ええっ?ちょっとお母さんを追い出そうっていうの?困る!居場所なくなる〜!
(角田六郎)おう。
(杉下右京)おはようございます。
おはようって…もうお昼だよ。
ああそうでした。
こんにちは。
はいこんにちは。
あっそうだ。
午前中人間ドックだっつってたな。
どうだった?なんか見つかったかい?結果は後日だそうです。
ああ…。
ところでカイトくんは?ああ…鑑識の米沢に頼まれて松枝署にスマホ返却に行った。
スマホですか?うん返し忘れた遺留品だってさ。
それがなんか様子がおかしかったんだよな。
スマホに残った画像見てよ「なんだこれ?」っつって飛び出していったよ。
「なんだこれ?」って言って…。
(角田)うん。
飛び出していきましたか…。
(角田)うん…。
(米沢守)そのスマホは半年前に自殺した風間守という音楽専門学校の講師のものです。
(米沢)スマホの中に遺書があったので自殺として処理されました。
自殺の理由は「生徒を思うように音大に合格させられない事を悩んでいた」…。
音大進学コースの担任だったようですね。
でカイトくんが見ていたというスマホの画像はありますか?あっはい。
えーと…こちらですね。
えーこうなってますけどね…。
楽器ですね。
楽器ですなぁ…。
ちょっと止めてもらえますか?戻してもらえますか?全て2枚ずつありますね。
ピアノピアノギターギターフルートフルートサックスサックストランペットトランペットチェロチェロ。
なぜ楽器の写真が2枚ずつあるのでしょう?しかも1枚は全て楽器店で撮ったもの…。
残りは他の場所ですねぇ。
何を意味するのでしょうね…。
気になりますか?なりますねぇ。
(甲斐享)あの…この写真ちょっと変だと思いませんか?本当に自殺かどうか調べ直したいので捜査資料を見せてもらえませんか?
(岡野)その件は半年前にカタがついてるんですがね。
ええ…。
それともあなたうちの捜査がいい加減だったとでも?いやいや…そういうわけではないんですが人が1人死んでるんです。
疑問がなくなるまでちゃんと調べるべきだと…。
青臭いなぁ。
…はい?警察は組織で動いてるんですよ。
そんな個人的な正義感を振り回されても困るんです。
それにこっちは今殺人事件の捜査でそれどころじゃないんです。
それ返却したらおとなしく帰ってください。
俺ピアノやってたんでちょっと写真に引っかかって。
さっき楽器店に行って確認してみたんですけど対になってる楽器は同じように見えてかなり価格が違うものなんです。
価格が違う?ええ。
しかも写真が撮られたのは被害者が死亡する数日前なんです。
この写真被害者の死と何か関係しているんじゃないかと思って…。
それで所轄署へ。
捜査資料を見せてもらおうと思って来たんですけどなんかバタバタしてるみたいで取り合ってもらえませんでした。
「杉下さんいつもこういう時どうしてるんでしたっけ?」フフッどうって言われましてもねぇ…。
なんかうまくいかないんですよねこういう時。
あーもしもしカイトくんどうしました?屋上に自殺しようとしている人がいます。
はい?ちょっと待った!何…してるんですか?
(中井雪絵)来ないで!わかった行かない!行かないから…わけを話してくれませんか?一体…何があったんですか?
(雪絵)私は無実よ!無実って?私は前田先生を殺してないのに警察はよってたかって私を犯人扱いしてる。
えっ…殺人事件の被疑者って事?私が大事な用があるって言ってるのに帰してくれない。
私が何を言っても信じない。
完全に犯人扱いしてるじゃない。
私は…前田先生を愛してたの。
もういい!どうせあの人がいないなら生きてたってしょうがない。
ああっちょ…ちょっと待って!力になるから。
俺も警察だけど君の話をちゃんと聞く。
(ドアの開く音)
(芹沢慶二)あっいた!
