次回のテーマです。
円安が進んでいますがこれまで円安を歓迎していた経済界からは警戒する声が高まっています。
担当は今井純子解説委員です。
ぜひ、ご覧ください。
五感を刺激し食欲を駆り立てる極上の料理。
それは料理人たちの情熱と卓越した技の証し。
一度食べたら忘れられない味。
その神髄に迫ります。
せわしない日常をすり抜けた先に待っているのは…。
バーテンダーたちが持てる技術を尽くして生み出すあなたのための一杯。
酒果汁などを混ぜ合わせる事で生まれる魅惑の味…珠玉の一杯は口に運ぶごとに心の疲れを溶かしてくれます。
華麗な技で世界中の人々の心を癒やしてきた伝説のバーテンダー毛利隆雄さん。
秋の夜長心を癒やす毛利流カクテルの世界へようこそ。
(谷原)こんばんは。
失礼します。
はじめまして谷原と申します。
よろしくお願いいたします。
バーのカウンターって何か特別な場所ですよね。
(毛利)そうですね。
こういう雰囲気のあるほんとお酒を楽しむって場所はなかなか来れないんですよね。
じゃ今日は是非楽しんで。
(2人)よろしくお願いします。
どういうものがよろしいでしょうかね。
この季節だとどんなのがお薦めですか?ミントが入ってる爽やかなモヒートがおいしいかなと。
楽しみですね。
お作りします。
まずグラスからやります。
冷凍庫で冷やしておくんですね。
グラスを冷やすしておくのは重要なポイントなんですか?重要ですね。
冷えてるっていう事は割とゆっくり飲んでも大丈夫だっていう。
お酒がぬるくならないという事ですか?はい。
その次はミントですね。
私の家のベランダで作ってるミントです。
わ〜もう今の時点ですごくいい香りがたってますね。
次はライム入れますけど搾り方があるんですね。
袋と芯を潰さないように搾ります。
袋はこの一つ一つの。
芯がこちらですね。
手前に置いて指でグッと搾ります。
また持ち上げて違うとこで。
搾り器の中にグッと入れないんですね。
そうなんですね。
そうすると芯と袋が潰れないようにこういう感じで。
あ〜なるほどきれいですね。
これでも芯と袋が潰れるとどうなっちゃうんですか?渋みと苦みが出ます。
雑み…余計な味が出ちゃうんですね。
なるほど。
ライムが10mちょっとですね。
同じぐらいシュガーシロップが10mちょっとですね。
目分量で。
この分量のバランスが悪いと酸っぱかったり甘かったり。
甘みと酸味がちょうどいいバランスが10mちょい10mちょい。
これを…ペストル潰すやつですね。
で軽く。
ミントはたくさん入れて軽く潰すのが一番いいですね。
これぐらいで十分香りがたちますし。
ライムの袋とか芯を潰さないのと同じように。
これも雑みを出さないために。
はい。
ここで今入れてるのが…。
これは炭酸ですね。
グラスの半分ぐらいですね炭酸を入れます。
ちょっとかき混ぜるんですけども炭酸を微炭酸にするんですね。
こんなにやったら確かに炭酸抜けてしまいますよね。
ちょうど微炭酸が一番おいしいんですね。
モヒートには。
はい。
それで今度ラムを入れます。
量多いですね。
量多いです。
基本的にちょっと多めの方がお客様喜ばれるので。
お気遣いありがとうございます。
ラムが利いてます。
ラムの香りがたってこそというのがあるんですね。
そうですね。
氷を入れます。
最後にミントチェリーを飾ります。
出来上がりです。
涼しげですねこれ。
どうぞ。
いただきます。
うまい。
微炭酸になっているからなのかもしれないんですけどもとても喉越しがよくてより強くライムとかミントの香りとか爽やかさを感じますね。
全体がまろやかに混然一体となってる感じがしますね。
あ〜うまいなぁ。
強いですね。
あ〜うまい。
最高だな。
ベースのラムの甘みを引き立てるライムの酸味とミントの香り。
計算し尽くされた絶妙なバランスが飲む者を魅了します。
ベースをどういう感じで生かすかという事でしょうね。
ベースを生かすドライなちょっと強い酒。
酸味と甘みのバランスがいいとスッと飲めるんです。
そうすると…毛利さんにとって最高のカクテルとはお代わりがしたくなる一杯。
その信条を突き詰めたのが…アルコール度数の高いジンにベルモットを合わせた強いカクテル。
実は毛利さんの人生を決定づけた一杯でもあります。
大学時代学費を稼ぐために始めたバーテンダーの仕事。
いくつもの名店を渡り歩きながら着実に腕を上げていきました。
勧められるままに出たコンテストで次々と優勝しついには世界大会に出場するまでになりました。
しかし周囲の期待が高まれば高まるほど胸の奥にある危機感が募っていったといいます。
