生字幕放送でお伝えします岩渕⇒こんにちは「くらしきらり解説」です。
きょうはニュースを10時15分までお伝えした関係でこの時間からのスタートです。
きょうのテーマは、こちらです。
担当は今井純子解説委員です。
今井⇒よろしくお願いします。
きょうは円安の影響ということですが、それにしてもものすごい勢いの円安ですね。
円はことしに入ってずっと102円前後で推移していたんですけれどもそれが先月半ばからですね円安が進みました。
そして先週は109円台に乗ったんです。
これ1か月でおよそ7円の円安というのは異常な下がり方なんです。
なぜこんなに急に円安が進んだんでしょうか。
これは世界経済に大きな影響を与える、お金の流れが変わり始めたからなんです。
どういうことですか?これまでアメリカは例のない金融緩和で世界中にドルをばらまいてきたんです。
ところが景気回復を受けてアメリカの中央銀行に当たるFRBが、この金融緩和を正常に戻す方針を明らかにしたんです。
つまりアメリカではこれから金利が上がっていく可能性が高いということなんです。
一方の日本はこちらもアベノミクスで日銀が異次元の金融緩和をとっていますよね。
こちらはアメリカとは別に、当面金融緩和を継続する方針なんです。
日本とアメリカで金利の差が開いていくということで日本よりもアメリカで投資をしたほうがもうかるということで円を売ってドルを買う動きが強まって円安が進んでいるんです。
この勢いというのは、このまま進んでいくんでしょうか?このところの円安のスピードというのは、ちょっと異常な面があります。
行き過ぎたところがあります。
今週に入って円は1ドル108円台に戻っているんですね。
ただこうした日本とアメリカの金融政策の流れが変わらないかぎり長い目で見ると当面円安ドル高の流れは変わらないだろうというのが多くのエコノミストの見方なんです。
この円安は日本にとってはいいことなんでしょうか。
これまでは日本経済にとっては円安はいいことだと言われてきたんです。
ところがここへきて、これまで円安がいいんだと大合唱してきた経済界の中からも行き過ぎだという声が上がり始めているんです。
日本の経済の体質が変わって企業や家計のマイナスの影響が強くなってきていることが明らかになってきたからです。
マイナス面が強くなっているのはどういうことですか?まずこれまでの円安の効果を見てみたいと思います。
例えば、1ドル100円が110円と円安になった場合日本で100万円の自動車は1ドル100円のときは単純に計算するとアメリカでは1万ドルになりますね。
それが円安で110円になるとそれだけで9000ドルになるわけです。
これまでより同じ車を安く売ることができる、それで人気が高まるということで円安は輸出を増やす原動力になってきたわけです。
安いと多く売れるんじゃないかということですね。
それが今どうかというとここ数年で企業が工場をどんどん海外に移転してしまったんです。
その結果、円安になっても値段は変わらない。
そして工場が現地にありますので輸出も増えないということになってしまったわけです。
実際8月の輸出額を見てみますと1年前と比べて1.3%減っているんです。
こうした数字を見て円安になればいずれ輸出が増えると言ってきた政府や経済界も日本は、もはや円安になってもなかなか輸出が増えにくい体質になってしまったというのを認めざるをえなくなってしまったんです。
プラスの面はないんでしょうか。
ないわけではありません。
海外で事業を拡大している大企業ですね同じ値段で売っても円安が進むと計算上、売り上げが膨らむからなんです。
どういうことかといいますと例えば同じ1万ドルで売った場合それを円に換算すると1ドル100円のときは100万円だったわけですね。
それが110円まで円安が進みますとそれだけで110万円ということになるわけです。
こうしたことを合わせるとマイナス面を受ける企業も確かにあるんですが大企業全体で見ますと1兆9000億円利益が増えるというのがみずほ銀行の試算なんです。
大きな数字ですね。
マイナスの影響はどこに出てきますか?中小企業です。
国内にいる中小企業ですね。
