(テーマ音楽)
(セミの鳴き声)あ〜夏ですねぇ。
夏といえばお祭り。
ああお祭り見物行きたいな。
お祭りに行ったら浴衣美人と出会ったりして。
フフッ。
草刈さん。
あ玉ちゃん!あれどうしたの?何しに来たの?何しにって失礼な。
草刈さんでしょ祭り見物の打ち合わせしようって言ったの。
あそうかごめんごめん…。
全く忘れてんだからもう。
で今年の夏はどこのお祭り行く?あそうそう。
そんな事よりもね一応季節のご挨拶お中元です。
草刈さんの大好きな例のお酒。
はいどうぞ。
あ〜うれしいなぁ。
これ手ぬぐいでしょ?いいねえ!それね私がデザインしたんですよ。
夏らしいでしょ?あ〜涼しげでいいよねぇ。
何だか爽やかだしさ。
他にないの?何か涼しげなの。
他にですか?何か女子にウケそうなこう…。
女子って言われてもねぇ。
そんなのありませんよ。
ないの?あるでしょ?「あら草刈さんすてき」って久しぶりに言われたいの。
ないです。
あります。
ありません。
あります。
ないです。
お二人とも!え?大丈夫。
女心をつかむ手ぬぐいちゃんとありますよ。
東京駅の隣郵便局のあるビルにオープンした手ぬぐい専門店。
今や手ぬぐいの柄は自由自在。
ポップなデザインがあふれかえっています。
新名所東京駅や郵便局にちなんだご当地手ぬぐいも人気です。
すごい涼しそうで何か夏に浴衣とかに似合うかなと思ったので。
木綿の普及とともに江戸時代後期庶民の間に広がった手ぬぐい。
女性たちはおしゃれにアレンジして使いました。
夏にはどんな手ぬぐいが用いられたのでしょう。
古い手ぬぐいを収集する豊田満夫さんです。
涼しげに見えるような水に関係する柄が多いですね。
鯉の滝登り。
水しぶきが流れを伴って躍動感たっぷりに描かれています。
代表的な夏の句をモチーフにしたものも。
みずみずしい朝顔にハッとさせられる夏の情景です。
江戸っ子の好物初ガツオ。
生きの良さを大胆な藍色の筆遣いで見事に表現しています。
やっぱり今みたいにクーラーがないですからやっぱり持つ物みんな涼しげな模様を持ってれば気持ちがいいですよね。
涼しげに感じますよね自分自身も。
それでそういうのを求めたんじゃないでしょうか。
昔から夏に彩りを添えてきた手ぬぐい。
今日は男も女も夏をもっと楽しむ手ぬぐい使いを紹介します。
鎌倉の路地にひっそりとたたずむ古民家。
懐かしい造りの座敷はおしゃれなカフェーになっていました。
さりげないアクセントとして使われているのが手ぬぐいです。
手ぬぐいと着物をパッチワークにした座布団。
アンティークのちゃぶ台によく似合うコースターやおしぼりなど。
ここかしこに生かされています。
手ぬぐい好きが高じてこのカフェーを始めたというオーナーの瀬能笛里子さん。
夏らしいあしらいを教えてもらいました。
例えば夏は白がたっぷりの柄で涼しさを演出します。
冬には赤い椿の柄で暖かい雰囲気を醸し出します。
部屋が和の雰囲気になったりとかそういう古典というか…今日一つ目の壺は…140年続く手ぬぐい問屋です。
歌舞伎俳優から町内会までさまざまな手ぬぐいを卸してきました。
店の応接室です。
床の間に注目!まるで掛け軸のように手ぬぐいを愛でるのです。
橋をのぼると…そこには…。
(花火の音)夏満載の楽しい空間です。
手ぬぐい一筋60年5代目の小林永治さん。
白と藍そして波。
これぞ夏の定番と小林さんは言います。
青海波。
おなじみの和の模様です。
波が連なる事からおめでたい柄として用いられます。
更に…。
変わったところではね夏だからって夏の模様ばかりじゃなくて逆に冬の模様をあえて取り入れてる場合もあるんですよね。
これがそうなんですけどね。
雪と雪輪とあられ。
冬を思い出させて寒い時を思い出すといいんじゃないかといって逆に考えて持ってる方も結構いらっしゃいます。
雪輪は雪の結晶の輪郭を表した文様。
夏に雪。
ひんやりとしていいですねぇ。
床の間にあしらうと…。
降りしきる雪の下には…ペンギン。
涼しそう!ねえ草刈さん。
噺家の手ぬぐいにも青海波があるんですよ。
これです。
三遊亭粋歌ちゃんって女の子の噺家なんですけどもね。
ほら青海波に見えるでしょ。
だけどよ〜く見ると名前の粋歌にちなんでスイカの皮です。
ほうなるほど。
でどうやって使うんだっけ?やってやって。
はいじゃあねこうすると…。
読書。