(伊丹憲一)なんで坊ちゃんも一緒なんだよ…。
米沢さん。
(米沢)ん?あっ杉下警部お待ちしておりました。
事件の詳細用意しておきました。
どうも。
それにしても松枝署の屋上がそのような事態になっているとは…。
松枝署に問い合わせたところ彼女は任意で取り調べを受けている途中でトイレに行くと言って出ていき監視をしていた婦警の目を盗んで逃走したようですね。
無茶をしますなぁ。
でこちらが被害者の前田智文さん。
こちらが被疑者の中井雪絵さん。
ええ。
この2人はともに東京アカデミー音楽学院の講師です。
この学校は音楽専門学校としては名門らしくここから一流音大に進学する者も大勢いるという事です。
つまり2人は同僚だった。
ええ。
ところが2日前この中井雪絵の部屋から前田さんの刺殺体が発見されました。
第一発見者も中井雪絵でした。
殺された前田さんには妻子がおり不倫関係にあった事を中井雪絵自身も認めています。
凶器は包丁で彼女の指紋が付着していました。
捜査一課は痴情のもつれによる殺人と見て松枝署で取り調べをしていたようですね。
しかし本人は無実を主張しているわけですね。
そのようですね。
これはなんでしょう?ちょっとこちらへどうぞ。
ピアノの鍵盤から出たルミノール反応です。
おそらく被害者はピアノを弾いてる途中で後ろから刺され倒れる際に血の付いた指でピアノの鍵盤の1つを触っていたと思われます。
それを犯人が拭き取ったようです。
拭き取った?ええ。
この他に飛び散った血はそのままでなぜ鍵盤の血だけ拭き取ったのでしょう?まあ一応中井雪絵はジャズピアノの講師でしたから血の付いた鍵盤をそのままにはしておけなかったのではないかという見立てのようですが。
なるほど。
それにしても奇遇ですねぇ。
奇遇といいますと?先ほどの半年前に自殺した風間さんという音楽講師もこの東京アカデミー音楽学院の講師でした。
(米沢)確かに!同じ学校で半年前に講師の自殺。
そして今度は殺人。
果たしてただの偶然でしょうかねぇ…。
おい戻れ!戻るんだ!先輩刺激しちゃまずいですよ!来ないで!お願い。
あの人たちに出ていくように言って。
早く!わかりました。
お願いします!ここは俺たち2人だけにしてもらえませんか?
(芹沢)ここは人命優先です。
ねっ行きましょう行きましょう。
行きましょう!ほら先輩!
(ドアの閉まる音)これで少しは静かに死ねる。
死んだりしたらやってもない罪を認める事になるんですよ。
無実ならそれを証明するんです。
何か…手掛かりを思い出して。
無理よ。
もう警察に全部話した。
もう放っといて!落ち着いて!俺の知り合いにどんな小さな疑問もとことん追及して事件を解決しちゃうすごい刑事がいるんです。
君が本当に無実なら必ずそれを証明してくれる。
(ピアノ)
(ピアノ)
(ピアノ)
(携帯電話の振動音)はい。
杉下さん俺今松枝署の屋上にいるんですけど。
状況は承知しています。
僕の方はすでにいくつか糸口を見つけましたが君の方は何か聞き出せましたか?あっいや…まだ…。
そうですか。
とにかく君は彼女の気持ちを落ち着かせてください。
はいわかりました。
すでに糸口は見つけたと言っています。
だから…大丈夫。
(携帯電話)あぁ?
