(官兵衛)「宇都宮を討ち朝房ら人質を殺せ」と。
黒田家の家臣となった宇都宮一族を成敗するよう秀吉は官兵衛に命じた。
(清正)黒田様。
かくなる上は殿下の命に従い宇都宮を討つほかありませぬ。
殿下の逆鱗に触れてはなりませぬ。
一方中津城では留守を任された長政が独断で事を起こしていた。
(鎮房)黒田…。
(長政)一人たりとも逃すな。
宇都宮の郎党全てを斬り捨てよ!
(テーマ音楽)
(又兵衛)若!若!このようなだまし討ち豊前での黒田の信用は地に落ちました。
そればかりか黒田家末代までの汚名となりましょう。
その黒田家がなくなっては元も子もない!やるしかなかったのだ。
(又兵衛)この事殿は?父上は知らぬ。
だがそれでよいのだ。
泥をかぶるおつもりか?
(九郎右衛門)殿。
いかがであった?宇都宮一族は若によってことごとく成敗されました。
(善助)若は自分の手で決着をつけねばと思い込んだのでは?
(太兵衛)殿。
鎮房の嫡男朝房はいかがなされます?殿下は人質も殺せとの仰せでございます。
(光)鶴殿!このような事になって相すまぬ事を致した。
父をだまし討ちにした黒田のわびなど受けぬ。
殺すなら早く殺すがよい。
そなたを殺すような事はさせぬ。
必ずここから助け出します。
必ず。
更に長政は宇都宮の本拠地城井谷に兵を送る事を決めた。
出陣じゃ。
長政。
母上…。
これより城井谷を攻めまする。
お鶴殿は?一体どうするつもりです?まさか斬ろうというつもりでは…。
殿下の命に背けばこの黒田家が潰されてしまいます。
殿下は罪なき者をも皆殺しにせよと仰せですか?宇都宮に本領安堵を約束しながら国替えを命じ従わねば皆殺しとはなんと無慈悲な…。
一体これまで黒田がやってきた事は何だったのです!人を生かして使うのが黒田家の信条ではなかったのですか!太兵衛…。
朝房を呼べ。
はっ。
(善助)朝房…。
心して聞け。
(朝房)はい…。
(善助)お主の父鎮房は関白殿下の命により…中津にて成敗した。
お主にも…死んでもらう。
腹を切れ。
これは…誠の事でございますか?
(朝房)本領安堵をほごにしたのは秀吉ではないか。
それなのに我らを討つとは!あまりにも理不尽…。
はなから我らを滅ぼすつもりだったのだ!
(泣き声)うお〜っ!
(朝房)殺せ…。
殺せ!殺せ…。
(秀吉)どうじゃ?茶々。
うまそうであろう?これはな甘くてうまいんじゃぞ。
茶々。
気に入らんのか?一体茶々は何が欲しいんじゃ?茶々のためなら何でも手に入れるぞ!茶々何でも申してみよ。
茶々…。
(三成)恐れながら城はいかがでございましょう?
(秀吉)城?
(三成)第二のご正室の証しとして茶々様に見合う立派な城でございます。
城か…。
よう申した。
茶々城じゃ城じゃ!
(茶々)私のお城?そうじゃ。
茶々。
欲しくはないか?
(茶々)はい…。
できればそこで殿下のお子を産みとう存じます。
ハハハハハハハハハハ…。
このわしの子を産んでくれるか!ハハハハハハハハハ…。
分かった!城の一つや二ついくらでも用意してやる!三成!早速城を用意せよ!はっ。
(秀吉)申しつけたぞ!ハハハハハハハハハ…。
城じゃ城じゃ茶々の城じゃ!ハハハハハハハハハハハハハ…。
(近習)申し上げます。
何じゃ?豊前の黒田長政殿より報せが参りました。
(秀吉)何と?
(近習)宇都宮鎮房を討ち取ったと。
そうか…そうか!長政はやったか!ハハハハハハハハハハハハ…。
長政はこのわしの言う事に逆らったりはせぬ!ハハハハハハハ…。
(善助)宇都宮を討った事殿下は殊の外お喜びのご様子。
豊前は引き続き黒田に任せるとのお沙汰でございます。
豊前での我らの信用は思いの外保たれました。
若のなさった事が幸いしたようです。
糸!糸!
