ららら♪クラシック「ガーシュウィンの“ラプソディー・イン・ブルー”」 2014.09.20

あのクラシックの名曲をあなたのものに。
人生を豊かにしてくれる一曲を一緒に見つけませんか?「ららら♪クラシック」今回は…。

(「ラプソディー・イン・ブルー」)ピアノを学ぶ音大生のだめが活躍するドラマのテーマ曲となり有名になりましたよね。
「これってクラシック?」と思うようなノリのいい曲を作ったのはアメリカの作曲家…実はこの曲彼にとって初めてのオーケストラ作品なんです。
この作品が生まれた意外なきっかけとは?そして彼が描こうとしたのはアメリカのリアルな姿。
それはどんなものだったのでしょう?ゲストはアメリカ出身のユージさん。
アメリカの表情を音で描いた「ラプソディー・イン・ブルー」。
アメリカ中から愛されたガーシュウィンの名曲をお届けします。
「ららら♪クラシック」今日はガーシュウィンの「ラプソディー・イン・ブルー」をご紹介します。
アメリカ生まれのね本当にノリのいい曲ですよね。
ではこの曲にぴったりのゲストアメリカ出身の俳優タレントのユージさんです。
(一同)よろしくお願いします。
ユージさんはアメリカのどちらのご出身なんですか?フロリダ州のマイアミっていう所で生まれました。
5歳の時に日本に来てそこからはずっと日本にいますね。
今日ご紹介する「ラプソディー・イン・ブルー」なんですけどこの曲はご存じでした?タイトル聞いてパッと思い浮かぶ曲ではなかったんですけど聴いた事ある曲だなと。
他のクラシックの曲とかは僕は聴いてたら結構心安らぐものが多かったりするんですけど…いたずらしたくなる曲ね。
作曲したガーシュウィンはアメリカではクラシックやジャズというジャンルを超えて活躍した人でニューヨークには彼の名前が付いた通りとか劇場もあるそうなんです。
へぇ〜!ガーシュウィン通りですか。
そんなガーシュウィンについて早速ですがここで「ららら♪クイズ」です。
こちら。
この作品に対してガーシュウィンは一体何のようだと言ったのか。
1「アメリカの摩天楼」。
2「アメリカの万華鏡」。
3「アメリカの魔術師」。
これいつごろの曲ですか?何年?1900…。
1920年代ですね。
20年代でしたら1番でしょうね。
「アメリカの摩天楼」と。
間違いないです。
残念!
(不正解のブザー音)やっぱりな。
迷ったんですよ。
ほんとに迷ったんですよ。
情報にだまされてしまった。
うわぁ〜くそ!それではなぜ「アメリカの万華鏡」と例えられたのかこの作品について詳しく見ていきましょう。
ガーシュウィンの「ラプソディー・イン・ブルー」が生まれたのは…経済や文化の中心として世界中から人々が集まる…いつも活気に満ちあふれた街です。
ガーシュウィンはこの曲でニューヨークに象徴されるアメリカを描きました。
曲のイメージが浮かんだ時の彼の言葉です。
ガーシュウィンが音で描いたアメリカとは?1920年代のアメリカ合衆国は「ゴールデン・エージ」と呼ばれた黄金時代。
第1次大戦の勝利により空前の好景気に沸いていました。
「新世界で成功をつかみたい」。
アメリカン・ドリームを胸に世界中からこの国に人々が移り住んできました。
さまざまな人種が交じり合う中新たな文化が生まれていきます。
音楽の世界にも活気が満ちていました。
19世紀後半から20世紀前半にかけニューヨークのコンサートホールでは名だたる作品が演奏され注目を集めていました。
しかしプログラムに並ぶのは…そのためアメリカならではの音楽が待ち望まれていたのです。
一方ニューヨークの街角で人々が楽しんでいたのはラグタイムやジャズブルースといった音楽でした。
独特のリズムとメロディーを持つこれらの音楽は白人たちをもとりこにしアメリカ中に広がっていったのです。
ニューヨークで生まれたガーシュウィンは幼い頃からこうした音楽を聴いて育ちました。
そして今日の名曲「ラプソディー・イン・ブルー」にも街で耳にした音楽を積極的に取り入れたのです。
ガーシュウィンは「音楽的な万華鏡」というふうにこの作品を言ったわけですが例えばラグタイムの非常に後打ちリズム的なノリの良さですとかデキシーランドジャズの非常に華やかでこうウキウキしたような感じしかしその一方でブルースのような非常に哀愁を帯びたような感情まで表現されているわけなんですね。
この曲がヒットした理由というのは一つは時代背景があると思います。
人々の間に非常に文化的なエネルギーというものが満ちあふれていまして…「これはすばらしい。
新しい音楽だ」となったわけです。
ガーシュウィンが音で描いた万華鏡「ラプソディー・イン・ブルー」。
それは多彩で活気に満ちたアメリカならではの曲だったのです。
いかがですか?万華鏡ってやっぱりのぞいたりとかこう回したりとかすると変わるじゃないですか。
きらびやかで大きい建物もあるけどどんどん成長していくアメリカがまさに曲で表現した感じですよね。
すばらしいと思いますよ。
目まぐるしく変化していく感じ。
楽しい。
曲調ごとに何となく…この「ラプソディー・イン・ブルー」なんですが実は曲のタイトル…また全然イメージ違いますね。
だいぶ印象が違います。
でお兄さんの提案によって「ラプソディー・イン・ブルー」というタイトルに。
どうですか?「ブルー」といえば…。
やっぱブルーといえば…あとは情緒的な意味で…でもブルーってセクシーな色でもあるんですよね。
確かに。
アダルト物に関しては日本は「ピンク映画」って言いますけど向こうは「ブルーフィルム」と呼ぶので。
そうなんですか!?ちょっとセクシーだなと思ったんですよこの曲。
イントロら辺が…。
ほんとにほんとに。