名前はもうかなり売れてたんですけどやっぱりそれだけじゃしょうがないので…自分の代名詞となる一杯を作りたい。
毛利さんが挑んだのはマティーニでした。
「永遠に未完成のカクテル」と呼ばれあまたのバーテンダーが挑んでは敗れてきた難しい一杯。
その難関にあえて向かっていったのです。
やっぱりいちばん最高のものをつくろうという気持ちがすごい強かったので。
ベースは40度を超えるジン。
お代わりがしたくなる一杯にどう仕立てるか。
試行錯誤は3年以上にも及びました。
これは氷の角取りをしてる。
角を取るんですか。
角ってやわらかいんですよ。
だからすぐ溶けちゃうんです。
角取ってあげないと水っぽくなる。
水っぽくなっちゃうからなんですね。
オレンジビターズですね。
ジンの分量どれぐらい入れるんですか?90ですね。
90!結構な量ですね。
普通のバーは60ですけど。
ベルモットは…。
ちょっとですね。
わ!こんなものなんですか?1/2ティースプーン。
普通もうちょっと入れますよね。
はい。
白ワインがベースの甘いベルモット。
ジンを生かすため量は極限まで抑えます。
しかしこのままではアルコールの刺激が強くスーッとは飲めません。
そこで重要になるのがステア。
混ぜれば混ぜるほどアルコール特有の刺激がとれまろやかになります。
これを100回ぐらいステアするんです。
100回もステアするんですか。
ステアの回数はなんと100回。
アルコールの刺激はすっかり和らぎジン本来の甘みが引き出されます。
しかし普通ならこれだけステアすると氷が溶けてしまいジンが持つコクもなくなってしまいます。
解決したのがジンをマイナス20℃で冷やしておくという毛利さん独自の発想。
マイナスの世界でステアすれば水っぽくならずにまろやかさを出す事ができるのです。
眠ってるジンを温度を上げながらマイナス8℃か9℃まで上げていくんです。
ジンも眠ってるのが覚醒するっていう。
そうすると100回ぐらいステアするとやわらかさも出るのでスッと入るんです。
でもしっかり喉越しは残るという。
刺激を抑えジン本来の甘さとコクを味わえるマティーニ。
毛利流カクテルの極みです。
うん。
これ冷やしてたからでしょうか?まだちょっとトローッとしてるんですねあれぐらいステアしても。
そうですね。
レモンピールオレンジそしてベルモットとすご〜く繊細な香りが混然一体となってますけどももうどストレートなジンのいい味がしてますよ。
大胆な発想が生んだマティーニはお代わりしたくなると評判を呼びいつしか「毛利マティーニ」と呼ばれるように。
飲み手だけでなくバーテンダーをも惹き付ける魅惑の一杯になったのです。
やっぱり…ここは絶対譲れない場所なんですね。
そうですね。
独自のマティーニのあとも毛利さんの挑戦は続きました。
そして生まれたのがもう一つの代表作ハバナ・マティーニ。
ベースはサトウキビから作ったダークラム。
甘いシェリーを加えマティーニよりも深い甘さとコクを楽しみます。
下に1個氷入れまして上に2個ちっちゃい氷入れます。
これが一番回しやすい組み方です。
下が2で上1よりは下1で上2がいいんですね。
まずオレンジビターズです。
1滴ですね。
ハバナ。
7年のラムですね。
これも90ですか?これも90です。
結構入りましたねこれ。
あちゃ〜。
ラムに合わせるのは白ワインとブランデーから造るシェリー。
香り高い甘みのあるお酒です。
ここでもベースのラムを生かすため量は極限まで抑えます。
このステアの回数もやっぱり100回。
これは70回ぐらいですね。
70回ですか。
ラムはジンほどコクがないためステアし過ぎると飲み応えがなくなります。
しかしマイナスに冷やしてしまうと持ち味の甘みが引き立ちません。
やっと見つけたのがこの70回なのです。
ハバナ・マティーニはオンザロックで。
ゆっくりと氷が溶けラムの甘みが徐々に変化して最後まで飽きずに楽しめます。
はいどうぞ。
ありがとうございます。
あ〜。
シェリー酒もやっぱりちょっと甘いじゃないですか。
甘いものと甘いものが掛け合わさってもそんなにベタベタな甘い感じにも…。
感じにならないですね。
とてもサラッと飲みやすく…。
何か僕も作れたらかっこいいな。
作れるようになってみたいですねこういうおいしいカクテルを。
家で作れたら最高ですね。
最高ですよね。
じゃ作られますか?ハバナ・マティーニ。
うわっ!…って谷原さん喜んでいる場合じゃないんですよ。
実はこのステア4本の指を巧みに操らなくてはならないかなり高度な技なんです。
これを早くすると…。
これむちゃくちゃ難しいですね。
これでですね。
これではい。
