タイムスクープハンター「真剣勝負!弓バトル」 2014.09.20

(沢嶋)
心技一体。
精神と技能が求められる日本の伝統的な競技弓。
かつて弓の競技が興行として庶民に人気を博した時代があった。
出場したのはどんな人物だったのか?要求される資質とは?そして競技の裏にはどんな人間ドラマがあったのか?弓競技に懸ける一人の若者を追う
え〜アブソリュートポジションN136W246E395S476ポジション確認。
アブソリュートタイムB0957926年44時52分30秒。
西暦変換しますと1830年5月20日6時33分12秒。
無事タイムワープ成功しました。
コードナンバー102446これから記録を開始します。
沢嶋雄一彼はタイムスクープ社より派遣されたジャーナリストである。
あらゆる時代にタイムワープしながら時空を超えて名もなき人々を記録していくタイムスクープハンターである。
一本の矢に全精神を集中し弓の稽古に励む男がいる。
弓競技への出場をあしたに控えている若き弓の射手。
今回の取材対象者である
え〜この時代の人々にとって私は時空を超えた存在となります。
彼らにとって私は宇宙人のような存在です。
彼らに接触するには細心の注意が必要です。
私自身の介在によってこの歴史が変わる事もありえるからです。
彼らに取材を許してもらうためには特殊な交渉術を用います。
それは極秘事項となっておりお見せする事はできませんが今回も無事密着取材する事に成功しました。
男の名前は西尾半次郎。
出場するのは「勧進的」と呼ばれる弓の競技だ。
半次郎は浪人の身である。
勧進的に優勝すれば再び武士として藩に召し抱えられる道が開ける。
半次郎にとって勧進的は特別な意味を持っていた。
勧進的に出場する彼に密着する。
寺の境内に設けられた勧進的の会場
入場料をとり弓の試合を見せるものを勧進的と言い見物人たちを楽しませていた。
勧進的には射手だけではなく見物人にも細かな心得マナーがある
細かく決められていた。
まさに礼儀や作法を重んじるスポーツだ。
こうした勧進的は各地で行われ人気を博していたという
これから勧進的の試合が始まろうとしています。
果たしてどんな試合になるんでしょうか。
射手はこちらへ参られよ。
勧進的は腕に自信のある者たちが出場する。
試合は一対一のトーナメント方式。
勝ち抜いた者が興行主専属の射手と最終決戦を行う。
その射手に勝てば優勝賞金をもらえる仕組みだ。
試合はまず「矢代振り」と呼ばれるくじ引きで対戦相手が決められる。
出場者が自分の矢を主催者に渡す。
シャッフルされたあと交差して置かれた者同士が戦う事になる
半次郎は2組目となった
順番に矢を放ち的を外れた時点で負けとなる。
たった一度の失敗も許されない。
緊張感あふれる真剣勝負だ
あ〜っ…。
2組目ついに半次郎の番がやって来た
半次郎1本目
命中!好調な滑り出し。
対戦相手山県伊織1本目
命中!両者ともに2本目をクリアーし3本目
なんと矢を落としてしまった。
これは失敗と見なされ失格となる。
会場の雰囲気にのまれたのか半次郎は力を出しきれないまま敗退してしまった。
そして最終決戦。
トーナメントを勝ち抜いた者と興行主専属の射手との対決。
勧進的一番の見せ場である。
満を持して現れたのは独眼竜清兵衛。
向かうところ敵なし。
無敗の帝王として君臨するすご腕の射手だ。
眼帯という異様な雰囲気。
その風貌と技術の高さから絶大なる人気を誇っている
おお〜っ!
試合は独眼竜清兵衛の勝利で幕を閉じる。
半次郎はその雄姿に圧倒されていた。
その日の夕方酒場に半次郎の姿があった
いえ。
あそこまで勝ち進めただけでもすごい事だと思います。
いえまだまだです。
その時だった
その酒俺がもらうぜ。
半次郎のもとに奇妙な男が現れる
(半次郎)え?別にそういうわけでは…。
半次郎!お前悔しくないのかよ。
