報道特集【スコットランド▽入管行政】 2014.09.20

74人が亡くなった広島市の土砂災害から今日でちょうど1カ月。
この映像は災害が起きた先月20日の午前5時過ぎに撮影されたもの。
場所は被災地で最も多い41人が亡くなった安佐南区八木地区。
道はまるで川のようになっている。
濁流の上手のエリアでは土石流が発生し、死者が出た。
ここに岩がたくさんあって、そこに上りながら…。
この映像を撮影した田崎さんによると異変に気づいたときには逃げるに逃げられない状況だったと言う。
テレビも停電してつかないし、携帯だけが頼りで、充電なくなったら終わりだって思ってたんで。
広島市は八木地区に警戒情報を広く住民に伝える屋外スピーカーを設けていなかったほか、携帯電話会社と提携していた緊急速報メールも一切活用していなかった。
市は、これらの対応について検証中としている。
あの災害から何を教訓として学び、それを今後の備えにどう生かしていくのか。
現地では容赦なく破壊されてしまった生活をどう立て直していくかが大きな課題となっています。
早速現地から中継で伝えてもらいます。
私の後ろに見えるのが最も多くの人が亡くなった、安佐南区の八木地区です。
いまだに瓦礫や土砂が積まれたままです。
そして今日も多くのボランティアが宅地の土砂などを撤去していました。
52人が亡くなった安佐南区の八木地区では、線香や鼻を手向けて犠牲者を悼む住民の姿があった。
住宅周辺の土砂や瓦礫の撤去作業が続いているが、1カ月がたっても自宅に戻れない人も多くいる。
広島市の松井市長が復旧作業を確認するため、先ほど現地を視察した。
住宅被害は4500棟にも上っていて被災者の中には自宅に住み続けるかどうか悩んでいる人も多くいる。
生活再建に向けたある団地での動きを追った。
4人が犠牲になった安佐南区八木の阿武の里団地。
今朝、死亡した兄夫婦の家の前で手を合わせる男性の姿があった。
立川さんも住むこの団地には、80世帯ほどが暮らしていた。
土砂災害で4分の1に当たる20軒の住宅が全半壊したほか、多くの住宅が被害を受け団地を離れる住民もいた。
地域の世話役を務める土井智之さんは、住民の心の揺れを感じ取っていた。
住民の多くは安全対策に関する行政側の考えを踏まえて住み続けるかどうかを判断したいと考えている。
しかし広島市は先週、団地に残る住民の数がわかってから対策を検討すると説明した。
昨日、国と広島県が被災地などの31カ所に砂防ダムを整備すると発表した。
団地に土石流をもたらした沢にも再来年の春までに完成する予定。
一方で今週、広島県が公表した災害前の調査結果では、特に大きな被害が予想される特別警戒区域に含まれる住宅はわずか1軒だけだった。
住民同士の親睦会など様々な行事が開催され賑やかだったという阿武の里団地。
ここで生まれ育った土井さんらは、近隣の自治会と共同で避難計画を立てるなど、住民自らによる防災体制の整備に取り組み始めた。
不安を抱えながらもふるさとの再生に向け歩み始めた住民たち。
阿武の里団地の復興はこれからが正念場。
一方で今もおよそ70人の被災者が小学校などで避難所暮らしを続けています。
そして広島市が借り上げた住宅などに入居した被災者も将来までは保障されておらず、住まいの確保が大きな課題となっている。
日下部キャスターはスコットランドで取材中です。
後ほど現地から伝えてもらいます。
連日の最高値更新に沸くニューヨーク証券取引所に中国の電子商取引最大手、アリババグループが19日上場し、初日の株価は公開価格を38%も上回る好調な滑り出しとなりました。
フェイスブック以来の大型上場として注目されたアリババ株の初取引。
買い注文が殺到し、初日の終値は93ドル89セントと公開価格の68ドルを38%上回った。
1999年に馬雲氏が設立したアリババは中国国内に2億8000万人もの顧客を持つネット通販最大手。
時価総額はおよそ25兆円とトヨタ自動車を上回り、資金調達額も史上最大級の上場となった。
一方、アリババ創業の翌2000年に20億円を出資したソフトバンクは現在も32%を持つ筆頭株主で、今回の上場によりおよそ8兆円の含み益を得た。
14年間で価値が4000倍に膨れ上がった計算。
当面株を手放す気はないと話す孫社長だが、これを担保に巨額の資金を借り入れることも可能でどのような戦略に乗り出すのか注目されている。