(「ラプソディー・イン・ブルー」冒頭)かなりセクシー。
あれがちょっとセクシーさを出してるなと思ったんですよね。
ではこの曲ニューヨークだけではなくてアメリカ中で愛される曲となって更には国を代表するような大きな舞台で演奏されるまでになったんですがその舞台とは一体どこだと思いますか?う〜ん…ってなるとアメリカは野球じゃないですか?更に大きいですね。

(「ラプソディー・イン・ブルー」)すご〜い。
すごいね〜!もうこの画がすごいね。
発想が大胆ですね。
84年だからピアノ84台持っていこうっていうちょっと発想としては実はすごいシンプルなんだけど意外とやろうと思ったら誰もできないような事ですからね。
アメリカという自分たちの国の文化を代表する曲として選ばれたのはすごいですよね。
しかも作曲して50年後。
そうですね。
ガーシュウィンもうれしかったろうなぁ。
アメリカに愛された曲になりましたからね。
1898年ジョージ・ガーシュウィンはユダヤ系ロシア移民の子としてニューヨークの下町ブルックリンに生まれました。
12歳でピアノを始めるとめきめきと上達。
クラシックだけではなくポピュラーミュージックまで幅広い音楽を吸収していきます。
その後独学で作曲を学び…ヒットに恵まれ瞬く間にミュージカル界の人気作曲家となりました。
そして25歳になった彼に思いも寄らぬ出来事が起こります。
兄とビリヤードをしている最中ある新聞記事が目に留まりました。
その内容にガーシュウィンは驚きます。
「それに向けガーシュウィンもジャズ風のピアノ協奏曲を制作中だ」というのです。
演奏会なんて全くの初耳。
忙しいうえにこれまで書いた事のないオーケストラ作品など到底無理な話だと断りました。
ところが既に新聞で大きく取り上げられてしまったため後戻りはできないと半ば強引に押し切られてしまったのです。
突然の依頼に戸惑いながらも自分の作品が注目の演奏会で披露される事には心が躍りました。
新しいアイデアが次々と浮かんできたといいます。
周囲の手も借りガーシュウィンはなんとか1か月ほどでジャズ風のピアノ協奏曲を完成させました。
そしてホワイトマンが企画した演奏会の日。
多くの作曲家たちが次々と意欲作を披露しますが聴衆の期待に応える作品はなかなか現れません。
期待外れに終わるかと思われた演奏会の終盤登場したのが「ラプソディー・イン・ブルー」です。

