1つのラーメンを半分にして食べている。
空腹で夜眠れない。
経済的な理由でおなかいっぱい食べることもままならない子どもたちが増えています。
先月子どもの貧困対策に関する大綱が閣議決定されました。
その直前に発表された子どもの貧困率は16.3%と過去最悪を更新。
この10年、悪化の一途です。
子どもの貧困その実態はいかなるものなのか。
こんにちは。
今回、NPOと大学が協力。
支援を必要とする家庭の子どもたちを対象に食生活の緊急調査を行いました。
見えてきたのは1日僅か300円余りの食費で日々をしのぐ姿です。
成長期に必要な栄養が足りず健康や発達に影響が及んでいることも明らかになりました。
食べることすらままならない子どもたちの貧困。
その知られざる実態の報告です。
こんばんは。
「クローズアップ現代」です。
飽食の時代といわれる中で実感しにくいのですけれども今、貧困から成長するための最低限必要な食事栄養がとれない子どもたちが少なくないと見られています。
子育てをしながらぎりぎりの生活をしている貧困家庭。
1日の栄養のほとんどを給食に頼っている。
夏休み明け体重が減っている子どもがいる。
こうした現実は見えにくく見過ごされがちですけれども7月に発表された子どもの貧困率は調査が始まった1985年以来最悪となり、16.3%でした。
これは40人学級で考えると実に6人から7人が貧困状態という深刻な状況です。
貧困状態にある子どもが増えている背景には非正規雇用や1人親家庭の増加があるといわれています。
ここで言う貧困とは平均的な年収の半分を下回っている人たちのことでこれは生活保護の水準とほぼ重なるといわれています。
ただ実際に生活保護を受けているのは子どものいる世帯の場合2割ほどしかいないと推計されています。
家計が苦しく、進学ができない。
医療費が払えない。
こうした実態についてはこれまでもお伝えしてきましたが今夜は食べるものさえ十分に食べられず健康や発達への影響が懸念される心の安定も損なわれかねない状況の中にいる子どもたちの現実です。
見えにくいといわれるその実態を経済的に苦しい家庭に食糧支援を行っているNPO。
そして大学の研究者の協力を得て調査しました。
今回、子どもの貧困について調査を行ったNPO法人フードバンク山梨です。
企業や農家などから寄贈された食品を、支援が必要な家庭に無償で提供する活動を続けています。
活動を始めて6年。
これまで1000世帯以上を支援してきました。
支援を受けるのは行政などから紹介を受けた世帯です。
多くは収入が生活保護の水準を下回っていますがさまざまな事情から生活保護は受けていません。
最近は子育て世帯が増え支援の対象となる人の4割を子どもが占めています。
子どもたちはどのような生活を送っているのか。
NPOは、子どものいる269世帯を対象に実態調査に乗り出しました。
こんにちは。
お邪魔します。
この日訪ねたのは7歳から17歳まで4人の子どもを育てる母子家庭です。
収入や食費日々の食事の内容など支援を受けるまでどんな生活だったのか詳しく聞いていきます。
調査に協力した澤村さんです。
3年前に離婚。
パートで毎日働いていますが収入は生活保護基準を下回っています。
一度は生活保護の申請を考えました。
しかし、通勤に欠かせない車を手放さなければならず諦めました。
助けとなっているのがNPOから2週間に1度送られてくる6キロのお米です。
浮いたお金で以前はほとんど購入できなかった野菜などを買えるようになりました。
この日のメインはオクラを入れた納豆です。
いただきます。
もらい物のきゅうりを漬物にして出すなどなんとか栄養のバランスを取ろうと努力しています。
しかし、育ち盛りの子どもたちにとっては十分とはいえません。
澤村さんの場合パートで得る収入は平均10万円。
児童扶養手当など合わせると月収は18万円ほどです。
一方、家賃や光熱費奨学金の返済など毎月固定で出るお金はおよそ14万円。
差し引くと、4万円ほどで5人家族の食費をやりくりしなければなりません。
非正規雇用の仕事は月によって働く時間が短くなることもあり収入が減った分はどうしても食費が圧迫されるといいます。
最も厳しいときには主食のお米さえ買えないこともあります。
今回、NPOではアンケート結果について栄養学が専門の村山伸子教授と分析を行いました。
そこから浮かび上がってきたのは貧困の厳しい現実でした。
今回調べた支援世帯では1人当たりの1日の食費は329円。
300円にも満たない家庭が半数近くに上りました。
食事の内容も、米や麺など主食のみというケースが多くおかずなど栄養のバランスが取れた食事を1日に1度もとっていない家庭が8割以上に上ったのです。
栄養不足で、体重が減った貧血で倒れたなど子どもたちの健康にまで影響が及んでいることが明らかになりました。
さらに、今回の調査では貧困が子どもの体の健康だけでなく学校生活や友人関係など社会的な基盤を揺るがしていることも見えてきました。
17歳になる澤村さんの長男は中学のころから不登校になりました。
学校では友達が普通に楽しんでいることに参加できず孤立することが多かったと言います。
広がる子どもの貧困。
NPOではこの調査の結果をもとに行政や学校現場と連携して早急な対策につなげようと考えています。
今夜は子どもの貧困対策に関する検討会の座長代理を務められました、神奈川県立保健福祉大学教授の新保幸男さんをお迎えしています。
おなかいっぱい食べられないということで、育ち盛りの子どもたちの体の影響も、大きいわけですけれども、それと同時に、今のVTRにありましたように、中学校くらいから不登校になった長男の方、ほかの子どもたちができている同じようなことができなかったことに対して、その情けない、惨めに感じた、心への影響も大きいですね。
そうですね。
一緒にファストフードに行って、自分は食べることができない。
一番食べたいはずの自分が食べることができない、同じように、友達と同じようにすることができないというのが、自分に対する、自己肯定感を下げるということに、影響を与えてるんじゃないかなと感じます。
常にその満足感とか、充足感がないということで、その自分の自己肯定感の影響っていうのは、これは学業とか、今後の進路という面で、影響を与えますか?