国連の安全保障理事会で19日、過激派イスラム国への対応を話し合う閣僚級会合が開かれ、アメリカのケリー国務長官は国際的な包囲網の構築を求めた。
過激派イスラム国への対応を話し合う閣僚級会合で議長を務めたケリー国務長官は軍事的に対立するイランにも言及して協力を求め、イスラム国に対して国際社会が結束するよう訴えた。
ケリー長官はイスラム国と戦うイラク政府などへの支援について役割は軍事面に限定されないと指摘した上で人道面で既に貢献している国として、日本やニュージーランド、韓国の名前を挙げた。
これを受け日本から出席した薗浦外務政務官は、軍事支援はできないが人道支援に取り組むと表明した。
安保理は会合に合わせ、イスラム国を強く非難する議長声明を発表した。
スコットランドの独立の是非を問う住民投票で、独立が否決されたことを受けて賛成派を牽引してきたスコットランド民族党のサモンド党首が辞任を表明しました。
スコットランド民族党のサモンド党首は19日、責任をとって党首を辞任し、スコットランド行政府の首相の座も辞すると表明した。
一方、イギリスのキャメロン首相は税収・歳出・福祉面でのスコットランドの権限を拡大する案を来年1月までに法案として公表すると述べた。
事件の証拠品が山中に投棄されたと見られています。
愛知県警によると今月17日、愛知県瀬戸市の山中を通りがかった人がバールやカメラなどが大量に投棄されているのを見つけた。
見つかったものには愛知県警守山警察署のタグがついていた。
警察は何者かが何らかの理由で事件の証拠品を不法に投棄したと見て守山署員らから詳しく事情を聞いている。
沖縄県のアメリカ軍普天間基地の名護市辺野古への移設に反対する大規模な集会が今日開かれ、着々と進められる移設計画に抗議の意思を示した。
普天間基地の移設をめぐっては去年、沖縄県の仲井真知事が辺野古沿岸部の埋め立てを承認して以降作業が着々と進められているが、移設に反対する県民の声は根強く、今後ますます混迷を深めそう。
男性の徴兵制を敷く北朝鮮が、来年から女性にも満17歳から7年間の兵役義務を課すことを決めたと韓国の「東亜日報」が伝えた。
食糧難で出生率が低下した90年代後半生まれの世代が入隊時期を迎えるため、軍の兵員補充に対応した措置で25日に開催予定の最高人民会議で最初の特集は、独立をめぐる住民投票が行われたスコットランドの中心都市、ここエディンバラからお伝えします。
細かい雨が降っています。
私の後ろには街の象徴であるエディンバラ城が見えると思います。
街の中は、おととい歴史的な投票が行われたとは思えないほど至って平穏な雰囲気です。
長期間にわたった政治運動の解放感、スコットランドで盛んなラグビーに例えるならノーサイドといったところでしょうか。
住民投票は独立回避という結果になりました。
民主主義国家としては空前の85%に近い高い投票率を記録した今回の住民投票。
スコットランドの人々はどのような思いで臨んだのでしょうか。
ちょうど今、午後10時を回って、歴史的な投票、一日を終えて投票所が閉められるところです。
連合王国イギリスの運命の日。
全世界が注目する中、住民投票の開票は現地時間のおととい深夜から始まった。
このパブには独立賛成派の人たちが集まって開票速報を固唾をのんで見守っているところです。
そして選挙区ごとの発表が行われるたびに一喜一憂しているといったところです。
今、スコットランドの1つの選挙区で独立派が勝ったということでパブの中も大騒ぎになっています。
午前5時を回ったところです。
開票作業は続いているんですが、どうも独立賛成派が劣勢ということで、この店も何となく静かになってきました。
結果を見ずに店を出て行く人たちもいます。
BBCテレビが独立反対派が多数になることは確実になったと速報で伝えました。
それほど失望していませんよ。
これに対し、過半数をかち取った独立反対派は歓喜の声を上げた。
およそ300年間続く連合王国。
その分裂を危惧していたキャメロン首相は、今回の結果を受け、次のように語った。
一方、独立を訴えてきたスコットランド民族党のサモンド党首は、キャメロン政権に対し、投票前の約束どおり自治権の拡大を進めるよう求めた。
結局、独立反対派が勝利した選挙戦両陣営はどのように戦ったのか。
エディンバラに足を踏み入れたときの最初の印象なんですけれども、歴史的な投票を控えている割には街が非常に静かで熱気があまり感じられないということで、ちょっと拍子抜けをしたところがあるんですけれども。
