週刊 ニュース深読み「いま何が… “イスラム国”勢力拡大のワケ」 2014.09.20

わー、きれいな絵はがき。
絵はがきではありません。
北海道の最高峰、大雪山系の旭岳です。
絵はがきじゃない証拠に、煙がたなびいています。
今週火曜日、平年より9日早く、初冠雪を観測しました。
紅葉もきれいですね。
きれいですね。
おはようございます。
週刊ニュース深読みです。
東京でも、少し朝、涼しいなっていう感じがしてきましたね。
そうですね。
秋は秋なんですけど、もう、オータムっていう感じの所が多くなってきましたかね。
オータム。
北のほうはもう冬の現象が始まっていますけれども、南のほうにはまだ夏の現象があって、それが今、北上してきています。
夏の現象って、台風のことですか?
台風ですね。
台風が今、台湾の南にあって、動きは遅いんですけれども、このあと北上して、南西諸島に近づいたあと、来週水曜日から木曜日にかけて、西日本などに接近してくる見込みです。
ちょっと雨も長引いたりしますし、今後の台風情報、このあと十分注意をしていただきたいと思います。
この台風16号については、気象情報のコーナーで、また後ほど、詳しく伝えてもらいます。
ところでイギリスのキャメロン首相は、イギリスは終わるかと、胸が張り裂けそうだったと話してましたね。
そうですね。
世界中が注目したスコットランドの独立を問う住民投票。
反対が多数で、スコットランドはイギリスにとどまることになりました。
18日行われた、独立の賛否を問う住民投票。
こちらが今回の住民投票で使われた投票用紙の見本になります。
投票する人は、スコットランドは独立すべきかの問いに、イエスかノーで答えました。
投票率は84.6%に上りました。
独立運動を率いるスコットランド民族党のサモンド党首は。
そして始まった開票作業。
32の自治体ごとに、結果が次々と発表されていきます。
一時、賛成票と反対票は、僅か1400票余りまできっ抗しました。
遠く離れた日本でも、スコットランド出身の人たちが、結果を見守りました。
この方は確か?
はい、先週、この番組でもお伝えした、独立賛成派のユアン・ファーガソンさんです。
自宅のパソコンで、開票速報をこまめにチェックしますが、独立反対の票が賛成の票を上回ります。
ファーガソンさんの地元でも、独立に反対が過半数となりました。
一方、こちらは独立反対派のリチャード・ドーソンさんです。
みずからが経営する飲食店で、テレビの開票速報を見つめます。
繰り返し水を飲むドーソンさん。
反対が上回っていますが、確信が得られません。
そして。
開票の結果、独立賛成が161万7989票、反対が200万1926票。
反対が賛成を上回りました。
独立反対派の勝利を受け、ドルに対して、通貨ポンドは値上がり。
投資家の間に安心感が広がりました。
やったー!
独立反対派のドーソンさんは。
一方、独立賛成派のファーガソンさんは。
明暗こそ分かれましたが、最後に2人とも投票の意義について語ってくれました。
スコットランドが併合されてから300年余り。
イギリスが分裂するのか。
独立すれば、国際社会に大きな影響を及ぼしかねなかっただけに、住民投票の行方に世界中の関心が集まりました。
独立反対派は経済面のリスクを強調し、理想だけでは国家は作れないと訴えて支持を固め、土壇場で独立を阻止しました。
しかし、賛成の得票率も44%に上り、160万人を超える人が独立を支持しました。
世界中の富が集中するロンドンとの格差が拡大し、自分たちの声が中央政府に届かないという、人々の不満が、この数字に表れた形です。
イギリスを分裂の瀬戸際まで追い込み、イギリス政府は自治権拡大の約束を余儀なくされました。
地方の不満とどう向き合い、政策に生かしていくのか。
今回の住民投票は、イギリス政府に社会的格差の是正、そして地方分権という難しい課題を突きつける結果になりました。
さあ次はこちらです。
これは西之島の。
様子です。
小笠原諸島の西之島。
これは去年11月の様子です。
噴火しているのが見つかったころなんですが、以来、番組では大きくなる様子を伝えてきました。
さあ、10か月余りたった今、どうなっているのかご覧いただきましょう。
東京都心から南へおよそ1000キロの場所にある西之島。
これはきのう、NHKが撮影した映像です。
また姿が変わりましたね。
はい、大きくなりましたよね。
島では活発な活動が続いています。
よく見ますと、真っ赤なマグマが噴き出しています。
見えます、見えます。
噴石も次々と飛んでいるんですが、小野さん、この噴石、1つどれぐらいの大きさがあると思いますか?
結構大きいんでしょうね。
こうやって映っているのを見ても大きいですもんね。
そのとおり。
専門家によりますと、1つおよそ数メートル。
大きいものでは、軽自動車ぐらいの大きさがあるということです。
こちらは去年11月の様子。
右にあるのが、もともとの西之島です。
左の場所で噴火が確認されて、新たな島が出来ていきました。
たった1か月ほどで。
くっついちゃった。
そう、右の島につながったんです。
そして。
右の島を飲み込むように拡大を続けていって、今月に入っても、さらに大きくなり続けているんです。
衛星画像なんですが、これを見ると、大きくなっていく様子、よく分かりますよね。
面積は噴火前と比べて、なんと7倍になりました。
7倍?
東京工業大学の野上健治教授です。
噴火が確認されて以降、毎月、島の観測を続けています。
今週も島を観測してきた野上さん。
特にこの1か月間の変化に驚いたといいます。
1か月前には、ここの溶岩流、全く存在してませんでしたので。
先月はなかったんですか?
なかったです。
えー!たった20日ほどで一気に増えた陸地。
さらにもう一つ、驚く発見が。
島の中心部に高い丘のようなものが出来ていたんです。
こちらも僅か1か月ほどで出来たといいます。
そんな高さがあるんですか?
ええ、あります。
これは、温度が高い部分を見やすくする映像です。
白く見えるのが、温度が高い所です。
野上さんは、この溶岩が北側に流れることにポイントがあるといいます。
ただですね、西之島ではこれまで見てきた火山にはない現象が起きているので、この先、噴火がどうなるかは予想がつかないと、野上さんは話していました。
島でも人でも、すくすく育つのを見るのはうれしい気分になりますが、実際、この島が大きくなると、なんかいいことあるんですか?