自分の意見を言っても認められないんじゃないかとか、それから自分は他の人よりも劣っているんじゃないかとか、そういうふうに思ってしまいがちなんだろうと思います。
ただ、おなかがすいてたのは、昔は自分たちも同じだったという方々も、大勢いらっしゃると思うんですね。
でも今はちょっと時代が違いますね。
その点で言うならば、昔は同じように空腹であった、それを分かち合うことができたと思うけども、今は周りがみんな、ある程度の生活をしている、自分だけがなぜ?って思うんだろうと思います。
それならば、子どもたちに十分な食事を与えるためには、生活保護を受けたらどうなんでしょうか。
生活保護を受けたら、状況は改善されますか?
例えば、状況はまず改善されると思います。
ですけども、例えば車の補助はできないだとかというようなこと、貯金はしにくいだとか、そういうことについてネックになります。
ですから、児童扶養手当の範囲内で、自分たちで頑張って生きていこうというふうな思いを、皆さんがなさるんだろうというふうに考えます。
その児童扶養手当で頑張ろうという方々、自立したいという思いが強いと思うんですけれども、生活保護を受けた場合の、社会のかかるコストというのは、かなり違いますよね?
かなりのギャップがあります。
ですから、児童扶養手当、現行の児童扶養手当に対して、特に多子に対して加算をするというものをすることによって。
大勢お子さんがいらっしゃるということですね。
そうですね。
そこに加算をすることによって、自分の力で生きていこうということについて、前向きにバックアップすることができるんだろうというふうに思います。
ほんの少し、もうちょっとの支援ということが必要なんだろうと思うんですけれども、国はことし1月に、子どもの貧困対策推進法が施行されて、それに基づいて必要な施策をまとめた、子どもの貧困対策に対する大綱を、8月末に発表していますけれども、そうした食に関する支援というのは、どこまで向き合っているんでしょうか、この大綱の中で。
記述はされています。
ですけれども、具体的な制度として明記されてないと思います。
学ぶということについては、いろいろ書いていただいて、それは大成功だろうと思います。
ですけども、学ぶための条件としての食べるということについて、もう少し具体的に、私たちは制度化していく必要があるだろうというふうに思います。
学ぶための条件とおっしゃいましたけど、これは、エネルギー?
そうですね。
エネルギーでもあるし、食べるということによって、自信がつくということにもつながるだろうと思います。
貧困状態にある子どもたちをどう支えていくのか。
一部の学校や地域で、具体的な取り組みが行われています。
栃木県大田原市。
2年前から子育て支援の一環として小中学校の給食費無料化に踏み切りました。
1人の給食費は年間およそ5万円。
市は小中学校の子ども6000人分の給食費2億7000万円を負担しています。
多額の財源が必要となるため当初、議会では慎重な意見が相次ぎました。
低所得者にはすでに給食費などの就学援助があり、十分ではないか。
教室のクーラーの整備が優先ではないかなど今すぐ取り組む必要がないとの声が上がりました。
しかし、経済的に困窮する家庭が増える中すべての子どもが安心して学び食べられる環境を作るべきだと判断したのです。
結果的に保護者の多くから経済的に助かったという声が寄せられています。
学校現場でも子どもの心の負担を減らす効果があったといいます。
これまで給食費を滞納する家庭には、子どもを通じて督促をせざるをえませんでしたがその必要がなくなったからです。
対策を行政だけに任せるのでなく貧困状態にある子どもを地域住民で支える取り組みも始まっています。
東京都豊島区ではNPOが中心となって、毎月2回地域の子どもなら誰でも入れる食堂を開いています。
食材は、寄付や助成金で賄い調理は地域の主婦たちのボランティア。
子どもたちは、手伝いをすると無料で食べることができます。
せーの、いただきます。
栄養バランスの取れた食事をおなかいっぱい食べられるうえみんなで食卓を囲む楽しさを味わえる場所になっています。
この食堂に来ることで救われたという少女がいます。
12歳のみきさんです。
みそ汁、おいしい。
小学2年生のころから学校に行けなくなったみきさん。
母子家庭であることを友達にからかわれたことがきっかけでした。
母親はパートで働いていますが生活は苦しく食事は1日1食だけです。
しかし誰にも相談できず家に引きこもる日々が続いてきました。
そんなみきさんを変えてくれたのが子ども食堂との出会いでした。
こんにちは。
この日のメニューはちらしずし。
みきさんは盛り付けを手伝います。
みきさんはここに来て初めて食事を一緒に食べる楽しさや地域の人たちとのつながりを感じることができたと言います。
みきさんは今新たな目標を見つけ少しずつ学校に通い始めています。
1日1食のみきさんですけれども、こうやって月2回、一緒に作って、そしてみんなで食事をするということで、本当になんか自信のある。
表情がね、変わってますよね。
とてもすてきなことですよね。
NPO団体の試みによって、あれだけ変わるんだということを、まざまざと感じさせられます。
こういうものが、あちこちに増えていくといいなと、まず思いますね。
食の大切さというのを改めて感じるんですけども、なかなか各家庭の、その食卓はどうなっているのか、それを知るというのは非常に難しい。
そのゆえに大田原市では、1日1食、バランスの取れた食事が、すべての子どもたちができるようにということで、無償化に取り組んでいますけれども、この取り組み、どうご覧になりますか?
