マンモス。
長い毛に覆われ巨大な牙があるゾウの仲間です。
ユーラシア北部や北アメリカ北部に生息していました。
しかしおよそ1万年前に絶滅。
詳しい生態は謎に包まれています。
(ジム)この洞窟は危険すぎる。
氷が解けたら一挙にドーンだ。
(ファン)彼の言うとおり危険です。
入るべきではないと思います。
でももう時間がないんです。
僕は入るよ。
どうなっても知らないぞ。
分かってる。
壁から突き出ているのは全部骨だ。
サンプル採取にはうってつけだ。
(男性1)崩れるぞ!逃げろ!
(男性2)サンプルを持っていかないと。
既に絶滅したマンモスをクローン技術で現代によみがえらせる。
科学者たちの大胆な挑戦はシベリアの北部から始まりました。
かつてこの一帯はマンモスの生息地でした。
永久凍土の中に多くのマンモスの死骸が凍った状態で埋まっています。
(ラヴ)広いなあ。
予想以上に広大です。
アメリカのグランドキャニオンみたいだ。
ロシアをはじめ世界各地から集まった科学者たちの目的は凍ったマンモスの細胞を発見する事です。
状態の良い細胞を発見したら韓国に送り研究を進めます。
しかし状態の良い細胞をシベリアの広大な大地から見つけ出すのは大変な作業です。
凍結したサンプルであれば何でも採取したいと思っています。
皮膚の細胞が一番ですが脳や骨髄なども使える事が分かっています。
状態の良い細胞が一つでも手に入ればクローンのマンモスを作り出す事ができます。
マンモス復活に成功すれば最大級の科学的偉業になるでしょう。
絶滅した種をよみがえらせるんですから。
地球温暖化の影響で長い間凍っていた永久凍土が解けマンモスの死骸があらわになり始めています。
凍えそうだよ。
私の役割は研究チームを永久凍土の内側に安全に導く事です。
マンモスを安全に掘り出せるかどうかを確認します。
シベリアの奥地で採掘許可を得るまでに多くの費用と時間がかかりました。
しかし広大な土地からマンモスの細胞を見つけ出すのに許された時間は3週間しかありません。
まず調査を始めるのに適した場所を選びます。
(ジム)高さ十数メートルの所に何か突き出ているだろ。
4万年ほど前の地層だと思う。
あそこから始めよう。
保存状態のいいマンモスが見つかる可能性がありそうだ。
しかし目的の場所に近づくためには凍りついた崖を垂直に下りるしかありません。
あの一帯は9割方表面が凍っています。
しかも解けた氷が時々崩れ落ちてくるんです。
中には自動車と同じぐらい大きなものもあります。
そんなものに直撃されるのだけはごめんですねぇ。
一足先に現地に向かった仲間が下りるのに適した場所を探してくれています。
不安定な場所から下りると危険ですからね。
もうちょっと進んで。
その辺でストップ。
崖の方に歩いてみて。
崖の下に下りていくメンバーもいます。
もしマンモスの体の一部を採取できればそのまま下に降ろし冷凍ボックスにすぐ保管できるよう準備するためです。
クローン技術によるマンモスの復活はまだ一度も成功していません。
状態の良い細胞が手に入らないからです。
細胞が凍った状態で見つかってもその状態を保ったまま研究室まで運ばれた例は一度もありません。
その点今回は万全の準備を整えています。
研究に適した細胞さえ見つかれば大いに希望が持てます。
スリングにカラビナにアイゼン。
このドリルはまだ一度も使った事がありません。
今ある発電機ではこれを動かすのにはちょっと小さいんです。
ところが今回の調査のために用意した道具をいくつか無くしてしまいました。
しかたないので使ってみますがうまくいくかどうか分かりません。
意思の疎通がうまくいかないと危険な事態を招きます。
もう下に下りたと思ってこちらがロープから手を離した時ジムがロープに体重をかけたりしたら一巻の終わりです。
(ジム)電流がうまく流れません。
頼みの綱は安物のアダプターだけ。
これ大丈夫なのかなあ。
ちょっといらついています。
一生のうちに何度もない危険な仕事だというのに使えるのはこんなに役に立たない道具ばかりとはね。
永久凍土に日が照りつけていて大きな氷の塊が崩れ落ちる音も聞こえます。
時間がたつほど危険です。
氷の壁が解けて崩壊すればクローン作りに使えるマンモスの細胞は失われてしまいます。
時間との闘いです。
(ファン)永久凍土が解ければ氷の中に眠っていたマンモスを見つけやすくなりますが急速に腐ってしまう可能性も高まります。
使用可能な細胞のサンプルが一つあればいいんです。
それさえ見つかればこれまでの苦労も報われるんですが…。
(ジム)よし!これから高さ60mの崖を下ります。
ただし崖の表面は崩れる寸前。
途中でマンモスの体の一部を見つけられるといいんですがねぇ。
(ジム)下ろしてくれ。
よし。
下ろして!ゆっくりゆっくり…。
上には戻れるか?