しかし、選挙運動は地道に進められていた。
反対派に密着した。
以前反対と答えた人が実際の投票でも反対票を投じるようにそして、まだ決めていない人にも反対票を投じるよう働きかけます。
日本では戸別訪問というのは禁止されているんですけれどもイギリスの民主主義、選挙を支える上で、こういったボランティアの人たちによる戸別訪問って非常に重要な意味を持っているんですね。
こうやって本当に1軒1軒のお宅を訪問しているわけですね。
こんにちは、私たちは独立反対派のグループです。
今忙しいんですけど。
投票には行きますか?行きますよ。
反対に投票しますか?それはよかった。
パンフレットを受け取ってください。
ぜひ反対に投票してください。
独立反対派のボランティアで戸別訪問をするマイケル・アプトンさん。
本業は弁護士。
私はイギリス人です。
分裂したら祖国がなくなってしまいます。
アプトンさんはスコットランドが独立したら困るのでこうした運動をしているが、こんな争いは早く終わってほしいというのが本音。
イエスかノーか早く決着してほしいです。
私は家を売りたいんですが、決着するまで誰も買いませんからね。
みんなこの先どうなるかわからないし。
独立が決まったら家の値段は下がるんでしょうね。
一方、こちらは独立賛成派の事務所こちらの方には主にパンフレット類ですね。
そして、こちらTシャツですとか、マグカップ、絵ハガキということでまあ勢いを反映してか反対派より賛成派の方がこういった小物とかグッズは充実している感じがします。
独立賛成派もやはり戸別訪問で支持を訴えていた。
こうやって次から次へと家を訪問して、非常に時間をかけていろいろ賛成する意味、独立する意味を説明していますよね。
独立すれば私たちスコットランド人は自分たちの未来を自分たちの力で決められるようになると思います。
ヨーロッパでは大きな国は特に経済分野で様々な問題を抱えていますが、小さな国の方がそうした問題に対処しやすくなると思います。
スコットランドの人たちの間には自分たちの声がイギリスの政策に反映されていないという強い不満がある。
自分たちのことは自分たちで決めたい。
そんな民主主義の基本的な欲求が独立を目指す原動力。
根底から変わるべきです。
トップダウンでエリート主義のイギリス政府は何もしてくれないし、私たちの代表とは思えません。
私たちを支配しているだけです。
イギリス政府は当初、独立賛成派がここまで支持を伸ばすとは思っていなかった。
イングランド人はスコットランド人の感情を完全に読み違えたと思います。
独立派がここまで現実的な脅威になるとは考えていなかったと思います。
独立賛成派と反対派が拮抗するという予想外の展開にキャメロン首相は投票3日前になってスコットランド入りし、こう訴えた。
さらにキャメロン首相らイギリスの3大政党の党首はスコットランドの自治権を拡大するという誓約書を新聞の一面に載せ、独立を思いとどまるよう訴えた。
しかし独立賛成派は投票の前日になってさらに勢いづいていた。
イギリスの政府はまさかスコットランドが独立に向けた、こういった運動がここまで盛り上がるとは想像もしていなかったのかもしれない。
向こう側にはノーの人たちがいるんだ。
それで一斉にブーイングが起こっています。
道の反対側に独立反対派の人たちがいて、今一斉にブーイングが起きました。
こちらにいる人たちは、スコットランドの独立に反対している人、ノーと書いてありますけど、実はこの周り、この人たちの周りはほとんど独立の賛成派の人たちが広場を埋め尽くしています。
スコットランド西部に位置するアイラ島。
人口3400人ほどの小さな島。
今回の有権者の多くは、こうした小さな街に住む人々。
住民の男性に聞いてみると…男性が運んでいるのは、島の主力産業であるウイスキーづくりに欠かせない泥炭。
この島の経済はウイスキーによって支えられている。
ああ、におうね、ここも、麦の発酵させたにおいだ。
蒸留所には、ウイスキーの本場を見ようと連日、国内外から多くの観光客が訪れ、貴重な収入源となっている。
こうやって観光客がウイスキーの蒸留所をめぐるツアーなどもあるわけです。
ただ、このウイスキーのほとんどが海外に輸出されているということで、もしスコットランドが独立したら、相当経済的な打撃を受けるんじゃないかという指摘もあります。
どのような影響を受ける可能性があるのか。
