SEO観点での定量的評価を行う上では効果的だと感じたため、かれこれ1年以上継続して行ってきた。データも蓄積されてきており、サイトの状況も判断しやすくなったので、我ながらいい手法を思いついたと自負している。
Googleウェブマスターツールの「検索クエリ」を活用する
以前から何度か取り上げているが、Googleが無償で提供しているサイト管理ツール「Googleウェブマスターツール」を導入することで、運営サイトにおける重要な指標を管理することが可能となる。すでに利用している方々はご存じかと思うが、機能のひとつとして「検索クエリ」というものがある。この機能をしっかりとウォッチすることにより、「運営サイトにおいて、どのようなキーワードでGoogleに認識されているか」ということが一目瞭然となる。
上図のように「検索クエリ」では、「検索キーワード」「表示回数」「クリック数」「CTR」「平均掲載順位」が一覧表示される。このデータは毎日更新され、ダウンロードも可能なので、定期的に取得しておくことをおすすめする。
※ウェブクルーでは、毎日データを保存して活用している(データ取得期間はデフォルト設定のまま)。
「検索クエリ」を使った新規ページの評価方法
今回ご紹介する方法では、「検索クエリ」データの中の「表示回数」という項目が重要な役割を果たしている。この「表示回数」は、Google検索結果上で「検索キーワード」が表示された回数を表示している(と私は考えている)。つまり、該当する「検索キーワード」でGoogle検索結果の上位に表示され、かつユーザーが検索する回数が多いほど、「表示回数」の数値が大きくなるのである。
注目すべき点は、実際にユーザーがサイトに訪れていない「検索キーワード」もカウントされているということである。そのため、Googleアナリティクスをはじめとしたアクセス解析ツールの流入ワードよりも、幅広く取得することができるので、運営サイトがGoogleにどのように評価されているのかを仮説立てて分析することが可能となる。
■ポイント■
「検索クエリ」をCSV形式でダウンロードする。その際、Excelで開くと文字化けしてしまうため、予めテキストエディタで開き、文字コードを「Shift-JIS形式」に変更しておこう。
新規ページ投入前後のデータを比較
新規ページを追加する前と後の「検索クエリ」データをExcelを使って比較してみよう。
上図のように「検索クエリbefore」と「検索クエリafter」の2つのシートを用意する。ここでは、例として「ズバット 引越し比較」の2013年8月1日に取得したデータと2013年9月1日に取得したデータを比較することにする。
■「検索クエリbefore」シート
- A列からH列に、8月1日に取得した検索クエリCSVファイルのデータをコピー&ペーストする
- J列を新たに追加し、下記の関数を入力する
=IF(COUNTIF(検索クエリafter!A:A,”=”&A:A),””,”●”)
この関数により、「検索クエリbefore」の検索クエリと「検索クエリafter」の検索クエリを比較し、「検索クエリbefore」にだけ記されている検索クエリに対し、●が表示される。
つまり、このシートでわかるのは、8月1日時点では認識されていたが、9月1日時点では認識されなくなってしまった「検索キーワード」である。
この「検索キーワード」がSEOターゲットワードであれば、コンテンツ内容の見直し、情報の拡充ができないか検討を図る必要がある。さほど重要度の高いワードでなければ、優先度を下げて、他の施策を優先するなどの判断を下すことも重要だ。
■「検索クエリafter」シート
- A列からH列に、9月1日に取得した検索クエリCSVファイルのデータをコピー&ペーストする
- J列を新たに追加し、下記のExcelの関数を入力する
=IF(COUNTIF(検索クエリbefore!A:A,”=”&A:A),””,”●”)
この関数により、「検索クエリbefore」の検索クエリと「検索クエリafter」の検索クエリを比較し、「検索クエリafter」にだけ記されている検索クエリに対し、●が表示される。
つまり、このシートでわかるのは、8月1日時点では認識されていなかったが、9月1日時点で新たに認識された「検索キーワード」である。
ここでは2つの可能性が想定される。ひとつめは、8月1日以降、新たに追加したページに関連するワード群が認識されたケース。もうひとつは、以前から公開していたページに関連するワード群が、このタイミング(9月1日時点)で新たに認識されたケースだ。
つまり、「検索クエリafter」シートで「検索キーワード」が増えていれば、これまでの施策が効果的に働いている(サイトが成長してきている)と判断できる。新たに認識された「検索キーワード」からユーザーの検索意図を推察し、次なるコンテンツ企画に活かしていけばよい。
まとめ
これまでは、ターゲットワードにおけるSEO順位、アクセス解析で取得できる訪問者数、検索エンジン経由の流入ページ・流入ワードの増加などを計測し、サイトを評価していた。これらの指標は、実際に数値として計測できるようにならないと分析の対象とならないので、ある程度の量のデータが蓄積されるまでに時間が掛かる。
しかし、Googleウェブマスターツールの「検索クエリ」は、ページ公開後に「検索キーワード」が比較的短期間で認識されやすい。そのため、新規ページを追加した後には、特に効果的に活用できる。今回ご紹介した手法を、サイト評価の一環として役立てていただければ幸いである。