ね?でまたね…。
財布。
どうです?あ〜いいなあ!ハハッ。
あ〜僕も新しい手ぬぐい欲しくなったなぁ。
オリジナル手ぬぐい持って浴衣着てお祭り行ったら粋だなぁ。
あ〜お願い。
私にもオリジナル手ぬぐい作って。
分かりましたよ。
やりゃあいいんでしょやりゃあ。
そっ!京都に夏がやって来ました。
町なかの手ぬぐい店にも季節の柄が並びます。
祇園祭の山鉾をデザインしたものもあります。
こちらは…その時代の手ぬぐいが残されていました。
この店のオリジナルです。
デザインは多種多様。
昭和初期京都の自由闊達な空気が伝わってきます。
当時の手ぬぐいを復刻した細辻伊兵衛さんです。
こういった身近に感じる手ぬぐいを通してですね日本のアートの作品をいろんな方々に触れて頂いてより文化を作っていったらいいかなというふうに思ってます。
一枚の手ぬぐいの中に京都のおもてなしの心も入れるつもりでデザインをしておりますし当時の80年前の先人たちもそう思って祇園祭の手ぬぐいを作ったんだと思います。
町衆が一つになって地区の山鉾を披露する…ここでも手ぬぐいは大活躍。
山鉾ごとにオリジナルの手ぬぐいを作っています。
長刀鉾の皆さんです。
祭り行列で常に先頭を行く伝統の鉾。
長刀鉾ならではのこだわりがあるそうですよ。
まず長刀鉾に関してはこの「長」の字ですね。
必ず入れるのが「長」の文字。
織田信長が左手で書いたといわれます。
そして八坂神社の紋です。
信長にあやかった大胆で潔いデザインです。
他の山鉾にも特色のある手ぬぐいがあります。
中国の故事にちなんだ…手ぬぐいは何とも風流。
すっきりとした竹とシンボルの竹の子が描かれています。
同じ孟宗山の新しいデザイン。
若い世代のアイデアで今風にしゃれています。
竹の子もちゃんとあります。
月の神を祀る…鋭い月とユーモラスな雲。
(祭囃子)趣向を凝らした月のデザインが好評です。
町衆の思いと歴史が詰まった手ぬぐい。
今年も京都の夏を彩ります。
今日二つ目の壺は…ところ変わってお江戸東京。
江戸の祭りで手ぬぐいといえばこちら!豆しぼりですね。
豆しぼり姿の役者絵。
粋でいなせなその姿は江戸の女性たちのハートをわしづかみ。
大流行したといいます。
豆しぼりは江戸時代に流行した絞り染めの一種。
昨今は元祖日本の水玉として若者にも人気です。
ルーツは江戸時代に始まった有松絞り。
東海道の宿場町の名産品でした。
旅人は土産に有松絞りを持ち帰り中でも豆しぼりが江戸で人気を博したのです。
280年続く絞り屋で地区の歴史に詳しい竹田嘉兵衛さんです。
東海道という道が出来て人がいっぱい歩いてる訳だからその方たちに何かを売ったらいいだろうと。
何を売ったらいいだろう?という事でまあ思いついたのが絞りなんですね。
そういう全ての方の目に触れる場所でそれが出た。
それが爆発的なヒット商品になった原因だと思うんですね。
この地区で唯一昔ながらの製法で豆しぼりを作る工場です。
御年83。
絞り職人の鵜飼良彦さん。
手作りの豆しぼりは第2次世界大戦の頃に一度廃れました。
その後鵜飼さんが父親と試行錯誤の末昭和30年代に復活させました。
蛇腹に畳んだ木綿を板で挟みます。
その板に強い圧力をかけ締めていきます。
板締め絞りと呼ばれる技法です。
木綿を挟む板には細い溝がありそこに染料が入ります。
畳んだ山の部分だけ染まります。
鵜飼さんの経験と勘が頼りの作業です。
締め具合も手作りの物差しで確認。
木綿を挟んだ板ごと藍の染料につけます。
温度や時間も鵜飼さんの加減です。
板を外すと染料の染みた部分が縞模様になっています。
折り畳んだ木綿を開くとあの水玉模様が現れました。
水にさらされた豆しぼり。
鵜飼さんの手が生み出した味わいに満ちています。
ご覧下さい。
豆の大きさや形がそれぞれ異なります。
染料がにじんだり輪郭がぼやけたり。
一粒一粒に表情があります。
作る人の心意気が伝わってくる手ぬぐいです。
ジャ〜ン!どうです?これ。
もしかしてこれ手ぬぐい?祇園祭の手ぬぐいで作ったの?そうなんですよ。
京都のお客さんが作ってくれたんですよ。
いいでしょこれ。
見て見てほら。
え?ほら。
あ〜いいなぁいいなぁ。
これも欲しいな。
ちょうだい。
だだだ駄目ですよこれは!何でも欲しがるんだから。
このおねだり星人が。
玉ちゃんのケチ。