この経営者は、このままイギリスにとどまった方が仕事上は有利だと考えている。
こんにちは、すみません。
現地に住む日本人は今回の選挙戦をどう見ているのだろうか。
スコットランドで暮らし始めて11年になる山下英子さんは、ドイツ出身の夫との間に8歳の男の子がいる。
山下さんに投票権はなかったが、スコットランド独立の可能性に関して不安を抱える日本人も多かったと言う。
不動産価格に対する懸念とか、独立後に失業するのではないか、仕事を探すのが難しくなるのではないかという懸念はかなり大きいですし、あとやっぱり子どもがいる家庭だと将来的に選択肢が狭まる、イギリスの学校、今まではイギリス全体の学校に進学の機会が開かれていたという意識があるんですが独立の後、その状況が同じに保たれるかどうかとか。
今回の住民投票では16歳から投票権が与えられた。
エジンバラ市内の公立高校を訪れた。
この学校では住民投票に先立って校内で模擬投票が行われたそうです。
ですから、こうやって学校の中にもノーですとかイエスとか、いろんなステッカーが貼ってあるのが見えますね。
若い世代は独立賛成、反対の議論をどう見ているのだろうか、教室で聞いてみた。
半々ぐらいかな。
彼女と同じ意見です。
投票するに当たり、スコットランドの政治や歴史を改めて勉強したという生徒たち。
自分は何人だと思うかと聞いてみると…スコットランド人と答えたのは1人だけ。
民族の問題ではなく、あくまでも政治の選択だと話す生徒たちは極めて冷静だった。
スコットランドの独立運動は民族の問題ではない。
こう指摘するのは、長年スコットランドの政治史を研究しているエディンバラ大学のキーティング教授。
独立を求める動きがここまで盛り上がった背景には、ヨーロッパならではの理由があると言う。
ヨーロッパというのは統一されている動きがあると思ったんですがどうしてスコットランドでこういった、いわゆるそれとは反するような独立の動きが起きたんですか?ヨーロッパの多くの国はEUやNATOの枠組みの中で動いている。
その連携が強化されればされるほど今後も各地で独立を求める動きは続くと見ている。
世界中が注目したスコットランドの選択。
社会を二分した大論争の果てにロンドン支局の貞包支局長に聞きますが、接戦が予想されたんですけれども、思ったより票差があったような印象があるんですが?今回の住民投票の特徴として投票年齢を16歳まで下げたのがあると思うんですが、選挙事務所というか、住民投票の事務所に行くと両派ともに若い人たちがいて、自分の国の将来を真面目に考えることをしていました。
そういう子どもたちが、若い人たちが、5対3で反対派に回ったという分析があって、こういう結果につながったのかなと思いました。
それにしても海外から見ると余計ですが、急激に独立賛成派が力をつけたような印象もあるんですけれども、その辺はどうなんですか?1カ月前は20%、20ポイントの差があったんですが、今月7日の世論調査でいきなり賛成派が反対派を抜いたと。
我々もびっくりしましたし、中央政府が浮き足立ってるのにも我々はびっくりしたんですが、考えてみれば住民投票が決まったのは2年前です。
賛成派の人たちは2年間作戦を立てて、地道に努力をしてきた。
戸別訪問している女性に聞いたんですが私は2年間この活動をして、何千軒回ったかわからないと言っていました。
そういう作戦がここに来て、そういう勢力を増したと。
決して急なことではなかったと、ただちょっと力が足りなかったということだったと思います。
今回は独立回避ということになったわけですが、これ、イギリスだけじゃなくて内外に影響を与えそうですよね?そうですね、独立賛成派の事務所に行きますとスペインのカタルーニャですとか、イタリアのベネチアですとか、カナダのケベックなど、いろいろな国の人たちがいたんですね。
わざわざスペインから来たんですかと聞いたら、いや違うと、カタルーニャだと言われたりもしたんですが、そういう独立派の人たちに今回のスコットランドの頑張りは力をつけたことにもなりますし、中央政府の求心力が低下したことで、EUを離脱しようと今ヨーロッパで流れている極右勢力の方の勢力にも力をこのスコットランドの頑張りが力をつけたことになります。
私、この街に入ったときにアジアの選挙、熱狂的な選挙を数多く取材したんですが、本当にこの街が静かで、実は住民の人は意外に冷めているんじゃないかという思いもしたんですけど、戸別訪問とか、学生たちの議論を聞いて非常に自らの将来に対する熱い思いを感じました。
