太陽を抱く月(11)「許されぬ縁」 2014.09.21

(陽明君)俺を覚えていないか?誰だ!?捕らえろ!
(兵士たち)はっ!誰と思い軽々しく触れるか!我は先の王様の庶子である陽明君だ。
これは…。
俺の事を覚えていないか?数日前市場の通りで…。
(ノギョン)その手をお離しください。
早くお連れして。
待て!行くぞ。
待ってくれ。
おい誰の前を塞いでると思ってる?心の声まさか…あの巫女が?
(戸が開く音)
(ノギョン)お引き取りください。
許されない事でございます。
何が許されないのだ?あれは王様に遣わす人間札でございます。
中身は紙同然。
恋心など抱きは致しません。
この俺だって紙くずのような人生同じようなものだ。
つながる事は決して許されないご縁です。
おいそんな事どこの誰が決めた!?おそれながら巫女として神の言葉をお伝えしているのでございます。
それは神でなく俺自身が決める事だ。
あなた様のほかあの娘の身にも危険が及ぶのです。
そのお振る舞いからあの娘も権力争いの犠牲になりうる事が分かりませぬか!追い求めるのはおやめください。
未練があるならお捨てください。
あの者をまことに大切に思うお気持ちがあるならこれ以上は決して近づいてはなりませぬ。
早く答えぬか!生まれはどこかと聞いておるのだ!
(ヨヌ)はっきりとは分かりませんが都から遠く離れた地だったと聞いております。
ならばオニャンでずっと暮らしてきたのか?神母様について方々を転々として参りました。
では両親や兄弟は?いいえおりません。
これまで共に暮らしてきた者が家族でございます。
つまり独りであったのか?肉親はいたかもしれませんが神力を宿した幼いころに捨てられたようでその辺りはよく分かりません。
さらば初めから独りではなかったわけだな?肉親はどんな者たちであったか記憶に無いか?巫女は神降ろしの儀式の瞬間から前世の記憶と縁をすべて断ち切る事になります。
なので私にはもう前世にまつわる思いや記憶が全くありません。
前世の縁と記憶をすべて断ち切る?さようでございます。
だったらその封印を解き前世を思い出してみよ。
お前が生まれた地はどこで巫女になる前の名は何と申した!?王様。
巫女になる儀式はいつどこで誰から受けたのか!前世の記憶の中に余は…私はいないか?どうかもうおやめください!お願いでございます。
お願いですからそれ以上何も聞かないでください。
私に何をどうお尋ねになられても王様が望まれるようなお答えはできません。
私は王様が捜しておられるお方ではないからです。
その方とどれほど似ているかは存じませぬがお知りになりたい事があるならその方に直接お尋ねになってください。
今すぐ出ていけというのが聞こえないのか!
(チャンシル)お許しください神母様!私が間違っていました。
抜け出したまま消えるならまだしもなぜノコノコとまたここへ戻ってきた!?行く所が無いんです。
どうか追い出さないでください神母様。
私的な事で神力を使ってはならぬと申したのになぜ…どうしてお前はそのひと言が守れないの!?お前はもう王室のための巫女ではない!今すぐ星宿庁を去りなさい!分かったわね!許してください神母様!許して下さい!おばさん。
チャンシルのそそっかしさはいつもの事だしもう許してあげたらどうです?だっておにいさんがかわいそうだったんです。
1つぐらい…1つぐらいはおにいさんに分けてあげたかった。
王様は何もかも持ってるけどおにいさんは…。
心の声ウォル…お前まで先に王様に出会ったのか。
お前まで王様を守る事にしたのか?今すぐここから出ていくのです。
早く!母上はなぜ!人のために生きろとしか言わないのですか?
(禧嬪パク氏)陽明君。
こんな時間にどうしてここへ?そういう母上こそこんな時間に何をされているのです?私はいつものように王様の安泰をお祈りして…。
(ため息)陽明君?なぜ一度ぐらい王様よりも先に!この私の名を口にしてくださらないのですか?そんな不忠な事を言うなんてどうしました?不忠だ耐えろ諦めろ捨てろ見せるな揺らぐな!母上はうんざりしませんか?何かあったのですか?たった一度でいい。
せめて一度ぐらいお前が望むとおりに1つぐらいは好きにしてもいいとどうして言ってくださらないのです?私はもうこれ以上…。
誰かのために生きるのはやめます。
笑いたければ笑い腹を立てたければ腹を立て奪いたければ奪う!そのように生きて参ります!神母様。
なあ逃げよう。
俺と一緒に逃げるんだ。
チャンシル?俺ならお前を守れたんだ。
俺ならお前をこのようにほうっておいたりはしない。
俺なら…。
私に引き裂かれる前に今すぐその口を慎まぬか。
しし…神母様。
何をじっとしておる。
チャンシルをさっさと追い出しなさい!