海上保安庁に聞きましたら、この島の拡大で、日本の排他的経済水域、漁業ですとか天然資源の採掘などを自由に行うことができる水域が、少なくともですよ、三十数平方キロメートル広がる可能性があるということでした。
今後も見ていきたいですね。
次はこちらです。
体のさまざまな組織になるiPS細胞を作り出し、ノーベル賞を受賞した山中伸弥教授。
その山中教授が驚いたという研究成果が、今週発表されました。
どんな研究なんでしょう。
どんな研究という質問ありましたが、骨を形づくるもととなる軟骨が出来ずに、手足などが成長しない難病についての研究なんです。
この病気の患者さんから作ったiPS細胞を使って、治療薬の候補となる物質を特定することに成功した。
ちょっと難しいんですが、京都大学の研究グループが、その発表をしました。
発表したのは、京都大学iPS細胞研究所の妻木範行教授のグループです。
研究したのは、全身の骨を形づくるもととなる軟骨が出来ず、手足などがあまり成長しない、軟骨無形成症という難病です。
研究グループは、患者からiPS細胞を作り、それを軟骨の細胞に変化させました。
こんな感じです。
患者から作ったiPS細胞は、遺伝子を引き継いでいます。
このため、軟骨は細胞があまり増えないという患者の病気の状態を再現しています。
研究グループで、これにさまざまな物質を加えた結果。
スタチンという物質を加えると、細胞が増殖し、軟骨の組織を作り始めることを突き止めたのです。
このスタチン、血液に含まれるコレステロールの合成を抑え、現在は心臓発作や脳卒中の予防薬や治療薬として使われています。
難病の軟骨無形成症。
患者家族は、新薬を待ち望んでいます。
小学1年生の安達大起君です。
腕や太ももが短く、身長はおよそ1メートルです。
国内に4000人以上の患者がいると見られる、軟骨無形成症。
治療法としては、成長ホルモンの注射や、手や足の骨をいったん切断し、徐々に引き伸ばす方法がありますが、効果は限られているといいます。
ただ今回、効果が分かったスタチン。
子どもが服用した場合、副作用の危険があるということで、研究グループは、安全な方法が確立されるまで、勝手に服用することは絶対にやめてほしいと呼びかけています。
研究グループでは、スタチンの適正な量や投与の方法などを調べたうえで、2年以内に臨床試験を始めることにしています。
今回の研究成果について、山中教授は、iPS細胞によって、治療薬の開発手法が新しい段階に入ろうとしていると指摘しています。
さあ、小野さん、今度はこちらです。
ウナギとクジラ。
今週、これらの日本の伝統的な食文化に、影響が出かねない動きが相次ぎました。
ウナギといえばかば焼き。
日本は世界最大のウナギ消費国です。
世界のニホンウナギの70%から80%を消費しているといわれています。
しかし、そのニホンウナギ。
稚魚の乱獲などが影響で、資源の減少が深刻です。
ことし6月には、国際的な自然保護団体から、絶滅危惧種に指定されました。
一方で、ニホンウナギの資源を管理する国際的な枠組みはありませんでした。
このため今週、ニホンウナギの養殖を行っている日本と中国、韓国、それに台湾の担当者が出席する国際会議が開かれ、ニホンウナギの資源管理の枠組みについて話し合いました。
テーマは、養殖に使う稚魚、シラスウナギです。
ニホンウナギは、日本から南におよそ2000キロ離れた海域で産卵。
ふ化して日本近海に戻ります。
体長5センチほどに成長したシラスウナギを、川の河口付近などで捉え、養殖場で育てたうえで出荷します。
しかし、稚魚のシラスウナギは激減していて、去年の国内の漁獲量は5トンと、豊富だった昭和30年代の僅か2%でした。
このまま手を打たずにいると、ワシントン条約によって、ニホンウナギが国際取り引きの制限対象になる可能性も高まってしまう。
4つの国と地域が話し合った結果、養殖に使うシラスウナギの量を、ことし11月から、直近の1年と比べて20%削減することで合意しました。
今回の合意について、国内の養殖業者からは。
消費者は。
一方、日本が長年続けてきた調査捕鯨。
今週、スロベニアで開かれたIWC・国際捕鯨委員会の総会で、日本の調査捕鯨を事実上、先延ばしするよう求める決議が採択されました。
この決議は、仮に日本が従った場合、2年後の2016年からしか調査捕鯨が実施できなくなる内容となっています。
北海道のクジラ料理を提供している店では。
日本の調査捕鯨を巡っては、ことし3月、国際司法裁判所が、それまでの方法での南極海の調査捕鯨を中止するよう命じる判決を出しています。
IWC総会での今回の決議に、法的な拘束力はなく、日本政府は国際司法裁判所の判決内容を踏まえて、これまでの計画を一部見直して、調査捕鯨を継続する方針です。
続いてはこちらのニュースです。
夏の終わりから秋の初めとされていた、北朝鮮による拉致被害者らの調査報告。
最初の報告が、当初よりずれ込む見通しになりました。
山谷拉致問題担当大臣は、拉致被害者の家族と面会。
誠実な回答を一日も早く示すよう、北朝鮮に強く求めていく考えを伝えました。
ノーベル賞のパロディーとして、ユニークな研究に贈られるイグ・ノーベル賞。
バナナの皮の滑りやすさを調べた北里大学の研究グループが、物理学賞に選ばれました。
研究グループの馬渕清資教授は、研究内容を歌にして、受賞の喜びを表しました。
踏みますね。
馬渕教授の研究グループは、床に置いたバナナの皮を靴で踏むと、床を直接靴で踏むときと比べて、6倍滑りやすくなることを突き止めました。
日本人がイグ・ノーベル賞を受賞するのは、8年連続です。
続いてニュースの深層に迫る深読みのコーナー。
いま世界各国が脅威と受け止めている、この話題です。
イスラム過激派組織イスラム国。
中東のイラクとシリアにまたがる地域を暴力で支配。
外国人ジャーナリストを公開処刑するなど残虐な行為を続けています。
しかも、その勢力は増すばかり…いったい、なぜなのか?先週まで、イスラム国に入り取材した日本人ジャーナリストの常岡浩介さん。
常岡さんのカメラが捉えたのはイスラム国の一員になりたいと集まる大勢の外国人。
山積みにされた砲弾。
制圧した証しとして黒く塗り直した裁判所。
知られざるイスラム国の今です。
拡大する脅威について今週、世界のおよそ30の国や国際機関の代表が対応を話し合いました。
しかしそれぞれの事情や思惑があり足並みは、そろいません。
イスラム国を抑え込むことはできるのか?そもそもイスラム国とは何なのか?とことん深読みします。
きょうはスタジオに、先週までそのイスラム国に取材に行かれていたという、ジャーナリストの常岡浩介さんにお越しいただいています。
ご自身の判断でいらしたということですけれども、どんな状況なんですか?