(無線・ジム)「張り出した部分が大きすぎて無理だな。
後戻りはできない」。
ジムがいる所から20m離れた場所が崩れ始めています。
ジムの足元の張り出しも小さくてもろそうなので心配です。
(無線・ジム)「誰も崖に近づかないようにしてくれ。
予想していた以上に不安定だ。
今は大きな張り出しの下にいる」。
了解。
崖のあちこちが少しずつ崩れています。
本当に危険な状況です。
もはやマンモスの発見よりも氷の塊に押し潰される前にジムを無事に下ろす方が優先です。
しかし気になる場所を見つけたジムは危険を顧みずに発掘を始めました。
(男性3)随分危ない事をしているなあ。
(ファン)何か見つけたから掘っているんでしょう。
危険な状況の中土の温度を測ります。
仮にマンモスが埋まっていたとしても温度が高いと使用可能なサンプルは得られないからです。
(ジム)ちょうど0℃だ!
(ファン)0℃?高すぎる。
残念です。
0℃では温度が高すぎて良い状態は期待できません。
使用可能なサンプルは採取できないでしょう。
必要なのは死後ずっと凍ったままのマンモスの細胞です。
一度でも解ければ細胞組織が破壊されてしまうためクローンの作成には使えません。
(ジム)寿命が縮みましたよ。
大きな塊があちこちで崩れ落ちていましたからね。
北極圏内にあるバタガイでさえ気温が高すぎて細胞の採取はできませんでした。
更に北へ向かうしかありません。
次の目的地は冬の最低気温が氷点下50℃にもなる極寒の地です。
(ファン)多くの人が状態のいい細胞を持ち帰る事を期待しているのでプレッシャーを感じます。
マンモスの細胞を見つけ出すために残された時間はあと12日しかありません。
隊員の一人が何かを見つけました。
(ファン)大きな骨だなぁ。
多分マンモスだ。
すごいぞ。
こりゃでかい。
どの部位だろう?
(セミョン)上腕骨だな。
(ファン)上腕骨か。
前足のこの辺りだよ。
(ファン)新しそうだな。
マンモスの巨大な足の骨。
骨の内部にある骨髄が凍っていればクローンを作るのに必要な細胞が採取できるかもしれません。
こりゃすごいな。
巨大だし状態も良さそうだ。
骨を切断して内部を調べます。
(ファン)あ〜…腐ってるね。
ボロボロでとても使い物にならない。
チームの期待は裏切られました。
クローンを作るためにはもっと状態のいい細胞が必要です。
細胞内のDNAが完全な形で残っているものです。
残された日数はあと10日。
計画の見直しが図られます。
(ファン)バタガイでは1つもサンプルを採取できませんでした。
残念です。
あそこなら何か見つけて細胞を持ち帰る事ができると思っていたのに…。
調査の前にファンとラヴの2人はマンモス博物館を訪れました。
これは「ユカ」と呼ばれるマンモスの一部です。
およそ4万年前に死んだ若いメスで2010年にシベリアで発見されました。
マンモスといえば博物館に展示されているものしか知らないのでこんなふうに間近で見られるなんて感動的です。
私もこんなものを見るのは初めてだよ。
でもクローンを作るのに適した細胞を採取するのは不可能です。
既に他の研究チームが試しましたがユカから使用可能なDNAは採取できませんでした。
発見後解凍と再凍結を繰り返したためDNAが破壊されてしまったのです。
DNAはとてももろいものです。
無傷のDNAを手に入れるには永久凍土から直接マンモスの体を掘り出すしかありません。
それが今回の調査の目的です。
研究チームはバタガイから640km離れたムスハヤを目指します。
これまでに多くのマンモスが発掘された地域です。
(ファン)これからムスハヤという場所に向かいます。
ヤナ川を2日間かけて北上します。
凍結したマンモスを探し出す最後のチャンスです。
