司法試験:合格者239人減 合格率も最低22.6%
毎日新聞 2014年09月09日 20時33分(最終更新 09月09日 22時31分)
◇予備試験通過者合格は最多163人。合格率も66.8%
法務省は9日、今年の司法試験合格者を発表した。2年連続の減少で、前年より239人少ない1810人だった。2000人を割り込むのは2006年以来。合格率は現行試験が始まった同年以降最低の22.6%(前年比4.2ポイント減)となった。一方、「例外ルート」である予備試験通過者の受験は今年3回目だが、合格者は最多となる163人。合格率も66.8%で、3年連続でどの法科大学院よりも高かった。
今年5月の改正司法試験法成立で受験回数制限が「5年で3回」から「5年で5回」に緩和されて受け控えが減ったとみられ、3年ぶりに受験者数が増加し、8015人(前年比362人増)となった。一方で政府は02年、合格者数を「10年に3000人程度」とする計画を掲げていたが、実現されないまま昨年7月に事実上撤回。今回の合格者数が注目されていた。
合格者の最年長は65歳で最年少は22歳、平均年齢は28.2歳。法科大学院別にみると、合格率トップは京都大の53.1%で、(2)東京大(3)一橋大(4)慶応大(5)大阪大と続いた。早稲田大の172人をトップとする合格者数の上位10校で全体の6割を占める一方、合格者数1桁は39校あり、愛知学院大、神奈川大、島根大、姫路独協大の4校はゼロだった。
また法科大学院修了者のうち、大学の法学部出身者向けの既修者コース(2年)の合格率が32.8%だったのに対し、法学部出身者以外が中心の未修者コース(3年)は12.1%にとどまり、未修者教育に改めて課題を突きつけた。
予備試験通過者は244人が受験し、163人が合格した。本来は、経済的事情で法科大学院に通えない人などにも法曹への道を確保するため11年に導入された制度だが、受験資格が設けられていないことから現役の大学生や法科大学院生が受験しているケースも多く、「制度の趣旨に反している」という批判がある。
政府の法曹養成制度改革推進室はこれまで、予備試験について(1)資力のない人や社会人経験のある人に限る(2)一定の年齢以上(3)法科大学院在学者は受験を認めない(4)科目の追加・変更−−という四つの案を検討。しかし法曹志望者減少につながる恐れや、線引きの難しさもあり、「現時点で制限を加えることは難しい」との立場だ。【和田武士】