(ハイヴ)おやすみ王子様。
(ツエルブ)学校だ!D12番のロッカーの中だ!
(クラレンス)ターゲット視認!
(ハイヴ)逃がさないで!
(クラレンス)ハイヴ!
(ナイン)特別手配されているスピンクス1号だ。
はぁ?
(ナイン)出頭しに来た。
なっ…。
・
(悲鳴)
(警官)動くな!
(警官)おい!
(警官)下がって!
(警官)手を頭の後ろへ!
(部下)大変です!スピンクスが出頭してきました。
(倉橋)何?どういうことだ?
(刑事)スピンクスは柴崎という刑事を呼べと言っています。
それまでは何も話さないと。
捜査一課長の倉橋だ。
柴崎は休職中のため私が代わりに話を聞こう。
なぜ出頭してきた?何のためにこんな事件を起こしてる?お前はいったい何者だ?
(ナイン)原子爆弾のタイマーをセットしてきた。
爆弾を止めたければこちらの要求を聞き入れろ。
要求だと?
(柴崎の妻)うん?何?
(柴崎)あっ。
いやこの前晴香に会ったよ。
(柴崎の妻)そうなの?先に言っといてよ。
渡したい物とかあったのに。
(柴崎)いや子供ってのはいつの間にか大人になるもんだなって思ってな。
どうかしたの?
(柴崎)うん?いや。
変なの。
やだ。
何か怪しげな人がいる。
(柴崎)あっ?
(柴崎)完全に不審者だぞ。
(羽村)間宮のとこに行くんですよね?自分も行きます。
どうなっても知らんぞ。
か…覚悟はできてます!
(柴崎)なら1つ大事な頼みがある。
はい!
(柴崎)たばこを買ってきてくれ。
(羽村)はあ?
(柴崎)験担ぎだよ。
ここぞってときには必ずそれを吸うことにしてるんだ。
はあ。
(警視総監)記者会見だと!
(警察庁長官)いったい何を話すつもりだ。
(島田)指定された時刻は本日20時。
あらゆるメディアを呼べと要求しています。
会見を開かなければ犯人は本当に原爆を爆発させるでしょう。
(官房長官)テロリストと交渉するつもりか?
(倉橋)まずは国民の安全を第一に考えるべきです。
相手は会見さえ開けば爆弾を渡すと言ってるんです。
(官房長官)信用できん。
(倉橋)これまでの犯行予告。
やつらは必ず約束を守ってきました。
そんなやつらが初めて要求を出したんです。
(官房長官)しかし万が一のことがあれば。
全ての責任は私が取ります。
(チャイム)
(世話係)はい。
(柴崎)警視庁の柴崎と申します。
間宮俊造さんにお会いしたい。
先生は現在どなたともお会いになりません。
(柴崎)26人の消えた子供たちの代わりに来た。
そう伝えてくれ。
少々お待ちください。
(羽村)「しんせい」ってたばこを。
置いてないっすね。
これで8軒目だぞ。
(間宮)覚悟はできているのか?
(柴崎)何?
(間宮)相当の覚悟があってここへ来たんだろうな?ああ。
15年たってようやくな。
どうせ覚えちゃいないだろうがあんたには個人的な恨みもあるしな。
外してくれ。
(クラレンス)詳しいことは分かりません。
(クラレンス)警察からは被疑者が出頭したとだけ。
ハイヴ!過去に前例のない症例ですぐに精密検査が必要だと。
(ハイヴ)ナインは誰にも渡さないわ。
(間宮)お前のような若造には想像もつかんだろうが東京は昔焼け野原だった。
あの戦争が終わりもう70年近くもたった。
しかしこの国は今でも敗戦国のままだ。
いまだこの国の精神は負け犬のままいかなる尊厳も持っていない。
この国は真に独立せねばならん。
(柴崎)それで立ち上げたのがアテネ計画ってわけか?そうだ。
常人を超える知性や感性を持った人間を人工的に作り出しいかなる兵器よりも有用な人材を育成する。
それが目的だった。
計画は失敗だったが彼らは国のため立派な礎となったのだ。
ふざけるな。
何が国のためだ?お前らは自分たちのエゴで子供たちの命を奪った。
スピンクスは親殺しのためお前らを殺すために戻ってきたんだ。
お前らが最も知られたくない触れられたくないものを盗むことによってな。
(クラレンス)この国が憲法解釈を変えると同時に秘密裏に製造していた原子爆弾の証拠をつかむ。
それを盗んだターゲットの確保はそのために必須です。
そのことを忘れないでください。
そこまで知っているとはな。
このことを告発するか刑事ごときが何を叫ぼうとしょせん嵐の中の小さな声にすぎん。
その声は誰にも届かず消える。
たとえそうでも俺は叫び続けてやる。
俺は絶対お前を許さん!・
(ノック)・
(ドアの開く音)
(世話係)失礼します。
スピンクスが出頭したそうだな?
(アナウンサー)スピンクスを名乗る人物が出頭したとの一報が入りました。
容疑者は本日夜に会見を要求しておりそこで全てを話すと供述しているそうです。
(リサ)ツエルブ!
(リサ)スピンクスが自首したって。
どうしよう?何でナインは警察に?ねえどうしたらいい?