(巫女たち)はい国巫様。
神母様…神母様神母様!神母様なぜこんな事を…。
皆よいか?誰であろうとチャンシルをまたこの星宿庁に入れた者は私が巫女の掟をもって厳しく罰する。
分かったか!
(巫女たち)はい国巫様。
お前も追い出されたいのか?あ〜!神母様!お許しを!
(泣き声)神母様…。
そんなお怒りにならなくても。
チャンシルは私同様まだ神力をうまく扱えない未熟者。
たとえ過ちを犯しても…。
私に説教などしてないで務めが済んだならもう休みなさい。
神母様。
ほうっておきましょう。
お灸を据えたんです。
これくらい厳しくしないとチャンシルも反省しないから。
行く当てのない子よ。
こんな寒い日に放り出すなんて…。
だからきっとすぐまた戻ってきますって。
それでおばさんも根負けしたふりをするはずです。
こんな事は何回もあったでしょ?
(ヒョンソン)王様どうか少しだけでもお休みください。
一睡もされないままでは会議は無理でございましょう。
回想その方とどれほど似ているかは存じませぬがお知りになりたい事があるならその方に直接お尋ねになってください。
心の声すでに死んだ者にどうやって尋ねろというのだ。
「父上がじきに薬を持ってこられます。
そしたらもう永久に世子様とはお会いできません」。
父上が薬を持ってきたら私とは永久に会えない…?ウンよ。
この一文をどう思う?単にご自分の死を悟られたのではないでしょうか。
余も初めはそう考えた。
しかし行間をよく読むと要するに父の薬をのめば死ぬという事ではないか?ですが弘文館の大提学で人柄もすばらしかったあの方がまさか実のご息女を…。
そうであったからこそ妙だと言うのだ。
思えば他にもおかしな点はあった。
いたって健康だった世子嬪が突然命を落としたというのに真相も究明せず葬られておる。
王様。
一体何を疑っておられるのですか?世子嬪の死が単なる病死ではなかったら…。
となるとあの大提学ホ・ヨンジェは実の子を殺めた罪人であると?ヨヌが最後にのんだ薬について儀賓は何か知っているのでは?ご存じないでしょう。
当時は叔父上の住まいで病を避けておられ妹の最期を見送れなかったと悔やんでおられるくらいですから。
もっとも仮に知っていたとしても儀賓にそれを問いただすのは酷だな。
回想
(ヨム)旅に出るなどめっそうもない事でございます。
ただヨンナム地方を巡り観光でもして気分転換をと申しているのみ。
別に他意はありません。

(シン氏)ちょっと入ってもいいかしら?ええどうぞ母上。
旅支度は終わりました?はい。
戻るまでに1か月ほどはかかるわね。
ええ。
ところで王女様にはもうご挨拶を済ませましたか?いえまだ。
どうして気が利かないの?待ちわびていらっしゃるだろうから今すぐ参って寂しがってる王女様を慰めてあげなさい。
はい母上。
(泣き声)なぜ背を向けられるのですか?旅立つ前にお顔を見せてはくれないのですか?
(ミナ王女)私もついていってはダメですか?王命による旅ですし長旅になりますので王女様には厳しいかと。
だけど行ってしまわれたらずっと離れ離れでしょう?急いで戻って参ります。
待っていてくれる王女様のために。
どうされました?いつもこうして聞き分けなくダダをこねるから私の事嫌いでしょ?そんな事はありません。
私のせいでお勤めもかなわず家に閉じこもってなきゃならない。
きっと私が恨めしいはずです。
恨めしくなどありませんよ。
嘘つき…。
王女様はわが一族の恩人です。
ヨヌがあの世にいって静まり返っていたこの家に笑顔をくれたのもミナ王女様なんですから。
それを思えば十分この私はありがたい気持ちでいっぱいです。
ならば私をお捨てにはなりませんか?どうしてまたそのような事を…。
約束してください。
前に命を懸けると言いました。
他に何を差し上げれば満足してくださいますか?いえ何も。
私はもう何も頂かなくても旦那様を信じます。
旦那様が私を捨てないと言ってくださった事も急いで戻ってきてくれるという事も全部信じます。
だから毎晩涙を流しても独り耐えて待っています。

(ユン・スチャン)儀賓がヨンナム地方へ見物に出かけたようだ。
しかし王様も全く…。
旅なら我に行かせてくださればよいものを。
ほかでもないヨンナムと言えばまこと風光明美な地方。
中でも特にチンジュは美貌と芸を兼ね備えた芸妓が多く有名な所だ。
あ〜惜しいな!惜しいわ。
そんな所へ堅物の儀賓を行かせても風流を解する事などできる訳がないわ。
あ〜実に惜しい!