(糸)無事のお戻りおめでとうございます。
(長政)何を見ておる?飯だ。
(糸)支度ができておりませぬ。
何?
(糸)奥の女たちは皆殿に愛想を尽かし何のお世話もしたくないと申しております。
くだらぬ。
何が「くだらぬ」ですか?母上…。
これは城の女たち全ての者の思いです。
お鶴殿を牢から出しなさい。
母上…無理を申されますな。
お鶴を助けたりしたら殿下の命に背く事になります。
助けるのではない。
お鶴殿出るのだ。
案ずるな。
お方様が若に掛け合われたのだ。
(又兵衛)ただしよいか?我らはお主を助けた訳ではない。
お主が勝手に逃げたのだ。
お方様からだ。
どうした?情けは受けぬ。
恥を忍んでも生き残るのだ。
死んでは仇は討てぬぞ。
お鶴殿…。
生きよ。
何が何でも生きるのだ。
生きてさえいれば光も見えてくる。
5月。
肥後の一揆を鎮圧した官兵衛は中津城に戻った。
(長政)父上…。
(長政)こたびは父上にお伺いも立てずそれがし一人の考えで事を運びました。
申し訳ございませぬ。
お鶴を助けたそうだな。
いいえ。
お鶴殿は勝手に逃げたのです。
助けた訳ではございませぬ。
殿下にはそう伝えておく。
父上はおっしゃっていました。
もしあの時中津にいたら長政と同じ事をしていただろうと。
こたびはつらい戦でした…。
…はい。
(秀吉)肥後は2つに分かち与えた。
半国は小西行長。
(おね)もう半国は?
(秀吉)加藤清正じゃ。
清正に!?うむ。
おねも喜ぶであろうと思った。
(おね)ありがとうございます。
私からも礼を申します。
あやつの忠義に報いてやったんじゃ。
清正正則長政は私がこの手で育てた息子たち。
その息子たちが立派に出世し豊臣家のお役に立つ事ほどうれしい事はありませぬ。
おねはわしが三成ばかりかわいがっておると文句を言っておったがのうこれでそうではない事が分かったであろう。
はい。
フフフ。
フフフ。
は〜。
三成清正正則長政…。
皆このわしに認めてもらおうと懸命に競い合う。
それが豊臣家のためにもなるんじゃ。
競い合わせて力を出す事。
それをわしは信長様より教わった。
うまいやり方じゃ。
しかもそれが実に面白い。
面白い?フッ。
人は将棋の駒じゃ。
それをこのわしが自在に操る。
まるで神のようにな。
上様もそれを面白がっていたに違いない。
ハハハハハハハハハハ…。
7月肥後の一揆の責任を取り謹慎していた佐々成政に秀吉からの沙汰が言い渡された。
「佐々成政切腹申しつくるものなり」。
(成政)乱を起こした肥後の地侍どもは?同じく切腹申しつけられます。
(成政)そうか…。
我らは秀吉の手のひらの上で戦っておったのじゃな。
ハハハハハハハハハ…。
ハハハハハハハハハハハハハ…。
官兵衛…命拾いしたな。
(三成)佐々殿が昨日切腹致しました。
(秀吉)長政に感謝しないとな。
佐々がいなくなった肥後は2つに分け清正と行長に与えた。
何故あやつらを入れたか分かるか?いえ…。
いよいよその時が来たという事じゃ。
明でございます。
(秀吉)先鋒は清正と行長。
小早川が大将。
軍師はもちろん官兵衛じゃ。
信長様が成しえなかった夢をこの秀吉が成し遂げるんじゃ。
ハハハハハハハハ…。
殿下!何じゃ?天下太平は目の前ではございますが長い戦乱で民は疲弊しております。
何とぞしかと民の姿を見て頂きとう存じまする。
そのような事は分かっておる。
(三成)天下を治めた後海を渡り明を攻めるのは殿下の悲願でございます。
控えよ三成殿!今わしは殿下に申し上げておる。
口を挟むな。
殿下…。
何とぞ…お考え直し下さい!
(秀吉)お主このわしの夢にけちをつける気か?そうではございませぬ。
何とぞ…。
これ以上申すな!
(利休)耳の痛い事を言ってくれるお方がおられるうちが花でございます。
利休よ。
わしは黒茶碗は嫌いじゃ。
殿下にもいずれそのよさがお分かりになります。
三成。
はっ。
参るぞ。
(マグダレナ)挨拶もせず無礼な!