シリア側のイスラム国に行ってきたんですけれども、中に入ってみたら、司令官どうしの連絡がうまくいっていなかったりとかですね、いろんな学者とかメディアが国をしっかりと作ろうとしているというふうな報道があるものですから、そういうのを期待して行ったんですけども、かなりがたがたじゃないかなという印象、持ちましたですね。
きょうは常岡さんもいらっしゃいますし、そして池内さんはイスラムのことに詳しい方なので、なんでもお聞きになってくださいね。
とはいえ、そのイスラム国について、何が聞きたいですか?って。
もうね、何を聞いたらいいか分からないぐらいですね。
ですよね。
だからきょうは、基本のきからまいります。
そうですよ。
なんであんな残虐なシーンを映す必要があるんだか分からない。
それも含めて、それじゃあ、中山アナウンサーのこんなプレゼンからスタートです。
おはようございます。
戦闘員の数が今、3万人を超えたともいわれている、イスラム過激派組織のイスラム国なんですが、これ、アラビア語で、アル・ダーウラ・アル・イスラーミア。
あってます?本当ですか、それ?
それ、常岡さんに聞いたほうがいいんじゃないですか?合ってますか?
ほぼ合ってます。
よかった。
結構必死に、今回、学びましたので、皆さんに知っていただきますが、英語にすれば、イスラミク・ステート。
イスラム教のステート、国という意味なんです。
彼らは国であると、がたがたの状態というお話もありましたが、国であるというふうにいっている。
3か月ほど前に国家樹立宣言も行っているんです。
旗を見ると、これはラ・イラーハ・イララ。
アラーのほかに神はなし。
アラーを信じる、そのイスラム教は、大きく宗派は2つあるんですけれども、そのうちのこちら、スンニ派の人たちのための国をつくったといっているんです。
国ってそんな、誰でも作れるというか、どういうものなんでしたっけ。
実際どうなっているのか。
これ、成立するのには、ある条件が必要でございます。
こんな条件が必要です。
領土がある、国民がいる、統治機構があること、これらがそろう必要があるんですね。
で、これ、イスラム国はどうなっているのよと、われわれ調べました。
すると領土、彼らが言うには、イラク、シリアの一部にまたがるこのピンク色の部分が、われわれの領土であると。
ここにはこうした戦闘員と呼ばれるような人たちのほかにも、こんな一般の人たちもいて、こうした人たちが、イスラム国の国民であるといっているわけなんです。
でもその領土と呼んでいる場所は、もともとほかの国の領土ですよね。
そして国民も、ほかの国の国民ですよね?
ですが、イスラム国はそれがわれわれの領土であり、それがわれわれの国民であるというふうに主張しているんですね。
で、もう一つ、彼らの主張としてこれ、統治機構があるのか。
統治機構って、国を治める機関や組織があると言っております。
トップにはこれ。
最高指導者。
この写真はバグダディという人の写真ですけれども、その最高指導者の下に、議会があり、こうした戦争省と呼ばれるような、省庁があり、地域によっては知事も置かれていて、先ほど映像にもあった、裁判所にこんなものも。
学校もある。
こんなものも運営をしているということなんです。
で、戦闘員には家族手当ですとか、給料が支払われ、住宅も支給、そして一般の方々には、食べ物を支給し、母子家庭などの家庭には生活保護のようなこともしているというふうにいっているわけなんです。
でも、どうしてこんなことをイスラム国はしているのか、目指す姿があったんです。
これを目指しているんです。
かつてヨーロッパ人が勝手に引いた国境を破壊し、イスラムの一つの国を作り上げるんだ。
その上で、領土をさらに拡大し、世界をイスラム国にすると考えているっていうんです。
それも、われわれが言っているそれはイスラム教の教えであるというふうに、彼らは主張している。
そのイスラム教の教え、コーラン。
ムハンマドが神から預かったことばがまとめられたというこのコーラン、聖典ですが、ここにこんなことばがあるんです。
ジハード。
これよく、聖なる戦い、聖戦なんていうふうに訳されることもありますよね。
でもこれ、われわれ今回調べますと、アラー、神のために奮闘し、努力すること。
これすべてのことをジハードと呼ぶそうなんです。
でもイスラム国の、その人たちのジハードの解釈としては、この奮闘の闘うという部分をかなり強調して解釈を行っている。
で、こうしたことが今、行われているわけなんですね。
アラーの神の教えに従わなければ、その異教徒たちは、迫害してもいいと。
実際にイラク北部で、ヤジディー教という宗教を信じる住民がいたんですが、500人が虐殺され、女性は奴隷にされ、売られていったというふうにいわれております。
ほかにもアラーの教えに従わないのであれば、処刑。
映像にありましたアメリカ人の方とかイギリス人の方とか、人質にとられた方だけじゃなくて、イスラム教の教えに反するということになれば、公開処刑。
金曜日、毎週行われているというんです。
ほかにも、アラーの教えを広めるためには、武力で町を制圧し、略奪し、お金をもうけることも許されると解釈をしているわけなんですね。
実際に、銀行や油田を襲って、1日1億円以上のお金をもうけて、そうしたお金で皆さんにお金や食べ物を支給しているというわけなんです。
でも、でもですよね、これら本当、イスラム教の教えって、こういうものなのかどうか。
非常にわれわれ、スタッフも含めて疑問に思ったんです。
そこで私、聞いてきました。
国内にいるイスラム教徒の方十数人の方、寺院に伺って、お話聞いてきました。
すると、もう皆さんがコーランにあったジハードという捉え方に関して、イスラム国の解釈は全くもっておかしい、イスラム国は完全に悪であると、イスラム教徒の方、皆さんがそうおっしゃっていたんです。
だからこそ、世界の国々も、このイスラム国は認めておりません。
だからこそ、イスラム国が勝手に国と言おうがなんだろうが、とにかく国ではない。
単なる過激派組織、テロリスト集団であるわけなんです。
ですが、です。
ですが、今、世界中からイスラム国を目指すというような動きもあって、それが問題になっている。
こんな数字がありました。
アメリカから100人、イギリスからは500人、フランスからは900人などなどなど、中国などアジアを含めて、80か国、1万5000人が、今、戦闘員として、このイスラム国に参加するという動きが見られているっていう話もあるわけなんですよね。
どうして?
