魂を込めた17音〜俳句甲子園2014〜 2014.09.20

この試合最後の判定。
まいります。
判定!
(歓声)やばい!これはやばい!俳句を作る全国の高校生たちの憧れの舞台。
全国から選ばれた36チームが集まりました。
質問のある方挙手をどうぞ。
魂を削るようにして生み出した5・7・5の17音。
それを一句ずつぶつけ合い徹底的に議論を交わして勝負を決します。
(拍手)去年個人の部で最優秀賞と優秀賞をダブル受賞した双子の姉妹。
今年は後輩を率いて団体優勝を目指しました。
立ちはだかったのは連覇を狙う強豪校です。
1人で一日60句を作り徹底的な議論を重ねました。
「夜の秋写真の我と目が合えり」。
(永山)智郎。
そして独特の作風が注目される常連校。
虹です虹です!ふるさとの島で培った感性を信じて全国の強豪に挑みました。
伝わった喜び。
伝わりきらなかった悔しさ。
俳句に青春を懸けた高校生たちの一夏のドラマです。
7月中旬出場校の句作りが本格化していました。
あれ?
(取材者)おはよう。
過去最多優勝を誇る…授業が休みのこの日午前10時にメンバーが部室に集まってきました。
短い時間でひたすら句を作る即吟です。
限界まで集中力を高め脳からひらめきを引き出します。
俳句甲子園では出場チームに共通のお題が7つ与えられます。
全てのお題について納得のいくものが出来るまで妥協のない句作りを続けます。
お前足腰が萎えてるじゃないか。
44×5ですから…休憩時間力尽きて寝てしまった生徒がいました。
そうですね〜。
あの…。
句作りの時はいつもなみなみならぬ集中力を発揮します。
メンバーの中でも人一倍俳句にのめり込んでいるチームのエースです。
永山さんが俳句を始めたのは開成中学1年生の時。
その後高等部の先輩に俳句甲子園の存在を知らされました。
(取材者)お邪魔します。
こんにちは。
自分もあの舞台でこん身の一句を披露したい。
俳句の勉強にのめり込む中で忘れられない一句に出会いました。
あ〜これですこれです。
この後ろから3句目の…。
これは子どもが泣きやまないっていう事が何か親子とかそういうものよりもっと近いというか強い関係みたいなものが子どもと何かを結んでてそれを求めて呼んでいるのかもしれないですしだとしたらそれが何か人間が等しく原初から求めているものかもしれないですし分かんないですけどね。
でもそういうふうにやっぱりこの句って人間の本質を一つ言い当ててると思うんですよね。
人間という存在の根源に触れた句。
僅か17音でも深遠な世界が詠める事を思い知らされました。
6月に永山さんが俳句甲子園の地方予選に出した句です。
動物を食べて生きる人間の残酷さと力強さを表現しました。
句を通じて自分の世界観を披露できる。
それが俳句甲子園の大きな意義だと永山さんは感じています。
(永山)僕らがそろえた句には僕らの思いもあり個性もありまたそれを通じて何か…名前も知らない誰かと通じ合いたいみたいな気持ちもある訳ですしやっぱり全部の句を見て頂きたいですよね。
それで勝てたらなおの事うれしいですけれども。
ここに独特の作風で注目される俳句甲子園の常連校があります。
開催を1か月後に控え句作りを進める…この日は学校近くの海に向かいました。
島の自然や人の暮らし。
さまざまなものに心が動く生徒たち。
それを素直に俳句に落とし込んでいきます。
ねっそうだよね。
じっと海を見つめていた…一つの句が思い浮かびました。
あれが私の部屋です。
いや本当に汚いですけど…。
(取材者)いい?大丈夫?大丈夫です。
(取材者)失礼しま〜す。
大好きな海。
その海に「秋思」という言葉を重ねた福岡さん。
その一句は今の心の中をそのまま映し込んだものでした。
島で培った豊かな感性で俳句を作る伯方高校。
しかし俳句甲子園を勝ち抜く上で大きな課題を抱えていました。
互いの句について質疑応答するディベート。
その出来も評価の対象になるのです。
後輩たちのBチームが福岡さんたちAチームの句に疑問をぶつけます。
「個の顔を」というのはやはりあまり聞く言葉ではないので個人の顔というふうな表現にした方がよかったのではないでしょうか?はい。
作者が外から…。
これまで感性を大事にして句作りをしてきた分論理立てて説明するのは苦手です。
「君らへ」って何かちょっと上から目線のような気がするんですけどほかの表現でもよかったと思うんですけどどうでしょうか?自らの感性を論理立てて語る力。
大会本番までにそれを身につけられるかどうかが勝負の分かれ目です。
7月下旬開成高校のメンバーたちは1泊2日の合宿に入っていました。
俳句甲子園に使う句は全て事前提出。
その最終締め切りが2日後に迫っていたのです。
与えられた7つのお題のうち2つについてまだ納得のいくものが出来ていません。
家でも毎日深夜まで句作りに励んでいました。
いきなりリゾートスタイルでごめんね。
(笑い声)合宿には俳人やOBが参加。
顧問と一緒に勝ち抜ける句かどうかを見極めます。
永山さんはこの審査の場に25句を出しました。
9番に4点句。
これすごくいい句ですね。
いい句ですよね。
とってもいい句だと思った。
「祖母時折」にしようか?