(おね)官兵衛殿お待たせ致した。
(おね)暑気払いじゃ。
召し上がれ。
頂きまする。
(おね)松寿も好きでした。
松寿…いえ長政は息災ですか?はっ。
宇都宮の一件には遠い大坂から気をもんでいました。
ご心配をおかけし申し訳ございませぬ。
あの子があんな思い切った事をやり遂げるとは…。
黒田の跡取りとしての覚悟は出来ておるようでございまする。
立派な跡取りになってくれれば私もうれしい限り。
あんな小さかった子どもたちが皆立派な武将になっていく。
それはよいのじゃが…。
豊臣家は急に大きくなった。
それが不安です。
殿下は天下人になられてから少々人が変わった…。
(マグダレナ)お方様もおつらい事が多いのでございます。
茶々様でございます。
殿下のご執心ぶりは度が過ぎております。
おやめなさい。
三成殿などは茶々様に擦り寄る事で権勢を欲しいまま。
(おね)これいい加減にせぬか。
言い過ぎました。
申し訳ございませぬ。
(おね)信長様がお亡くなりになって殿下は瞬く間に天下をお取りになった。
家中をまとめるいとまもないほどに…。
それゆえその家中が割れやせぬかと気がかりでなりませぬ。
官兵衛殿そなたが頼りなのです。
中津には肥後に向かう途中の加藤清正が立ち寄った。
25万石の大出世おめでとうございます!
(一同)おめでとうございます。
(清正)あ〜。
あ〜。
これからは黒田家と加藤家今まで以上に深くつきおうていきたいものじゃ。
ええ。
(清正)いやそうせねばならぬ。
おね様が肩身の狭い思いをされておる事は知っておろう?茶々様でございますな?茶々様は所詮は小娘。
元凶は裏で権勢を欲しいままにしておる三成じゃ。
あやつは我らを殿下から遠ざけようと躍起になっておる。
黒田が豊前の一揆で窮地に追いやられたのも三成が裏で手を回していたからじゃ。
長政!お前はわしや正則と同じくおね様に育てられた豊臣の身内じゃ。
これからは我らが共に力を合わせて豊臣の天下を支えていくのじゃ。
無論です。
それがしの命はおね様と亡き半兵衛様にお救い頂いたもの。
豊臣家のためこの命捨てる覚悟は出来ております!
(清正)よう言うた。
一方家康はいまだ秀吉に従おうとしない関東の北条に上洛を促していた。
(家康)北条は上洛を渋っておるか…。
(直政)はい。
関白殿下の再三の催促にもかかわらず…。
(忠勝)書状を出されては…?「これ以上先延ばしにするなら我が娘を返せ」と。
北条の嫡男に嫁がれた督姫様をでございますか?聞き入れるとは思えませぬが。
殿が北条を説いている事さえ大坂に伝われば聞き入れずともよいのだ。
(家康)うむ…。
(忠勝)九州が鎮まった今あの秀吉は必ず北条を討ちに出ます。
北条と共倒れだけは避けねばなりませぬ。
分かっておる。
わしは上洛するぞ。
(忠勝)お忙しい事ですな。
殿何をしに参られるので?
