KDDIは、Mozilla 主催のイベント において、Firefox OS搭載のスマートフォンを年内に発売すると発表しました。かねてより同社は2014年度内の発売をにおわせていたところですが、KDDIの田中社長はビデオメッセージにおいて「クリスマスプレゼントとして提供したい」と語りました。

Mozillaトークセッション

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田中社長は先日のインタビューの中で、発表の時期などの明言をさけていましたが、今回のイベントで12月に発表会を実施するとしました。また、登壇した担当者は「ネジ1本からこだわる」と話しており、こちらが「安いFirefoxスマホなのか?」と問うと、そうではなく高速応答でデザインにもこだわる旨を語りました。

トークセッションでは残念ながら端末はモザイクがかかっておりその全貌はわからないものの、モザイク処理されているだけでなんだか卑猥な感じがするのは、すり込みでしょうか。卑猥なキツネのスマートフォンが登場するかどうかはとにかくとして、来場者したKDDI関係者の顔ぶれには、かつてのau Design projectなどの担当者らもおり、いわゆる廉価モデルではない端末が投入されるものとみられます。



KDDIでは、Firefox OS搭載スマートフォンを象徴的な存在として、Webを通じてモノがつながっていく「WoT」(Web of Things)の世界に乗り出していく計画。その世界がどうなるかはわかりませんが、トークセッションではKDDI側も「よくわからない」とコメントしており、担当者は「販売数はあまりと思うが、あまり出ないと次がないのでここにいる人には買って欲しい」と素直すぎるコメント。市場性を考えずにまず製品を送り出してみる、という田中社長のスタンスが見え隠れするプロジェクトになりそうです。

なおKDDIでは開発者向けコミュニティを設置し、12月の発表に向けハッカソンなども実施する計画。いわゆる組み込み系のエンジニアだけでなく、WebデザイナーやWebクリエイターといったこれまで組み込みとは距離のあった作り手にも物作りの裾野を広げ可能性を探っていきます。展示ブースでは先般発表した開発キットを使って電球のON/OFFや、シーソー式のスイッチの入/切といったデモを披露しており、スマホだけじゃない世界を構築しようとしていることがうかがえます。





誤解を恐れずに言うと、AndroidやiOSにはすでに何が出るかはお楽しみ! といった箱の中身を手探りするような不確かさは薄れ、ルールの中で新規性のあるビジネスモデルを探る段階に来ています。ビジネス化しやすい形である一方、イノベーションに付随するワクワク感や高揚感は感じにくく、想像の範囲を超えにくくなっていると言えるかもしれません。

Firefox OSがそれに代わるものになるかは今のところ未知数ではありますが、Pepperの開発ツールもそうですし、KDDIが発表した開発ツール Gluin もそうであるように、誰でもいじれる開発ツールを指向することで、これまで閉じていたもの作りの扉は「同人」の世界から広がりつつあります。製品化にはコストがかかります。しかしそれこそ「ブログを書いてみた」「絵を描いてみた」といったノリのまま、Webを介した「製品作ってみた」が加速すると、モジュールあたりの単価も下がりイノーベションを誘発する起爆剤になる可能性だってあります。




なお、トークセッションの中でKDDIの担当者は、Firefox スマートフォンについて最初のプロダクトであると語っていました。現在発売中の開発者向けFirefox スマートフォン Flame などを触る限り「結構動いている」といった印象ではありますが、AndroidやiOSとは完成度の面で違ったものになることも予想でき、もしかするとAndroid初期のような不確かさを楽しむスマートフォンになることもあるでしょう。

モザイク処理によってなおさら期待値が高まる感があるのも否めないところですが、思春期のように悶々とするのも12月まで。クリスマスプレゼントになるような製品なのか期待しておきたいところです。
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