(佐藤)写の名句が来たね〜。
(櫂)よしよし。
来た来た…。
(佐藤)ほら来た来た。
(笑い声)高い評価を受けたのは…言葉選びが巧みで大人びた俳句を作る実力者です。
(佐藤)これもいい句だよ。
(櫂)これもいい句だね。
(佐藤)「かやり火」がうまいね。
これでもう田舎の家っていうのがパッと見えてくるところがね。
田舎なのよね開け放しててね。
これもいい句だよね。
(佐藤櫂)何だよ…。
(笑い声)
(櫂)何?これ。
祖母が生き返ったりいろいろ忙しいね。
(佐藤)これどっちなんだよ?どっちかにしろ。
永山さんの出した句は評価されませんでした。
メンバーは学校近くの旅館に場所を移し句作りを続けます。
チームメートが高く評価されるのを目の当たりにした永山さん。
知恵を振り絞ります。
夜10時再び顧問や俳人たちによる審査の場が設けられました。
(永山)智郎。
(佐藤)「写真屋に…」。
永山さんの句はなかなか評価されません。
結構面白い。
若くていいよ。
入れてもいいよ?え〜そうですね…。
どうします?どうすれば評価される句が出来るのか…。
永山さんの頭の中はその事でいっぱいになっていました。
う〜ん…。
失礼します。
あっすいません。
深夜0時過ぎ永山さんは新しく作った句を持って顧問たちの部屋を訪ねました。
(櫂)強引さ出してもいいんじゃない?
(櫂)うごめいてるよね。
永山さんは深夜2時まで句を作り続けました。
合宿2日目の朝。
永山さんは1つの句を思いつきました。
「生まれし日の記憶どこにもなく泳ぐ」。
泳いでいる時に生まれた時の記憶を探しているかのように感じたという人間の根源に触れる句です。
(永山)智郎です。
(佐藤)いいじゃない。
生は更新したいと思います。
(佐藤)これ生の方に入れてくれる?ついに完成したこん身の一句は決勝戦の大一番で使われる事になりました。
万全の準備を進める常勝開成。
その対抗馬と目される高校が広島にあります。
決定?決定!
(拍手)もう何かうれしい。
チームをけん引するのは傑出した俳句を作る双子の姉妹。
2人の名は去年の俳句甲子園で全国に知れ渡りました。
「一指にて言葉伝はる涼しさよ」。
広島高等学校…。
姉の瑞季さんは個人の部で優秀賞を受賞。
一振りの指の動きで気持ちが相手に伝わるという日常の風景を詠んだ句です。
双子で受賞!おめでとうございます!妹の柚紀さんは個人の部で最優秀賞を受賞。
夕焼けを見て千年後には人間が滅び鳥の国になるのではないかと想像した句です。
ただいま!2人が俳句を始めたのは僅か3年前。
急成長の理由はお互いの存在です。
この日も俳句甲子園に出す句を考えていると…。
増えた?1個しか増えてないよ。
互いに意見をぶつけ推こうを繰り返しながら句の完成度を上げていきます。
去年個人として全国の頂点に立った2人。
今年の目標は団体での優勝です。
勝ち抜ける句を作るため今度はチームのメンバー全員で意見を闘わせ推こうする事にしました。
最終締め切りの前日話し合っていたのは後輩岸野桃子さんの句です。
柚紀さんは「大きさ」を「重たさ」に変えて汗につなげる事でシンバル奏者の大変さを強調できると主張しました。
う〜ん何かね…。
どっちにするのかなかなか答えを出せないメンバーたち。
しばらくすると音楽室に向かいました。
シンバルちょっとたたかしてくれる?中入って。
(シンバルを鳴らす音)思ったよりも大きな音です。
余韻が大きい。
読んだ人が受ける考えはただ景がぶれるかぶれんか…。
締め切り直前まで話し合いは続きました。
じゃあ「大きさ」で確でもいいですか?じゃあシンバルは「大きさ」の方で確定です。
全ての句が出そろった広島高校。
ライバルのディベートも分析します。
これはうちの母に頼んで打ってもらったんですけど去年の決勝準決勝の開成の句のどういうところをどういうふうにアピールしているかというところを参考にしてみたりっていう…。
想像力をかきたててもう…。
あまりにも真剣だからもしかしたら…。
今年も夏休みは返上です。
松山俳句甲子園!8月23日俳句甲子園開幕です。
全国から選ばれた36チームが松山市に集結しました。
日本を代表する俳人たちが俳句とディベートの出来を見て優劣を判定します。
勝ち抜けた1校がトーナメント戦を行い日本一を決定します。
