NHKスペシャル 巨大災害 第3集「巨大地震 見えてきた脅威のメカニズム」 2014.09.20

日本から8,000km北欧ノルウェーのフィヨルドです。
いつも静かなこの海で3年前奇妙な現象が目撃されていました。
海面があっという間に2m近くも上昇したのです。
地元の科学者が調べたところ意外な事実が分かりました。
ノルウェーのフィヨルドの異変それを引き起こしたのは…。
日本で起きた巨大地震が生み出した震動地震波だったのです。
地震波は地球内部のマントルを通って22分後にノルウェーに到達。
その地震波がフィヨルドの水を揺り動かしていたのです。
地球内部を伝わっていく地震波。
その地震波を捉え地下の構造を探る研究が進んでいます。
最新の科学が描き出した地球内部の姿。
ここから巨大地震の発生メカニズムが解き明かされようとしています。
大気と水そして大地が絶えず循環し続ける地球。
秘められたエネルギーは時として暴走し私たちに襲いかかります。
荒ぶる地球。
その脅威から私たちは逃れる事はできません。
あの巨大地震から3年半。
日本の地震研究は新たな段階を迎えています。
詳細に描き出された東北の地下。
震源を分析した結果地震を巨大化させた特異な構造が浮かび上がってきました。
地下20kmのプレート同士の境目。
そこには巨大な山が潜んでいました。
ここに数百年以上にわたって膨大な地震のエネルギーが蓄えられていたのです。
更に巨大地震の最後の引き金を引いた物質の存在が初めて確認されました。
それは地球内部を循環するマントルにある物質。
地震の発生に深く関わっていたのです。
これらの発見は次の巨大地震が危惧される南海トラフにも新たな脅威を浮かび上がらせています。
激しい揺れや津波を引き起こす膨大なエネルギーの源が見えてきたのです。
最新の科学は繰り返し起きる巨大地震を地球内部の壮大な営みから読み解こうとしています。
巨大地震その脅威のメカニズムに迫ります。
「巨大災害MEGADISASTER」今回は巨大地震を取り上げます。
(タモリ)僕は福岡の生まれなんですけど福岡って異常に地震が少ないんですよ。
高校生までに経験したっていうのは震度2があるかないかです。
東京に出てきて…。
違いました?いや学生の時に友達の同級生のとこに…部屋にいたんですよ。
震度3ぐらいが来たんです。
もう駄目だと思いましたね。
あれは怖かったですね。
なるほど。
巨大地震っていうと…。
だからそんなもんじゃないですからね。
ここからは専門家の方と一緒にお伝えしていきます。
海洋研究開発機構の小平秀一さんです。
(一同)よろしくお願いします。
小平さんは地震が起こるメカニズムを研究していらっしゃいます。
あの地震があってそれ以後研究っていうのはやっぱりガラッと変わったんですか?