勝ちたくねえのか?失敬な!
悔しくてやりきれなかった
翌朝再び稽古に取り組む。
だが…身が入らない。
すると…
的だと思うな。
相手はお前を狙ってる敵だ。
昨日のあの男だ
何なんですか?あなたは。
稽古の邪魔しないで下さい。
失敬な。
しつこいですよ。
どうだ?情け?なっ教えてやるから飯だけ食わせてくれ。
なっおい。
じゃあよ…それまではよ賞金の前借りって事で。
なあおい。
ちっ…なんだよ。
いいのか?お前…何だと?ああ負ける。
確かに負ける。
そんな…私の事知りもしないくせに。
分かるぜ半次郎。
いいか。
ついてこい。
いいもの見せてやる。
謎の男五郎兵衛。
彼は隣町の盛り場へと向かった。
一体どこへ連れていかれるのだろう?
何ですかこんなところまで。
ちょいとあそこへ行く。
(半次郎)ちょいと待って下さいよ。
好きだろ?好きって…。
いいからついてこいほら。
行くぞほら。
「楊弓場」とは一体どんなところなのだろう
本部本部こちら沢嶋応答願います。
(古橋ミナミ)はいこちら本部古橋です。
今ですね「楊弓場」というところに来てるんですけど一体どんなところなのか詳細をお願いします。
「楊弓場」ですか?はい。
少々お待ち下さい。
柳の木で作られた小さな弓で景品などを撃ち落として遊んでいたようです。
昭和の時代によく見られた温泉街にある射的場みたいなところですね。
そうですね。
ですが沢嶋さん。
はい。
楊弓場には「矢場女」と呼ばれる矢を拾ったりお客の対応をしたりする女性がいて売春まがいの事も行っていたようです。
遊技場というより風俗店と言った方がいいかもしれません。
えっ?そうなんですか?今回の取材「勧進的」だったはずですがどうしてそんなところにいらっしゃるんですか?いいや…取材対象者に密着していたところ弓つながりといいますか…。
楊弓場は賭け事・売春の場として度々取り締まりを受けながらも明治時代まで続きその様子は浮世絵などにも数多く描かれています。
一説によると…そうなんですか。
ありがとうございます。
いえ。
おい。
私がですか?お前射手だろうが。
早く行けほら。
早く!はいいらっしゃい!どうも。
どうぞ。
矢はそっちにあるから。
緊張気味の半次郎
あた〜り〜!
楊弓場の弓に慣れていなかったが見事に命中
どう?え?「どう」って…。
お暇があったら上の部屋で遊ばない?え…?あ〜…。
(五郎兵衛)ちょっとごめんよ。
え?え?ちょちょっと…。
ちょっと待って下さいよ。
矢を射ったのは私でしょう。
横取りなんて卑怯じゃないですか。
ばか女なんて買わねえよ。
行くぞ。
楊弓場を出て行く五郎兵衛。
店を張り込む。
果たして目的は何か?
一体何なんですか?あの矢場女に何頼んだんですか?まあ見てろって。
フ〜…。
(五郎兵衛)来た来た。
やっぱり来やがった。
あろう事かあのすご腕の射手独眼竜清兵衛であった
(半次郎)何でそんな事知ってるんですか?
楊弓場に入っていく
店から清兵衛が出てくる
すかさず五郎兵衛が動いた
果たして…
うまくいったか?さっき床入りする時に…どうしてですか?やっぱりそうだ。
この眼帯よ〜く見てみろ。
それは清兵衛の眼帯だった
あっ!えどういう事ですか?ちょっと見せてもらっていいですか?どうぞ。
あっ…透けてますね。
そんな…。
そりゃあお前…五郎兵衛さんあなた何者なんですか?そんなに清兵衛の事を知ってるなんて…。
五郎兵衛は独眼竜清兵衛と何か因縁があるようだ。
半次郎は五郎兵衛の指南を受ける事を決断した
よし構えてみろ。
厳しい特訓が始まる。
全ては独眼竜清兵衛に勝つため。
そして弓の名手になるために。
まずはフォームを学ぶ素引き。
大切な基本の稽古だ
江戸時代の弓の指南書には稽古の心得が記されている
よ〜し次はこっちの弓だ。
(五郎兵衛)引け!ううっ!素早くだ素早く。
よしどんどん放て。

