大震災3年半:消えゆく遺構 宮城・女川
毎日新聞 2014年09月10日 22時07分(最終更新 09月11日 13時56分)
東日本大震災のつめ痕を残す建物が、次々と消えていこうとしている。宮城県女川(おながわ)町の「江島(えのしま)共済会館」は津波で横倒しになったまま3年半を迎えるが、かさ上げ工事の本格化に伴い、年内に解体される。津波の威力を目に焼き付けようと10日、この現場を訪れる人もいた。
同町は旧女川交番のみを震災遺構として保存する方針。共済会館前には、12人が犠牲になった七十七(しちじゅうしち)銀行女川支店もあったが既に解体された。犠牲者の一人で支店員だった田村健太さん(当時25歳)の母、弘美さん(52)は「町が決めたことなのでしょうがないが、津波の被害がわかる建物がまた消えるのは残念」と語った。千葉県船橋市から被災地見学に訪れた北島憲司さん(35)は「津波被害の大きさを感じる。取り壊す前に見ることができてよかった」と話した。【佐々木順一】