先どり きょうの健康「男性にも更年期 治療で元気回復!」 2014.09.20

(テーマ音楽)皆さんの毎日の健康に役立てて頂きましょう。
「きょうの健康」です。
今日のテーマはこちら…更年期ですから女性の大問題と普通思っておりますが男性も無関係ではないんですって?こんな例をご紹介しましょう。
ご覧下さい。
去年会社を退職して以来何もする気にならず外出もあまりしなくなりました。
以前は旅行して写真を撮るのが趣味でしたが今はカメラを手にしたいとも思わないのです。
しかもちょっとした事で疲れやすく体の節々も痛みます。
また性的な衰えも感じています。
こうした事は年齢的なものではないかとも思いますがね。
そういう事もあるんですがでも男性の更年期障害かもしれないという事なんです。
それでは今日もこの分野の専門家をお迎えしていますのでご紹介を致しましょう。
お迎え致しましたのは順天堂大学教授堀江重郎さんです。
泌尿器科がんなど泌尿器科疾患の先進治療に取り組まれる一方男性更年期障害の診療にも積極的に取り組んでいらっしゃいます。
今日はどうぞよろしくお願い致します。
先ほども申し上げましたが更年期障害女性の問題だろうなと思っていましたが男性にもこれはあるんだという事なんですね。
男性の更年期障害はこれまであまりよく分かってなかったんですが実は一つの病気であると認識されてますしまた治療によって改善する事が分かってます。
ただ女性とは様子が違うんですね。
こちらでお示ししますが女性の場合は女性ホルモンが低下してくる事が原因ですが起こる時期としては閉経の前後5年と定義されています。
大体50歳前後ですね。
そしてホルモンのバランスはやがて時間とともに安定してくるのが大きな特徴です。
ところが男性の更年期障害こちらも主に男性ホルモンが低下する事によって起きてまいりますがいつ起こるかは決まってないんです。
40代で起きる方もいれば80代でも全く大丈夫という方もいらっしゃるのともう一つは経過ですが時間的な経過を見ていても安定する事がなくて下がってしまった男性ホルモンはそのまま下がってしまう。
すなわち終わりがない事が大きな特徴です。
男性ホルモンが大きく関与しているというお話ですが男性ホルモンそもそもどういうものでしょうか?男性ホルモンは主にテストステロンという精巣で作られるホルモンが主体となるんですが精巣で作られるためには脳から指令が行きます。
いろいろな体の隅々で働いておりますが男性らしい体つきを作る。
あるいは筋肉や骨の組織を保っていく。
そして性機能にも関係ありますしまた最近の研究では判断力理解力といった認知力にも関係する事が分かってます。
大きく機能がある訳ですね。
それでは男性の更年期障害どんな症状が出るのかというところを押さえましょう。
久田さん。
ではこちらをご覧下さい。
男性更年期障害の主な症状としてまず体の症状…そして心の症状として…そして性機能の障害も代表的な症状です。
こうしてみますと体心性機能多彩な症状ですね。
男性ホルモンの働きは多様ですのでさまざまな症状が出てきます。
発汗やほてりあるいはいらいら不安というのは女性の更年期とも共通致しますが男性の特有のものとしては勃起力の低下。
これがしばしば最初のサインである事もあります。
全般的に元気がないという事ですね。
特徴としてははつらつとしないとか生き生きしてないという事がございます。
あとこうした症状がある人は皆さん男性ホルモンが低下しているんですか?実は年齢によっても異なりまして同じような症状を持っていても40代以下の方はうつ病の影響が大きい可能性が高いんです。
50代以上になってきますと男性ホルモンの低下が疑われてきますが特に70歳以上の方こういう方は男性ホルモンの低下の影響が極めて大きいと考えられます。
いずれにせよ個人差が非常にあるというお話でしたね。
では男性の更年期障害の診断はどうするかという事ですね。
こちらをご覧下さい。
男性の更年期障害は問診や男性ホルモンの検査によって診断していきます。
まず問診では体や心の症状そして性機能の症状がないかを詳しく聞いていきます。
そして検査では採血をして男性ホルモンが十分に分泌されているかどうかを調べます。
これらに異常があれば男性更年期障害と診断されます。