ステアというのは縦の変化ですからだからまっすぐ縦に。
いや〜これ味わった事がない動きですね。
これを…。
このまんまこの状態でやれば自然と回るんですらせんがついてるので。
あ〜なるほど。
だから基本的に回してるわけじゃなくて縦の変化なんです。
ステアっていうのは。
こっちの方がより滑らかに回るという事なんですね。
このうるさい感じ。
全然滑らかに回ってないですもんね。
ガッチャガッチャガッチャガッチャ。
全然音がしない。
何だろうこの滑らかさ。
何でしょう?世界一の技ですよ。
すごい!毎日1時間やってましたから。
だからここまめが出来て破れて固まってという。
そういう昔は。
では今からハバナ・マティーニを作らせて頂きたいと思います。
毛利さんよろしくお願いいたします。
下が1の上が2ですね。
これを90ですね。
すこ〜しで。
ほんとゆっくりチョコッとですね。
ゆっくり…OKです。
多かったですか?大丈夫です。
優しいです。
このステアが関門ですね。
いきますよ。
ヒュッと。
大丈夫大丈夫です。
オリーブを載せて。
失礼いたします。
いただきます。
お願いいたします。
やっぱりちょっとシェリーが多かったみたいです。
失礼いたしました。
果敢にも目分量で挑戦したシェリー。
ちょっと多かったようですね。
それにステアもぎこちなかったような…。
まだまだまだですかね。
もう一回作っていいですか?ちょっともう一回。
これが…。
あ〜でも氷がちっちゃい。
もう一回入れます。
これ難しいな。
でもこの氷選びの瞬間から始まってるんですねカクテル作りは。
ほんとにそうです。
これですね。
ですね問題は。
問題はこの微妙なさじ加減ですよね。
あっ多い!でもさっきよりはいいんじゃないですか?多いかな?いやいやいや。
それより谷原さんステアステアですよ。
スムーズなステアポイントですよ。
毛利さんに何となく笑顔が見えるような見えないような…。
お願いいたします。
谷原章介こん身のハバナ・マティーニ。
果たしてお味は…。
これおいしいです。
ありがとうございます。
さっきのと全然違います。
おいしいですこれは。
ほんとありがとうございます。
これおいしいですよ。
ありがとうございます。
毛利さんに言って頂いただけで申し訳なくて…うれしいです。
きちんとラムがいたうえでいろんな香りが混ざってる感じがします。
先ほど「これは」とおっしゃったやつ。
これ確かにラムよりもシェリー酒が強いですね。
甘みといいますかくどいというか何でしょうか?雑みが出ますねやっぱり。
雑みが出てますよね。
酒と酒の相性なんですよね。
ほんと繊細な世界なんですねこれは。
何気なく出された一杯のカクテル。
それはバーテンダーが心を尽くして作り上げた究極の一杯なのかもしれません。
バーっていうのは癒やしの空間っていうんですか?だから我々バーテンダーはそういう空間をお客様に対して作ってあげなくちゃいけないんですよね。
うちはほんとに居酒屋バーって言われるぐらいちょっとフレンドリーなんですけど。
でもバーってそれでいいと思うんですよ。
敷居は低くてもいいと。
はい。
ちゃんとしたもの作ってあげてそういう雰囲気を作ってあげれば。
ですからやっぱりカクテルを媒体としてお客様とバーテンダーのそういう触れ合いがあるしだからほんとにすてきな事ですよね。
2014/09/19(金) 10:20〜10:45
NHK総合1・神戸
きょうの料理 谷原章介のザ・男の食彩「心を溶かす魅惑のカクテル」[字]
俳優の谷原章介が、こだわり抜いたプロの味を追求するシリーズ。今回のテーマは秋の夜長に楽しみたい「カクテル」。材料の種類や量、混ぜ方などで繊細に味わいが変化する。
詳細情報
番組内容
日本を代表するバーテンダー毛利隆雄さんの、極上のカクテルを生み出す技に迫る。今人気の「モヒート」は、ラム酒とミントをベースにした、キューバ生まれのカクテル。炭酸水を混ぜたら軽く混ぜて適度にガス抜きをすると、ミントの清涼感が引き立つ。カクテルの王様といわれる「マティーニ」は、ジンがベース。バーススプーンという長いスプーンで混ぜる「ステア」をすることで、ジンのコクと甘みを引き出すことが出来る。
出演者
【講師】バーテンダー…毛利隆雄,【出演】谷原章介,【語り】江原正士
ジャンル :
情報/ワイドショー – グルメ・料理
趣味/教育 – その他
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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