(取材者)寝れた?寝れました。
頑張ります。
おはようございます。
飲み物取ってきます。
おはようございます。
(取材者)おっ一人じゃん。
あ〜僕いつも一人でぶらぶら散歩してるんで朝は。
(取材者)みんなはどこ行ったの?みんな何かベンチに座ってます。
選手入場。
開成高校と広島高校はそれぞれ1勝ずつをあげ決勝トーナメント進出を懸けて対決します。
双子の姉妹にとっては待ちに待った対戦です。
それでは先鋒戦にまいります。
まず赤チーム代表の方ご起立の上2度俳句を読み上げて下さい。
続いて白チーム代表の方ご起立の上2度俳句を読み上げて下さい。
広島高校は双子に鍛えられた後輩岸野桃子さんの句です。
飛魚のあまりの速さに鱗が光のように見え命の輝きまで感じられるという感慨を詠みました。
開成高校は実力者網倉朔太郎さんが作った句です。
海にたくさん飛んでいる飛魚を高い波が丸ごと飲み込んでしまったという力強い情景を詠みました。
まず開成高校のエース永山さんが広島の句の疑問点を指摘します。
体言止めは面白いと思いますけれども…人の頭に当たると脳震とうになったりするらしいですがとにかく速いものなんですね。
その事をわざわざ言って「速ければ光」っていうところにしている。
ここはちょっと…青本柚紀さん。
反論するのは…「飛魚や銀鱗速ければ光」。
このフレーズの読んできた時の…飛魚が本当に光となってどこまでも光の速さくらいで飛んでくような感じがして…
(拍手)判定!赤2本白3本で白チーム開成高等学校の勝利です。
1本目は僅差で開成が取りました。
続いて2本目。
続いて赤チーム代表の方ご起立の上2度俳句を読み上げて下さい。
開成高校は永山さんの句です。
船のかじを切り航路を定める時にたくさんの飛魚を見て心強さを感じる様を詠みました。
対する広島高校は双子の姉瑞季さんの句です。
飛魚が次々と勢いよく飛び出していく情景をリズミカルに詠みました。
どちらも実力校のエースにふさわしい句です。
予選は3本勝負。
1本取られ後のない広島は妹の柚紀さんが開成チームに詰め寄ります。
う〜んそういうふうな旅の様子を表したいのでしたら旅の「地図海図星図」ですと…「地図海図星図」っていう言葉のところで地図は港の地図かもしれませんし海図は航海に使うようなそんな地図だと思うんですが…そういう作者の心持ちまで伝わってくるようなやっぱりそういう句だというふうに思います。
それでは判定!白4本赤1本で白チーム開成高等学校の勝利。
ここまで先鋒戦中堅戦と…おめでとうございます。
(拍手)広島高校予選敗退です。
そうですね。
ちょっと今気持ちが…。
私1年生から俳句甲子園に出ていて開成とずっと闘ってみたくってそれがかなった事はとってもうれしいんですけれど自分たちが俳句に懸けてきた思いっていうものとか自分たちの句の思いってものを伝えきれなかった事がとっても残念です。
試合後審査員から声をかけられました。
ありがとうございます。
ありがとうございました。
まあでもよかったじゃないあそこまで健闘できてね。
ありがとうございました。
「青春を賭ける」です。
愛媛伯方高校の俳句部です。
(一同)おはようございます。
おなかが痛いだけ。
何かおなかがつっかえるわみたいな。
どうしよう。
句に詠み込まれた感性を審査員に強く印象づけたい。
直前までディベートの猛練習を続けます。
予選リーグ初戦の相手は沖縄浦添高校。
俳句甲子園の常連です。
伯方高校が先勝し迎えた2本目。
続いて赤チーム代表の方ご起立の上2度俳句を読み上げて下さい。
浦添高校は祖父と手をつないで夜店を回っていると厳格な祖父がいつもと違って感じられたという情景を詠みました。
対する伯方高校。
夜店を見ながら歩いていると羊水の中を漂っているような安心感に包まれたという感覚を詠みました。
ディベートの時間伯方高校は矢継ぎ早に質問を浴びせられます。
はい福岡さん。
流れているだけじゃないんですね。
夜店っていうのも人混みがたくさんいたりしてすごく暑いっていうか体温を近く感じると思うんですけども…いよいよ判定。
それでは判定!赤5本で赤チーム伯方高校の勝利です。
では採点の内訳です。
あんた…。
あんた…。
ごめんなさい。