こうした診断の基本を押さえましたがこれは診療科は何科での受診という事になるんですか?男性ホルモンは精巣で作られますので主に泌尿器科が担当しています。
最近では男性更年期外来であるとかメンズヘルス外来そういった外来を設けている医療機関もございますし心療内科あるいは一般の内科でも男性更年期外来といった外来を作られている所もあります。
それでは男性更年期障害であろうと診断がつきました。
治療はどういった流れになるんですか?ホルモンが減っている事が主な原因ですので主な治療として男性ホルモンの補充療法という事になります。
保険診療で認められている治療では筋肉注射ですね。
2週間から4週間に1回このホルモンを補充するという内容になります。
まず3か月程度継続して効果があれば続けていくという事になりますが大体50代から60代ぐらいの方で1年程度。
70歳を越える方ですともう少し継続する事もあります。
長い方もあるという事ですね。
それから若い方ですと男性ホルモンを直接投与するのではなくてむしろ精巣の力を高めるような別のホルモンを併用する事もあります。
このホルモン補充療法は必ず行うものなんですか?このホルモン補充療法は症状とホルモンの値に応じて行っていきます。
ですから症状が強い方あるいはホルモンの値が著しく低い方にこういう補充療法を行っていくという事になります。
こうした治療を受ける男性ホルモンが補充されていく訳ですから実際効果はいかがですか?私の経験ですと大体60%ぐらいの方には効果が出てまいりましてやはり元気になるはつらつとしてくるという事と特に性機能の改善であるとか筋力の改善あるいは痛みが少なくなってくる。
そういうところが特徴的です。
かなり元気になられていると。
あるいは筋肉がついてくると。
そして脂肪が少し減ってくるといった体の変化もあります。
効果が出ない方もあるんですか?はい。
効果が出ない場合にはこういった症状の原因がほかの病気ではないか。
うつ病やあるいはほかの疾患ですね。
脳の疾患が隠れている事もあります。
そういった検査をしていく事も重要になってきます。
そういった場合はその治療法が必要になってくるんですね。
漫然とホルモン補充療法を行う事はむしろよくないと思います。
このホルモン補充療法の注意点はどんな事でしょうか?このホルモン補充療法ですが現在前立腺がんと診断されている方あるいは肝臓病がある方には行いません。
前立腺がんを男性ホルモンが進行させる可能性があるという事と肝臓に負担がある可能性があるという事でそういう方には行わないと。
副作用としましては男性ホルモンには実は血液を作る作用がありますので投与量が多くなりますと多血症といって血液量が多くなるという事でのぼせたりとかあるいは極端な場合脳梗塞が起きたりという事があるので定期的な血液検査が必要です。
注意点前立腺がんや肝臓病があれば行わない。
副作用としては多血症などに注意という事でございます。
さてここで素朴な疑問なんですが男性ホルモンが減ってくるから補充するんだよという基本的な流れですが加齢とともに年を重ねますとそういったものは低下するのが自然な現象でしょうとも思うんですがこれを外から補充する事は非常に不自然な事にならないんでしょうか?男性ホルモンは必ずしも皆さん減ってくるとは限らないんです。
また個人差が大きくて80歳の方で40歳の方よりも高いといった現象もあるんです。
ただ現在よく分かっている事は例えばメタボリック症候群などの生活習慣病ですね。
これは男性ホルモンの値が低いと生活習慣病になりやすい。
あるいはそういった病気を悪化させる可能性がある事で男性ホルモンの値を維持されている方が健康長寿につながるという事が分かってきてます。
そうなんですね。
このホルモン補充以外にも治療法はあるんですか?先ほどお話ししましたようにホルモンの値が必ずしも低くないあるいは症状の軽い方はむしろほかの治療で十分対応が可能になっています。
症状に応じた薬という事で勃起力が低下されている方はEDの治療薬ですね。
あるいは抗うつ薬や抗不安薬を併用する事もありますし男性ホルモンが低下しますと骨が弱くなってきます。
ですから骨粗しょう症のお薬を使う事もあります。
そして漢方薬も男性更年期障害に有効です。