なんでですかね?
なんでですかね?
そんな残虐なこと、みんなしたいんですかね。
そうですよね。
お金もらえるからって、そんなの普通嫌でしょう?
なんでわざわざ、世界各国からイスラム国を目指す人たちがいるんですか?
そうですね、教えとかももともとは分かってないし、理解もしてない中、そこに行きたいわけですもんね。
常岡さん。
分かっていないというか、イスラム国が考えているようなイスラムの解釈をする、一派といいますか、サラフィーなんていうことばがあるんですけども、は、13世紀からあるにはある。
ただ、そのサラフィーの中でも、イスラム国に反対する人たちも相当いまして、イスラム国が今目指している国造りっていうのは、世界中のあらゆる、イスラム教徒の一部には、相当影響があるみたいですね。
どういう人たちが向かってるんですか、イスラム国に。
今回、1週間弱いただけで、17か国ぐらいの人と会ったんですけども、大きく分けて、まず周辺のアラブの諸国の人たち。
その人たちはイスラム教徒なんですか?
そうです。
で、スンニ派で、このイスラム国の理念に賛成している人たち、もう1つが、旧ソ連、あるいは中国といった地域の人たちで、この人たちはどっちかというと、旧ソ連、ウズベキスタンとか中国のイスラム勢力に対する弾圧が非常に激しくて、どちらかというと生き延びるために、イスラム国に難民化してきているような立場の人たちがかなりいましたですね。
もう1つがヨーロッパから来ている人たちで、これはヨーロッパにもう親の代、おじいさんの代に移民した人たちの2世、3世の人たちですね。
話を聞きますと、自分の、例えばドイツで生まれ育って、ドイツの教育を受けているんですけれども、そこである人は、毎日のように嫌がらせを受け続けているとかですね、ネオナチの集団に襲撃されたとか、あるいはドイツの諜報機関にずっと尾行されているとかですね、家族と話し合って、もうイスラム教徒はイスラムの国をつくって、そこで生きていくべきなんだと、そんなことを決めてやって来たという人もいました。
常岡さんがVTRをさらに用意してくださってて、そんな映像、あるんですよね。
現地で会ったイスラム国の戦闘員、ファイター、戦士ですね。
パレスチナの2世の人で、ドイツで生まれ育った人で、ちゃんと理工学部出てて、エンジニアでもある。
見せていただいていいですか?
こういうふうに考えるようになっていったんですか、その、普通に西洋文明の国で暮らしていて。
そうですね。
僕のほうは、彼の場合、もともとシリアに来ようとしてたんじゃなくて、アフリカのマリで戦おうと思っていたら、なぜかシリアに行くはめになったなんて話してて、戦う所はどこでもいいんだなんてことを言っているんで、いわゆるグローバルジハーディストといいますか、国際社会が一番警戒してるタイプの人なもんですから、よっぽど凝り固まった人なのかなと思ったら、ドイツの出身だからドイツ人と戦いたくないと言ったりですね、アメリカ人を敵だとも思ってませんとかですね、意外に穏健といいますか、やっぱりヨーロッパの常識を持っているのかなとも思ったりしまして。
なんか分からなくなってきました?
僕たちが知らない、根深い問題があるんじゃないですかね。
歴史的なね。
それは日本の僕らが持ってる常識と、中東世界、イスラム教徒の持っている常識の間の、ものすごく大きな隔たりっていうのは、行くたびに感じますね。
ジハードというものは、一つ分からないんですけど。
先ほど、いろいろな国の聖職者の方に、モスクに行って聞いたら、いや、ジハードっていうのは戦争じゃないという説明を受けたと思うんです。
ただ歴史を見ますと、やはりイスラム教は軍事的なジハードを通じて広がったということは、客観的な事実なんですね。
それがコーランという経典にもジハードはいっぱい書いてあるから、かなりの部分は、それは戦いなわけです。
ただ戦争が正しいと言っているわけではなくて、正しい戦争は正しい。
つまり、正しい目的のための戦争は正しいといっているわけですね。
そういうコーランに、直接戻るとつまり今、シリアでアサド政権が、実際に一般市民を、例えば空爆で殺したりしてるわけですね。
その映像がインターネットにものすごい流れていると。
それを見て憤るわけですね。
でも、イスラム教徒の人が、みんながみんなジハードをイスラム国と同じような意味では解釈してない。
大多数の人はこれをどう解釈してるんですか?
大多数の人は、場合によっては戦争なども含むあらゆる努力ですね。
努力って、どんなことを?
イスラム教が最終的に世界に広がって、イスラム教の秩序が保たれる、そういう世界を作る。
そのためのあらゆる努力はジハードであると。
そこで必要とあれば、戦争も辞さないと、そういう考えはほぼ共通してるんですね。
ただ実際、私が戦争に行きますかということとなると、大多数の人は、いや、ほかの人がやってるからいいと、そういう感じなんですね。
勉強するとかいうこともジハード?