独立運動というとどうしても民族主義とか、ナショナリズムという言葉を連想しますが多くの人が我々は民主主義のために戦っているんだというのが非常に印象的でした。
とにかく85%という投票率って本当にすごいことだと思うんですよね。
そしてスコットランドの人々の投票前後の立ち居振る舞い、ここに非常に成熟した民主主義を感じました。
日下部キャスターも言っていましたが、民主主義のための戦いということだったんですが、僕はこのキーワードというのは自決、自決権という言葉だと思うんです。
歴史的に見ても、文化的に見ても、固有の文化とか、産業を持つ地域というのが自分たちのことは自分たちで決めるというような自決権を要求していくというのは民主主義の世界の中では自然な流れで、その意味では非常に今回のスコットランドの動きは意味があるというふうに思います。
不法滞在などの理由から入国管理国に収容された外国人が死亡する例が相次ぎ、日本の入管の人権感覚を疑問視する声が上がっています。
日本の入管行政の何が問題なのか。
1人のガーナ人男性の死から考えるとともに今回、茨城にある収容施設に初めてカメラが入りました。
男たちに抱え上げられ、飛行機に乗せられようとしている外国人の男性。
これは4年前、成田空港で行われた強制送還の瞬間をとらえたもの。
しかし、強制送還は結局、実行されなかった。
この直後、男性が死亡したから。
今年3月、東京地裁は男性が入国管理局のいき過ぎた制圧行為によって死に至ったとして国側に賠償を命じた。
私の心のわだかまりと言いますか、つっかえがとれた感じです。
男性の死は、これまでほとんど表に出ることのなかった日本の入管の実態とその人権感覚を浮き彫りにした。
ガーナ人のアウドゥ・スラジュさんは、1988年、23歳のときにアフリカのガーナから日本にやってきた。
音楽が好きで、あと絵を描くのが好きでしたね。
音楽がきっかけで3歳年上のこの日本人女性と出会い来日の半年後には東京で一緒に暮らし始めた。
ずっと日本で暮らしていて、お互いおじいさん、おばあさんになってもずっと最後まで一緒にいられるっていうのがやっぱり幸せかなって思ってましたので。
スラジュさんが入国管理法違反で逮捕されたのは来日から17年がたった2006年のこと。
15日間の短期滞在ビザで入国し、そのままオーバーステイの状態が続いていた。
入管の施設に収容されたスラジュさんからの手紙には面会に通う妻を気遣う言葉ばかりがつづられている。
在留を認めてほしいという訴えは正式に婚姻届を出したのが、逮捕の後だったこともあってか、認められなかった。
そして、その知らせは突然やってきた。
そこで航空機内という言葉がありましたので、強制送還にあっていたことを知りました。
詳しい説明は何もなかった?全くありません。
何回も東京入国管理局にも何があったか説明していただきたくて…。
国を訴えた裁判で入管側が強制送還の様子をビデオで撮影していたことが明らかになった。
冒頭の静止画はそのビデオからとったもの。
飛行機の搭乗口の下でバスを降ろされたスラジュさん。
一瞬、尻込みをしたところをすかさず入国警備官たちが7人がかりで抱え上げる。
そして足首に手錠がかけられた。
ビデオを見た児玉弁護士は、その様子が、国の主張とあまりにも違うことに驚いたと言う。
速やかにさっと抱え上げてましたので。
初めからそういうふうにするっていうふうに打ち合わせはしてあっただろうなと想像はできますね。
死んでもいいんだというような、そういった感じを私は受けますね。
しかし撮影は、なぜか機内に乗り込んだ直後に中断されている。
肝心のスラジュさんが死に至った場面は記録されていないのだ。
その後、機内で何が起きたのか。
それをうかがい知ることができる有力な資料が存在することがわかった。
制圧の場面を入管職員たちが自分自身でこういうやり方をしたと再現した写真です。
原告側が証拠保全を申し立てたことによって明らかになったこれらの写真は、事件の数日後、入管が内部調査のために撮影したもの。
実際にスラジュさんの送還に当たった警備官たちが当時の様子を再現している。
座席に座らせたスラジュさんを5人がかりで押さえつけ、タオルで猿ぐつわをする。
両手を腰のベルトに固定した結束バンドは警備官の1人が個人的に用意したものだと言う。
その状態でさらに上半身を上から押さえつけている。
