日本人にとっての「朝日新聞」【門田隆将】
WiLL 10月3日(金)18時36分配信
一方の「吉田調書」報道も、ファクトに基づかない朝日独特のキャンペーンだった。
福島第一原発で最も安全な免震重要棟から、女性社員を含む六百五十人の所員に「構内の別の場所にいろ」という命令を吉田昌郎所長が出し、その命令に反して、所員たちが福島第二原発(2F)に撤退したと、朝日は驚くべき記事を書いた。
現場の常識からも、そして真実からも程遠いこの内容が、たちまち全世界に拡散し、〈英雄一転、原発所員はパニックになって現場から逃げ去っていた〉〈これは日本版セウォル号事件だ〉と各国のメディアに報じられたのは周知の通りだ。こちらも「日本人を貶める」という目的は、見事に達せられたのである。
私は「これは朝日新聞の誤報である」と、最初は自分のブログに書いた。それが驚くほどの反響を呼び、今度は週刊誌、そして月刊誌での論評記事へとつながった。そして、論議が大きくなっていく中、産経新聞が「吉田調書」の全文を入手し、その後、読売新聞、共同通信もこれにつづいた。
その調書には、「命令違反の撤退」を示すものは存在せず、「関係ない人間は退避させますからということを言っただけです」「2Fまで退避させようとバスを手配したんです」「バスで退避させました。2Fの方に」と、朝日報道とは真逆の「指示通りの退避」であったことを証明する吉田証言が並んでいた。
今回の朝日批判とは、自分たちの主張やイデオロギーに基づいて、都合よく事実をねじ曲げて報道する手法が厳しい鉄槌を受けているということだ。「朝日ジャーナリズム」が団塊の世代に受け入れられ、最盛期を誇った一九七〇年代の感覚と驕りをいまだに朝日は持ち続けているのだろう。だが、インターネットの普及によるニューメディア時代は、とっくにその「朝日的手法」の終焉を告げていた。
都合よく“加工”した情報を大衆に下げ渡してきた朝日が、今は逆に大衆から監視・検証されていることに気がつかなかったのは、驕りというほかない。
日本を愛し、こつこつと努力する本来の日本人が「朝日を許すはずはない」と私は思う。
将来、「かつては軍国主義を煽って“一億火の玉”を唱え、戦後はひたすら日本人を貶めつづけた新聞が存在したこと」が、歴史として語られることになるのではないか、と私は思っている。
門田隆将(ノンフィクション作家)
最終更新:10月3日(金)18時36分
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