まず、給食という仕組み、これは日本が誇るべき大切な財産だろうと思います。
給食というものによって、必要なエネルギーと栄養素が得ることができる、これをまず大切にする、それを大切にするということについて、とてもすてきな取り組みだろうというふうに思います。
大切にする際に、貧困の家庭の子どもも、そうじゃない家庭においても、同じような状態で、食事が食べられるという状態を用意することは、どの子どもにとっても、プラスに影響があるだろうというふうに思います。
議論は無償化を巡っては、やっぱりあるところですよね。
無償化を巡って、いろいろ議論があることは確かです。
例えば、貧困家庭であるならば、経済的な助成はすでに行われているのではないかという議論もあるのかもしれません。
ですけれども、一つの試みとして、意味のある試みだろうというふうに思います。
今、子どもたちが本当、将来、貧困であっても、希望を持ちながら、自己肯定感を持って生きて、自分の将来を切り開いてほしいと思うんですけれども、貧困対策を行ううえで、この食というものを、どのように位置づけていくべきなんでしょうか。
食というものは、学んだり、体を動かしたり、それから友達づきあいをするための、まず一番の根っこの所にあるのだろうと思います。
食べるということによって、学ぼうという意欲が湧いてくるし、学んだときに、学びが深まるというふうに思います。
食べることによって、友達と一緒に同じようなことができる、そして自信がついてくる。
そのことによって、学びが進み、将来、自分の進路を積極的に前向きに選んでいくことができるようになるだろうと思います。
食というのは、根にあるものだろうというふうに思います。
本当にこれは、見えにくい問題なんですけども、先ほど、冒頭のVTRでご紹介しました、フードバンク山梨のような取り組みも、直接、家庭に支援を届けるということは、ほとんど行われていない。
そうですね。
とても大切な事業だと思います。
こうしたその、いろんな各地で行われているNPO活動などに対する支援は十分でしょうか?
経済的にNPO団体を支えるという仕組みが、まず1つあります。
それと同時に、NPO団体が持ってるノウハウを生かすためには、あまり制度で縛らないということもあるんだろうと思います。
ですから、経済的には、寄付的な仕組みを導入していくということも、これからどんどん必要になってくるというふうに考えます。
企業としての社会的貢献にもつながるかと思うんですけれども、それでは国としては、今まさに、今、成長している子どもたちに対して、どう取り組むべきでしょうか?
まず学ぶということが大切だということは、大綱の中で明確に打ち出されています。
学ぶための条件について、食があるということについては、もう一歩踏み込んでもいいのではないかなと思います。
これから各自治体が、いろんな計画を作ります。
子ども子育て支援に関する、新制度の仕組みを作っていきます。
その中で、食べるということをぜひ、盛り込んでいただきたい。
これが今、必要なことだろうと思います。
ありがとうございました。
2014/09/25(木) 19:30〜19:56
NHK総合1・神戸
クローズアップ現代「おなかいっぱい食べたい〜緊急調査・子どもの貧困〜」[字]
一人あたりの食費が一日329円。この夏、NPOなどが行った調査で、貧困家庭における“子供の食の実態”が明らかになった。成長を脅かしかねない過酷な現実を報告する。
詳細情報
番組内容
【ゲスト】神奈川県立保健福祉大学教授…新保幸男,【キャスター】国谷裕子
出演者
【ゲスト】神奈川県立保健福祉大学教授…新保幸男,【キャスター】国谷裕子
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ニュース/報道 – 特集・ドキュメント
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