送還などの際の戒具の使用について定めた入管の内部文書によると、手錠と腰縄以外を使うことは原則として認められていない。
手錠は手首以外に使用してはならないと明記されている。
内部調査でやっている行動なので、最低限これだけのことはやっているだろうと思います。
これだけのことを一連のことをやられている中で死んでいるわけですよね。
国側はスラジュさんの死因はもともとあった心臓疾患で制圧行為との因果関係はないと主張した。
しかし一審の判決は、猿ぐつわをされた上に頭を上から押さえつけられたことなどで呼吸困難となり、窒息したと認定。
ほぼ無抵抗のスラジュさんに対して行われた制圧行為は必要性を明らかに超えていて違法だったと結論づけた。
国側は判決を不服として控訴し外国人の扱いをめぐって入管の対応が問題視されているケースは、ほかにもある。
茨城県牛久市、世界最大のブロンズ製の仏像のほど近くに入国管理局の収容所がある。
今年3月、ここで2人の外国人が相次いで亡くなった。
3月28日、30代のイラン人男性が食事をのどに詰まらせて死亡。
その2日後には、40代のカメルーン人男性が朝、呼吸がない状態で発見された。
しかし入管側は、それ以上の詳しい説明をしていない。
2人の男性に何があったのか、そして、そもそも収容所とはどのような場所なのか。
今回私たちは、施設内の取材を許された。
テレビカメラか入るのは初めてのことだと言う。
こちらが当センターで古いタイプの部屋が並んでいるエリアになります。
こちらが和室で一番大きいタイプの部屋になります。
できた当初の定員は10名ということでしたけれども、最近の生活様式の変更で現在は大体5〜6名程度の収容人員で運用しております。
ここには現在、フィリピン、トルコ、中国など様々な国からおよそ250人が収容されている。
不法滞在などで強制退去の命令が出された外国人たち。
食事は宗教などに配慮して、肉を使わないものも提供されている。
こちらのエリアは共有スペースになりますが、お昼ご飯の時間を除いて、昼間、収容者の方はこちらのエリアで自由に生活するようになります。
午前9時20分、部屋の鍵が解除されると、収容者たちは一斉に早い者勝ちの洗濯機やシャワーに走る。
解放時間は午前と午後合わせて5時間50分。
その間は共有スペースに出てほかの部屋の収容者と話したり、家族や弁護士に電話をすることができる。
外の空気が吸えるのは交代でグループごとに運動場に出られる一日40分間のみ。
それらが収容者に許された自由のすべて。
収容施設でございますので皆さんストレスをかなり抱えています。
そういうことで健康を害する方もいらっしゃいますのでそういう方の体調の変調をできるだけ早く見つけてあげて対応することについても気を配っております。
関東地方のある町で実際に牛久に収容されていた人たちに会うことができた。
彼らはトルコから政府の迫害を逃れてやってきたクルド人たち。
日本で難民申請をしている。
強制送還が決まっていても、彼らのように難民申請中だったり病気などのやむを得ない事情がある場合、仮放免という制度で一時、出所が認められることがある20代のこの男性は成田に到着してすぐ、入管の施設に収容された。
1年2カ月収容されている間に統合失調症を患い、仮放免で出所した後もしばらく入退院を繰り返したと言う。
3月に死亡したイラン人男性と同室だったという人がいた。
イラン人男性は、彼の目の前で食事をのどに詰まらせて死亡した。
抗うつ剤など、診療所で出された薬を毎日30錠以上飲んでいたと言う。
イランの方はちょっと様子がおかしいという感じでしゃべるのがろれつが回らないような気配でもありました。
入管に収容された外国人を支援している大川弁護士は、2人の男性が亡くなる前に面会を重ねていた。
カメルーン人の男性は糖尿病を患っていて亡くなる3日前にはトイレで立ち上がれなくなるほどの状態だったと言う。
成田空港で入国拒否となってそのまま収容された男性。
難民申請をしたものの、ついに一度も収容所の外に出ることはなかった。
いつ強制送還されるのかという不安を抱えながら長期にわたって拘束されることが収容者たちの心と体をむしばんでいくと大川弁護士は指摘する。
これは普通ではない事態だと思います。
面会のたびに表情が暗くなっていく。
目の下にくまができていって、声の調子も小さくなっていく、これはほぼ全員に共通するところです。