冬が近づいています。
じきに気温が毎週10℃ずつ下がるようになるでしょう。
冬には気温が氷点下50℃まで下がる事もある場所です。
ヤナ川が凍る前に引き返さなければなりません。
川の水深が浅かったためボートにトラブルが発生しました。
スクリューが岩にぶつかってしまいました。
ボロボロです。
予備はあと一つ?またこんな事が起きたら万事休すです。
悪天候とボートの故障で2日間の予定だった移動に4日かかってしまいました。
(ファン)今日は全員雨でずぶぬれになりました。
厳しい調査になっています。
(ジム)寒さのせいで皆体力が衰えています。
(ファン)一刻も無駄にできません。
ようやくベースキャンプとなる町にたどりついた時マンモスの発掘調査に当てられる日数は僅か6日間になっていました。
しかしこの地域に多くのマンモスが眠っている事は間違いありません。
(ラヴ)地元の男性が発見したマンモスの歯です。
この町は永久凍土の上に建っているようです。
つまり地面の下にはマンモスの死骸がたくさん埋まっているという事です。
発掘には最適の場所と言えるでしょう。
厳しい道のりでしたが明日になれば苦労が報われるはずです。
いてつくような寒さの中簡単な朝食を済ませると科学者たちはボートで2時間の距離にあるムスハヤに出発しました。
ムスハヤは世界最大のマンモスの墓場と呼ばれています。
(ラヴ)驚きました。
数百平方メートルの中に何百という骨が埋まっているんです。
こりゃすごいな。
あちこちに骨が散らばっています。
しかし研究チームが求めているのは死んだあとずっと凍った状態でDNAが無傷のまま残っているマンモスです。
更に奥に進まなくてはなりません。
(ジム)ムスハヤにはいくつもの洞窟があります。
マンモスの牙を求めてやって来た人たちが永久凍土を掘った跡です。
これから予備調査を始めます。
他のメンバーが中に入っても安全かどうかを確認してきます。
天井が少しずつ崩れる音が鳴り響いています。
下には水がたまっているし非常に危険です。
比較的安全な洞窟が見つかりました。
調査中に天井が崩れて洞窟に閉じ込められないようジムが事前に不安定な部分を崩します。
中に入ってマンモスを探せる時間は限られています。
人間が中に入れば気温が上がり崩壊の危険性が高まります。
できるかぎり早く行動し戻ってこなければなりません。
(ファン)このような洞窟でよくマンモスが発見されています。
僕たちも必ず見つけ出すつもりです。
(ファン)ああ…。
さっきから時間ばかりかかって全然前に進めないな。
(ジム)完全にはまったな。
(ファン)ひどいよ。
(ジム)どうやらこの場所は駄目だな。
凍結した細胞を見つけるには気温が高すぎました。
(ファン)一歩進むたびにぬかるみに足を取られマンモスを探すのには適していませんでした。
もっと凍った洞窟を探すしかありません。
DNAを解析するだけなら骨でも十分ですがクローンを作るとなるとそうはいきません。
ムスハヤも期待したほどではありませんでした。
一歩足を踏み入れたらすぐにでも理想的な細胞が見つかると思っていたのに…。
調査に使えるのはあと数日です。
とても疲れていますが何としてでもマンモスを見つけないと。
難しい挑戦だとは思いますが残された時間は僅かなのでやるしかありません。
調査ができるのはあと5日。
最初の猛吹雪がやって来る前に帰らなくてはなりません。
(ラヴ)タイムリミットが刻々と迫っています。
あと数日必死でやるしかありません。
何としてでもマンモスの細胞を見つけ出さないと。
限界まで頑張ります。
出発の準備の合間に地元のガイドでこれまでに多くのマンモスを見つけてきたイーゴリが自分の小屋にある収集品を見せてくれました。
(ラヴ)イーゴリこれはマンモスだね?