お二人さんシャツだけじゃありませんよ。
手ぬぐいのアレンジはまだまだあるんですから。
手ぬぐいはもっと楽しめる!例えば子どもたちがはいているズボン。
手ぬぐい1本から出来ているんです。
作ったのはグラフィックデザイナーのモリユカさん。
我が子に着せる服を探すうちふと思いついたのがこの手ぬぐい服でした。
一枚の手ぬぐいで作るズボン。
作る時のちょっとしたコツを教えてもらいました。
この柄の場合二つ折りにして作ってしまうと随分こう寂しい感じになりますが片側に駅舎のほうを反転させて持ってくると前から見ても後ろから見ても柄がどっちかには入ってくるので。
そういうところがいいかなと思いますね。
今日最後の壺は…女子美術大学です。
ここでは6年前から手ぬぐいのユニークなプロジェクトに取り組んでいます。
使うのはいわゆるB反と呼ばれる染めむらやほころびのある手ぬぐい。
そもそもは授業で訪ねた染め物工場で目にしたのがきっかけでした。
これを新しい形で生かせないかと始まったのが…手ぬぐいのボンボン。
細かく裂いた手ぬぐいを加工しました。
バッグにつけてみたりとかあと髪の毛につけてもかわいいですね。
これはクールタイを今作っていまして。
保冷剤そういうのを活用しようと思って。
こうやって巻いてもらえば。
はい。
学生たちのエコでおしゃれな試みは話題になり企業からも制作の依頼が来るようになりました。
初めは手ぬぐいはかわいいとか好きという段階だったんですがそれから一歩手ぬぐいについて考えるようになりましてやはりこれはもったいない。
伝統的なものである。
それから素材の良さですね。
それをやっぱりしっかり学ぶ事になりました。
でそこの…これは作品ではなく…みんながこの夏取り組んだのは海で役に立つ手ぬぐいグッズ。
パッチワークの手ぬぐいをつないでいくとレジャーシートの出来上がり。
気持ちよさそうです。
海に持っていきたい飲み物や小物も手ぬぐいバッグがあればラクチン。
いち押しはこちら。
フード付きのガウン。
ぬれても砂がついてもすぐに洗ってすぐ乾く。
手ぬぐいの本領発揮です。
こんなものも作ってみました。
日よけのテントです。
素材は木綿と竹。
夏の海に彩りを添えます。
手ぬぐいの柔らかい素材の良さが海になじんでいるなと思いました。
今回使った色とか結構何にでも海とかにとても合ってる色で原色とかいろいろ使ってるんですけどそれがとても合ってると思います。
古くて新しい日本の知恵。
さあ手ぬぐいの夏を満喫しましょう!だから玉ちゃん僕のオリジナルの手ぬぐいデザインしてくれるんでしょ?お祭りに持っていく手ぬぐい。
はいはいそう思ってねちゃ〜んと作ってあるんですよ。
これです!見て下さい格子柄。
粋でしょ?横にね4本と5本で9本で「く」。
縦が3本で「さ」。
よせ文字でね「刈」という字を入れて地色が夏らしく青で「まっさお」。
「草刈まっさお」どうです?ハハハさすが玉ちゃん!粋な手ぬぐいありがとう。
早速祭りに行こう。
浴衣美人との出会いが待ってるよ〜。
今から?ちょっと待って。
今日お祭りやってない。
やってるって。
浴衣美人に会いたいですけど…。
こっちだ玄関。
お祭りやってないって。
(テーマ曲)2014/09/21(日) 23:00〜23:30
NHKEテレ1大阪
美の壺・選「手ぬぐい・夏」[字]
身近なテーマを中心に、美術鑑賞を3つのツボでわかりやすく。「手ぬぐい・夏」。京都・祇園祭の山鉾(ほこ)ごとに作られる、季節限定の手ぬぐいとは? 案内役:草刈正雄
詳細情報
番組内容
今や若者にも大人気の手ぬぐい。最先端の手ぬぐい活用法を通して、“魅力”を堪能する。鎌倉にたたずむお洒落な手ぬぐいカフェや、老舗の手ぬぐい問屋に学ぶ、素敵な夏の手ぬぐいのしつらえとは?京都・祇園祭の山鉾ごとに作られる、季節限定の手ぬぐいとは?また、江戸っ子が愛して止まない定番・「豆絞り」柄の手ぬぐいを作り続ける、唯一の職人技を紹介。果ては、夏のビーチですぐに活用できる、カワイイ手ぬぐい再生法も必見!
出演者
【ゲスト】五明樓玉の輔,【出演】草刈正雄,【語り】礒野佑子
ジャンル :
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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