(ハン・ジェギル)戸曹判書のような方が儀賓であったなら我らが警戒する事もないのだがな。
(シム・サン)王様はついに儀賓を動かし散らばっている学士たちを集めるつもりでしょう。
頼んでおいた件はどうなった?儀賓を糾弾する上疏をまとめ会議に上げるつもりです。
なんと!どんなにたたいてもホコリの出ない超天才ホ・ヨムを訴える上疏があるというのか?そんな貴重品どこで手に入れたのだ?あ〜でっちあげ?王様は他はともかくどうも血気にはやるところがおありだ。
一度痛い目に遭えば政治とは何か身にしみるであろう。
(シム・サン)儀賓様へのご命令どうかお取り下げください。
噂が広まるのは速いな。
まこと「ささやき千里」だ。
必要な手続きは済んだと聞いたが何が問題なのだ?そもそも王様のご親戚と儀賓様の政治活動は一切禁止されております。
すでに儀賓様の動きを案じた上疏があとを絶ちません。
ついては王命をお取り下げください。
儀賓は何年も静かに暮らして参った。
王女がその姿を気の毒に思い気晴らしに旅でもと勧めたまでの話だ。
そうであれば旅先を変えるようお命じください。
それはまたなぜだ?儀賓たるお方がヨンナム地方を旅されるのは危険極まりない事でございます。
危険?まさか儀賓の旅がヨンナム地方の学士たちをかき集めるという政治的なものになるとでも?我らはホ・ヨム殿の身が心配で申し上げているのでございます。
儀賓の身が心配?ホ・ヨム殿はちょっとした旅のおつもりでも権力を望む者にはこれ以上の好機はありますまい。
そんな輩が勢力を伸ばすためホ・ヨム殿を抱き込んだら…。
儀賓が政治的な標的になりうると?とかく人が集まれば議論が生じるものでございます。
国を憂いての事だと大口をたたき結局は朝廷に文句を言うだけの集まりになる事も。
国を憂いての批判なら甘んじて受けねばな。
あ〜聞こえてくるようだ。
王様は臣下に振り回されてるだけのお飾りだあ。
だあ…だあ…。
それは不忠極まりない事です!そんな事を口にする者がいるなら直ちに見つけ出して当然罰するべきかと!ハハハハ!私的な席で言えぬ事などあるまい。
そちらも余を酒の肴にしておるであろう。
違うかな?心の声儀賓の翼を折っただけでは飽き足らず今度はこの私を脅してきたか。
王様いかがなされました?ウンよ。
久しぶりにひと暴れしようではないか。
何をなさるのですか?前にここへ来てから余に伝えるべき上疏は増えるどころか減っているのはどういう事だ?ひどい寒さに大雪が重なり地方からの飛脚が予定どおり着いておりません。
飛脚が予定どおり着いていないだと?そうかなるほど。
ならば儀賓の旅についての訴えはなぜすぐに届いたのだ?それだけは千里の馬でも使ったか!?いいえそれは…。
余が政を仕切ってから3年になるが領議政が処理した事案のほうがいまだに多いようだな。
王様。
承政院の日記をご覧になるならまず王命を先に…。
これが余の置かれた現実ゆえ余の命を無視するのもよく分かるがな!だがこれらを後世の者が見たら余はどう思われる!?どう思われるのだ!?余が何と思われるか言うてみよ!そ…それは王様。
・熱意はあったが余は所詮無能な病人か!?さもなければ臣下に踊らされた操り人形か!?答えてみよ!・後世に残る余の評価はどのように伝えられるというのだ!お待ちください王様!余の目と耳を塞ぐだけでなく余の命にまで背くならそれは不敬であるどころか不忠である!肝に銘じておけ。
何かお分かりになりましたか?いや分からない。
不自然なほど何も残ってない。
ヨヌが死んだ8年前の「承政院日記」を見れば当時の状況が分かると思ったのだがただ「病死」と記されているだけだ。
だがどう見てもあれは突然すぎる病であった。