(イーゴリ)そうです。
マンモスの毛だ。
ムスハヤで見つけたの?
(イーゴリ)はい。
希望はあるな。
(ジム)何年でこれだけの牙を?
(イーゴリ)ひと夏ですよ。
(ジム)全部ムスハヤで?いやあちこちに行きました。
あちこちか。
見事なものだね。
本当に美しい牙だ。
すばらしいよ。
永久凍土の地下室には更に貴重なものが並んでいました。
(ファン)どの部位ですか?
(ラヴ)骨盤だな。
うん間違いない。
(ジム)組織がたくさん残ってる。
(ファン)乾燥してる。
(ジム)からっからだな。
マンモスの匂いだ。
完全に凍結した状態のマンモスが間違いなくムスハヤに眠っている事が分かりました。
マンモスを保存するには適した場所ですがクローン作りに使えるほど完璧な状態ではありません。
食えそうな肉だな。
きっと見つかりますよ。
ムスハヤに戻ったチームに悪い知らせが待っていました。
洞窟の状態が更に悪化していたのです。
大雨が降った上に気温が更に上がったため壁や天井のあちこちが崩れています。
車くらい大きな塊が落ちた跡さえあります。
洞窟の入り口のいくつかは完全に塞がっています。
中に入れば閉じ込められてしまう危険性があります。
しかし何としてでも理想的な細胞を手に入れなくてはなりません。
韓国からやって来た科学者たちが合流しプレッシャーがますます高まります。
多くの人の期待がかかっているんです。
失敗は許されません。
発掘に適した洞窟を探し続けついに有望な場所を見つけました。
マンモスの骨が壁からたくさん突き出ている洞窟です。
しかしこの洞窟も決して安全とは言えません。
水浸しでドロドロ。
壁も崩れかかってる。
中に入る事はお勧めできないね。
嫌な予感がする。
あまりに危険だ。
氷が解けたら一挙にドーンだ。
(ジム)既に天井の一部が大きく崩れています。
いつ全体が崩れて洞窟が埋まってしまうか分からない状況です。
永久凍土の専門家であるジムは洞窟に入る事に反対しています。
しかしロシア人のメンバーは洞窟へ入るべきだと主張しています。
もう時間がないので早く決断しないといけません。
サンプル採取の最後のチャンスを諦め手ぶらで帰るか洞窟で生き埋めになる危険を冒してでも中に入るべきか…。
難しい判断を迫られます。
中へ入るよ。
中に入れる洞窟は全部確認したが天井が崩れているのはここだけだぞ。
それでも行くのか?
(ファン)ああ。
(ジム)俺はやめるべきだと思うがね。
ああ分かってるけど…。
(ファン)ジムの言ってる事は正しいと思います。
でも時には危険を冒してでもやらなくてはならない事があるんです。
万が一の時は掘り出してくれよ。
(ジム)無謀だよ。
つきあいきれないね。
(男性4)大丈夫か?
(ファン)ああ。
壁の表面が全部凍りついている。
壁から突き出ているのは全部骨だ。
サンプル採取にはうってつけの場所だ。
(ファン)すごい。
間違いなくマンモスだ。
(男性4)よしいい感じだ。
(セミョン)これは頭蓋骨だな。
突然入り口が崩れ始めました。
(男性1)みんな急いで外に出ろ!
(ファン)早く出ましょう。
(男性2)なぜ戻るんだ。
(ファン)出口が崩れてます。
(男性1)崩れるぞ!逃げろ!
