谷口教授らは大阪大学と協力して梅田の地下街の浸水からの3D避難シミュレーターの作成を進めている。大阪大学にある縦2・4メートル、横6・5メートルの大型3Dディスプレーを活用。地下街の実物大の3D映像に、入り込んだ水や避難する約2万5千人のCGを加え、コントローラーを使って、避難の疑似体験ができるプログラムにする予定で来月にも完成させる。
大阪大学サイバーメディアセンターの安福健祐助教は「将来的には各管理会社の想定などを参考に浸水状況など、より正確なデータを加えていきたい。利用者の状況なども反映できたら」と話している。
南海トラフ巨大地震では、地震発生から約1時間50分後に大阪市沿岸部に3〜4メートルの津波が到達、梅田には最大約2メートルの津波が来ると想定されている。地下街の浸水避難対策では、水がどこか1カ所から入ってきても全域に被害が及ぶため、接続し合っているすべての関係者が連携することが大切だ。しかし、これまで各管理会社で避難計画は作っていたが、連携できていなかった。
大阪市では今年、梅田やミナミなど市内の各地下街や接続ビルの会社に呼びかけて「市地下空間浸水対策協議会」を設置。大阪府や国土交通省も参加し、まず今年度中に梅田の地下街の全体的な避難計画を作ることにしている。ただ、現在も地下街の接続ビルの約4割が協議会に参加しておらず、市は「地下街の避難対策は個別にやっても意味がない。協力を呼びかけて実効性を高めたい」としている。今後、谷口教授のデータを使って混雑などを予想し、効率的な誘導方法を考える。津波が到達するまでに利用者全員を避難させる必要があり、避難ビルの指定なども進めている。
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