勝ったやん勝ったやん。
エリ次の句ね次の句。
選手入場!予選通過をかけた2戦目強敵が立ちはだかります。
去年の準優勝校京都洛南高校です。
1対1で迎えた勝負の3本目。
それでは判定!赤4本白1本で赤チームの勝利です。
伯方高校惜しくも予選敗退です。
だからディベートの方は先程の繰り返しになりますけれども…。
句に詠み込まれた福岡さんたちの感性。
それをディベートで伝えきる事ができませんでした。
8月24日大会のクライマックスです。
予選で広島を破った開成高校は順当に勝ち進み決勝進出を決めていました。
頂点に立つ学校はたった一つ。
東京開成高等学校か京都洛南高等学校Bチームか。
握手をどうぞ。
相手は去年の準優勝校京都洛南高校。
打倒開成の有力候補です。
決勝では試合に先立ち両校の代表が意気込みを語りました。
自分たちでしか書けない句を作って読んで頂く。
多分僕らが僕らである証しがこの句には詰め込まれていると思うんですよ。
それを受け止めて頂ければもう何も悔いはありません。
どうかよろしくお願いします。
(拍手)1本目は開成が勝利。
(拍手)2本目も開成が連取しました。
決勝は5本勝負。
次の3本目を取れば優勝が決まります。
開成が押し切るか洛南が盛り返すか。
意地とプライドを懸けたディベートの応酬です。
ここは踏切の音と神輿の声を合わせてもよかったんではないでしょうか?ここでやっぱり踏切っていうものじゃなくても神輿を進む先を止めるものっていうのはありますよね。
例えば赤信号だとかそういったものでもいい訳ですよ。
なぜここ踏切というものを持ってこられたのでしょう?網倉君。
はい。
普通お神輿やる時って車なんかを止めたりすると思うんですけれどもでも踏切だけは言う事を聞かないようなそんな感じってあると思うんですよ。
踏切なんかで遮られてしまっても一生懸命担ぎ上げてるようなそんな様子ってあると思うんです。
(拍手)ストレート3本勝ちで開成が優勝を決めるかどうなりますか判定!開成連覇!前人未到の3度目の連覇を果たしました開成高等学校!ストレート勝ち!勝負は決しました。
その後4本目と5本目に出すはずだった句が会場で披露されました。
その中に合宿の時苦しみ抜いて作った永山さんのあの句がありました。
水の中にあった。
大好きだったよ私これ。
ありがとうございました!永山さんが追い求めてきた人間の根源に触れる俳句。
その世界観は会場の人の心を揺さぶりました。
幸せですしやっぱり1年間やってきてよかったと思うんですね。
もっといい句というか自分らしい句というか大きい句そんな句作っていきたいんででも一生懸命生きないといい句も出来ないと思うんでまずはちゃんと生き直す事から始めようかと思います。
ここにて往生させて頂きます。
ありがとうございました。
(拍手)高校生たちが魂のかけらを宿した17音。
そのぶつかり合いが一人一人の心に忘れえぬ何かを残しました。
「先生の遠くに見ゆる祭りかな」。
2014/09/20(土) 15:00〜15:50
NHKEテレ1大阪
魂を込めた17音〜俳句甲子園2014〜[字]

高校生たちの俳句の全国大会「俳句甲子園」が、愛媛県松山市で開催された。自らの感性を託した5・7・5の17音をぶつけ合い、頂点を競った高校生たちの一夏を描く。

詳細情報
番組内容
高校生の俳句の全国大会「俳句甲子園」が、8月に愛媛県で開催された。17回を迎えた今年は、俳句が5・7・5の17音であることから、記念大会として例年以上の盛り上がりを見せた。高校生の瑞々しい感性が表れた句や10代の目線で社会を切り取った句。こん身の一句を出し合い、ディベートで鑑賞力を競う。番組では大会に出場した3つの高校に密着。自らの感性を託した17音をぶつけ合い、頂点を競った高校生たちの一夏を描く
出演者
【出演】俳句甲子園に出場した高校生たち,【語り】徳永えり

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 文学・文芸

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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