(男性2)サンプルを持っていかないと。
(ファン)マンモスの体をたくさん見つける事ができました。
試験管には収まりきらなかったので氷の塊ごと採取しました。
完全に凍っているので状態はいいと思います。
急いで冷凍ボックスに入れ細胞の状態を確認してもらいます。
洞窟が完全に崩れる前に脱出できました。
ついさっき入ったばかりの洞窟がもう塞がっています。
間一髪でした。
あと5分遅かったら中に閉じ込められていたでしょう。
今になってどれほど危険な状況だったかが分かります。
ツイていたとしか言いようがありません。
警告したとおりだ。
犠牲者が出なかったのは単なる幸運にすぎません。
怒りを覚えますよ。
重さ100kgもある最新の実験機器で採取した細胞をすぐに分析します。
使用可能なDNAが確認できなければ科学者たちの命懸けの努力は無駄だった事になります。
誰もが固唾をのんで分析結果が出るのを見守りました。
スクリーン上に見える青い点々はDNAがある可能性を示しています。
最終的には実験室で詳しく調べないと判断できませんがもう少し分析すれば更にはっきりとした結果が出るでしょう。
見込みは十分あります。
満足しています。
(ラヴ)サンプルのいくつかは状態がいいので期待できます。
ありがとうございました。
感謝しています。
旅はまだ終わりません。
ついに手に入れた貴重なマンモスの細胞を完全に凍らせたまま4,000kmの距離を移動しなくてはならないのです。
2隻のボートを乗り継いでシベリアを南下。
更に飛行機を2回乗り継ぎます。
ロシアの税関検査を何度か通り国際線で韓国に飛びます。
(ファン)サンプルは別ルートで運ばれたので僕も8週間目にしていません。
問題なかった?大丈夫だよ。
クローン作りに使えるDNAは無事手に入るのでしょうか。
もしDNAが使い物にならなければ1年間の苦労と多額の費用が無駄になります。
全てはシベリアから運び込まれたマンモスの細胞にかかっています。
(男性5)骨に骨髄。
(男性6)これは脂肪組織だな。
(ファン)ちゃんと凍ったままです。
すぐに分析を始めます。
状態が良くて安心しました。
採取したマンモスの体は合計20kg。
クローンを作るのに使える完全なDNAは含まれているのでしょうか。
DNAが破壊されないよう慎重に解凍します。
(ファン)直感に頼るしかありません。
期待が持てるものから試してみます。
3万年間凍りついていたマンモスの体が解凍され分析にかけられます。
(ファン)これは肉眼で見て特に期待が持てそうだと思ったサンプルの一つです。
肉の内側は赤く状態がとても良さそうです。
(パク)この筋肉は期待が持てそうだよ。
(ファン)プロジェクトが順調に進んでいるのを見るとわくわくします。
シベリアで命懸けで手に入れたサンプルですからね。
最終段階ではコラーゲンというたんぱく質の中でマンモスの細胞を培養します。
使えるDNAがあるかどうか。
結果が判明するのは10日後です。
待つしかありません。
クローンを作るのに必要なのはマンモスの細胞。
そしてゾウの卵子。
まずゾウの卵子から核を取り除きます。
そこにマンモスの核を移植してマンモスのDNAを与えます。
移植がうまくいくと細胞分裂が起こります。
細胞分裂によって細胞がどんどん増えていきます。
そして卵子の中で胚盤胞が形成されます。
細胞の核には遺伝情報を伝えるDNAが含まれています。
マンモスの核をゾウの卵子に移植する事でマンモスの遺伝情報が伝わります。
そして本来ゾウになるはずだった卵子からクローンのマンモスが誕生します。
核の移植に成功すれば卵子を子宮内で育てるゾウが必要になります。
東南アジアやインドに生息するアジアゾウの力を借りる事になりました。
ドイツ出身の獣医師トーマス・ヒルデブラントとフランク・ゲーリッツは世界で初めてゾウの人工授精に成功した人物です。
2人は今回の実験に協力するため卵子を提供するゾウと子宮内で育てるゾウの2頭を選んでいます。
どのゾウが適しているかを調べるのに超音波検査機を使います。
人間の医療現場でも使われているものです。
何度も子供を産んでいるミッシーが子宮内で卵子を育てるゾウの有力候補です。
非常にいい状態ですね。
卵巣は健康で活発ですしこれならしっかり役割を果たせると思います。
適したゾウが見つかってよかったです。
ミッシーに感謝しないと。
いいニュースです。
健康な卵子を提供してもらうゾウを選ぶのは簡単ではありません。
失敗する可能性もあります。
今はベストを尽くすしかありません。
卵子を提供してもらうゾウは若く繁殖力が強くなければいけません。
ゾウは卵子を放出する卵胞を4か月に一度しか作りません。
動物園では8頭のメスが飼育されていますが卵子を提供できる可能性があるのは1頭だけでした。
14歳のタキリというゾウです。
卵胞があったぞ。
(男性)これかな?