(携帯電話)杉下警部…。
はい。
なんでしょう?中井雪絵の取り調べについてお聞きしたい事があるのですが。
なんで警部殿がそんな事を?あいにく説明している時間はありません。
事態は一刻を争います。
(舌打ち)おい警部殿が中井雪絵についてご質問だ。
お前答えてやれ。
なんで俺が?俺でいいんすか?どちらでもかまいませんよ。
なんでしょう?中井雪絵ですが彼女は取り調べでも無実を主張していましたねぇ。
どのような主張だったのでしょう?誰かにはめられたって…。
(伊丹)おいシーッ!はめられたって言ってましたけど。
彼女前田さんと付き合って半年弱になるそうですが…。
(芹沢)「毎週木曜日に前田さんが彼女の部屋に来る事になっていたそうです」
(芹沢)それが事件当日は公園で会う事になっていたそうで。
それで公園に行ってみたんですが前田さんが来なくてそれで8時頃家に帰ってみたら…。
(芹沢)前田さんが殺されていたんでなんだか怖くなって一度部屋から逃げ出したそうです。
もし彼女の話が本当ならば被害者は彼女の留守中に部屋に入った事になりますねぇ。
どうやって入ったのでしょう?彼女は合鍵を渡していたからそれで入ったんじゃないかって言ってましたけれど結局前田さんの所持品にも部屋にも合鍵ありませんでしたからね。
だから言ってる事は嘘ですって。
ちょっと?もしもし?ありました!よく見つけましたね。
しかしこの鍵の事は中井雪絵は言ってなかったぞ。
前田先生は鍵を渡されたはいいものの愛人との合鍵を持ち歩いて妻に見つかっては具合が悪い。
そこで彼女にも内緒でここに隠しておいた。
そして犯行当日これを使って鍵を開けまた元に戻しておいた。
であるならばこの鍵にはまだ新しい前田先生の指紋が付いているはずですねぇ。
であるならば指紋が付いているはずですねぇ!であるならば中井雪絵の言ってる事は本当だって事になるのか?机にあったメモの事から考えて真犯人は音楽学院の中にいる可能性が極めて高い。
芹沢さん。
はい。
この鍵を至急米沢さんに届けてください。
はい!伊丹さん。
ん?我々は学校の方へ急ぎましょう。
はい!…ってなんで指図されてんだよ。
なんだよ!ねえ。
これ知ってます?俺お腹すいてていつも忙しい時にこれ食べるようにしてるんです。
よかったらどうですか?あれ?グシャグシャになっちゃった…。
ダメっすね。
そういえば前に一度…。
(前田智文)まだ振り込まれてないんですけどね。
どうなってるんです?
(前田)ばらされてもかまわないって事ですか?なるほど。
前田さんがそんな事を言ってましたか。
会話の内容から考えて被害者は誰かを脅迫していたんじゃないでしょうか?ええ。
そう考えるのが自然でしょうねぇ。
ところで杉下さん今どこですか?伊丹さんと学校に到着したところです。
では引き続き君はそちらをよろしくお願いします。
はい。
理事長の布川です。
校長の加藤です。
副校長の宮地です。
警視庁の杉下と申します。
警視庁捜査一課の伊丹です。
どうぞ。
早速ですが前田先生が誰かに恨まれていたという事はありませんか?
(加藤)そのような事はなかったと思います。
ただ前田先生は音楽家にありがちな自由奔放なところがありまして他の講師とトラブルがあった事は事実です。
(伊丹)トラブル?ちなみにどのようなトラブルだったのでしょう?あっ差し支えなければ。
(風間守)これあなたがやったんでしょう?知りませんねぇ。
(宮地)結局証拠はありませんでしたしギターは風間先生が管理していた学校の備品だったので彼が弁償しました。
今風間先生とおっしゃいました。
それは半年前に校舎から身を投げて亡くなった…。
ええ。
風間守先生です。
実は…この写真なんですがね。
その亡くなった風間先生が残したものなんです。
なぜ風間先生がこのような写真をお持ちだったのか心当たりはありませんかね?楽器ですか…。
これだけではなんの事だか…。
風間先生の件は自殺と聞いてますが今回の事件と関連が?いやそれはまだわかりません。
では前田先生と中井先生のデスクなどを見せて頂けますか?
(宮地)私がご案内しましょう。
ところで理事長はトランペットをなさってたんですね。
ええまあ…。
(携帯電話)あっちょっと失礼。
はい伊丹。
思ったとおりでしたよ。
鍵には前田さんの指紋がばっちり付いてました。
もしもし。
指紋を形成している皮脂の残り具合から見てここ数日の間に付いた新しい指紋だと思われます。
…って事は少なくとも前田さんは彼女の留守中に部屋に入った可能性が高いって事か。
無実の可能性が出てきましたねぇ。
よし芹沢何かわかった…。
失礼。
芹沢さんそのまま前田先生の家に向かってもらえますか?何か手掛かりがつかめるかもしれません。
緊急です。
責任は僕が取ります。
どうもありがとう。
(内村完爾)屋上の件はどうなってる?
(内村)カタはついたのか?