そういうものも拡大解釈すると、ジハードであると。
特に時代が下るにつれて、われわれに近くなると、当然イスラム世界も広がっていて、ずっと戦争している必要もないと。
あるいは近代国家が出来て、国際法のルールがあると。
そのときに宗教広めるために戦争するのはよくないという、そういうルールがあるわけですね。
そうすると、そこに従っていや、なるべくこれからはジハードといっても、勉強するとか、経済発展すると、そういう方向でやっていきましょうと、そういう考え方は、近代になってから広まったんですね。
そういう文化の中で、例えば育ってきたような人が、なぜイスラム国に行って、武器を取って戦おうと思うかっていうところなんですけど、グッチ裕三さんは、さっき、もっと歴史に根深いものがあるんじゃないかとおっしゃいましたが。
心情的にどうもよく分からないんです。
一つは、イスラム国という国を造ると。
今ある近代国家の国境はだめだと、こういう考え方は特にアラブ世界に強いんですね、強かった。
それは今、このイスラム国によって脅かされている国、例えばイラクとかシリアでも、政府が例えば、教科書で教えるときには、そういうふうに教えてきたわけです。
つまりわれわれの国は、実は本来、あるべきアラブ世界、一つのアラブ世界があるんだけれども、近代にヨーロッパ人が来て、勝手に切り分けたんだと、ヨーロッパが悪いんだと。
そういうことを、実際に教えてきてるんですね。
実際そういう面はあるわけです。
ただ、今のイラクであれ、シリアであれ、こういう勢力が出てきて、じゃあ、今ある国境なくしましょうというと、やっぱり反対するんですね。
ですから、そういう人々に教えてきた理念っていうのがあって、しかもそれはそれなりに意味があるんだけれども、同時に現実というものをもう、100年ぐらい、まさに第1次世界大戦がちょうど100年。
その第1次大戦のときに出来た秩序っていうのが定着してるんですね。
頭で理解することって、頭で理解することである気がするんですが、じゃあ、武器持って戦ってこようかなって思わないような。
世界にイスラム教徒って、大体16億人ぐらいいるといわれてますね。
それで、世界中からイスラム国に集まってきているっていうことです。
例えばヨーロッパにもイスラム教徒はたくさん暮らしているわけですけれども、キリスト教が主流の社会で、イスラム教徒っていうと、どうもこう不遇な思いをしてる人たちが多い。
例えば教育の面でも、あるいは就職の面でも、それから例えば同時多発テロみたいなことが起きると、イスラム教徒だってことで差別されたりすると。
一生懸命努力していても、報われないと。
そうすると、絶望感みたいなものを感じるわけですよ。
そこでは生きていけないから?
将来に展望がないと、そうするとここでもう、人生リセットして、イスラム国に入って、イスラム国が主張してるような過激なイスラムに解決を求めてしまう。
不公正で理不尽な世の中を暴力によって一気に変えてしまうと、そういうものに参加する。
しかもお金が支給されますから、生活は保障されると。
やたらヨーロッパから来た義勇兵ですね、民主主義だけは受け入れないという言い方をしていまして、結局、民主主義をもう知ってる人たちがそれを否定してると。
民主主義の社会というところで生活してきて、移民であって、イスラム教徒であって、必ずどうしても少数派である人たちが、結局民主主義というのは多数派がなんでも取ってしまって、われわれ少数派は日陰者で、多数派のおこぼれにあずかって生きてるだけの存在でしかない。
そんなのは人間のあるべき姿ではないとかですね、あるいは法律っていうもの自体をこれは人定法である、人間が人間を支配する、抑えつけるための法律でしかない、それがヨーロッパの民主主義であって、われわれはそれを拒否して神が人間に与えた法だけに従うという言い方をやたらしてきますね。
国境にしても、法律にしても、秩序にしても、やっぱりヨーロッパ、西洋が作ったものに対する強い激しい反発みたいなものがあって、そこではやっぱり自分たちはまっとうに生きていけないんだと。
ツイッターでも、欧米でも生きにくさからイスラム教に改宗する人が多いと聞きますという声がきています。
それから、欧米で失業し、日々の生活に意義を見いだせない若者には、フェイスブック等で大義を持っているように見えるイスラム国の戦死がまぶしく見えるんだと思うというような声があるんですが。
日本でも、ヘイトスピーチがあったりするじゃありますか。
生き難さを感じているイスラム教徒の人たちって、結構、おられると考えたほうがいいんですか?
ただ、ちょっと考えないといけないのは、イスラム諸国ですか、例えば中東の国とヨーロッパの国を見てみますと、今でも非常にたくさんの人たち、はっきり言えば過半数の人たちが移民したいと思ってるんですね。
ヨーロッパに行きたいと思ってるんです。
そちらのほうが生活水準がいいし、福祉があるし、自由もあると、ただ、ですから、皆さん、必死に勉強してヨーロッパに行こうと思うわけです。
なんとかビザを取っていこうとする。
それを忘れてはいけないと思うんですね。
今でも人の流れはヨーロッパに向かっているんです。
ところが、実際にヨーロッパ社会に定着して、2代目、3代目になってみると、今度はそのような福祉があって、自由があっても、自分が幸せだとは思えないという人が、むしろイスラム教徒に限らず非常にたくさんいるわけですね。
その人たちのほんの一定の割合なんですが。
定着したいと思う人たちを受け入れる側に、何か原因を作っているものがあるのであれば、それは知りたいなと思って。
それは20年ぐらい行われてきて、もちろん今でも、社会的な差別など、国によって形は違いますが、あります。
ただし、かなり改善されてきてるんですね。
例えばイギリスのポップグループのアイドルなんて、パキスタン系の人なんかものすごい人気だったり、フランスなんていうのは、本当に、私は同化して非常に幸せですという人たちが、ものすごいたくさんいるわけです。
ですから、ちょっと次の段階に来ているんですね。
別にヨーロッパにいてもそんなに差別は感じないんだけど、しかし目的意識は持てない。
むしろ、ヨーロッパに共通の問題ですね。
ヨーロッパは宗教をなるべく政治や社会から排除して、個人の問題にした。
そうしますと、何が幸せかっていうのは、まさに自由ですね、個人しだいですね。
そうすると…があなたはこうすれば幸せですということを、与えてくれない社会なわけです。
自分で見つけなきゃいけないんですよね。
そのときにむしろイスラム教を信じて、ジハードをすれば幸せになれるんだと言ってもらえると安心する人が、一定数いるわけですね。
全員じゃないですけれども。
カルト宗教のパターンみたいな感じもしますね。
今のお話を伺ってると、義勇兵になる気持ちが分かっちゃいますね。
それだけ追い込まれてたら、そっちのほうがいいかと思っちゃう。
ふだん、以前からあった考え方なんですが、シリアですね、シリアでアサド政権がタリバンとかと違って、一般市民の市場とかをばーんと爆破する。
子どもが死んだ映像が出てくる。
あまりにも残虐なんでわれわれは報道しませんけれども、実際にはインターネットでみんな見てるわけですね。
それを見て、これに対して戦うのは正しいというような、それだけをとったら恐らくそれなりに理屈が合ってると。
1000人に1人ぐらいの人が。
合ってるんですか?40代の女性からは、…。
…。
イスラムの教えでは、残虐な行為は許されている?
