皮膚がんの一つ悪性黒色腫など患者が少なく治療や診断が難しい希少がん。
今年6月東京の国立がん研究センターに希少がんの治療や研究の発展を目指し専門の診療拠点が開設されました
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専門の看護師による電話相談サービスも始まり開設3か月で早くも400件以上の問い合わせが来ています
今注目の希少がん対策についてお伝えします
(テーマ音楽)「きょうの健康」です。
今回は月に1度最新の医療情報をお伝えする「メディカルジャーナル」です。
今回のテーマはこちら…この希少がんというのは発生数が少ないまれながんの事です。
こちらをご覧下さい。
希少がんは本当にたくさんのものがあります。
肉腫脳腫瘍皮膚腫瘍目の腫瘍そして中皮腫小腸がん神経内分泌腫瘍などあるんですがその中でも非常に細かく分かれていて一つ一つ治療法が異なっています。
まず初めにもご紹介した国立がん研究センターの希少がんセンター電話ホットラインに寄せられた患者の方の声をご紹介します。
「後腹膜脂肪肉腫の手術をしましたが再発してしまいました。
担当医から『もう効果のある治療法はない。
いい病院も分からないので自分で探してほしい』と言われました。
本当にもう治療法はないのでしょうか?」という声なんです。
このように患者や家族はもちろん医師にとっても病気の情報が少なく十分なデータがない中で治療が行われている事も多いんです。
そこで今日は国立がん研究センター希少がんセンター長の川井章さんにお越し頂きました。
こうした現状を改善しようと始まったばかりの希少がん対策について伺ってまいります。
どうぞよろしくお願い致します。
よろしくお願いします。
今の声のように希少がんの患者の方特有の不安や悩みというのがありそうですね。
そうですね。
今情報化社会で大抵のがんに対しては本やインターネットなどで患者さんやご家族自身が情報を得る事ができます。
けれども希少がんに対してはそういったものが十分でないため孤立感を感じている方もたくさんいると思います。
希少がんは非常に少ないがんだという事ですが大体患者が何人くらいのがんを指すんでしょうか?実はこれまで日本ではその点も明確にはされてきませんでした。
海外の例なども参考にして現時点では…このようなほかのがんに比べて不十分な医療状況に置かれている。
このようながんを希少がんと捉えています。
一つの希少がんで1年間の罹患率発生率が10万人当たり6人未満というのはやはりほかのがんに比べて少ないという事なんでしょうか?これは5大がんを中心とした患者数の多いがんと希少がんを比べたものですが人口10万人当たり日本人で最も多く発生する胃がんは67人。
肺がんは57人発生するという事が分かります。
それに対して希少がん軟部肉腫は人口10万人当たり3.6人。
脳腫瘍の一種神経膠腫は2.5人。
悪性黒色腫は1.1人とその差は数十倍から数百倍にも上ります。
かなり差があるという事なんですね。
こうした数の差が先ほどのほかのがんに比べて不十分な医療状況につながっているのですが実は全ての希少がんを合わせるとがん全体の15%から20%にも達して決して無視できない数になるんです。
一つ一つは少なくても全体で見るとがんの15%から20%を占めているという事なんですね。
日本でこうした希少がんの対策が始まったというのはどのような背景からなんですか?平成18年にがん対策基本法が成立致しまして患者数の多い胃がんや肺がん更に乳がんなどを中心に検診の普及や新しいお薬の開発などさまざまな対策が進められてきました。
それによってがんによって亡くなる患者さんの割合は6年間で10%近く減らす事ができました。
本当にがんで亡くなる方減っているという事で対策の効果が出てきているという事なんですよね。
そして主要ながん対策が軌道に乗ってきたのでおととし厚生労働省の第2期がん対策推進基本計画この中に希少がん対策という事が明記されて注目されるようになってきたのです。
具体的には希少がんの対策としてどのようなものが出てきたのでしょうか?希少がん対策の中心は集約化です。
全国に分散している患者さんや医療スタッフを拠点となる専門施設に集めていこうとそういう取り組みになります。
現在ではそういった集約化はなかなか進んでいないという事なんでしょうか?はい。
現在日本にはがん診療連携拠点病院が407か所あります。
大学病院とがんセンターだけでも110施設になります。
この数は希少がんの患者さんの数を考えるとまだまだ集約化されていたという事は言えません。
集約化にどんなメリットがあるのかという事をこのあとお伺いしていきますがその前に先ほどもご紹介した希少がんの電話相談に寄せられた声をご紹介したいと思います。
「子宮肉腫という希少がんです。
担当医からはまれな病気なので次の治療法をどうしたらよいか分からないと言われました。
自分でインターネットで調べてみてもよく分からず途方に暮れています」という事なんですね。
やはり病気の情報がないという事で困っていらっしゃる方というのが多い訳ですね。
こうした悩みに集約化という事で応えていけるんでしょうか?この方と同じような悩みを抱えていらっしゃる患者さんは大勢いらっしゃいます。
そうした悩みに対して集約化する事で…こういった対策が立てられると期待しています。
この情報収集がしやすくなるというのは例えばどのような事ですか?集約化施設を作って現在全国に散らばっている希少がんの患者さんに集まって頂く事で病気の情報を得るための窓口がはっきり致します。
また集まった患者さん同士の横のつながりが生まれて患者さんがそれぞれの不安や悩みを共有したり患者会このようなものの活動も活発になる事が期待されます。
こういう事で情報が得やすくなると共有されやすくなるという事ですね。
続いて医療関係者の習熟度の向上という事もありますが更に希少がん専門のチーム医療というのもあります。
これはどういう事ですか?がん医療の現場では現在医師だけではなくて看護師や薬剤師リハビリテーションスタッフなどさまざまな職種が協力して治療に当たるチーム医療の重要性が認識されてきています。
しかし一つの病院で年に数人しか患者さんがいない希少がんの場合はなかなかそのような厚い体制を敷く事ができませんでした。
けれども集約化によってチームで総合的に患者さんを支える体制作りが可能になると期待しています。
更に医師やほかの医療スタッフもこれまでより多くの患者さんを経験する事で知識や技術を向上させる事が期待されます。
そういう事で習熟度も上がってくるという事なんですね。
そのほかにどんなメリットが考えられるでしょうか?更に考えられるのは新薬の臨床試験のスピードアップあるいは研究の活性化このようなものが期待されます。
この新薬の臨床試験という事については患者の方からこのような悩みが希少がんセンターに寄せられています。
「皮膚がんの一つ悪性黒色腫の手術後転移が見つかり抗がん剤治療を受けてきましたが十分な効果が得られませんでした。
新薬の治験を受けたいのですがどうしたらよいでしょうか?」といった相談なんですね。
新薬の治験臨床試験ともいいますが希少がんに対しては現在はそうしたものというのはあまり行われていないんですか?一般にお薬が開発されるまでには数例から十数例の患者さんを対象にした第