(中園照生)はあ…依然こう着状態が続いているようです。
馬鹿者!マスコミに嗅ぎつけられる前になんとか確保させろ。
こんな事がわかったら警視庁の恥だ。
いやしかし無理をしてもし飛び降りられでもしたら…。
万が一の時には責任を取る。
部長…!もちろんお前がだよ。
えっ?こちらです。
そこが前田先生のデスクで中井先生はそちらです。
あっ中井先生の隣のデスクが空いてるようですが。
ああ…以前風間先生が使っていたデスクです。
終わったら声をお掛けしますから。
あっ…はい。
よろしくお願いします。
(ドアの開閉音)これ今日ですね。
(伊丹)は?留学推薦試験。
それが何か?
(伊丹)緑川万里…?警部殿!そういえばさっき言ってましたよね。
大事な用があるって。
それ…なんだったんですか?どうしても駆けつけたかったの。
今日私の生徒の大事な日だから…。
大事な日?今日うちの学校に谷川貞夫が来て選ばれた生徒の演奏を聞いてくれる事になってるの。
世界的に有名なジャズトランペッター。
彼に認められればボストンのバークリー音楽大学に推薦状を書いてもらえるの。
彼女なら絶対認められる。
へえ〜その子ってそんなにすごいんですか。
あの子は天才。
(雪絵の声)あの才能を開花させるには世界の才能が集まる本場に留学させる必要があるの。
やっぱり先生なんですね。
こんな時でも生徒の事を気にするなんて。
俺も聞いてみたいなぁその子の演奏。
もしもし頼みたい事があるんですが。
わかりました。
なんとかしましょう。
ああカイトくん1つだけ。
演奏を聞き終わったあとの彼女の行動に細心の注意を払ってください。
伊丹さん。
(シャッター音)1つやってほしい事があるのですが。
(サクソフォン)お使い係の伊丹ですけど。
例の写真の女の子なんかいませんよ。
そうですか。
では僕は彼女を捜しますから伊丹さんは例の事よろしくお願いします。
あの子です。
どうもありがとう。
緑川万里さんですね?杉下といいます。
ちょっとよろしいですか?
(緑川万里)事件の事なら私何も知りませんけど。
そうですか。
それはそうといいんですか?行かなくても。
はい?今日は留学推薦試験の日ですよね。
もう時間が過ぎているようですよ。
他の生徒の下手な演奏聞きたくないの。
なるほど。
ところで中井雪絵先生は随分あなたの事を買ってらっしゃるようですね。
あなたの名前の入ったバークリー音楽大学の入学申込書が先生の机の上にありました。
バークリー音楽大学といえば世界の音楽大学の中でも名門中の名門ですからねぇ。
才能を認めてくれるのはいいけど正直…ありがた迷惑なんです。
ありがた迷惑とは?うち…お金ないから留学なんてどうせ出来ないのにあの先生受けろ受けろって言うの。
なるほど。
ああそういう事ですか…。
あなたは音楽好きなんですよね?つまりピアノが。
好きじゃなきゃこの学校入んないし。
ご自分を試すためにも受けるだけ受けてみてはいかがでしょう?お金はあとの事ですよ。
よかったらどうぞ。
あっどうもすいません。
奥さんどうぞ気を落とさないように。
ありがとうございます。
(ため息)んっ?これって…。
えっ?大麻のにおい?しょうがねえな。
入手経路を調べりゃいいんだな?すいませんありがとうございます。
いやいや課長が暇で助かりました。
だから暇じゃねえっつってんだよ!もっと音源に近づけますか?ええもっと。
(伊丹)「ハァ…はいはい」「
(サクソフォンの演奏)」どうも。
(サクソフォン)なんで俺がこんな事しなきゃいけねえんだよ…。
(サクソフォン)
(サクソフォン)ありました!このピアノですね。
言われたとおり携帯置きっぱにしてきましたよ。
伊丹さん引き続きやってほしい事があります。
は?はい。
はいはい。
なんでしょうかね?これは。
はい。
今渡した写真の楽器を探してください。
こうなりゃなんでもやりますけどね。
ああ伊丹さんここにはありません。
奥の方がよろしいかと。
ハァー…。
はい正解と。
こっちは全部ありましたよ。
これが何か?こっちには該当するものがありませんでした。
だからそれがなんです?という事は…。
という事は?