(五郎兵衛)よし。
まさに心技体全てが重要な要素となる
半次郎の鍛錬は1か月続いた。
そして…いよいよ本番の日
これより試合を執り行い申す。
予選トーナメント
半次郎は進化していた

対戦相手を次々と駆逐していく

半次郎は順調に勝ち進んでいった。
4人の対戦相手に勝利しトーナメントを勝ち抜く。
そしてこのあといよいよ独眼竜清兵衛との戦いとなる
控え室には精神を統一する半次郎がいた。
だがそこへ…
おい。
あなたは…。
そいつはいい。
あの…何か用ですか?どういう事でしょう?
(清兵衛)お前五郎兵衛!眼帯が…なぜこんなところに?
(半次郎)どういう事ですか?2人の間に何があったんですか?
(半次郎)この人が五郎兵衛さんに何かしたんですか?ああ。
(半次郎)なんと卑怯な…!
(半次郎)何ですって?独眼竜清兵衛。
ハッとんだ大うそつき野郎だ!
それは衝撃的な事実であった
残念です。
(五郎兵衛)半次郎。
ああそうだ。
ついに半次郎と清兵衛の最終決戦
いよいよ清兵衛さんと半次郎さんとの戦いが始まります。
果たしてどうなるんでしょうか?では…
そして現れたのは…
(どよめき)なんと!どういう事だ?
眼帯をしていないその姿を見て観客がどよめく
みんな聞いてくれ。
(どよめき)これで戦わせてくれ。
そんな…!
偽りのない2人の真剣勝負が始まる
先行清兵衛1本目
ど真ん中に詰めてきた
続く半次郎1本目
命中!
2本目清兵衛
難なくクリアー。
そして半次郎。
命中!
2人の気持ちは途切れる事なく20本続けて命中し続ける。
ハイレベルな戦いに観客たちも魅了される
そして21本目
外した!清兵衛が初めての失敗。
観客たちが思わずどよめく。
これで半次郎が的を射れば勝利。
外せばまた振り出しに戻る。
半次郎武士への第一歩
思いをこの一本の矢に懸ける
果たして…
当たった!矢は見事的のど真ん中を貫いた!
やりやがった…!挑み手半次郎の勝利!
新たな達人の誕生だ!
半次郎の長い戦いはこうして幕を閉じた
町外れ五郎兵衛が歩いていく
あそうだ。
賞金の半分をお渡ししないと…。
(笑い声)五郎兵衛さん。
なに…ハハハ…。
じゃあにいちゃんたちまたな。
はい。
ありがとうございました。
お元気で。
これでこの町の勧進的もでたらめがなくなるぜ。
自らの人生を懸け果敢に試合に挑んだ浪人半次郎。
その戦いは歴史の教科書には決して載らないほんの小さな出来事である。
だが一人の人間にとっては価値のある大きな記録である
では私もこの辺で失礼します。
そうですか。
仕官がかなうといいですね。
はい!以上コードナンバー102446アウトします。

(沢嶋)
女にモテたい
2014/09/20(土) 03:00〜03:29
NHK総合1・神戸
タイムスクープハンター「真剣勝負!弓バトル」[字][再]

シーズン6の第10回。時空ジャーナリストの沢嶋雄一(要潤)は江戸時代へタイムワープをする。勧進的(かんじんまと)という競技弓に挑む若者へ密着取材を行う。

詳細情報
番組内容
今回の取材対象は勧進的(かんじんまと)という競技弓。「勧進」とは寺社が寄付などを集めるために境内や辻で行った興行である。1830年、江戸。勧進的の競技弓に出場するため、弓の稽古に精を出すひとりの若者、西尾半次郎。半次郎は浪人の身であり、勧進的で優勝し、再び武士として藩に召し抱えられることを夢見ていた。だが、半次郎の前に独眼竜清兵衛という男、隻眼なのに連戦連勝で無敗のすご腕の射手が立ちはだかる。
出演者
【出演】要潤,杏

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
ドラマ – 国内ドラマ
バラエティ – その他

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

OriginalNetworkID:32080(0x7D50)
TransportStreamID:32080(0x7D50)
ServiceID:43008(0xA800)
EventID:5885(0x16FD)