デング熱:千葉の男性が感染…東京訪問歴なし 厚労省発表

毎日新聞 2014年09月09日 15時04分(最終更新 09月09日 21時39分)

 厚生労働省は9日、東京都以外でデング熱に感染した患者が初めて確認されたと発表した。患者は千葉市稲毛区の無料低額宿泊所に入所する60代の男性で、最近1カ月以内の海外渡航歴や東京都内への訪問歴はなく、施設周辺で蚊に刺され感染したとみられる。東京都立代々木公園(渋谷区)周辺で感染した患者のウイルスと同じものなのか、国立感染症研究所で男性のウイルスの遺伝子配列を分析している。

 厚労省によると、男性は8月31日に発熱などを発症し、9月2日に入院。千葉市環境保健研究所で8日に感染が確認された。重症ではなく、容体は安定している。入所者は他に約50人いるが、発症した人はいないという。

 施設はやぶが散在する住宅街にあり、近くに大きな公園はない。男性は徒歩や自転車で移動する距離しか行動していなかったという。同省と千葉市は他の入所者の健康調査をすると共に、施設周辺の蚊の発生状況を調べて駆除する方針。

 同省はウイルスの遺伝子配列を調べており、(1)これまでの感染者と一致すれば、代々木公園周辺で感染した人が千葉市の施設周辺で蚊に刺され、感染が広がった(2)配列が異なる場合は、海外から別の感染者がウイルスを持ち込んだ−−ことになると分析している。

 同省は9日、全国の医療機関に対し海外渡航歴がなくてもデング熱を疑う症例があれば検査を実施し、保健所に報告するよう改めて通知した。

 代々木公園周辺以外の場所で感染が確認されたのは千葉市の男性で3人目。9日にはこの男性を含め4都県で7人の新たな感染が判明し、国内の感染者は15都道府県の計88人になった。

 また同省は9日、都内の有栖川宮記念公園(港区)、宮下公園(渋谷区)、杉山公園(中野区)の3公園について、調査の結果ウイルスを保有する蚊は確認されなかったと発表した。【桐野耕一】

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