(小平)変わったというかやっぱりあの地震が起きてさまざまな調査をしたり多くの余震が起きたりして地震に関するデータ量が膨大に増えてですね…と同時に新たな知見も増えて私たちの地震に関する考え方っていうのが新しい方向性に向かってきているのかなっていうふうに見えますね。
いろんな事が分かってきて…。
3年前東北沖で起きた巨大地震。
その仕組みが急速に解き明かされています。
日本の地震研究の拠点東北大学です。
長谷川昭さんと趙大鵬さんは長年東北で起きる地震の発生メカニズムを研究してきました。
科学者たちが過去100年の観測データから割り出していた東北沖の地震の震源です。
大小およそ1,300。
どこで地震が起きるのかある程度把握できたと考えられていました。
しかし2011年3月予想もしていなかった巨大地震が発生。
およそ2万人が犠牲になりました。
震源は過去100年間大きな地震が起きていなかった場所でした。
ここを起点に南北500km東西200kmの範囲がずれ動いたのです。
長谷川さんたちはこれまでの研究を見つめ直し改めて地震発生の謎の解明に取り組んでいます。
こちらです。
力を入れてきたのが東北沖の地下の構造を明らかにする事。
地震波で見えない地下を画像化する地震波トモグラフィーという手法です。
地震波は地下の硬い所では速く伝わり軟らかい所では遅くなります。
このため地上への到達時間には差が生まれます。
多くの地震波を捉え続ける事で硬い所と軟らかい所が立体的に浮かび上がり地下の構造が見えてきます。
最先端の技術で描き出された東北の地下の姿です。
赤く見える軟らかい部分から青く見える硬い部分まで複雑に入り組んでいます。
特に目立つのが斜めに傾いている青い部分。
太平洋プレートです。
巨大地震はこのプレートと上に載っている陸側のプレートの境目で発生しました。
その境目太平洋プレートの表面を詳しく分析すると…。
表面にも硬い青い領域と軟らかい赤い領域が見つかったのです。
2011年の巨大地震が起きたのは青い領域の中心付近でした。
青い領域では大きな地震が起きる。
趙さんは過去の地震の震源を確かめる事にしました。
1978年に起きたマグニチュード7.4の宮城県沖地震。
震源は青い領域でした。
1994年に発生したマグニチュード7.6の三陸はるか沖地震。
この時の震源も青い領域でした。
過去に起きた地震の規模を円の大きさで示します。
大きな地震は青い領域に集中していました。
巨大地震の解明には青く見える硬い領域を詳しく調べる事が重要だと分かってきたのです。
プレート境界の青い領域でなぜ大きな地震が起きるのか。
その秘密が海洋研究開発機構が行った海底の調査から明らかになってきました。
小平さんたちは特殊な装置を使って東北沖のプレート境界の構造を詳しく調べました。
調査の様子です。
海面を揺らしているのは…人工的に地震波を発生させます。
エアガンが発生させる人工的な地震波。
地下から反射してくる地震波を捉えます。
そのデータを詳しく分析する事で海底下のプレートの断面を詳細に描く事ができるのです。
エアガンの解析結果です。
巨大地震の震源付近青い領域の断面を見てみます。
プレート境界にはギザギザとした山のような構造が並んでいました。
過去にほかの場所で行った調査ではこれほどの凹凸は見られません。
青い領域ではプレートの表面が起伏に富んでいたのです。
小平さんたちが特に注目したのは地下20km付近に見つかった大きな山のような部分です。
高さはおよそ2,000mにも及んでいました。
こここそ巨大地震の震源の中心。
まさに地震の発生地点だったのです。
なぜ山のような構造がプレート境界に存在していたのか。
その手がかりが東北沖の海底にありました。
プレートが沈み込む日本海溝。
右側の太平洋プレートの表面には山や無数の凹凸が見えます。
小平さんはこうした海底の凹凸が形をとどめたまま陸側のプレートの下に沈み込んだと考えています。
巨大地震の震源から見つかった山のような構造。
ここが強くかみ合い大きな歪みをためていたと考えられます。
模型を使って実験しました。
プレートに見立てたシリコン。
表面には突起をつけています。
2つを強く押しつけて動かしていきます。
すると山の周辺でシリコンの色が白く変わりました。
歪みのエネルギーがたまっている事を示しています。
実験の結果山が大きいほどより歪みがたまる事が分かりました。
巨大地震の震源付近で見つかった山のような構造。
少なくとも過去600年以上にわたって歪みをため続け地震を巨大化させたと見られるのです。
山のような構造があったために更に巨大な地震が起きたという事が初めて分かった訳ですよね。
プレート境界っていうのは大局的に見るとスムーズな陸側に傾斜した板というか面だと思ってたんですけど詳細に私たち行って調べてみるとまあそんな事はなくて…非常に起伏に富んでいる形状をして沈み込んでいるなっていうのが分かってきたんですね。
今回の地震の震源破壊地震が始まった所にやや大きめな起伏があったというのが今回見えてきた事になりますね。
でもあの山の高さって2,000mでしょ?そうですね。
我々が陸上で見てると富士山ぐらいの山とか比較的大きなものが入っていくそういうイメージ。
今ちょっと思い出したのは鹿島海山というのがありますよね。
現在ちょうどここにさしかかった映像があるんですよ。
海溝にさしかかっている?ええ。
あれは入るんじゃなくて結局入りそうに見えて上にこう持ち上がってくるんじゃないですか?
