働きたい女性が希望に沿って個性や能力を発揮できる社会にしていくためには…[続きを読む]
「わいせつ」を理由に、芸術活動に警察が介入する出来事が相次いだ。 も…
「わいせつ」を理由に、芸術活動に警察が介入する出来事が相次いだ。
もちろん、芸術作品だからといって、どんなものでも無制限に公表していいわけではない。だが、作品の意味や、発表のしかたを考慮せず、取り締まるだけの社会は、息苦しい。
アーティストの「ろくでなし子」さんは7月、警視庁に逮捕された。
彼女は女性器をタブー視する考えや女性差別への異議を、造形作品などで表現している。制作費を集めたネット募金の協力者にお礼として、自分の性器の形の3Dデータを、ネットを介して送ったことで、わいせつ物頒布等の疑いをかけられ、7日間身柄を拘束された。
釈放を求めるネット署名は2万を超え、海外メディアも疑問を投げかけた。
愛知県美術館で8~9月に開かれていた写真展では、鷹野隆大さんの作品の一部が、布や半透明の紙で覆われた。
身体をテーマにした写真で知られる鷹野さんは、撮る・撮られるという一方的な関係ではないものを表現するため、自分も裸でモデルの男女と一緒に写った写真を出品した。
美術館は展示場所をカーテンで区切り、性器を含む全身ヌードがあることを事前に知らせ、中学生以下だけでの鑑賞を制限するなどの注意書きを出し、係員を置いた。だが、匿名の通報を受けた愛知県警が美術館に対処を求めた。
鷹野さんと美術館は写真の一部を隠し、「公権力の介入が見える」新たな作品にして展示を続けた。美術と社会とのかかわりを考えさせる対応だった。
性器を含む表現を、見たくない人や子供の目に触れないようにする配慮は必要だ。愛知県美術館は十分注意を払っていた。ろくでなし子さんがデータを送ったのも、活動に理解を示す限られた人だ。それなのに、警察に抑えつけられた。
芸術は、鑑賞者を刺激して考えることを促したり、問題を提起したりするものである。日常の感覚と異なる表現は、新しい価値観や精神の自由を生む契機になる。それは市民社会の豊かさに結びつく。
だから、作品が具体的に誰かを傷つけたり、むやみに社会に害を及ぼしたりしない限り、表現活動は幅広く尊重されなければならない。
そのためにも、美術館など文化を担う拠点は特に、自由で多様な表現を最大限守る場でなくてはならない。警察は硬直した取り締まりを見直してほしい。
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