(宮地)ああこちらでしたか。
何かわかりましたか?ああちょうどよかった。
ひとつお聞きしたい事が。
こちらの学院の楽器購入担当者はどなたでしょう?それなら前田先生でした。
彼はあらゆる楽器に精通していましたから。
それからもう1つ。
中井雪絵先生は生徒の緑川万里さんの才能を随分と買っていたようですがそれとは別に何か彼女への思いのようなものがあったのでしょうかね?同じにおいを感じたからではないですか?緑川の家はごく普通の家庭ですからね。
経済的に無理がある。
中井先生もそうだったようです。
結局はプロの演奏家になる夢はかなわなかったわけですから。
なるほどそういう事でしたか。
(ピアノ)「
(ピアノの演奏)」確かに…すごい。
「
(ピアノの演奏)」やじ馬が集まりだした!?これ以上待てない状況です!作戦を開始します。
いいですね?作戦開始してもいいかと。
お前がお前の責任で判断しろ。
さ…作戦…開始しろ!「
(ピアノの演奏)」
(ピアノ)来ないで!来ないで!来たら飛び降りるから!下がってください!下がってください!!近寄らないで!ここは俺に任せてください!
(雪絵)来ないで!お願いします!もう大丈夫。
(ピアノ)「
(ピアノの演奏)」
(ピアノ)不正?前田先生がですか?ええ。
楽器購入担当者は前田先生でしたね?そうです。
これはあくまでも僕の想像なんですが…。
楽器購入の担当者だった前田先生は高い方の楽器を購入したと偽り学校に請求。
実際には安い方の楽器を仕入れてその差額を楽器店から受け取っていた。
そしてその不正に気づいた風間先生はそれを写真に撮り証拠として取っておいた。
もしそうであるならば…風間先生は本当に自殺だったのでしょうか?前田先生が口を封じるために風間先生を殺したと言うんですか?まさか…。
そうだとしたら前田先生は一体誰に…?その事ですが前田先生には誰かを脅迫していた形跡があります。
脅迫?どういう事です?もし前田先生に共犯者がいたとしたらどうでしょう?しかもその共犯者は事が発覚すれば前田先生よりも失うものが大きい人物だったとしたら前田先生がその共犯者を脅迫する可能性は十分考えられます。
ではその人物に前田先生は殺されたと?おそらくそういう事でしょう。
その共犯者の名前を知るためにも今すぐ経理資料を見せて頂けませんか?いやしかし…。
人の命がかかっています!わかりました。
今すぐ用意します。
お願いします。
(電源を入れる音)
(作動音)おい!フン姑息に隠蔽しようとしやがって。
やはりあなたでしたか布川理事長。
罠にかけたのか。
中井先生がいつ飛び降りるかわからない状況ですので少々強引な手を使いました。
なぜ私だとわかった?ピアノの鍵盤が気になりましてね。
殺害現場にあったピアノの鍵盤には血を拭き取った形跡がありました。
他の場所に飛び散った血はそのままでなぜ鍵盤の血だけ拭き取ったのでしょう?一見奇妙に思える行動ですがこう考えれば理解が出来ます。
犯人にはその血痕が自分の名前を指しているように思えた。
だから拭き取らざるを得なかった。
おそらく前田先生が死ぬ間際に鍵盤に触れたのは偶然でしょう。
しかし犯罪を犯した直後の犯人の心理というのは通常では考えられないほどの恐怖を抱いているものです。
そのままでは警察の疑いが自分に向くのではないか。
そう思ったのではありませんか?なぜならば血痕がついていた鍵盤はファの音。
つまりFの音だったんです。
そうF!Fは布川理事長あなたのイニシャルなんですよ。
音楽を知っているがゆえに犯したあなたのミスです。
(ため息)
(伊丹)いい加減に白状しろよ。
風間を殺したのは私じゃない。
前田だ。
(布川)この事は内密にしてもらえないか?なあ…なあ頼む!出来ません!これは公にさせて頂きます。
(前田)うおおーっ!うう…!しかし前田は私も共犯だと言って強請ってきた。
全てが明るみに出たらあなたもこの学校もおしまいです。
とりあえず300万。
それぐらいならすぐ用意出来るでしょう?