(小平)鹿島海山確かに割れてるように見えるんですね。
そうなると一部剥がされて一部はやっぱり地球の中に戻っていくんですね。
すごいですねそういう巨大なものが。
へえ〜。
これがプレート内部の…。
東北沖の巨大地震によって動いたのは50mぐらい。
50mっていうのは我々からすると想像を絶する量なんですね。
阪神・淡路の時に地震で断層が動いたのが2m。
それに比べるともう…。
25倍。
25倍。
とても想像できないような数字だったんですね。
50mにわたって地面がずれるっていうのはどれだけのエネルギーか…。
何で?何かきっかけがあったんですか?それ。
その山のような構造がどうしてずれたのか。
その引き金になったものの存在が偶然見つかったんです。
そうなの?はい。
それは意外なものでした。
プレート境界の山を動かし巨大地震を発生させたものは何なのか?その謎を解く鍵が東北沖の海から見つかりました。
深海の水の循環を研究するため巨大地震の前から海水を採取していました。
巨大地震の1か月後いつものように海水の成分を調べた時の事です。
震源近くの海底の水からそれまでほとんど見られなかった物質が大量に見つかったのです。
佐野さんを驚かせたのはヘリウム3という物質でした。
ヘリウム3はプレートの下のマントルに大量に存在すると考えられています。
そのヘリウム3がなぜ海底の水に大量に含まれていたのか?佐野さんは地震との関係を疑いました。
巨大地震に伴って放出されたと考えられるマントルからの水。
東北大学の長谷川さんたちも驚きました。
長谷川さんはこの水が巨大地震発生の引き金を引いたのではないかと考えています。
そのシナリオです。
膨大な歪みをためていた東北沖のプレート境界。
そこにマントルからの水が長い時間をかけて徐々に染み込んでいきます。
震源付近にあった山のような構造にも水は達していたと考えられます。
固くかみ合っていたプレート境界の隙間に水が満たされていきます。
そしてプレート境界が滑りやすくなり…。
巨大地震が発生したというのです。
東北沖の海底で初めて見つかったマントルからの水の存在。
巨大地震発生のメカニズムに迫る大きな発見だったのです。
水が地震を引き起こしたと言っていいんですかね?そうですね。
水がある種潤滑剤のような役割をして一気にプレートがよりずれやすくなる状況をつくっていくと。
水のパワーも計り知れないですね。
そうですね。
これまでも水と地震の発生が何らかの関係をしてるという研究はいくつも提案されていて多くの研究者がそこに注目してさまざまなデータを解析してたんですけど今回佐野先生の結果はまさにその断層に沿って地球深部…マントルから水が来たっていう事を直接的に捉えたという非常に画期的な成果じゃないですかね。
こんな深いとこにも水が存在するんですね。
地表…まあ海底といいますか地球の表面からさまざまな形で水は地球の内部に持っていかれる訳ですね。
堆積物の間にあるとか岩石の隙間に入るとか更には結晶の中に科学的に取り込まれるとか。
そういう形でどんどんどんどん地球の内部に持っていきますがある温度圧力条件を満たすとまたそれが流体として地表に戻ろうとする訳なんですね。
ほ〜う。
それでどんどんどんどん水の循環が地球内部で起こっているという事になると思います。
こう凹凸があってプレート側の凸が潜り込んでいる。
これはなかなか譲らないですよね。
その形状を保ったまんまそのまんま山の形を保ったまま沈み込んでいくという所もあると。
それが今回あの東北沖にあったという事ですね。
そのプレートが動く事で山のような構造が沈み込んでいく。
その沈み込んでいく力の秘密は地球誕生からの壮大な物語の中に隠されています。
46億年前誕生した直後の地球です。
小惑星の相次ぐ衝突で地表は高温のマグマに覆われていました。
その後数億年かけて徐々に冷えて固まりプレートが誕生。
ゆっくりと動き始めたと考えられています。
プレートが今も動き続けている事を確認できる場所があります。
アイスランドです。
