ハートネットTV ブレイクスルー▽file.10 義足を脱ぎ捨てフィールドへ 2014.09.22

僕たちは知らなかった。
もう二度とできないと思っていた。
一つのボールを夢中で追いかける事を

事故や病気で足を切断した選手がつえを使いながらプレーをする。
日本で始まって僅か4年。
多くの人がその魅力のとりこになっている
(ホイッスル)
絶望のふちにいた男たちに誇りを取り戻し夢を与えてくれたのはたった一つのボール。
そして仲間たち
アンプティサッカー。
義足を脱ぎ捨て走りだした男たちの挑戦の物語
いくぞ!
(一同)オ〜!壁にぶつかった時再び一歩前に踏み出すヒントを探る番組「ブレイクスルー」。
今日はアンプティサッカーという事なんですけれども安藤さんアンプティサッカーってご存じでした?いえ知らなかったんですけどサッカーって漢字だと「球を蹴る」訳ですよね。
書いたら。
「どういう事?」って最初思いましたよね。
そうですよね。
もう本当に躍動感がすごいなと思ったんですけれどもこのクラッチと呼ばれるつえを持ってサッカーをするんですけれども。
持ってますね。
はい。
既にこのクラッチがどっちが前なのかっていうのが僕にはもう分からないくらいの本当に未知のスポーツだなと思うんですよね。
でも日本で始まって4年。
そして海外ではプロリーグがあるほど人気だと。
そうなんですね。
だからこれから来るスポーツですよ。
今日は僕らも興味津々のアンプティサッカーです。
毎週末自慢のアメ車でグラウンドに乗りつける男性がいます。
アンプティサッカーと出会って4年になります。
(取材者)おはようございます。
おはようございます。
体調が悪くてもサッカーとなると居ても立ってもいられません。
もう朝起きた時からですね。
「今日はサッカーだ」って言って。
楽しみでしょうがないです。
春田さんカメラの前でちゅうちょなく義足を脱ぎ始めました。
ああやっぱりそうですか?逆に僕らも最初はそういうところを少し気にしたりとかもする部分あったんですけどこのサッカーやるようになってあんまり気にしない自分が出てきているのかな。
春田さんが所属する…全国屈指の強豪です。
メンバーは13人。
病気やケガで足を切断し一時は絶望のふちに立たされていました。
しかしこのサッカーとの出会いが新たな一歩を踏み出す勇気をくれたのです。
うわ〜えぐい。
6月。
おはようございます。
お願いします。
今年最初の公式戦。
大会には北海道から九州まで全国各地の7チームが参加。
トーナメント方式で日本一を目指します。
アウボラーダ川崎はまだ一度も優勝した事がありません。
この日まで厳しい練習を積み重ねてきました。
準決勝国内最強チームとの大一番。
前回は決勝で完敗した相手です。
よし頑張ろう。
(一同)オ〜!
(ホイッスル)アンプティサッカーは7人制。
フィールドプレーヤーは足をゴールキーパーは腕や手を切断している選手です。
ルールは通常のサッカーとほぼ変わりませんがつえでボールに触れるとハンドとなり反則です。
立ち上がり早々…。
アウボラーダ川崎はミドルシュートを決められます。
(ホイッスル)その後もセットプレーから失点。
悪い流れのまま前半が終了。
そして後半。
春田さん率いるディフェンス陣が体を張って猛攻をしのぎます。
ついに待望のゴール。
1点差に迫ります。
更に同点のチャンス。
決められません。
(ホイッスル)結果は3対2。
あと一歩勝利には届きませんでした。
気を付け。
礼。
(一同)ありがとうございました。
(拍手)いいよいいよいいよいいよ。
いい試合だったよ。
なっ。
次は何か負ける気がしない。
スタジオにはVTRに登場したFCアウボラーダ川崎の選手の皆さんにお越し頂きました。
よろしくお願いします。
(一同)よろしくお願いします。
いや〜激しいスポーツですねこれは。
そうですね。
もうぶつかり合いが本当に激しいので…。
本当に…。
怖くないんですか?接触とか。
怖いというよりはもうやらないと。
必死で?はい。
必死なんで。
気付いたらぶつかってたりっていうところが多いですね。
あとは指示出す時に「足がある方をまず潰せ」って僕は後ろから言いますから。
本当そこに関してはもうそこの潰し合いですよね。
一切の遠慮はない訳ですよねそこに。
ないですね。
切断っていう部分で共通した部分を持っているんですけどもそういう仲間が…その中で思い切りプレーができるという事をやはりみんな感じてすごく楽しく笑顔でプレーをするようになってるんですね。
障害者スポーツっていうのではなくて本当に純粋に見ていて楽しい見せる事もできるっていう競技だなと思うので。