(布川の声)奴は何度も金を要求してきた。
このままでは強請り続けられる。
そう思った。
それで前田先生を殺しその罪を中井先生に着せようとしたわけですね?殺すしかなかった。
(布川の声)前田を尾行するうち中井先生の部屋に通ってる事を知った。
だからあの日メモを残して彼女を公園へ呼び出しておいて…。
(刺す音)
(前田)ああっ!
(ピアノ)
(ピアノ)不正で得た金はどうしたんだ?ギャンブルに使ってしまった!ギャンブルだと?ああ。
あっという間だった!そんな事のために人ひとりの命をてめえ…!伊丹さん!あなた方のした事は音楽に夢を抱く若者たちを食いものにする卑劣極まりない行為です。
罪を償う時間はとてつもなく長いものになりますよ。
(ピアノ)
(拍手)「
(拍手)」カイトくん布川理事長が罪を認めました。
そうですか。
わかりました。
(咳払い)
(伊丹)今回はいいようにこき使って頂きましてどうも。
いいえいつでも歓迎です。
(伊丹)はぁ?君の無実が証明された。
布川理事長が罪を認めたそうだ。
理事長が?終わったんです。
でも1つだけわからない事があるんです。
前田って先生布川と組んで不正に関わっていただけじゃなく人も殺していたんです。
なんであなたみたいな生徒思いの先生と前田みたいな男がそんな関係に?何か弱みでも握られてたんじゃ…?寒かったでしょう?あなたにはわからないわよ。
何してるんですか?ごめんなさい。
最初から死ぬつもりだったの。
これで思い残す事なく前田先生のもとへ行ける。
色々ありがとう。
あっ!そんな…!救急隊!すみません下がってください!彼女は無事ですか!?下がってください!救助隊がやりますから!暇か?なんだよそんなに落ち込むなよ。
よかったじゃない。
ええ?その女先生生きてたんだろ?そうですけど…。
しかしひっでえ話だよな。
その理事長と講師やってたの楽器の不正購入だけじゃないっていうじゃない。
ええ授業料や寄付金の着服虚偽申告による補助金の不正取得などありとあらゆる事に手を染めていたようですねぇ。
女先生も助かったとはいえ命までかけて愛した男がそんな不正をして人まで殺してたなんて知ったらショックだろうねぇ。
ああ…俺やっぱり警察官失格です。
俺があの時あんな事言わなきゃ彼女は飛び降りなかったんです。
なんであなたみたいな生徒思いの先生と前田みたいな男がそんな関係に?何か弱みでも握られてたんじゃ…?あなたにはわからないわよ。
(享の声)そう言ったら急に離れて…。
君から急に離れた?それお前のせいじゃないんじゃないの?だって言ってたんだろ?最初から死ぬつもりだったって。
いや彼女が飛び降りたのは確かにカイトくんの言葉のせいでしょう。
おいそんなお前傷に塩塗るような言い方しなくても…。
課長。
ええ?前田が大麻を買っていた売人はあの学校の卒業生だと言ってましたね?ああそうだけど。
カイトくん。
はい。
中井雪絵さんが退院するのはいつでしょう?えー…確か今日の午後です。
なるほど。
もやもやしていたものがはっきりと見えてきました。
えっ?