(直政)ご正室の朝日様が母君大政所様の病気見舞いに行きたいとお望みでございます。
(康政)そのような事でわざわざ上洛でございますか?康政けちくさい事を申すな。
関白を安心させるのじゃ。
それに会うてみたい男がおる。
(秀吉)徳川殿。
我が妹のわがままに付き添って下さりかたじけのうござる。
(家康)もったいなきお言葉。
大政所様のご快癒お祈り致しております。
かたじけない。
どうじゃ徳川殿。
しばらくこちらでゆるりとしてこのわしと共に鷹狩りにでも参らぬか?是非。
楽しみにしております。
ハハハハハハハ…。
楽しみじゃ楽しみじゃ。
ハハハハハハハハ…。
ところで北条だ…。
はい。
(秀吉)いまだ上洛しようとせぬ。
フフフフフ…。
なめられたものよ。
このわしを百姓上がりと侮っておるのであろう。
北条には我が娘が嫁いでおります。
それがしが説き伏せ必ずや上洛させてみせまする。
近頃わしも年のせいか気が短くなってのう。
わしの堪忍袋の緒が切れぬうちに上洛すればよいがのう…。
わざわざお呼び立てして申し訳ありませぬ。
いえ…。
してご用向きは?実は黒田様にどうしてもお会いしたいというお方がおられましてな…。
お初にお目にかかる。
徳川家康でござる。
黒田官兵衛にござる。
名高き軍師殿に是非一度お会いしたかった。
それがしもお会いしとうございました。
徳川様は戦で唯一殿下を破ったお方。
ご尊顔を拝す事ができ光栄の至りでございまする。
長久手の戦でござるか?あの戦には官兵衛殿がおらず誠ついておったわ。
ハハハハ。
わしもお主のような軍師が欲しいものじゃ。
そう遠くないうちに戦のない世が訪れます。
さすれば軍師など無用の長物。
太平の世が来ると思うか?はっ。
豊臣の天下を奪い取ろうとする者が現れぬ限りは…。
そのような大それた野心を抱く者などおらぬであろう。
(2人の笑い声)先日こんな噂を耳にした。
(家康)ある時殿下がお伽衆に聞いたそうじゃ。
回想このわしが死んだら次の天下人は誰じゃと思う?ほれ申さぬか!それは徳川様でござりましょう。
(秀吉)オッホホホホホホホ。
前田利家様です。
(秀吉)ハハハハハ。
いや毛利もおります。
いやいや…。
上杉も侮れませぬ。
(一同の笑い声)だがいずれも殿下は「違う」とおっしゃる。
回想肝心な男を一人忘れてはおらぬか?その男はこのわしが何日も何日も考えて考え抜いた策を瞬時に思いつく。
100万の大軍を率い英知と器量を持つ男。
ハハハハハハハ…。
ハハハハハハハハ。
誰じゃ誰じゃ?誰じゃ誰じゃ誰じゃ誰じゃ?官兵衛じゃ。
次に天下を取るのは官兵衛に違いない。
わしは隠居し長政に家督を譲ろうと思う。
これで豊臣家は安泰でございます。
豊臣家の先行きは危のうござる!豊臣家の跡継ぎを無事に産んでみせまする。
覚悟が出来ておられるようじゃ。
人は子ができるとここまでもうろくするとは思いも寄りませなんだ。
(おね)天下人の座は人を狂わせるのか…。
黒田家は宇都宮氏を征伐して豊前での一揆を鎮めました。
宇都宮氏の菩提寺天徳寺には鎮房が父と息子と共に葬られています。
領民にも慕われた鎮房。
その墓は今も地元の人々によって守られているのです
中津城下にある合元寺。
寺の壁は戦いで血に染まりそのために赤く塗り替えられたという逸話が伝えられています
後に官兵衛が詠んだ歌は宇都宮氏を滅ぼした事への後悔が込められているといわれています
戦のない世を目指す官兵衛と領地を守ろうとした鎮房。
両者の戦いは戦国の世の厳しさを今に伝えているのです
2014/09/21(日) 20:00〜20:45
NHK総合1・神戸
軍師官兵衛(38)「追い込まれる軍師」[解][字][デ]
秀吉(竹中直人)の冷酷な命令を、長政(松坂桃李)、官兵衛(岡田准一)の親子は黒田家存続のため、やむなく実行する。そして、官兵衛は家康(寺尾聰)と初対面を果たす。
詳細情報
番組内容
秀吉(竹中直人)からの宇都宮討伐の命令を長政(松坂桃李)が実行したと知った官兵衛(岡田准一)は苦渋の末、鎮房の嫡男朝房(橋本淳)の処遇を決断、実行する。一方、光(中谷美紀)は鎮房の娘・鶴(市川由衣)を救うよう長政に迫る。何とか黒田家の存続はかなったものの、秀吉は官兵衛に対する警戒心を強めて行く。そして大坂城を訪れた家康(寺尾聰)とついに初の対面を果たした官兵衛は、その場で衝撃の事実を教えられる。
出演者
【出演】岡田准一,中谷美紀,寺尾聰,松坂桃李,二階堂ふみ,濱田岳,速水もこみち,高橋一生,塚本高史,田中圭,高畑充希,阿知波悟美,阿部進之介,東幹久,塩野谷正幸,中村育二,玄覺悠子,大谷亮介ほか
原作・脚本
【作】前川洋一
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
ドラマ – 時代劇
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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