大地に現れた裂け目。
ここを境に2つのプレートが東西に年間数cmの速さで動いています。
現在地球には12枚のプレートがあります。
それぞれが一定の方向に動き続けています。
プレートが動き続ける原動力は何か。
その謎の解明に取り組んできたアイルランドの科学者セルゲイ・レベデフさんです。
プレートが動きながら変化している事を地震波トモグラフィーで捉えました。
レベデフさんが解析した太平洋プレートの断面です。
東太平洋から日本へ向かっていく間にプレートが厚みを増していくのが分かります。
プレートは海水によって表面から冷やされていきます。
時間の経過とともにプレートのすぐ下のマントルも次第に冷やされプレートと一体化していきます。
こうしてプレートは厚みを増し重くなっていきます。
当初厚さ数kmだったプレート。
一億数千万年かけて日本に到達する頃には厚さは90kmにもなっています。
プレートが重くなって沈み込む。
この動きによってプレート全体が引き込まれるように動いてきたのです。
更にプレートは沈み込んだあとも地球内部に大きな動きを生み出します。
地震波トモグラフィーで見た日本列島の地下の様子です。
マントルの深い所に青いものがあります。
数億年前マントルの中に落下したプレートと見られます。
このプレートの落下が地球内部の大循環を引き起こしていると考えられています。
海洋研究開発機構はスーパーコンピューターを使って過去40億年のプレートとマントルの動きをシミュレーションしました。
表面に見える青い部分はプレートです。
重くなったプレートがマントルの中に沈み込み始めました。
ゆっくりとマントルの底まで落ちていきます。
その時マントルの底から高温の赤い塊が湧き上がります。
落下したプレートに押し出されるように熱いマントルの物質が上昇していきます。
こうして地球内部の熱を放出する対流が起きているのです。
このダイナミックな循環が40億年にもわたってプレートを動かし続けてきたのです。
対流ですよね。
水でも何でもそうですけどもそうやって熱を放出していく。
その力がプレートになって動いていればそれは地震は起きますよね。
熱対流によってマントルを動かしプレートを動かすという事は逆に考えるとどんどんどんどん冷え固まっていってしまうといつかはそのマントルの対流というのが止まりプレートが止まりそうすると地震は確かに起きなくなるかもしれませんけどその時は逆に私たちが住んでる地球の気候が恐らく今とは全く違うものになっているでしょうしそうなってくるとこの生命活動私たち生きているもの生き物たちというのは当然生きられないような惑星になってくるかもしれないので。
この気候変化とか地殻の変化もあって大量絶滅があってその中で我々の祖先はなんとか生き抜いてきた訳ですからこれからもそれは続けていかなきゃいけないし今このプレートが動いているって事はやっぱり悪い事も相当ありますけどもそれによって今の環境が保たれて我々が生きてるって事も言えるんですよね。
確かに地震というのは非常にやっかいなものですけど逆の見方をすると生きている地球私たちを生かしてくれているこの地球が生きているという証拠になるって言えるんじゃないですかね。
今まで私たちは太平洋プレートに注目してきましたが日本にはもう一つ注目すべきプレートがあります。
こちらです。
フィリピン海プレートが沈み込んでいる南海トラフです。
この南海トラフは巨大な地震を引き起こすと…。
過去にも何度も起こしてるので今ちょっと注目されていますよね。
やっぱり歴史的に見ても大きな地震が起きているという事で私たちの社会にも非常に大きな影響を持つと。
プレートのうちにしてはちょっとちっちゃいですよね。
ええ。
プレート自体は確かに太平洋プレートと比べると非常に小さいプレートですねフィリピン海プレートは。
とはいってもプレートが小さいからそこで起きる地震が小さいとか大きな地震が起きないとかそういう事はない訳ですね。
南海トラフと同じように小さいプレートがあります。