(「ラプソディー・イン・ブルー」)クラリネットの独特な音色で始まる曲の冒頭。
それまで漂っていた会場の空気がガラリと変わりました。
クラシックジャズラグタイムブルース…。
さまざまな要素が次々と現れるこれまでにない新しい音楽。
ガーシュウィン自らがピアノを弾き大成功を収めました。
翌日の新聞には…。
この曲の成功でガーシュウィンはアメリカを代表する作曲家へと羽ばたいていったのです。
すごいですね。
ポール・ホワイトマンでしたっけ依頼もしていない仕事をもう計画だからと言ってマスコミに流してしまう。
にくいやつですね。
ずるいですね。
また当時の媒体として新聞っていう影響力は相当強いと思うんですよ。
今みたいにネットもないし。
となると新聞にあんな事書かれたらもう…。
にくいですねぇ。
断れないじゃないですかもう。
僕はあんな事言われたら舞台としては大きい舞台だからうれしいんだけど俺は意外とプレッシャーに弱いからやるんだけどあの大成功の結果で終わらないタイプですね。
しかもガーシュウィンは自分の弾くパートは結局譜面が出来上がらずに当日即興で弾いたんですって。
自分の出番。
それにまたオーケストラが合わせてくるっていうのがすごいですよね。
それよっぽど信頼し合ってるクルーじゃなきゃできないですよね。
しかもねこの企画したコンサートなんですけれども当日会場にラフマニノフやストラヴィンスキーそれからマーチ王のスーザとかね大作曲家から一流演奏家までが顔をそろえる豪華な注目度の高い演奏会だったという事なんですね。
すごい方々がそんなにいた中でガーシュウィンがやっぱりすごい爪痕を残したんですね。
そうです。
この時ポール・ホワイトマンがこんなやり方で口説くぐらいでしたから当代一の売れっ子だったはずなんですけどそこから更にこの曲でギュインと大スターに上っていくんですね。
すごいですよほんとに。
だから今のVTR見てて僕ふと思ったんですけどこれはアメリカの音楽的な独立宣言みたいなものだったんだなという気がしましたね。
ヨーロッパのまねではない自分たちの文化がオリジナルにある音楽っていう形でね。
今日の名曲は…ガーシュウィンはこの作品に当時のアメリカを映し出しました。
突然舞い込んだ依頼に戸惑いながらも曲は大ヒット!アメリカを代表する一曲として多くの人に愛され続けているのです。
まるで万華鏡のようにクルクルと表情を変えるこの作品。
変化の秘密を作曲家の美濃さんが解説します。
さあこの曲のポイントそれは…ではこれから演奏する部分が「ノリ」に感じるかそれとも「かげり」に感じるか印象をお答え頂きたいと思います。
分かりました。
僕は「かげり」に感じましたね。
どんな陰?リズミカルではあるんですけど「ズンチャズンチャ…」みたいな何ともいえない「かげり」にそこなんか感じたんですよね。
言われてみればそうなんですけど「ノリ」とお答え頂きたかった。
あれ?ここ「ノリ」だったんですね。
そうなんです。
実はこの…。
ズンチャズンチャ。
まあまあそう言われたら「ノリ」に聴こえてきましたね。
これが当時アメリカで流行だったラグタイムの影響。
何ていうんですかこの指パッチン。
(指を鳴らす音)こういうノリがしたくなるようなかっこいいノリを感じるリズムがまさにアメリカのノリ。
分かるわぁ。
俺も確かにね手拍子でリズムとる人が多いじゃないですか。
俺こっちなんですよいつも。
(指を鳴らす音)やっぱアメリカの血が騒ぐんでしょうねそこは。
では今度は曲に何度も出てくる特徴的なメロディーですけれどもこちらは「ノリ」でしょうか「かげり」でしょうか。
これはもう分かりやすいですよ。
さあどうですか?これは「かげり」です。
正解です。
この印象的なメロディーなんですが実は「ブルーノート」。
ブルーノートってよく聞きますよね。