時期があまりにも疑わしい。
世子嬪になる前の病なら大提学の一族にまで害は及ばなかったはずだ。
婚儀を挙げた後なら…!あんな惨めに追い出されもしなかった。
世子様…。
なぜ…なぜあの時だった?なぜ…。
(ユン・ボギョン)今何と申した?厄受けの巫女が誰かと似ているという事か?はい。
はっきりとではありませんがそのように聞こえました。
もっと詳しく話してみよ。
王様は大層不機嫌なご様子で巫女を追及されました。
するとその巫女は「その方とどれほど似ているかは知らないがお知りになりたいならその方に直接お尋ねになってください」とそう言っておりました。

(女の泣き声)
(チョ尚宮)いかがされました?王妃様。
チョ尚宮。
隠月閣の中から今女人の泣き声が聞こえなかったか?誰か訪ねてきてるのか?ただいま星宿庁の国巫が参っております。
星宿庁の国巫が?仰せつかったとおり観象監に営みによい日取りを早めるよう伝えました。
(大王大妃)そうご苦労でした。
そなたの娘のおかげじゃ。
これで世継ぎができたら私からじきじきにねぎらってやろう。
実はその事でお話したい事がございます。
申してみよ。
厄受けの巫女はこれにて王宮殿から下げようと存じます。
営みの日を前にしてお札を下げるとは…。
なぜそのような事を?王様のお体はもう人間札の力など借りずともますますご回復なされましょう。
むしろ厄を受けた札がそばにあるとかえって逆効果になります。
とはいえ下手にその娘を下げて王様の体調がまた悪くなられたら…。
今何よりも大切な事は王様の気を旺盛にする事と王妃様との仲をよくする事です。
他によい手があるというのか?王様をお守りするお札と営みを成就させるお札は全く異なるもの。
よって今宵からはお二人の営みが形になるよう合歓の札を使おうと存じます。
合歓の札ですと?そんなものがあるのか?これから先の営みに備えるためのお札です。
分かりました。
それで世継ぎができるのなら何を嫌う事があろうか。
好きなようになさい。
それではそのように致します。
お越しでしたか王妃様。
戻ってきた事はおばあ様から聞いていた。
そなたの娘のおかげにより王様がお健やかになったとか。
恐れ入ります。
それでその巫女はホ・ヨンジェの娘に似ているのか?どうしてそんな事をお尋ねに?たとえ宮中であろうとも秘密が漏れぬとは言い切れまい。
女人にはふだん見向きもなさらぬ王様がすぐさまおそばに置くようになったそうではないか。
その娘はそんなにも似ているのか?私の目にはどこにでもいるような者でございます。
今度その娘に会ってねぎらいたいと思うのだがいつがよいか?王妃様。
ご心痛の色がお顔に。
いつごろから隠月閣の泣き声をお聞きに?どうかご案じなさらず。
わが娘はもうすぐ宮殿を離れます。
営みの吉日も早まります。
王妃様のすべて意のままになりますゆえ。
大王大妃様に自らお願いに上がるまでもないと存じます。
(ノギョン)大王大妃様の許しは得た。
王宮殿にはもう上がらなくてもよい。
思いどおりになったのにどこか残念そうな顔ね。
いえそんな…。
神母様にご迷惑をおかけしたので。
それでは明日夜が明けるとともにソルと発つよう支度なさい。
そのように致します。
誰からの手紙ですか?自分で確かめたらどうなの?「ウォルおねえちゃん。
チャンシルだよ。
心配したでしょ。
私はある優しい人のお世話になって元気にしています。
その人はどんな人かというとすごくすてきでいい方。
男の中の男。
たくましくて自由な魂を持っていて悪事はほっとけない正義感の強い人なの。
とにかくその方のおかげで今は市場の通りにある旅籠に居ます。
