■国勢調査局は先月16日、2013年のアメリカの貧困人口と貧困率が減少していることを発表した。貧困人口は4,530人で前年の4,650万人で2.6%減となる120万人減少した。貧困率は前年の15.0%から2013年は14.5%に下がっている。貧困率が14.3%となった2009年からはまだ高い水準にとどまっている。
2013年の世帯年収の中央値(インフレ調整済み)は51,939ドルで前年(51,759ドル)から0.3%と微増となった。世帯年収の増加は2007年以来となったが、この増加幅は統計上有意でなく、2年連続で前年とほぼ変わらない水準だ。人種別世帯年収でみると、最も年収が高いアジア人以外の人種で前年よりも増加となった。
アジア人は前年から3.7%減少して67,065ドル、白人は0.7%の微増で58,270ドル、南米系は3.5%増加して40,963ドル、黒人は2.3%増加して34,598ドルだった。人種別の貧困率では黒人が27.2%と突出しており、黒人は4人に1人を上回る割合で貧困となっている。年齢別では18歳以下の子どもに占める貧困者の割合は19.9%と前年よりも減少傾向にあるものの、子どもの5人に1人が貧困状態に陥っている。
*貧困は、子供2人を含む4人家族の場合、年間所得2.3万ドル以下で、一定の基準を下回る世帯を貧困層と規定。貧困率とは、総人口に占める貧困者の割合。
トップ画像:人種別の所得収入推移。上から6.7万ドルのアジア人、白人(5.8万ドル)、全人種(5.2万ドル)、中南米系(4.1万ドル)、黒人(3.5万ドル)だ。アジア人と黒人では所得格差が大きい。
貧困者数(上)と貧困率(下)の推移グラフ。貧困者数と貧困率はどちらも前年より若干減少しているものの、いまだに高いレベルで推移していることが分かる。
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。
9月の雇用統計では失業率が5.9%と前月から0.2%も改善しました。失業率は6年ぶりに6%を下回ったのです。これを好感して、ニューヨーク株式市場のダウ工業株平均は3日、大幅に値上がりしました。先月、3日連続して高値を更新した後、1.7万ドル割れとなっていましたがここにきてまた復活です。
ただ、雇用が回復しているにもかかわらず、あまり回復していないのは底辺層。直近となる7月の生活保護者数(SNAP)は、4,650万人です。前月とほぼ横ばいの状態です。失業率は2008年7月(5.8%)以来の低さとなる5%台まで改善しています。ちなみに2008年7月の生活保護者数は3,690万人でした。当時に比べてまだ1,000万人近く多くいて、貧困にあえいでいる人の数は、いまだに高い水準で推移しているのです。株で儲けている人が増えている一方で、家計が苦しい状態の人も数多くいるのです。
二極分化が進んだままの状態が続きます。ウォルマートなど、底辺層の市場を狙ったビジネスも一層、競争が激しくなっているのです。
生活保護者数の推移グラフ。直近となる7月は4,650万人。失業率は2008年7月(5.8%)以来の低さとなる5%台まで改善している一方で、生活保護者数は同時期に比べてまだ1,000万人近くも多くいるのだ。
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