御嶽山噴火 台風の雨が捜索阻む 火山灰は粘土状に、手がかり消滅を懸念
産経新聞 10月5日(日)18時4分配信
台風18号の雨に5日、行方不明者の救出・捜索活動は再び阻まれた。6日以降も雨が予想され、捜索隊は焦りを募らせる。長雨は、不明者がいるとみられる山頂付近の環境をさらに悪化させる恐れがあり、隊員らは上空をにらんだ。
「さらに捜索が厳しい環境になるのではないか」。山梨県緊急消防援助隊の山本順一大隊長(58)は、台風通過に伴う長雨を危ぶむ。山頂付近は、ここ数日間の雨でぬかるみ、降り積もった火山灰が粘土状になった。4日の捜索では麓から徒歩で向かった隊員は苦戦を強いられ、通常の倍以上の時間がかかる場所も多かったという。
一歩を踏み出すだけでもひざ下が埋まり、こびりついた泥で靴が3倍ほどの重さになった。しかも作業は3千メートルの高所で、山本大隊長は「体力を非常に消耗する。気力だけで登っているようなものだ」と苦しい現状を明かす。足を取られて転倒する隊員らもいた。
捜索場所は火山灰で一面灰色だ。4日はペットボトルのホルダーが地表面から少しのぞき、色の違いが行方不明者の発見につながった。しかし、雨でこうした手がかりに灰がかぶってしまう可能性がある。「色が消えるのが心配だ」。そう話す隊員もいた。
山本大隊長は「長い戦いになる。『行方不明者の救出にまだ望みがある』と信じ挑みたい」と意気込む。
これまで登山道を中心にした目視による捜索がメーンだったが、斜面などにも徐々に範囲を広げていっている。捜索隊は天候が回復次第、山頂の状況を確認し作業を急ぐとしている。
陸上自衛隊第13普通科連隊本部管理中隊長、大沢浩喜3佐(54)も「一刻も早く不明者をご家族の元に帰せるよう、全身全霊を尽くしたいという一心だけだ」と話した。
最終更新:10月5日(日)20時15分
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