でお願いがあるんだけど私の服を持ってきてくれない?でも神母様には秘密でね。
あとソルおねえちゃんにもないしょだよ。
今朝も神母様の味方みたいだったから」。

(巫女たちの声)心の声明らかに先の王も疑問に思い内密に調べさせたはずだ。
承政院には無くともきっと秘密の記録がある。
回想
(ユン・スチャン)直ちに世子嬪様を宮殿からお出しください王様。
回想
(ユン・デヒョン)娘の病を伏せて候補願いを出した大提学ホ・ヨンジェと妹の病を伏せ侍講院に出入りしたホ・ヨムにはその罪を問うべきでしょう。
回想「父上がじきに薬を持ってこられます」。
心の声だが先の王はすでにみまかられ当時ヨヌを診た主治医も王のご逝去に伴い毒殺に処された。
ヨヌに謎の薬をのませた大提学もすでに病で世を去っている。
当時の事を知りうる者は誰も居ない。
生きている者はもう誰も…。
心の声いや1人だけ居た。
心の声先の王のおそばで仕えた…尚膳!ウンよ。
(使用人)はあ…あの…王様のお使いの方々が何の用で?主はご在宅かな?それが…旦那様は持病が悪化されて遠くに療養に行っております。
それは困ったな。
王様より聞きたい儀があり事前に使いも送ったはずだが…。
ならばそなたはどう思う?主の療養は長引きそうか?それともすぐ戻ってきそうか?その辺はよく分かりません。
そうか。
では主に会ったらこう伝えるのだ。
いくら隠そうとしても真実はいつか明かされる。
・今をしのいでもより大きな代償を払う時が来るであろう。
今日は昔のよしみで引き揚げるが明日までに宮中に参らねばその際は取り調べの場で会う事になる。
そう伝えるのだ。
中に居ると気付きながらなぜお会いにならなかったのですか?8年も死んだように口を閉ざしてきたのだ。
そんな忠義に厚い者が余を避けるという事はきっと先の王が秘密にした真実のため。
ここでむやみにせかせて自決の道でも選ばれたら真実は分からずじまいになってしまう。
今日はただ推測が正しいか確かめようとしたまで。
それはどんな推測なのかお聞きしても構いませんか?ヨヌの死は単なる病死ではないという事だ。
それと恐らく先の王が機密の報告書を残している。
機密の報告書を?もしも病死でなく他殺なら何故先の王はその真実を葬ったのか。
きっとそうせざるをえない訳があったからだ。
間違いなく真相をどこかに書き残されたはず。
ああ…頭が痛い。
せっかくだから気晴らしでもしていこう。
これ勘定。
ごちそうさん。
また来てくださいね。
食べ終わったら星宿庁に戻るんだぞ。
(せきこみ)おっ大丈夫か?おにいさん。
私…星宿庁に戻らないとダメ?怖いからってずっと逃げ回ってるつもりか?俺の言うとおり手をついてただひたすら謝るんだ。
こういう時はそうするしかない。
そうしたくても多分謝る事もできないの。
だって戻ったらすぐさま八つ裂きにされちゃうから。
おいおいかわいい顔してそんなゾッとする事言うんじゃないよ。
うちの神母様はやると言ったら絶対やる人なの。
どう考えても私が無事でいられるはずはないんです。
そんな臆病が八つ裂き覚悟でなんで俺に手を貸してくれた?初めてだったから。
あの時私を命がけで助けてくれた。
そういうのおにいさんが初めてだったの。
私を捨てた親の顔なんてちっとも覚えちゃいないけど私をおぶって逃げてくれたおにいさんの事は一度も忘れた事なかった。
俺と…ちょっと似ているところがあるな。
おっ!それじゃおにいさんも親から見捨てられたうえに死んでも忘れられない人がいるわけ?まあ…そんなところだ。
おにいさんの死んでも忘れられない人って一体どんな人なの?う〜ん…。
それはとてもとても賢くかわいい人。
見ているだけで癒やされる人。