実際に牛久の収容所ではどのような医療体制がとられているのか。
こちら、当センターの診察室になります。
エコーの機械、心電図計、一通りのものはそろっています。
小さな診療所相応の検査ができるような形になります。
2年前までは常勤の医師がいたが後任が見つからず、今は平日の午後近くの病院の医師や開業医が交代で診察に当たっている。
ほかにも精神科の医師が月に2回、心理カウンセラーが月に4回訪れて心のケアに当たっていると言う。
イラン人とカメルーン人が相次いで死亡したことについて入管側は、直ちに救命措置を講じて救急車で搬送したと説明している。
対応は適切だったとお考えですか?当センターの対応については迅速、的確に対応したと思っておるのですが。
牛久の収容所へは都心からだと電車とバスを乗り継いで、およそ2時間もかかる。
家族や知人にとっては面会に行くのもひと苦労。
牛久の方に面会何度かしていますが、やはり中に入っている人、健康状態、悪い人が多いですね。
収容所で面会や支援活動を行っている地元の団体、牛久の会によるとイラン人とカメルーン人の相次ぐ死亡で、収容者の間には不安と動揺が広がっていると言う。
自分たちもいつなんどき、彼らのように亡くなってしまうんじゃないかというような、すごい不安を持っている方がすごく多くなったんじゃないかなと思うんです。
代表の田中喜美子さんは、収容所が牛久に移転した93年から面会を続けている。
強制送還中に死亡したガーナ人のスラジュさんの遺品の中にこんなものがあった。
ノートや裁判資料の裏にびっしりと書かれた漢字。
強制送還される直前まで収容所で書いていたものだと言う。
希望を持っていたと思うんです。
でなかったら、こんなことしないと思いますからあきらめていたら、これはしないと思うんですね。
どうせ帰るんだったら、もう必要ないですから。
7月末、東京高裁でスラジュさんの事件の控訴審が始まった。
国側は新たに専門家の意見書や再現実験を証拠として提出し、スラジュさんは心臓に持病があり不整脈が原因で死亡したと主張した。
制圧行為と死亡の因果関係を改めて全面的に否定した。
夫の死から4年あまり。
妻にとっては、また長い戦いの始まり。
先ほどの特集1でイギリスの話をしたんですが、イギリスの入管施設の場合は、収容されている人は携帯電話が持てたりインターネットができたり、面会の家族と触れ合ったり、多くの自由を与えられているという事実があるんですね。
日本ではそうではないですからね。
そういった環境の中、今月の初め、先ほどの牛久の収容施設では、クルド人の収容者およそ30人が待遇の改善と自分たちを難民として受け入れるよう求めまして、1週間のハンガーストライキを行いました。
クルド人は欧米では難民として受け入れられているわけですが日本ではこれまで1人も難民申請が認められていないんですね。
そもそも自国から逃れてきて難民申請をしている人たちを長期間収容していること自体が人権的に問題があるのではないかと思ってしまいます。
この取材をした井上ディレクターによれば日本の入管行政の最大の問題は、在留を認めるか、強制送還するのかという判断がすべて法務省の裁量によって任されていてそれをチェックする働きがないんじゃないかと言っていましたけど、そのとおりだと思いますね。
その国の入管行政がどういうレベルにあるかというのは、外国から見ると日本がどういう態度を示しているかという、いわば鏡のような機能をしている面があるということを指摘しておきたいというふうに思います。
続いては林キャスターのスポーツです。
アジア最大の祭典、アジア大会が開幕しました。
アジアならではの競技で日本人メダル第1号が誕生しました。
今大会、日本人メダル第1号となったのは、武術太極拳、長拳に出場した市来崎大祐。
高い跳躍とテンポのいいリズムで会場を魅了する。
最後まで完璧な演技を披露した市来崎は9.67の高得点をマークし、見事、銅メダルを獲得した。
アジア大会、メダルが期待される高上智史が柔道男子66kg級の2回戦に登場。
地元の大声援を受ける韓国の選手にも高上は攻める柔道を崩さない。
一本背負いで技ありを奪い、ポイントでリードする。
さらに勢いが増す一本背負い。
同じ技で技ありを奪い、合わせ技一本。
自身初のアジア大会金メダルに向け順調に勝ち上がっている。
一方、女子48kg級の1回戦に出場した山岸絵美。
相手を全く寄せつけず、小外刈りで一本勝ち。