もちろん残虐な行為は許されていないですね。
ただまさに正しい目的のために戦うことは正しいと。
これは非常に多くの人が。
何が正しいかというのは、個人によって判断が分かれるわけです。
ですから、見解の相違になってしまって。
処刑の場面を見せて、それで気が済むっていうのも変ですよね。
イスラム国の支配のしかたの特徴として、恐怖心、人々の恐怖心に訴えると、それで従わせるという部分が、非常に強いと思いますね。
それはイスラム教徒の人たちに対してもそうだし、それから異教徒に対しても、例えばイギリス人、アメリカ人の首をはねて殺害するシーンをわざわざインターネットに載せて、それによって、例えばアメリカから、あるいはイギリスから空爆を受けないように抑止力として使うと。
えっ、逆じゃないんですか?あんな映像を見たら、みんな怒ってイスラム国をやっつけろってなるんじゃないですか?
人質を何人も抱えてますから、1人殺し、また2人殺し、空爆をしてくれば3人目も4人目も殺すぞと、そういう使い方をするわけですよ。
目には目を、歯には歯をなんてことばは、これ、人類史上、非常に昔からいわれていることありましてね、つまり、これをやったら痛い目に遭うぞと思うと、人間はやめるんだって、そういう考えが一つ、大昔からありますよね。
同時に、近代的な考え方っていうのは、それとはまたちょっと違った形で人々を導こうとするわけですが。
ただですね、今回、実は僕、1人でいったんではなくて、同志社大の客員教授、なかた先生という人に来てもらったんですけれども、司令官クラスとか、そういう人たちに聞き取りをしても、イスラムそのもの、イスラム法、シャリーヤに関する知識がかなりあやふやであると。
なかた先生は少なくとも遺体を損壊したり、あるいは首を切って並べたりは、明らかにイスラム法に反している行為で、それがなんで、イスラムを基本法としている国でやっているのかっていうのが、おかしいっていうことを言って、直接、その司令官クラスにあれはやめるべきだという批判までされてたんですけどね。
この統治機構を見ても、評議会があるとかいろいろ書いてありますけれども、イスラム法をしっかりと守るっていうシステムは、今のイスラム国にはないんじゃないのか。
最近報道されたことでは、サダム・フセインの政権の残党が、最高指導者のバグダディの周辺を固めていると。
恐怖で支配を、人々を従わせるというやり方にしても、サダム・フセイン時代のやり方にやたら似ているとか、それからもう一つは、われわれが中にいて行動するときに、上からの連絡をひたすら待つんですけれども、こちらからのフィードバックが全然上に行かないとかですね、司令官が自分の上司への連絡すらいかないとかですね。
極端な官僚体制の弊害みたいなものが見える感じになってまして。
今の話に関連して言うとすると、イラクは11年前に戦争があったわけですけれども、その戦争の結果、サダム・フセイン政権倒して、そのあとアメリカの主導で民主化ということを進めてきた。
その民主化のプロセスが、実はうまくいかなかったっていう、それが大きかったと思うんですよ。
イスラム国はイラクとシリアにまたがった地域に、今、集まっているんですね。
例えばシーア派がイラクは人口が多いんですね。
アラブ人のシーア派が全体の6割ぐらいいると。
アラブ人のスンニ派が2割ぐらいしかいないと。
あとクルド人が2割ぐらいいるんですけれども、そうすると、選挙をやった場合、民主主義の経験がないですから、人口比でもう、議席決まっちゃうんですよ。
つまり6割いるシーア派が何回やっても、選挙では勝っちゃうわけです。
シーア派主導の政権が出来る。
マリキ首相っていう人が、8年間首相やりましたけど、何をやったかというと、シーア派を優遇する、シーア派を偏重する、スンニ派は冷遇され、排除されてしまうと。
そうすると、この人たちは何回選挙やっても浮かばれないわけですね。
と、国造りにまともに参加できない。
それから石油の資源の富も分け前が少ないと。
ということで、国造りから排除されていくと。
そうすると、不満を持った人たちが、マリキ政権を倒したいと思うんだけれども、イスラム国っていうのが入ってきたっていうことで、それに乗っかっちまえと。
つまり、これはシーア派主導の政権を倒すチャンスだと思って、協力してしまうわけですね。
で、入っていく、だからサダム・フセイン時代の残党、それから旧軍人とか、軍人がいっぱい入っているから、戦い方、知ってる、武器の扱い方も知っている。
だから一気に攻めてきて、モスルとかを占拠してしまうと。
だから本当に、有象無象、いろんな連中が集まってきているということですね。
神奈川県の50代の男性からは、こんなメールが来ています。
そしてツイッターにも、このまま勢力が拡大して国際的な戦争になるかもしれないと思うと、遠い国の出来事とはとても思えない。
イスラム国は全世界共通の敵であるべきだが、各国の足並みがそろいませんねという声も来てまして。
これ、心配なのは国際的な戦争になるんですか、こういうのって。
そこですよね。
ちょっと今、そのことについてはこのプレゼンをご覧いただいてから、話し合いましょう。
イスラム国の…。
まさにその質問に対して、今、世界中がイスラム国の脅威に、実は立ち向かおうとしております。
今週月曜日にはパリで国際会議、30近くの国が集まって話し合いが行われたり、きのうも国連で話し合いが行われたりしているんです。
各国、イスラム国を壊滅しないといけないという考えでは一致しております。
イスラム国を倒そう、倒そうって書いてありますね。
ただ、その具体的にどう倒すのかっていうところで、やや足並みがそろっていないようなんですね。
そのあたり、ご紹介していきます。
まずアメリカ。
ご存じの方いると思うんですけれども、先ほどあった、このイラクの上空に限って、先月から空爆を行っているんです。
でも、イスラム国に対する打撃としては、イラク上空だけだとなかなか難しい点があるというのも、イスラム国のイラクにいる戦闘員はシリアに逃げてしまう。
そこで今月の10日にアメリカはこんな表明をしました。
空爆をシリア国内にも広げるぞと。
方針を固めたんです。
するとアメリカはイスラム国の脅威、これ全世界の脅威であるから、ほかの国も協力してくださいよと思った。
では、ほかの国がどうか。
イギリス、NGOの活動家が処刑されたりっていう話もあって、国内では非常に、イスラム国を倒すべきだって声が今、非常に強まっているんです。
ただ一方で、こんな思いがあります。
イラク戦争の悪夢は繰り返したくない。
さっきありました、11年前。
アメリカとともにイラク戦争に参戦した国です。
多くの兵士の命が失われてしまった。
だから、他国のことに軍隊を出すっていうことは、非常に慎重に今、なっているんです。
だったらば、このシリアのお隣のトルコはどうなのか。
これも先ほど話しあったところなんですけれども、こうなんです。
人質が殺されてしまうかもしれない。
トルコは人質取られてるんですか?