じゃあ風間さんちょっと…体験してみますか?あっ是非やりたいです。
(春田)細谷選手がリフティングをちょっとやってみます。
リフティングを?
(春田)はい。
(拍手)すげえ!ボールに対して少し1歩下がってボールの横につえを置いてもらった時に体を前に出して蹴る。
なるほど。
あっでもこれボールを止める事自体がちょっと…。
(笑い声)いきます。
はい。
そうです。
あっでもこれ…。
あっ今ハンド?クラッチで触ったらハンドなんですね。
ハンド!ピ〜!腕大丈夫ですか?いやもう腕きてますよ相当。
足さばきの間の体重を支える肩がやっぱりもう…俺ふらつきますもんね。
いや〜だいご味だな〜。
面白い!これでのめり込んでいくんですね。
大手通信会社でエンジニアとして働く春田さん。
ふだんは義足で生活しています。
以前は自分を受け入れられなかった春田さん。
フィールドに立つまでさまざまな葛藤がありました。
サッカーを始めたのは小学生の時。
プロのサッカー選手になるのが夢でした。
ところが19歳の時バイク事故で左足の神経とじん帯を断裂。
歩く事さえできない激痛に襲われ何度も手術を重ねました。
しかし左膝から下の切断を余儀なくされました。
旅館に泊まった時の温泉に一緒に入りに行かないでやっぱり内風呂…部屋についてるお風呂で一人入っていたりとか。
単純にその…見た目が変わったからだけじゃないと思うんですよね。
精神的な部分で自分を自分で追い込んでしまって気持ちがふさがっているから余計ほかの人たちには見られたくないって思うところがあったのかな。
春田さんの人生を一変させたのは4年前。
日系ブラジル人のエンヒッキ松茂良ジアスさんとの出会いでした。
エンヒッキさんはアンプティサッカー元ブラジル代表。
当時日本でこのサッカーを知る人はほとんどいませんでした。
メンバー探しに奔走していたエンヒッキさん。
そんな時知り合ったのが春田さんでした。
春田さんはエンヒッキさんのプレーにどぎもを抜かれましたまさかこんな形でサッカーができるなんて…。
それこそ180度考えが変わったっていわれる瞬間でしたね。
アンプティサッカーと出会って芽生えた心の変化。
妻の直子さんは娘の舞ちゃんと練習に必ず顔を出し夫を見守ってきました。
パパ頑張れ。
パパ頑張れ。
パパ頑張れ…。
あ〜外れた〜。
う〜ん何かすごい変な言い方ですけど…そういう印象は受けますね。
そして春田さんは想像を超えた舞台に立ちました。
ワールドカップです。
トップ選手たちの超人的なプレー。
春田さんは日の丸を背負い世界で活躍するという幼い頃からの夢を実現したのです。
最初からできないんではなくてできないならできないなりにどうやったらできるというふうに自分の中で考えてやってみたいなと思ったらチャレンジしてみる。
それってすごい楽しい事だと思うんですよね。
日本代表ですよ。
これからこのアンプティサッカーの歴史が重ねられていくにおいてその歴史のスタート地点にいた人たちな訳じゃないですか。
これから語り継がれる人たちという感じがしますけどね。
レジェンドだ。
(笑い声)レジェンドっぽい顔…。
(笑い声)皆さんそれぞれにどんな変化がありましたか?アンプティサッカーに出会って。
始める前までは見えない差別ですとか偏見ですとか自己嫌悪感ですね。
そういったものをひしひし感じてはいたんですね。
ただやっぱりこの残された…四肢じゃないですよねこれ三肢っていうんですかね。
…を生かして今あるべき自分の姿を受け入れて最大限の努力をして打ち込んで…。
それを思うと本当にこう…何か自分に自信がつきますよね。
たまたま足が1本ないだけで実はこれは花粉症の延長だとか食物アレルギーの延長線…ちょっとした不便なだけであって…。
ですからアンプティサッカーを始めてすごい差別とか偏見とか感じなくなりましたよね。
一度アンプティサッカーをやめよう…やめようというかやめてた時期があるんですね。
人前で義足を外すっていうのが実は本当に嫌で嫌で…。
ある時友人と話をしてた時に「頑張れば代表のチャンスがあるんじゃん」。
それを聞いた時にもう一度チャレンジしようかなというふうに思って…。
そこから人前で外す事も自分をオープンに…本当前向きにというか嫌だった部分を逆に見せてやれと見てくれと。
それでこんなスポーツができるんだよというふうに自分自身が強くなれたんですかね。
もともと自分が嫌いだったんですけどね昔は。
ただサッカーをやる事によって…今もあんまり好きじゃないんですけどちょっとは自分の事が好きになれてるかなと。
言おうかと思ったんですけどやめといたんです。
アウボラーダ川崎はアンプティサッカーの体験会を定期的に開いています。