(ツエルブ)あのさあそこ行かない?ほらあれ乗ろう!
(柴崎)倉橋頼む!一目でいい。
あいつに会わせてくれ!それは無理だ。
警察内でも被疑者に接見できるのはごく一部だ。
何とかならんのか?あいつのことは俺が一番…。
(倉橋)柴崎!ここは任せろ。
やつは会見場まで指定した。
そこで何を話すと思う?
(柴崎)おそらく各方面から妨害があるはずだ。
何があっても絶対にやつを渡すな。
ああ。
それは?
(倉橋)今日の会見場の場所だ。
お前が偶然拾ったんだろ?
(羽村)どう考えてもわなですよ。
(岡野)出頭なんて絶対裏があるだろうな。
(木下)それに犯人は2人組のはずだ。
まさかもう一人が会見場を爆破とか?
(加藤)お前そのたばこは?
(岡野)上もバカじゃない。
それくらいは警戒してるはずだ。
(羽村)一応は伝えた方がいいですよ。
(岡野)俺たちは謹慎中なんだぞ。
何かあってからじゃ遅いですって!
(羽村)あっ!柴崎さん!どうして勝手に行っちゃうんですか!お前が遅いからだよ。
会ったんですか?間宮と。
(柴崎)ああ。
刺し違えてでもけりをつけるつもりだったがこの目で見たくなってな。
やつらの行く末を。
(警視総監)ですから日本の警察以外への引き渡しを拒否するというスピンクスからの要求でして。
(クラレンス)なるほど。
テロリストの要求には応じても米国政府の意向には添えない。
そうおっしゃるわけですね?そ…そういうわけでは。
われわれを失望させるな。
いい返事をお待ちしている。
(ハイヴ)時間の無駄よ。
欲しいものは奪えばいいだけ。
空港での一件以来われわれと日本政府の関係は良好ではない。
もしこれ以上…。
(ハイヴ)所属不明の武装集団による襲撃。
そういうことなら問題ないでしょ?ほらかわいくない?はい。
(リサ)8時にナインが会見するって。
ナインどうなっちゃうのかな?もう会えないのかな?もういいんだ。
もう俺には関係ない。
(リサ)ツエルブ。
あいつに合わせる顔なんてないんだ。
俺はあいつに…。
ツエルブのバカ!私はツエルブが来てくれてあのときうれしかったよ!だからナインだって。
ナインだってきっと…。
(係員)警察指定のメディア以外入れません。
その警察だよ。
(羽村)うん?あっ!それ俺の手帳!柴崎さん!
(柴崎)ほい。
(隊長)到着は15分後の19時20分。
気を抜くな。
スピードを上げろ!絶対に車を止めるな!突っ切れ!
(運転手)はい!
(銃撃音)
(ハイヴ)これね。
クラレンス。
(倉橋)分かった。
可能なかぎり引き留めろ。
(クラクション)ハイヴ!
(ハイヴ)舌かむわよ。
(クラクション)来たか。
(運転手・倉橋)うわっ!
(運転手)うわっ!
(倉橋)おい!ハイヴ…。
(ハイヴ)うん?現時点をもってあなたを解任します。
冗談のつもり?度重なる命令違反と違法行為そして体調の悪化。
解任されるにはじゅうぶんな理由です。
残念だ。
実に残念ですハイヴ。
(クラレンス)バ…バカな。
われわれを敵に回すなど…。
(ハイヴ)言ったでしょう?ナインは誰にも渡さないって。
(ハイヴ)ナイン。
いつもあんたに勝てなかった。
ずっとあんたに勝ちたかった。
でも私に残された時間はあまりにも短かった。
私はあんたのおかげでここまで生きられた。
そうあんたが私を生かしてくれたのよ。
ハイヴお前…。
でもそろそろ別れのときが来たみたい。
だから…。
私の分まで生きてナイン。
(ハイヴ)さよならナイン。
先に行くわね。
ハイヴ!
(柴崎)なぜだ…。
どうして来ない。
こんばんは。
スピンクス1号です。
皆さまの妨害により本日の会見は中止になりました。
柴崎さん。
これ記者会見?
(女性)違うよね?これは会見中止のときに自動で流れる最後のメッセージです。
そんなわけで最後の爆弾は原子爆弾です。
爆弾は22時に自動的に爆発します。
もう誰にも止めることはできません。
それでは日本の皆さんさようなら。
2014/09/20(土) 03:51〜04:21
関西テレビ1
残響のテロル[字]【大規模爆弾テロで、この国を眠りから覚ましたのは二人の少年だった】
警察に出頭したナイン。ナインは爆発を止める代りにある要求をする。一方、柴崎はアテネ計画の中心人物であり、自身の因縁の相手でもある間宮俊造の元を訪れる…
詳細情報
番組内容
ある夏の日──
突然、東京を襲った大規模な爆弾テロ。
平穏なこの国を眠りから覚ました事件の犯人は、たったふたりの少年だった──。
“スピンクス”と名乗る犯人たちの、日本中を巻き込んだ壮大なゲームがいま、始まる。
出演者
ナイン: 石川界人
ツエルブ: 斉藤壮馬
三島リサ: 種