絶好調の日本柔道陣、順当に駒を進めている。
メダルラッシュの期待がかかる柔道陣ですけれども、最新情報を現地インチョンから伝えてもらいます。
古賀稔彦さんと古谷アナウンサーです。
こちら仁川のIBC国際放送センターです。
アジア大会開幕して競技もどんどん始まっていますし、古賀さん、やはり柔道もいい勢いでスタートできているようですね。
日本人選手、相手の選手から研究、防御されて厳しい戦いでしたけれども、そういった中でも冷静に戦っていますね。
ご覧になっていて選手たちの表情、それから戦いぶりというのはどんな印象ですか?プレッシャーはあると思いますけれども、しかし各選手、2年後のリオのオリンピックを視野に入れて戦っていますから、ここは何が何でも負けられない、そんな雰囲気を感じますね。
その初日というプレッシャーもはねのけての強い柔道をしているという印象ですね。
まず男子の高上選手なんですが得意の背負い投げも出て、合わせでの一本、うれしいですね?そうですね、大分相手も防御してましたけど、彼のよさは防御している相手でも強引に入って投げ切るのが彼のいいところなんです。
それが見事にこの大会、出してくれましたね。
モンゴル修行の強みも生きたということでしょうか?最後の何が何でも投げきるというその精神的な強さが出ましたね。
そして女子の中村美里選手なんですが、今回のアジア大会、左ひざのケガを乗り越えて挑んだわけですが、初戦不戦勝となりました。
思わぬ不戦勝ではありましたが、彼女にとっては今まで2度オリンピックに挑戦して2年後のリオのオリンピックで何とか3度目、金メダルを取りたいという気持ちが強いですから、ここは順調に勝ち上がってくれると思いますね。
柔道勢、男子60kg級の選手、そして、女子48kg級の山岸選手もそろって準々決勝勝ち進んでいます。
日本柔道陣に期待しましょう。
続いては、テニスの東レ・パン・パシフィックオープン準決勝です。
4年前の女王、ウォズニアッキが登場しました。
優勝候補、ウォズニアッキがスペインのホープ、ムグルザと対戦ウォズニアッキの武器は正確無比なバックハンド。
ラインギリギリをつくショットで第1セットを奪う。
さらに…相手の頭上を越えるロブショット。
世界ランク1位に輝いたこともあるテクニックを見せつける。
ウォズニアッキがセットカウント2−1で勝利。
4年ぶりの制覇へ、あと1勝。
さて、この「報道特集」のキャスターとして2008年の4月から長年務めてきた岡村さんが今日の放送で卒業することになりました。
スポーツ担当から合わせると6年半、この番組を担当してきましてアナウンサーとしての私のキャリアの大部分をこの番組と一緒に歩んできましたので、すごくさみしい思いもあるんですが、本当に「報道特集」での経験を糧に、これからも報道の仕事に携わっていきたいと思っています。
本当にありがとうございました。
また現場の取材で会いたいですね。
まずは久々の土曜休みを満喫したいと思います。
来週はアジア大会の中継のためにお休みです。
お目にかかるのは10月4日の再来週になります。
2014/09/20(土) 16:30〜17:50
MBS毎日放送
報道特集[字]【スコットランド▽入管行政】

スコットランドの行方は?独立派の人々は?最新現地ルポ▽夫はなぜ死んだのか?妻が問う日本の入管行政と人権感覚。

詳細情報
番組内容
【スコットランド独立回避 されど・・】
独立の賛否を問う住民投票がおこなわれたスコットランド。当初は劣勢と見られた独立賛成派が反対派に迫る勢いを得たのはなぜか?舞台裏と最新情報を現地から中継。

【夫はなぜ死んだ?入管行政を問う】
ガーナ人の夫はなぜ死ななければならなかったのか?問い続ける日本人の妻がいる。背景には、日本の入管行政と人権感覚。その実態を追った。
出演者
【キャスター】
金平茂紀(TBSテレビ報道局)
日下部正樹(TBSテレビ報道局)
岡村仁美(TBSテレビアナウンサー)
林みなほ(TBSテレビアナウンサー)
制作
▽番組HP
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ジャンル :
ニュース/報道 – 特集・ドキュメント
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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