外交官など50人近くがイスラム国に人質に取られておりまして、だからアメリカも協力したくてもできない。
トルコに基地があって、アメリカが基地をかしてほしいって言ったんですが、トルコは拒否したわけなんです。
となると、このまさにイスラム国に制圧、一部の所をされてしまっている、2つの国はどうなのか。
もうお話ありましたね。
イラクは非常に内政が混乱した状態が続いております。
だからもうイスラム国倒すどころじゃない。
で、シリアはシリアでどうかっていうと、こちらは内戦、シリア政府と反政府勢力、3年以上、争いを続けているわけなんです。
イスラム国に対処する余力がないんですね。
だからシリア政府は、なんとか助けてもらいたいと思っているんですけれども、ほかの国、サウジアラビアはこう思っています。
あら?
ここにさっきのスンニとかシーアとかって話ありました。
実はサウジアラビアは、スンニ派の国なんですね。
シリア政府見てください。
シーア派系が今、政府になっている。
だから協力しないです。
一方、シーア派のこちら、イランはどうか。
こんなことを言っています。
アメリカに協力したくない。
というのもイランとアメリカって、30年以上、犬猿の仲になってるんですよ。
大使館が。
占拠事件でね、外交官が444日人質になったという事件がありました。
歴史もあるということなんです。
もう不倶戴天の関係なんですね。
そのイランと仲のいい、この国、ロシアはこんなことを言っております。
アメリカよと、もし空爆をシリアで行うんだったら、シリア政府の許可をしっかり得たうえで行わないとだめだぞと。
シリアの許可がなければ、それは侵略行為であるといっているんです。
でもアメリカはアメリカで、シリア政府から許可は得たくない。
えー!
というのも、内戦を巡って、このシリア政府がずっと内戦を続けてきていたので、シリア政府に対して、アメリカは非常に強くそれを非難し続けてきているわけなんです。
アサド政権に対して。
こうして足並みがそろわない中、アメリカは空爆拡大表明を行い、10日がたち、今もシリアへの空爆は行っていない。
ただし、その間もイスラム国は拡大を続けているというのが、この状況なんですよね。
話がまとまらないですよね。
まとまらないし。
このまま放っておくとどうなるんですかね。
さすがに、全くどこの国も軍事的に立ち向かわないと、イラクですね、非常に大きな産油国であって、非常に重要な国であるイラクが特にバグダッド、首都…とか、あるいは北部のエルビールという、クルド人の勢力の首都ですね、そこが制圧されると、そうなると、つまりはほとんど奪い返すことが不可能になって、今すぐは認めなくても、10年、20年、30年たつと、国際的にしかたがないから承認すると、いうことにもなりかねないですよね。
そういう意味で、今、アメリカを中心に軍事行動で、彼らの拡大を阻止してるというのは、恐らくやむをえない措置なんだと思いますね。
アメリカのオバマ大統領は、実は大統領になるときに、もうイラクから撤退しますと、イラク戦争終結させますという公約をして、それが支持されて大統領になった人。
実際に2011年にすべてイラクから軍を撤退させました。
ここへきて、今、池内さんがおっしゃった、エルビールでは、イスラム国によって攻め込まれそうになって。
イラクの大事な場所が?
そこにアメリカの領事館があって、アメリカの企業関係者もいた。
つまりアメリカの権益が脅かされてると。
もうお尻に火がついたような形で、やむなく空爆に踏み切った。
でもそれだけでは、どうもらちがあかない。
これは武装勢力はシリアにも逃げてってしまう。
だからシリア領内にまた空爆を拡大ざるをえないと。
どんどん深みに入り始めているわけですね。
シリア国内への空爆はたぶんなされると見てらっしゃる?
恐らく近日中に始まると思います。
ただし、今、アメリカはかつて過去二十数年間、どちらかというと、アメリカが1つの国で超大国で中東全体をある種支配しながら、逆に安定させると、そういう役割を担ってきたんですが、もうやりたくないというふうに表明してるんですね。
ですから、アメリカはもう、空爆をアメリカ人の犠牲がほとんど出ないような空爆をやるだけで、あとは現地の勢力がやってくださいと。
現地の勢力の足並みがそろわないので、うまくいかない。
そうすると、ちょっとずつ、ちょっとずつ軍事行動の規模、深みにはまっていくという、今、そういう状況ですね。
特にシリアに広げるというのは、恐らくあんまり、アメリカ側もやりたくないんですね。
シリアには特にアメリカの利益っていうのはないと。
イラクには非常に大きな利益が、国益がかかってるから守りたい、しかしイラクを守るためには、どうもシリアのほうに国境を越えて聖域といいますか、逃げ場が出来ると、結局、いくらイラクからイスラム国の勢力を駆逐しても、シリアに逃げてしまって、また戻ってくると。
ツイッターで、戦って屈服させるより、彼らの戦う力、武器を奪ったほうがいいのでは?つまり、武器供給のルートを絶つというご意見が来てますけど、こういうことはありえますか?