つらい思いもさせられたが俺を幸せにしてくれた人だ。
あ〜…じゃあウォルおねえちゃんを呼ぶんじゃなかった。
今何て言ったんだ?おにいさんに会わせてあげようと思ってウォルおねえちゃんを呼び出したの。
回想
(ソル)急に紙が入り用という事は手紙でも書くのですか?回想手紙ではなくて反省文ね。
(ソル)反省文を書くのにこんな値が張る紙をお求めに!?訪ねて行ってひたすら謝ればいいじゃないですか。
回想
(ソル)すみませんがお嬢様ちょっとあっちの鍛冶屋さんに行かせてください。
すぐ戻るので。
(鉄を打つ音)回想
(ノギョン)お逃げください。
お嬢様が背負えるような運命ではありません。
これ以上縁を深めてはいけない。
回想私を覚えているか?忘れてくれと言ったな。
ふう…ウフフフ。
ほらご一同もっと急いで参られい。
ほら急いだ急いだ!ハハハ天下一の芸妓はチンジュに限らずここにもおりますとも。
そうでしょ?どでかい馬屋に部屋からのいい眺め。
宴席も広々。
地上の楽園ならここにもありますわハハハ。
この厳しい政局のさなか妓楼を開拓するほどの暇がおありとはさすが戸曹判書殿だ。
何だ?気が乗らんならそなたは帰ってもいいぞ。
まあ妓楼とは酒を飲むだけの場所ではあるまい。
雰囲気の違う場で斬新な発想が浮かぶ事もありますしな。
ここはとにかく参りましょう。
ハハハ。
ではちょっと先に行って席を取っておくから後から追ってきてくだされ。
何しにここへ来たのだ?あ…用事だとか言ってたな。
私はお忍びだ。
あ…さっき言ったか。
護衛も無くお一人ですか?影は無いがどこかで雲剣が見守ってくれているはずだ。
そういえばお札である者がかように歩き回っていてもいいのか?えっ?そういう事か。
朝起きたらどうにもだるいのでおかしいと思ったがやっとその訳が分かった。
厄を受けるどころか厄を持ってくる巫女だからそりゃ頭痛もするわ。
お体がすぐれないのですか?戯れを言ったまでだ。
お前はそんな事も分からないのか。
安心しました。
お忍びの邪魔になりますので私はこれで失礼いたします。
待て。
領議政の一行がこちらにやって来ます。
鉢合わせする前に宮殿へお戻りください。
分かった。
(ユン・スチャン)この無礼者めが!これをどうしてくれる!どうしてくれるのだ!?この服がどれほど高い物か分かるか!?明の王室御用達の最高級の絹織物だぞ!どうやって弁償するつもりだ!?ごめんなさい。
どうか許してください。
あ〜ほら出おった。
そうやって口先で済まそうとするそんな奴が我は大嫌いだ!口ではなく体で弁償しろ!屋敷に連れていけ。
薪割りでもさせるのだ。
こいつにたんまり割らせろ!はい。
その子を放してあげてください。
人通りの多い往来で誰かにぶつかってしまう事はよくあるじゃないですか。
わざと当たったのではないでしょうしどうか許してあげてください。
ハ〜ン…。
この服はなものすごく高価な物で簡単には洗えんのだ。
だからきっちり弁償してもらうかそれが無理と言うなら当家で働いてもらうまで。
一体何が悪いのだ?見たところご身分の高い方ですね。
ハッハ〜どうやら人を見る目はあるようだな。
我は戸曹判書だ!そんなお偉い方であるならなおさら寛大なところをお見せになるべきでは?なに〜この女!きれいな顔ゆえ許してやろうと思ったが畏れ多くも誰に説教しておる!その服もいけません。
民のお手本となるべきお方がご自分の国のすばらしい布地を差し置き明の絹の服しかまとわなければ民はそれをどう思いますでしょうか?何だとこやつめ!何をしておる直ちにこいつを捕らえ役所に突き出せ!はい!離してください!こら待て!離して!おい待て!2人共捕まえろ。
捕まえるんだ!こっちも!