一人でも多くの人にその魅力を伝えたいからです。
この日ある男性から体験会に参加したいというメールが届いていました。
そこには足を失った現実を受け止めきれない事や将来への不安がつづられていました。
どうもです。
よろしくお願いします。
メールを送った五十子徳高さん28歳。
今年2月に左足を失いました。
よろしくお願いします。
初めて使うアンプティサッカーのつえ。
ボールはうまく蹴れるのでしょうか?うまいうまい。
うまいうまい。
お〜いいじゃないですか。
できてるできてる。
うまい!難しいですね。
練習試合のメンバーとなった五十子さん。
打て!開始早々いきなりシュートを放ちます。
お〜ナイスキック!ナイストライ!ナイスファイト!
(一同)ありがとうございました。
(拍手)お疲れさまでした。
ありがとうございました。
またね。
五十子さんはまだ全ての現実を受け止めきれてはいません。
今も一人部屋に籠もり誰とも話せない日々が続いています。
自分自身もまだ気持ちの整理がついてないんでやっぱり弱いところ見せたくないっていうのは正直あるんで…。
アンプティサッカーとの出会い。
きっかけはたまたま見つけたネットの動画。
五十子さんはわらにもすがる思いでメールを送りました。
体験会の翌週五十子さんがやって来ました。
チームに入る事を決めたのです。
やればできるんです。
チームメートが五十子さんのために使っていないスパイクを持ってきていました。
まるでずっと前からの知り合いのように接するメンバーたち。
そうした仲間たちの飾らない姿勢が五十子さんの心を少しずつほぐしています。
VTR中に皆さんが五十子さんのおうちを初めて見たっておっしゃってましたけど今五十子さんの思いを聞くのも初めてですか?そうですね。
一番最初にメールをもらった時にはそういう不安だっていう事はメールの文面には書いてあったんですが実際本人の口からこういう今の現状不安を抱えているという部分に関しては今のVTRを見て初めて聞きましたね。
きっとみんなそれは感じてるよね。
同じだよね。
だから「あ〜やっぱり一緒だ」っていう…。
あんまりそういう時って多分ベッタリくっつき過ぎてもあれなのかなと思ってて…。
ただ人ってそれぞれ段階がありますからそういう点においては適度な距離感っていうのが保てるチームなのかなというのがこのチームのいいところかなというふうには思ってるんですけれども…。
本当にこれから始まったばかりのアンプティサッカーなんですけどいかがですか?これからの夢は。
アンプティサッカーというくくりではなくてやはり障害とかの壁を崩して誰とでも一緒にサッカーができる。
もちろんアンプティの方がいらっしゃれば一緒にできるすぐにどこでもできるような環境づくりっていうのをやはり僕らはつくっていかなきゃいけないと思いますしそういう環境をつくる事で小さい子どもたちでも「足が悪くてもサッカーができるんだ」というふうに思えるように道をつくっていきたいなとは思っていますね。
選手たちを憧れのまなざしで見つめる少年がいます。
小学校に入学したばかりの去年6月交通事故で左足首を切断。
大好きなサッカーがもうできない。
そんな時アンプティサッカーと出会いました。
うれしいな。
せ〜の。
(一同)グッチョッパーで分かれましょ!つえを使えばみんなと一緒にボールを蹴れる。
今賢君はサッカーに夢中です。
OK!2014/09/22(月) 13:05〜13:35
NHKEテレ1大阪
ハートネットTV ブレイクスルー▽file.10 義足を脱ぎ捨てフィールドへ[字][再]

巧みなフェイント、華麗なパスワーク、豪快なシュート。事故などで足を切断した選手たちがプレーする「アンプティサッカー」。ボールが繋いだ仲間との世界への挑戦を追う。

詳細情報
番組内容
巧みなフェイント、華麗なパスワーク、豪快なシュート。事故などで足を切断した選手たちがプレーする「アンプティサッカー」。日本では歴史の浅い競技だが、海外ではプロリーグが存在し、2年に一度はW杯も開かれるほど人気のスポーツだ。1チーム7人。つえを使ってプレーするが、ボールがつえに触れるとハンドとなる。足の切断という絶望のなか、光を照らしたアンプティサッカー。ボールがつないだ仲間との世界への挑戦を追う。
出演者
【司会】風間俊介,映画監督…安藤桃子

ジャンル :
福祉 – その他
福祉 – 高齢者
福祉 – 障害者

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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