いろんな漢方薬がありますが中でも補中益気湯という漢方薬は体の中のエネルギーを高めるそして精巣の機能を高める作用があるといわれていまして特に高齢の方はこの漢方薬だけでも十分治療可能という事を経験致します。
ホルモン補充療法が普通ですがこうしたほかの治療法もあるという事をご説明頂きました。
こうした治療を受ける事とは別に私どもの日常生活の中で何か注意できるような有効な事というのはありますか?男性ホルモンの低下を防ぐにはという事で4つ項目をここに掲げさせて頂きました。
一つずつ見ていきたいんですがまずストレスを軽くする事ですね。
これはストレスがかかりますと交感神経が活性化します。
そうしますと精巣で男性ホルモンを作るという力が落ちてしまうんです。
逆にリラックスをして副交感神経を高めますと男性ホルモンはたくさん出てくるという事が分かってますのでまずストレス対策が非常に重要です。
ストレスはいつもよくないですね。
なんとかしたい。
続いてはよい睡眠をしっかりとって頂くという事です。
これは男性ホルモンは朝高くて夕方減るという面白い特徴がありまして寝ている間にまた回復していきます。
ですから不眠症をはじめとして十分な睡眠がとれないと男性ホルモンもずっと低いままになってしまうという事なんです。
そして運動ですね。
これは決して激しい運動ではなくて短時間でも軽い運動でも結構ですがそういった運動をして頂く事で男性ホルモンが高まっていくという事が分かってます。
これは生活習慣の改善ですよね。
最後に仲間との競い合いと…。
妙な事が書いてありますね。
何でしょう?男性ホルモンは仲間と競い合う事で増えてくる面白い特徴があります。
例えばスポーツですね。
ゴルフやテニスであるとかあるいはゲーム。
それから趣味の中でも展覧会等でいろんな仲間と競い合う事によって男性ホルモンが出てきて自分もはつらつと生き生きとしていくという事が分かってますのでこういった気の置けない仲間とのつながりが大変重要です。
競い合って達成感があったりとか負けたら悔しいからまた頑張ろうとかそういう事が大事な訳ですね。
今日るる伺ってまいりましたが私どものような中高年でどうも元気が出ないとかはっきりしない症状に悩まされるという事はこの更年期障害も疑ってみる必要がありそうですね。
やはりおっくうに感じる。
せっかく趣味を持っていてもおっくうになってしまう。
あるいは男性の場合朝起きた時の勃起現象もありますがそういったものが衰えてきたなという場合にはやはり男性の更年期障害の可能性もあるかなという事で一度是非泌尿器科で男性ホルモンのチェックを受けて頂くといいと思います。
検査自体はホルモンの量をはかったりという事で難しい事ではない訳ですね。
今日のお話どうもありがとうございました。
2014/09/20(土) 04:15〜04:30
NHK総合1・神戸
先どり きょうの健康「男性にも更年期 治療で元気回復!」[解][字][再]

男性にも更年期がある。症状は関節痛、疲れやすい、意欲の喪失、性機能低下など。時期や経過に個人差が大きく見過ごされがちだが、男性ホルモン補充療法で約6割が改善。

詳細情報
番組内容
男性にも更年期障害がある。関節痛や筋肉痛、疲れやすい、興味や意欲の喪失、性機能低下などが現れる。男性ホルモンの低下が原因で50代以降に増えるが、症状の現れ方や時期には個人差が大きいためわかりにくい。しかし、泌尿器科などで治療が受けられ、男性ホルモンの補充で約6割は改善する。またストレス軽減、十分な睡眠、適度な運動も効果的。男性ホルモンの維持は健康長寿にもつながると考えられている。
出演者
【講師】順天堂大学教授…堀江重郎,【キャスター】濱中博久,久田直子

ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
福祉 – 高齢者
趣味/教育 – 生涯教育・資格

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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日本語(解説)
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