(ハン・ジェギル)どうかされましたか?心の声王様?お前はどこまで怖いもの知らずなのか!戸曹判書に真っ向から文句を言いあれで役所に連れて行かれたら生きて帰ってはこられなかったぞ!ならば間違っている事があっても見て見ぬふりをせよとでも?その子が服を汚したからには弁償しろという事だってあるであろう!さりとて明の絹はどれほど高いか…。
高い地位にある方ならより質素であるべきではありませんか?一理あるが…しかし対外的な事もあるゆえ品位は保たなくてはならぬであろう。
世宗王時代の官吏リュグァンという方は右議政という高い地位であったのに垣根も無いかやぶき屋根の家だったとか。
だからそれを不憫に思った世宗王が塀を造ってやったではないか。
臣下ゆえにその塀を壊す事はできず代わりに門を開けていたといいます。
その意味がお分かりになりますか?自ら質素たる手本を見せ後世に伝えようとしたのでしょう。
巫女だというのにお前はいちいち正しく気に障る事ばかり言うな?「出る杭は打たれる」と言うだろう。
それでは命がいくつあっても…。
まだ余が話しているのにどこを見ている?さあさあ横目で眺めてないでぜひ見ていってくださいよ。
そんなんじゃ目が疲れちまう。
絶賛上演中「女官の初恋」だ。
ほ〜ら今なら一番前。
いかがです?こりゃ見たい〜って思うでしょ?もう…グズグズ迷ってちゃいい席取られちまいますよ!こちらへどうぞ。
絶対後悔はさせませんから!ほらどいたどいた!ほら。
こちらのお席で。
よ〜く見えるでしょ?ほんじゃ…5両です。
5両!それじゃこれで。
どうも。
合わせて10両確かに。
ではどうぞごゆっくり。
不本意だが世話になってしまったようだ。
宮殿に帰ったらすぐ返す。
心配するな。
「私は罪人でございます。
こんな事なさってはいけません」。
「お前が何の罪を犯したというのだ?」。
「天のごとく大きな王様を一目見て分からず心に刻んだのが第1の罪。
知ってからは消し去る事もできず宮殿にまで上がって」。
(女1)頭が邪魔ね。
(男)おいおい見えないからちょっと頭下げてくれ。
(女2)じっとしてて何してんの?
(客たちの不満の声)
(女3)腕下ろして!
(不満の声)無礼者め!誰だと思っておるか!?
(男)両班だからって何だ!見えないんだよ!「おおチョンジュ。
余を縛っているすべてのものを捨て去る事さえできればそれさえできれば」。
「そんな事言わないでください」。
「いやたとえ王という立場にあったとしても余を好いてくれたそちをそばに置けないぐらいなら王座など一体何の意味があろうか」。
「王様。
ほんにありがたき幸せ」。
こんなくだらん劇が面白いのか?はい面白いです。
「しかと胸の奥深くに刻みこれから共に生きて参ります。
ですから王様もお体を大切になさりどうか王妃様と何とぞ末永くお幸せに。
それでもうこの私には何の心残りもございませぬ」。
何だ…思ったより遅いな。
道順はちゃんと伝えたのか?「第3の罪は…」。
その方にお会いになられたのですか?お会いになられたのですか?会う事はできなかった。
なぜお会いできなかったのですか?どうして会う事がかなわなかったのですか?その者は…もうこの世にはいないからだ。
どういう事です?私のせいだ。
守ってやりたかったが守りぬけなかった。
まだ伝えたい事があったのに…伝えられなかった。
だから余はいまだにその娘を忘れられない。
巫女には霊魂と言葉を交わせる者もいると…。
本当か?そのように聞いております。
ならばお前からその娘に伝えてくれないか?何をお伝えするのでしょうか?この私はお前の事が好きであったと。
2014/09/21(日) 23:00〜00:00
NHK総合1・神戸
太陽を抱く月(11)「許されぬ縁」[二][字]

初恋の女性を思い続ける王と、記憶を失った巫女(みこ)の切ない愛を描くファンタジー・ロマンス史劇。フォンと陽明君(ヤンミョングン)のウォルへの思いは止められない。

詳細情報
番組内容
陽明君(ヤンミョングン)は、王宮殿に向かうウォルを引き止め、「自分のことを覚えているか?」と詰め寄る。だが、ノギョンが陽明君を制し、ウォルに近づかないように警告する。フォンはウォルがヨヌではないかという思いに駆られ、現れたウォルに過去の記憶について矢継ぎ早に質問を浴びせる。ウォルの答えは…。陽明君は寺で偶然、フォンの安泰を祈っていた母親に会う。ウォルへの思いを胸に、母に向かってある決意を口にする。
出演者
【出演】ハン・ガイン…沢城みゆき,キム・スヒョン…新垣樽助,チョン・イル…小松史法,キム・ミンソ…渋谷はるか,ソン・ジェヒ…佐藤拓也,ソン・ジェリム…保村真,ナム・ボラ…小林由美子ほか
原作・脚本
【原作】チョン・ウングォル,【脚本】チン・スワン
監督・演出
【演出】キム・ドフン,イ・ソンジュン
制作
〜韓国 MBC/Pan Entertainment制作〜

ジャンル :
ドラマ – 海外ドラマ
ドラマ – 時代劇
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
韓国語
サンプリングレート : 48kHz

OriginalNetworkID:32080(0x7D50)
TransportStreamID:32080(0x7D50)
ServiceID:43008(0xA800)
EventID:33216(0x81C0)