南米沖に沈み込んでいるナスカプレートです。
100年間に起きたマグニチュード8.0以上の地震の場所を重ねてみますとナスカプレートが沈み込んでいるこの部分。
集中してますねこれ。
特にこのチリ見てますと多いですねやっぱり。
そうですね。
世界有数の巨大地震の発生帯の一つ。
この地震が多発しているチリを探る事で南海トラフに迫る巨大地震の脅威が見えてきます。
巨大地震が多発する南米チリ。
今年4月にもマグニチュード8.2の地震が起きています。
チリでは1960年観測史上最大の巨大地震が発生しています。
この時の津波は22時間後1万7,000km離れた日本にも到達。
東北の沿岸では高さ6mの津波が押し寄せ142人が犠牲になりました。
チリで起きる巨大地震は太平洋沿岸の国々に大きな被害を及ぼすのです。
チリのプレート境界ではこの100年実に9回もの巨大地震が発生しています。
なぜこれほど大きな地震が相次ぐのか?ドイツの地震学者…チリのプレート境界にどれほどの力がかかっているのかGPSで地面の動きを分析しました。
チリのプレート境界ではナスカプレートが沈み込む力で歪みがたまります。
赤い所ほど歪みがたまっています。
プレート境界のほぼ全域に大きな歪みがありました。
チリのプレート境界に歪みがたまりやすい理由は地下の構造にあります。
それは地震波トモグラフィーから読み解く事ができます。
地震波トモグラフィーで描き出した詳細な地球内部の姿です。
青は地震波が早く伝わる硬い部分。
赤は遅くなる軟らかい部分です。
マントルの底深さ2,800kmから青い部分だけを見てみます。
プレートを含む青い硬い部分がマントルの深い所までつながっている様子が分かります。
巨大地震を引き起こす世界のプレート。
沈み込む角度には違いがあります。
南米チリナスカプレートです。
ナスカプレートはおよそ10度の角度で沈み込んでいるのが分かります。
一方太平洋プレートは東北沖では40度マリアナ海溝では垂直に近い角度で沈み込んでいます。
ナスカプレートはとりわけ角度が浅い事が分かります。
その角度の浅さが歪みのたまりやすさにつながっていると趙さんは考えています。
沈み込む角度が浅いほどプレート同士が接する面積が広くなります。
角度が浅い方が多くの歪みがたまるため巨大地震が起きやすいと考えられるのです。
チリでは私たちの想像を絶する超巨大地震が起きていた可能性が浮かび上がっています。
400年余り前1575年に起きた地震の様子が記されています。
チリの地震学者…地形や地質を手がかりに過去の地震を調査しています。
ラゴスさんは400年余り前の地震の痕跡を見つけました。
巨大な地滑りの跡。
その近くにはマグニチュード9.5の地震で出来た地滑りの跡があります。
地滑りの規模の違いは4倍にも及んでいました。
ラゴスさんは400年余り前に起きた地震は私たちが経験していない超巨大地震だったと考えています。
地震を生み出す歪みがたまりやすい角度の浅いプレート境界は日本にもあります。
南海トラフにはフィリピン海プレートが沈み込んでいます。
その角度は10度。
チリと同じ極めて浅い角度です。
国は東海から九州にかけての沿岸に震源域を想定。
その全域がずれ動いた場合最大マグニチュード9.0の巨大地震になるとしています。
その時太平洋沿岸の地域にはどれほどの被害が出るのか。
各地を襲う震度7の激しい揺れ。
津波は早い所では数分で到達。
沿岸の大都市に大きな被害が出ます。
最悪の場合犠牲者は32万人。
国の存亡に関わるような甚大な被害が懸念されています。
南海トラフで最後に巨大地震が起きたのは70年ほど前。
チリとは違い長い間発生していません。
次の巨大地震はいつ起きるのか?それを知る手がかりの一つがGPSのデータ。
南海トラフにたまっている歪みはチリのプレート境界と同様広い範囲に及んでいます。
特に歪みが集中している所があります。
四国の南東沖と東海沖です。
これらの海域でエアガンを使った地下の調査が行われました。
東海沖からは…。