これまでは中小企業も円安で大企業の輸出が増えると、そこでの取引が増えるメリットがあったんです。
ところが大企業がどんどん海外に行ってしまったということで国内に残された中小企業はなかなかメリットが回ってこなくなった。
それだけでなく輸入をしている原材料費ですとか燃料費などが上がって、むしろマイナス面が大きくなった中小企業全体で1兆3000億円分の利益が減るという試算なんです。
これは厳しいですね。
もう1つ、マイナスの面を大きく受けるのが家計です。
輸入品が高くなりますものね。
そうですね。
まずはエネルギー電気代やガソリンの価格。
このところ原油価格が下がったこともあって、ようやく少しですが値下がりしてきました。
それが円安になるとまた値上がりしかねません。
そして食料品も夏場以降もハムやチョコレートといったものが、値上がりしていたんですがこれ以上、円安が進むと小麦などの輸入品の価格がまた上がって一段と多くの食品が再び値上がりする心配が出てくるんです。
国産のお肉も、餌を輸入品の飼料に頼っているので円安になると値上がりの要因になります。
困りますね。
それから今では、多くの製造業が海外に移転したり、日本の企業が競争力を失った結果、洋服やエアコン、テレビ、スマホといった家電製品の多くを輸入品に頼っているわけです。
輸出品の代表と言われた自動車も日本のメーカーのものを海外で作って逆輸入しているものもあります。
こうしたことを考えると一段の円安が続くと多くのもので値上がりしてします。
どのくらい値上がりするんですか。
第一生命経済研究所の試算ですと1ドル100円から110円まで円安が進むと食料品で1.3%。
電気代で1.6%。
灯油が6.5%、そしてガソリンが4.2%値上がりするという試算なんです。
そのほかのサービスも含めた物価全体で0.8%値上がりするという試算なんです。
もともと7月の物価というのは総合で3.4%物価が上がっていましたのでさらに物価が上がるとなると家計には本当に大きな打撃になりますね。
厳しいですね。
日本では今は巨大な貿易赤字を抱える輸入大国です。
円安のマイナス面がどんどん強くなっているんです。
金融緩和で円安にするのをやめたらいいんじゃないですか?確かにそういう考えはあるかと思いますがもともと日銀は長年続いてきたデフレを脱却するために円安に誘導してきたという面があって、今やめてしまうと再びデフレに、戻りかねないんですね。
これはどうしたらいいんでしょうか。
やはり消費を冷え込ませないためにも、家計の収入を上げていくこれは絶対に欠かせないと思うんです。
今は確かに大企業を中心に賃金やボーナスが増える動きがあります。
ただこれまでの円安による値上げと消費増税というのはそれ以上に重くのしかかっています。
物価が上がっている分を差し引いた実質の賃金というのは7月で1.7%減っているんです。
一段の円安で物価上昇が続くと家計はこれ以上に厳しくなるわけです。
円安の恩恵を受けている大企業の中には、過去最高益を上げる勢いのところもありますのでそうしたところを中心にぜひ継続的に、賃金、ボーナスを増やすことを考えてほしいと思います。
政府も円安に誘導する以上大企業以外での家計でも収入が増えるように対策を考えてほしいと思います。
今井純子解説委員でした。
次回のテーマです。
担当は柳澤伊佐男解説委員です。
ぜひ、ご覧ください。
2014/09/24(水) 10:15〜10:25
NHK総合1・神戸
くらし☆解説「プラス?マイナス?円安の影響」[字]
NHK解説委員…今井純子,【司会】岩渕梢
詳細情報
出演者
【出演】NHK解説委員…今井純子,【司会】岩渕梢
ジャンル :
ニュース/報道 – 解説
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
情報/ワイドショー – 健康・医療
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32080(0x7D50)
TransportStreamID:32080(0x7D50)
ServiceID:43008(0xA800)
EventID:34671(0x876F)