生字幕放送でお伝えします岩渕⇒こんにちは「くらしきらり解説」です。
きょうのテーマはこちらです。
来年の世界文化遺産の候補になっている明治日本の産業革命遺産についてあすからユネスコの諮問機関による現地調査が始まります。
この産業遺産とはどのようなものでしょうか。
担当は柳澤伊佐男解説委員です。
日本の産業革命の遺産といっても、ちょっとなかなかイメージがしにくいです。
こちらに映っているのは長崎の造船所のクレーンです。
そして北九州市の八幡製鉄所の建物です。
産業革命というのは、機械による生産システムを取り入れたことで社会や経済の仕組みが劇的に変わった出来事です。
日本の産業革命は幕末から明治にかけての50年余りで達成したといわれています。
産業革命発祥の地、イギリスからおよそ100年遅れた動きなんですがアジアではいちばん早く、また半世紀余りという短い期間に急速に産業化したことも世界史的な意義があるということです。
それで世界遺産に登録する価値があるということなんですね。
ことし世界遺産に登録されたのは、群馬県の富岡製糸場でしたね。
これも産業革命に関わる遺産ですが、富岡製糸場は生糸の生産という、いわゆる軽工業の分野です。
これに対して産業革命遺産は製鉄・鉄鋼、造船それらを支えた石炭産業といういわゆる重工業の分野が遺産なんです。
重工業ですね。
なぜ重工業を対象にしたかというと、日本の産業革命の特徴がいちばん表れているという理由です。
どういう特徴がありますか?リストアップされている23の遺産、構成資産というんですが、それらが広い地域に分散している点です。
こちらの地図をご覧ください。
丸が構成資産がある地域です。
九州に多いようですが伊豆半島東北にもありますね。
九州山口地方を中心に8つの地区に点在しています。
一見ばらばらのように見えますけれども、製鉄や鉄鋼、造船そして石炭、これらの3つをテーマにまとめられるということです。
それぞれ年代や特徴は異なるんですが、1つに関連づけて見ますと、重工業を中心とした日本の産業革命の歩みが具体的に分かるということなんです。
全体で1つのテーマを表すという構成になっているんですね。
こうした形の世界遺産は決して珍しいわけではありません。
日本では初めてになるんですが、離れた地域にある産業遺産、遺産を1つのテーマでくくって世界遺産に登録されたケースはこれまでにもあります。
産業関連でもイギリスの鉱山関係の遺産などが登録されていることがあります。
では産業革命遺産の構成資産にはどのようなものがあるのか映像で見てみたいと思います。
まずはこちらですけれども何の遺跡ですか?これは鉄を作るための炉高炉の跡です。
岩手県釜石市にあります。
幕末に西洋の技術を取り入れて建設されたもので、現存する高炉の跡では最も古いとされています。
近くには鉄鉱石を採掘した跡や運搬した道路の跡もありまして、近代的な製鉄が始まった当時の姿がうかがえます。
ここで鉄を作って運んで、という想像が膨らみますね。
そしてこちらは昔の町並みになりますね。
山口県萩市です。
ここには江戸時代の城の跡や武家商人の屋敷などが数多く残されています。
町には日本の近代化を進めるうえで、多くの人材を育てたとされる松下村塾、こちらですね。
また洋式の軍艦を造った造船所の跡。
そして大砲を作るための鉄を溶かした炉の跡などもあって幕末に西洋技術を取り入れてみずから産業化を進めようとした地域社会の姿をよく示しています。
産業革命関連の遺産といっても本当にさまざまですね。
また現在も使われている工場の施設が、構成遺産に含まれているのも大きな特徴です。
これは長崎市の造船所です。
ここにある大型のクレーン。
高さは60m余り、150トンの荷物をつり上げる能力があります。
完成してから100年余りの年月がたっているんですが、今も現役で使われています。
今も働いているわけですか?はい。
そして、この建物は製鉄所で使う機械の修繕工場として建てられました。
現存する鉄骨構造の建物としては最も古いそうなんです。
この天井のクレーン100年以上前のものですが、そのままの状態で使用されています。
こちらも動いているわけですね。
現役の工場の施設などがあるというのは、また驚きですね、興味深いです。
こうした現役の施設を構成資産に含めたのは、日本では今回が初めてなんです。
これらは工場などの敷地にあって一般の人が見学することはできないんですが、詳細な映像で紹介することも含めて、何らかの形で公開できないか検討が進められています。
訪れる人たちの期待にできるだけ応えてほしいですね。
そうですね。
こうした産業遺産どのような特徴、価値があるのか保全の在り方をどう考えればよいかということについて国内外の専門家が話し合う国際会議が7月中旬東京で開かれました。
会議には国などの主催で2日間開かれて、初日の分科会では、イギリスの専門家が先ほどご覧いただいた長崎の造船所のクレーンを取り上げました。
この専門家はこうしたタイプのクレーンが残っているのは世界的にも珍しく、当時の状態のまま動いているのは驚きだと高く評価していました。
その一方、会合の中では現役の施設が動かなくなったあとどのように保存するかを問う意見なども出されました。
白熱した議論があったんですね。
この国際会議が開かれる前、海外から招いた研究者の多くを福岡や長崎の構成資産に案内したということです。
この産業革命遺産は、来年の世界遺産候補ということですが今どのような段階ですか?産業革命遺産去年9月に世界文化遺産の候補に決まりました。
そして1月ユネスコに正式な推薦書が提出されました。
今はどうかといいますとイコモス文化財保護の国際組織なんですけれども事前審査が行われています。
あすからは現地調査が行われて10日間の日程です。
そのようなことになっています。
このあとは?現地調査をもとにユネスコの委員会が開かれるおよそ1か月前に、世界遺産にふさわしいかどうかについて勧告というものを行います。
そして6月ドイツで世界遺産員が開かれて世界文化遺産に登録されるかどうかが決まります。
現地調査というのは非常に重要ですね。
イコモスに所属するオーストラリアの専門家が23の構成資産すべてを見学する予定なんです。
書類だけでは分からないことが多くあります、現地で実際に確認することは極めて重要です。
現地調査のポイントはどこですか。
詳しくは明らかにされていませんがこの3つのポイントがあります。
実際に登録の可能性はどうでしょうか?現地調査の結果の公表はなくイコモスの評価は来年の勧告まで待たなければなりませんが現役として保全管理やテーマに沿った構成資産の選び方など日本にとって新しい試みが、どう評価されるかというのが課題だという声があります。
お隣の韓国は、韓国の国民が徴用された悲しい歴史の場だと登録に反対しています。
日本政府内には背景を異にする別個の問題だと韓国に理解してもらう必要があるという声もあります。
いずれにしましても登録というのは世界が納得する形で実現させてほしいと思います。
柳澤伊佐男解説委員でした。
次回のテーマです。
担当は早川信夫解説委員です。
ぜひ、ご覧ください。
(テーマ音楽)2014/09/25(木) 10:05〜10:15
NHK総合1・神戸
くらし☆解説「世界遺産を目指す“明治の産業革命遺産”とは?」[字]
NHK解説委員…柳澤伊佐男,【司会】岩渕梢
詳細情報
出演者
【出演】NHK解説委員…柳澤伊佐男,【司会】岩渕梢
ジャンル :
ニュース/報道 – 解説
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
情報/ワイドショー – 健康・医療
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