あの山のような構造が見つかりました。
高さは3,000mに及んでいます。
四国の南東沖からも…。
大きな山が見つかりました。
高さは3,500m。
これらが今も歪みをため続けている可能性が高いのです。
歪みがたまり続ける南海トラフ。
次の巨大地震は確実に近づいています。
これ永久に海山がこれを止めるという訳にはいかないですよね?そうですね。
事実としてあの山がある所それからしっかりくっついていると見える所が一致しているという事だと思います。
でも70年起きてないっていうのがちょっと…気がかりですよね。
いつかは起きると思ってないといけない。
まあそれに備えるしかないですね我々はね。
そうですね。
でも最近の研究はすごい成果が上がってるんじゃないですかね!技術が進歩している事やそれからデータが増えている事そういうのでより細かな構造やそれから地球の中の動きとかそういうものが見えてきている。
究極は地震の予知ができれば。
一番知りたいのはやっぱりいつどこでどのぐらいのといういわゆる地震予知という事だと思うんですけどそこに今すぐたどりつくのはやっぱり難しいですね。
私たちはそれに向かって今一つ一つ小さなデータを集めてある種パズルを一つ一つ合わせて全体の絵を描いていくと。
それがいつか完成した時に地震の予知と言っていいのか予測と言っていいのか分かりませんけどそういうところに近づけるのかもしれませんね。
だんだんと予知につながりはできてる。
そうですね。
地震波トモグラフィーで巨大地震のメカニズムを探る研究は今世界から注目されています。
アメリカの地震学者…この夏東北大学を訪れました。
最先端の技術を使って西海岸で起きる地震の謎を解明したいと考えています。
巨大地震が発生するプレート境界。
アメリカ西海岸では陸上に現れています。
長さはおよそ1,300km。
日本の本州にも匹敵します。
大都市のすぐそばにあるプレート境界。
巨大地震が起きれば甚大な被害をもたらすおそれがあります。
ロサンゼルスの南200kmを震源とする巨大地震を想定したシミュレーションです。
市の全域が激しい揺れに襲われる事になります。
しかし実際どこでどれほどの規模の地震が起きるのかまだ把握できていません。
巨大地震の発生が危惧されている南海トラフ。
山のような構造が見つかった海底に地震計を設置しています。
地震の発生を陸上よりも早く捉えようというのです。
更に巨大地震が起きる前にプレートの僅かな変化を捉えられるのではないかと期待されています。
プレートが動き続ける限り避ける事のできない巨大地震。
私たちは今その本当の姿を少しずつ捉え始めています。
地球と共に生きていくために。
地震を生み出す脅威のメカニズムを解き明かさなければならないのです。
2014/09/20(土) 21:00〜21:50
NHK総合1・神戸
NHKスペシャル 巨大災害 第3集「巨大地震 見えてきた脅威のメカニズム」[字]

東北沖の巨大地震から3年半。発生の謎が、地下構造の解析や海底の調査から急速に解明されている。地球内部の大循環の仕組みから、巨大地震のメカニズムに迫る。司会タモリ

詳細情報
番組内容
地球内部の膨大なエネルギーが生み出す巨大地震。科学者たちは、地下の構造を可視化する最新の技術で発生の謎を急速に解き明かしている。東北沖の震源近くのプレート境界では巨大な起伏構造が見つかり、海底付近の海水からは巨大地震の最後の引き金を引いたと考えられる物質が発見されている。巨大地震の発生メカニズムをチリやアメリカの最新研究も交えて紹介、さらに発生が危惧される南海トラフ巨大地震の脅威を見つめていく。
出演者
【司会】タモリ,上條倫子,【出演】海洋研究開発機構上席研究員…小平秀一,【語り】武内陶子

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
ニュース/報道 – 報道特番

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