(テーマ音楽)古代遺跡を切り分けて移動させダムへの水没から救いました。
人類の遺産を守る世界遺産の始まりです。
ナイル川の上流のヌビア地方には古代エジプトの数々の遺跡があります。
その中で最大の…古代エジプトの王ラメセス2世が岩山をくりぬいて築きました。
紀元前13世紀ラメセス2世の下でエジプトは強大な国となっていました。
王は征服にてこずっていたヌビア人に対して巨大神殿を造ることでエジプトの強さを示そうとしたのです。
それから3,000年以上の時を経た1960年代神殿に水没の危機が迫りました。
アスワン・ハイ・ダムの建設です。
「貴重な遺産を水没させるな」という声が世界じゅうから起こります。
そしてユネスコを中心に50か国が協力し神殿を丸ごと移築する大事業が始まりました。
爆薬は一切使わず神殿は1万6,000個のブロックに分割されました。
神殿の再建は1968年。
これがきっかけとなって4年後に世界遺産の条約が採択されるのです。
神殿は位置は変わっても方位はそのまま。
太陽に向かう方向は同じです。
奥行きは63m。
暗闇の一番奥聖なる場所には古代エジプトの偉大な神々と並んでラメセス2世の像があります。
王は自らを神格化していたのです。
アブ・シンベル大神殿の移設から4年後ダムに沈んでいた別の遺跡も救い出されました。
神殿はかつて「ナイルの真珠」と呼ばれた小島に建っていました。
その島と地形が似ている島に移築されたイシス神殿。
神殿が造られたのは紀元前4世紀ごろ。
イシスは再生と復活をつかさどると信じられていました。
神殿の奥の壁には子供を抱いて授乳するイシスが刻まれています。
この姿はその後イエスを抱く聖母マリアの像へ受け継がれたといわれています。
2月20日ごろ夜明け前のアブ・シンベル大神殿は観光客でいっぱいになります。
方位を変えずに移築された神殿には2月と10月に昔と同じ現象が起きるからです。
日の出です。
人々が待ちに待った時が訪れました。
その瞬間です。
暗闇に座っていたラメセス2世の像をスポットライトのように照らします。
朝日は再生の象徴です。
神殿はよみがえりラメセス2世は永遠の光を浴びて輝きます。
2014/09/21(日) 04:25〜04:30
NHK総合1・神戸
シリーズ世界遺産100「ヌビア遺跡群〜エジプト〜」[字]
ヌビア地方にある古代エジプトの遺跡。その中で最大のアブ・シンベル大神殿は1960年代、ダム建設で水没の危機に直面したが、ユネスコが中心となって移築が行われた。
詳細情報
番組内容
ナイル川上流のヌビア地方にある古代エジプトの遺跡の数々。その中で最大のものはアブ・シンベル大神殿。紀元前13世紀、ラメセス2世がエジプトの強さを示そうと、巨大神殿を建設した。神殿は1960年代、アスワン・ハイ・ダムの建設で水没の危機に直面した。貴重な遺跡を水没から救おうとユネスコを中心に50か国が協力し、神殿を移築する大事業が行われた。これがきっかけとなって、世界遺産の条約が採択された。
出演者
【語り】松平定知
音楽
【音楽】久石譲
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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