(金属音)うっ…うんっ…。
ハァ…。
そういう事でしたか。
退院したあなたをつけてきました。
杉下警部です。
布川理事長や前田先生が不正で得た金は数億に及びます。
ギャンブルで全て使い果たしたとは考えにくいと思っていたのですがここにありましたか。
どうして?屋上で事件解決を聞いた時あなたはカイトくんが近づく事を拒みませんでした。
もう誰も君を捕まえない。
終わったんです。
その時点では死ぬつもりはありませんでした。
ところが…。
なぜ君みたいな生徒思いな先生が前田みたいな男とそんな関係に?カイトくんからそう質問されるとあなたは急に彼から離れて再び屋上の縁に立った。
これで思い残す事なく前田先生のもとへ行ける。
もちろん下にマットが敷かれている事を確認した上で。
つまりあなたは助かる事がわかっていたんですよ。
あなたはカイトくんに前田先生を愛していると思わせておきたかったんです。
しかしそもそもあなた前田先生の愛人などではなかったのではありませんか?ここに来る前に前田に大麻を売っていた売人に話を聞いた。
前田先生に大麻売ってるよね?ええ?ちょっと協力してほしいんだけど。
先生…。
君は大麻の常習犯だと偽って部屋を貸して前田に近づこうとしたんだ。
警察に愛人だと言ったのは本当の目的を隠すためだった。
この大金の在りかを探るために前田先生に近づいたんですね?ハァ…うまくいったと思ったんだけどな。
ええそのとおりよ。
風間先生に聞いたの。
前田が楽器の不正購入をしている。
ただし奴1人じゃない。
もう1人学園内の誰かが関わっているようだ。
前田とそいつが電話で話しているのを聞いた。
手に入れた億って金がそいつの別荘の裏に埋めてあるらしい。
ところが風間先生は死に自殺で処理された。
私は殺されたんだと思ったけど警察には言わなかった。
大金を横取り出来るチャンスだと思ったから。
それで前田に近づく事にしたの。
(雪絵の声)私も同じ趣味だと言って部屋を提供したの。
結局共犯者がわからないまま前田先生は殺されなおかつその疑いがあなたに向けられた。
その時に真実を話せばよかったんだ。
フッ…バカねぇ!それじゃ大金手に入らないじゃない。
無実を訴えて自殺騒ぎを起こし警察に再捜査をさせる。
真犯人が見つかれば自分の疑いは晴れ大金の在りかもわかる。
あなたはそう考えたんですね?あなたに賭けてみようと思ったの。
(雪絵の声)無実を信じさせうまく情報を流せば真犯人を突き止めてくれるんじゃないかと思ったから。
どうしてそこまでしてお金が欲しかったんですか?お金は誰だって必要でしょう?緑川万里さんですね?留学推薦試験の日彼女にお会いしました。
彼女は音楽をとても愛しています。
ピアノを勉強するために留学したいと思っている。
そしてあなたもどうしても彼女を留学させたかった。
しかしそのためには入学金学費旅費向こうでの生活費楽器の購入代全てを合わせれば数千万の費用が必要になる。
ところが彼女の家にはそんな余裕はない。
だからあなたはどうしてもその費用を作りたかった。
そうじゃありませんか?そうよ。
彼女は世界的に有名なピアニストになるために生まれてきたの。
それを私が見いだしたの。
だから彼女には何がなんでも留学させなきゃいけなかったの。
お金はね選ばれた才能に使うべきなのよ!私にはそのチャンスがなかった。
だから彼女には…。
そんな事をして手に入れた金をその子が喜んで受け取ると思いますか?思ってるわ。
彼女には私の助けが必要なの。
中井先生たとえそうやって彼女がジャズピアニストとして成功したとしてもいつか自分に使われた金が薄汚れた汚い金だと知ったら彼女はどうなってしまうのでしょう?音楽を心から愛する彼女はもう人として生きていけなくなってしまうかもしれませんよ。
あなたはその事を考えましたか?あなたたちにはわからないわよ。
あなたたちには…。
(月本幸子)お金のために屋上から飛び降りるなんて女って怖いですね。
…って私が言うのもなんですけど。
(笛吹悦子)でもその子は結局留学諦めるしかないんですよね?彼女は大丈夫です。
才能がありますから。
ああ…しかし長い間一緒にいたのにあの女の狙いに気づけなかったなんて…。
はい飲みなさい。
はい。
あっそういえば杉下さん人間ドックの結果どうだったんですか?ノーコメントです。
そんなふうにおっしゃると余計に気になっちゃいます。
確かに。
何か見つかったんですか?フッいいじゃありませんか。
いいですか?長くいい人付き合いをする方法。
相手をあまり知りすぎないこと。
フフフフ…。
うまい事おっしゃいますね。
確かに。
俺の事もあんまり知りすぎない方がいいぞ。
手遅れです。
ええ?2014/09/24(水) 16:00〜16:58
ABCテレビ1
相棒 season12[再][字]
「崖っぷちの女」
詳細情報
◇番組内容
水谷豊&成宮寛貴の相棒!杉下右京(水谷豊)の名推理と甲斐享(成宮寛貴)の巧みな行動で事件を解決へと導く!今シーズンはどんな予想だにしない展開が待っているのか!
◇出演者
水谷豊、成宮寛貴 ほか
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
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