外国から組織的に支援を受けてるんではなくて、ほとんどが都市を丸ごと征服して、そこにおいてある武器庫、基地ごと、奪い取っているっていう形で武器を得てますから、これは外からの供給っていうよりも内側のものを手に入れてますので。
資金源は断ち切って揺さぶりをかけておこなったらどうかというツイッターもあるんですけど、これも?
油田を占領したりしている。
つまり、資金源を彼らが持っている、最初から。
その状態ですから。
例えば、油田から運ばれる密輸する油のルートを断つということは可能でしょうけれども、それでもやはりほかの、外から得ているし金を断つという問題ではないから。
石油の密輸っていうのは、今、石油価格1バレル100ドルなんていいますけど、40ドルとか、25ドル、つまり半額、4分の1ぐらいで売れると、どっかに買う人がいるんですよね。
それで市場に出てしまう。
密輸してるの見かけましたもん。
そうですか。
トルコに。
ポリタンクをいーっぱい連ねて、川をいかだで渡してる。
それは原始的ですね。
もうちょっとちゃんとしてる場合は、大きなトラック、タンカーみたいなもので行くんですけど。
空爆っていった作戦は必要なんだけども、同時にやはり戦闘員がこれ以上、イスラム国に入っていかないようにする、あるいは資金の流れを断つ。
武器の流れを断つって、これはどうしても必要ですし、それを実現するためには、イラク、シリアの周辺国も含めて、包囲網というものを国際的に作ってかないとだめ。
そうしないと解決しません。
特にそれから、イラクもシリアも、政治がうまくいっていない。
この政治がうまくいくように、正常化するように仕向けていかないと、無秩序状態の所に武装勢力が入っていくわけですから、だから、非常に取り組みは深くて、しかも長い時間かかってしまうんですね。
日本にできることってあるんでしょうか。
あと、日本は被害を受けるのかどうか。
被害は恐らく今までの、あらゆるアフガニスタンの問題、イラクの問題に関しても、世界主要国で日本はイスラム関係のテロリスクが一番低い所であると。
テロリスクが低い。
で、アフガニスタンのタリバーンにしても、イラクの武装勢力にしても、直接に日本をほとんど敵視してこなかったっていうのがありまして、今のイスラム国にしても、日本の人が1人、人質になってるんですけれども、彼は生きていると。
そもそも僕が今回、イスラム国に行ったというのが、イスラム国側から、彼についてはいきなり殺したり、身代金を取ったりするんじゃなくて、ちゃんと丁重に扱いたいと思っているので、通訳者とそれをちゃんと記録するジャーナリストを呼びたいということで。
それぐらい、日本に対して悪い印象を持たれてないんであれば、できることって、なんでしょう?
日本はそうやって軍事作戦に協力していくっていうことではなくて、もっと日本ができることいっぱいある。
例えば人道支援ですね。
イラクとシリアから何百万人も難民が出ていて、もう、命の危険にさらされているわけです。
その人たちをやっぱり守ってあげるということはとても大事ですし、それからもう1つは、最初に話をしましたけれども、なぜイスラム国に戦闘員が入っていくのか。
みんなそれぞれの国で、不遇な思いをしている。
国造りがうまくいってない。
それをやっぱり、日本の知恵、例えば教育の力、科学の力、文化の力で支えていく、それはシリアとイラクについてもそうだし、それから集まってくるもとの国でもそうなんですけれども。
あと一つ、少なくとも今、日本で暮らしているイスラム教徒の人たちを孤独のふちに追いやらない。
つまり彼らが差別されるようなことであっては、日本はいけないということですね。
イスラム国に入ってくる戦闘員の大多数はヨルダンとか、モロッコとかアルジェリアとか、サウジアラビアから来てるんですね、欧米の人たちは本当、100人といった数ですから、そんな大したことないんですけど、欧米の人たちは、彼らが戻ってきてテロをやるんじゃないかと。
実際、そういった事例もすでに出ているので、気にしてるんですね。
われわれはその報道を見てしまうんですけど、実際は近隣諸国から何千人も来てるんですよね。
先進国が考える戻ってきてテロをやるというケースに関しては、パキスタンに潜伏中のアルカイダはアメリカを攻撃しよう、どこを攻撃しろと指示を出し続けていますし、実際に人間に爆薬持たせて飛行機乗せたりということをやってるわけなんですが、イスラム国に関しては、世界の過激派組織の中でも、アメリカを攻撃することにほとんど関心を持っていないのが特徴ともいわれるんですよね。
じゃあ、これからどうなるかも分からないわけですよね。
結局、アメリカが攻撃を始めてしまったということは、今まで敵意を持っていなかったのを、わざわざ敵意を作り出してしまったんじゃないかと思います。
そういうふうにも見るんですか。
うーん、この問題は、今、たちまち何か…。
2014/09/20(土) 08:15〜09:30
NHK総合1・神戸
週刊 ニュース深読み「いま何が… “イスラム国”勢力拡大のワケ」[字]

イラクやシリアで急速に勢力を広げるイスラム過激派組織“イスラム国”。なぜ拡大を続けるのか? その脅威は押さえ込めないのか? 日本への影響は? 深読みする。

詳細情報
番組内容
欧米のジャーナリストやNGO活動家を殺害、その映像をインターネットで公開するなど残虐性の高さで注目を集める“イスラム国”。イラクやシリアで急速に勢力を広げるイスラム過激派組織だ。組織の壊滅をめざしアメリカは空爆を拡大する方針だが、報復によるテロの可能性も指摘されている。なぜイスラム過激派組織による脅威は押さえ込めないのか? “イスラム国”の内実とは? 日本への影響とは? 深読みする。
出演者
【ゲスト】グッチ裕三,藤本美貴,【解説】フリージャーナリスト…常岡浩介,東京大学先端科学技術研究センター准教授…池内恵,NHK解説委員…出川展恒,【キャスター】小野文惠,高井正智ほか

ジャンル :
ニュース/報道 – 定時・総合
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
スポーツ – スポーツニュース

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