(ゲーリッツ)ああ上下に白い線がある。
(ファン)タキリが卵子を提供してくれる候補にミッシーが卵子を育てる候補にそれぞれ決定しました。
一方クローンのマンモスを作る事に倫理的な疑問を投げかける声もあります。
このプロジェクトには多くの疑問があります。
マンモスが誕生したあとどうなるのか?マンモスの復活がこの地方の絶滅危惧種の保護に役立つのか?そういった問題が未解決のままでは慎重な態度をとらざるをえません。
ファン・インソンは科学的に大きな意味があると信じています。
確かに大胆な試みですから科学者の単なる野心だと思う人もいるでしょう。
30年以上前に人間の体外受精が行われた時も多くの批判が寄せられました。
でも今では体外受精の技術はさまざまな分野で役立っています。
クローンの技術も同じです。
将来的には絶滅の危機に瀕した動物を救う手段にもなりうると信じています。
細胞についてより深く知る事が人類の利益につながるというのがファンの考えです。
(ファン)クローンを作る過程で難病の治療に役立つ技術が見つかるのではないかと期待しています。
例えばパーキンソン病や糖尿病アルツハイマー病などです。
動物保護のためにもクローン技術の開発を急ピッチで進めるべきです。
クローンのマンモスを作る計画は一度絶滅した動物をよみがえらせるという点で大きな意味があります。
従来の保護活動だけでは不可能だった事を成し遂げるわけですからね。
野生のスマトラサイの数は50頭を切りました。
減少した種を絶滅から救うにはクローン技術の助けを借りるしかないのかもしれません。
それで今回のプロジェクトに協力する事を決めたんです。
マンモス復活の行方は完全なDNAが見つかるかどうかにかかっています。
クローンのマンモスを作るにはDNAを含む核を細胞から取り出さなくてはなりません。
成功した例はまだ無いと言われています。
(ファン)多くの点が見えます。
どれが核かを見極めようとしているところです。
シベリアでマンモスの体を探しているのと同じような状況です。
探しているものはずっと小さいですけどね。
どうやら核を1つ見つけたようです。
無傷かどうかはまだ分かりません。
でもちゃんとした丸みを帯びています。
紫外線を当てると青く光ります。
核の物質が含まれている事を示しています。
どうやら問題なさそうです。
核の最初の一つを無事発見しました。
最初の核は骨髄から見つかりました。
ファンが更に調べた結果無傷と思われる核が4つある事が分かりました。
(ファン)これが良さそうだ。
とても丸くて理想的な形をしている。
核の中にDNAがありDNAが生命の誕生につながっているんです。
3万年間凍り続けていたマンモスの体に無傷の核が残っているかもしれません。
だとすれば完全なDNAも見つかるでしょう。
大発見です。
いよいよこれからです。
マンモスをよみがえらせる可能性が開けたんです。
2014/09/22(月) 00:00〜00:45
NHKEテレ1大阪
地球ドラマチック「マンモス復活大作戦〜DNAを確保せよ〜」[二][字][再]
クローン技術でマンモスをよみがえらせる!?研究者が目指すのはシベリアの奥地。「マンモスの墓場」と言われる場所で冷凍状態のマンモスの体を探す。命がけの調査に密着!
詳細情報
番組内容
今、世界中の研究者がクローンのマンモスを作る研究を進めている。ロシアと韓国を中心とする研究チームによるシベリアでの発掘調査に密着した。クローン作成には、状態の良い細胞が必要だ。急速にとける永久凍土の中から冷凍状態のマンモスの体を探し出す。ロープで崖を数十メートル下りたり、今にも崩れそうな洞窟に入ったり…過酷で危険な調査が続く。果たして理想的な細胞は見つかるのか?(2013年英国)
出演者
【語り】渡辺徹
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
ドキュメンタリー/教養 – 宇宙・科学・医学
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
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