これ一般的にね音階の3つ目の音と7つ目の音が少し下がっているものをブルーノートというんですね。
例えばハ長調のドレミでご紹介すると…。
ドから数えて3番目と7番目の音を半音下げると…。
ちょっとしたこう半音下がった…。
ちょいズレの感覚というのがまさにブルーノート。
なるほどね。
しかもこのちょっと悲しげなかげりのある音階に対して…。
メジャーのコードをつけるというのが…。
ブルーノートのちょっとおしゃれな部分なんですよね。
さあそれではブルーノートを感じて頂くためにちょっと聴き比べて頂きたいと思います。
何色に感じますか?黄色いきれいなお花がいっぱい咲いてるお花畑で。
春ですね。
うん。
お花摘んでピクニックして楽しいなみたいな。
なるほど。
ではブルーノートだと…。
これはもう…そういう感じですね。
今すごいナイス比喩でした。
こういう特徴的なブルーノートを使ってこの作品は随所にね…ブルーノートっていうもの自体が綿花を摘んでいる昔の黒人の人たちが歌っているブルースっていう音楽ありますけれどそこから発祥しているって言われているんですよね。
なのですごく厳しい環境だったり人種差別の苦しみなんかを背景にした人間くさいブルースっていうのがあるんでしょうね。
でもやっぱりそういう人たちが楽しくなるために音楽で楽しさを表現してたりとかするから多分曲の中にかげりや楽しさが出てるのかもしれないですね。
それではカット版でお聴き頂きましょう。
ガーシュウィンの「ラプソディー・イン・ブルー」です。
いやぁすばらしいですね。
ちょっと感動しちゃいましたね。
ほんとに万華鏡のように七変化する様子が曲を通して感じられましたね。
ユーモアがあってチャーミングで一度聴いただけでグッと持っていかれてしまいますよね。
またちょっとはすっぱな魅力もあるんですよね。
どうでしょうオープニングではいたずらしたくなる曲とおっしゃってましたけど気持ちは変わりましたか?いやぁちょっとだからいやらしい事を考えていたずらを仕掛けようとする若い男の子が最初出てきてみんなから注目を得るようなマダムが来て手が届かなくて頑張っていく少年の様子が僕は…。
僕そういう女性が出てきてユージさんがいたずらするのかと思ってたらそうじゃない。
まさに音楽の万華鏡のような作品。
皆さんには何が見えましたか?2014/09/20(土) 21:30〜22:00
NHKEテレ1大阪
ららら♪クラシック「ガーシュウィンの“ラプソディー・イン・ブルー”」[字]

オーケストラ初挑戦ながらも爆発的な人気を得た「ラプソディー・イン・ブルー」。そこには風変わりな作曲依頼があった。流行を巧みに取り入れ、広く愛された名曲をひも解く

詳細情報
番組内容
今回はガーシュウィンの「ラプソディー・イン・ブルー」。彼の初めてのオーケストラ作品ながらも爆発的な人気を得た曲である。ミュージカル界で活躍していた頃に舞い込んだ風変わりな作曲依頼にも関わらず、1920年代アメリカという時代の空気を読み取ったガーシュウィンの名曲である。当時の流行を巧みに取り入れ、クラシックやジャズ、ポップスなどジャンルの枠を超えてアメリカで愛されたニューヨーク生まれの名曲をひも解く
出演者
【出演】ユージ,音楽学者…野本由紀夫,指揮者…山下一史,ピアニスト…松永貴志,管弦楽…東京フィルハーモニー交響楽団,【司会】石田衣良,加羽沢美濃,【語り】服部伴蔵門

ジャンル :
音楽 – クラシック・オペラ
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
劇場/公演 – ダンス・バレエ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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