販促・集客メディアフォーラム2014

ガンホーのゲームにみる、顧客サポートの徹底による満足度の向上

講演者

  • 橋本 裕之(ガンホー・オンライン・エンターテイメント 新規事業開発室 室長)

9月3日・4日東京国際フォーラムにて、「宣伝会議販促・集客メディアフォーラム2014」が開催され、販促担当者の課題解決に役立つ最新事例や手法についての講演が行われた。本コラムでは、メーカー・流通を中心とした注目企業のキーパーソンによって行われた講演の一部をレポートとして紹介する。

調査から見えてきた課題

ガンホー・オンライン・エンターテイメント 橋本 裕之氏

長く遊んでもらうための取り組みガンホー最大の特徴は、ユーザーに安心して長く楽しんでもらえるゲームをつくっていることです。「ラグナロクオンライン」は2002年のリリースから10年以上たった今でも当社の売り上げに非常に貢献しているロングセラーとなっています。

2012年に発売した「パズル&ドラゴンズ(パズドラ)」は、現在国内で約3000万ダウンロードされ、13年度の売り上げは1485億円、日本のアプリマーケットシェア全体の50%を占めています。ユーザーに長くゲームを続けてもらうよう運営にも力を入れています。ゲーム内で毎日のようにイベントを開催したり、サーバー不具合のお詫びとして有料アイテムを配付したり、業界の常識ではありえないことをどんどんやってきました。

ゲーム内のイベントが盛り上がりすぎてしまい、売り上げが突出した場合は、その翌月はあえてイベントの数を減したり、有料アイテムを無料にしてたくさん配付し売り上げに抑制をかけます。我々の目標は月々の売り上げを上げていくことではなく、あくまでもロングテールで売り上げていくことだからです。

ユーザーの意見を反映し共にゲームをつくる

「良いゲームはユーザーとつくりあげる」と考え、常にユーザーの意見を意識しています。ガンホーのゲームは、開発の段階からユーザーの意見を反映しやすい設定にしています。ユーザーの意見をどのくらいの頻度で反映しているかというと、2週間に1度は何かしらのデータの追加が、1カ月に1度はかなり大きなバージョンアップをしています。「パズドラ」ではこれを2年半続けています。

ユーザーの意見を迅速に製品に反映するため、早い時期からカスタマーサポート機能のインハウス化を進めています。スマートフォンやゲームリテラシーが低い人に対応できるように、メール対応だけでなく、電話対応も行っています。このほか、115万人以上(14年9月現在)のフォロワーを持つツイッターの公式アカウントにもたくさんの意見が寄せられます。さまざまな方法で吸い上げたユーザーの意見を、瞬時に現場と共有する仕組みを構築しています。

スマートフォンゲーム会社では珍しい、リアルイベントも実施しています。今年開催したガンホーフェスティバル2014には、3万人以上を動員することができました。パズドラツアー in イオンモールは、福岡から札幌まで全国7カ所で開催しました。

リアルイベントで満足度向上

こういったリアルイベントには宣伝の目的もありますが、基本的に参加者はゲームで遊んでいるユーザーなので、一番の目的はユーザー満足度の向上です。

イベントはイベント会社に丸投げするのではなく、自前で行っています。デジタル系の会社はメールやツイッター上の事象など、ネット上で起きていることだけを見る傾向にありますが、だからこそ、こうしたイベントでリアルにユーザーと触れ合うことが重要だと考えています。実際にイベントで楽しんでいるユーザーの姿を見るのは励みになります。

パズドラは3000万ダウンロードというヒットとなりましたが、特別な施策はしていません。愚直なまでにユーザーの意見を吸い上げ、常にユーザーと共にゲームをつくるという姿勢を貫いてきました。その結果として、多くの方に長く楽しんでもらえているのではないかと思います。


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