(沢嶋)
今回のリポートはある一つの殺人事件から始まった。
タイムスクープ社は遺族から得た情報を元に事件の瞬間をカメラに収める事ができた
1684年江戸の武家屋敷。
深夜2時過ぎ。
部屋の中央で一組の夫婦が寝ている。
そこへ…
男が現れる。
手には抜き身の刀を持つ。
そして次の瞬間…
(前田左衛門尉)あっ!ああ…源之助。
(こよ)あなた!
(左衛門尉)こよ!ああっ!
男が夫婦に襲いかかる
夫婦の息が絶えた事を確認する犯人
そして部屋を後にした。
この残忍な事件がきっかけとなり「敵討ち」が行われる事になった。
江戸時代合法的に行われた復讐の作法。
「敵討ち」とはどのようなものだったのか?徹底取材を行う
え〜アブソリュートポジションN607W191E503S884。
ポジション確認。
アブソリュートタイムB0874386年87時58分34秒。
西暦変換しますと1699年5月14日6時05分15秒。
無事タイムワープ成功しました。
コードナンバー900220これから記録を開始します。
沢嶋雄一。
彼はタイムスクープ社より派遣されたジャーナリストである。
あらゆる時代にタイムワープしながら時空を超えて名もなき人々を記録していくタイムスクープハンターである。
剣の稽古に励む若者。
その様子を見守っている若い女性。
被害者の子供たちである。
父と母両親を殺した敵を討つためこうして日夜鍛錬に励んでいるという。
2人に密着取材しながら敵討ちを記録する
この時代の人々にとって私は時空を超えた存在となります。
彼らにとって私は宇宙人のような存在です。
彼らに接触するには細心の注意が必要です。
私自身の介在によってこの歴史が変わる事もありえるからです。
彼らに取材を許してもらうためには特殊な交渉術を用います。
それは極秘事項となっておりお見せする事はできませんが今回も無事密着取材する事に成功しました。
前田左馬助27歳。
妹のかよ18歳。
幼い頃に両親を突然失った2人は叔父の家に引き取られた。
それ以来下女のたきがずっと2人の面倒を見ている
あの〜すいません。
何だ?かまわぬ。
そうですか。
いや…。
江戸時代敵を討つ事は公に認められていた。
ただし敵を討とうとする者は藩に申請する必要がある。
藩で受理されたあと届け出が幕府に送られる。
幕府でその内容が登録されると敵討ちが正式に認められる事になる。
交通や通信が発達していなかった時代敵を捜すのは大変な苦労が伴った。
当然長い時間が必要となる
敵を討つにはかなりの覚悟が必要であった。
では追われる側はどのような生活をしていたのか。
私は加害者の取材をしている古橋ミナミと連絡を取る事にした
え〜古橋さんこちら沢嶋応答願います。
はいこちら古橋です。
古橋さんそちらの状況はどうですか?先ほど取材対象者と無事接触できました。
そうですか。
これから密着取材を行いたいと思います。
よろしくお願いします。
くれぐれもお気をつけて。
沢嶋さんもお気をつけて。
はい。
ここは小田原藩ある武家屋敷の茶室。
茶をたてている男がいる
この人物が15年前に起きた前田夫妻殺害事件の加害者であり敵討ちに追われる側の敵持である。
彼に密着取材を行う事にした
え〜この時代の人々にとって私は時空を超えた存在です。
彼らにとって私は宇宙人のような存在です。
彼らとの接触には細心の注意が必要です。
なぜなら私自身の介在によってこの歴史が変わってしまう事がありえるからです。
彼らに取材を許してもらうには特殊な交渉術を用います。
これは極秘事項なのでお見せする事はできませんが今回も無事密着取材する事に成功しました。
今回タイムスクープ社は敵を討つ側討たれる側の同時取材を実行。
双方の視点から敵討ちの実態を記録する
ゆったりとした時間の中で茶を楽しむ伊藤源之助。
悠々自適の暮らしぶりはとても殺人を犯して逃亡した者のようには見えない
何だ。
う〜ん…。
必ず必ず返すと。
うむ。
いやいやいや…えっ?そうなんですか。
うむ。
源之助を助けたのはこの屋敷の主松沢武兵衛。
縁もゆかりもない殺人犯をなぜかくまったのだろうか
武士?うむ。
藩が全力を挙げて敵持を守った例がある
敵持を囲ってやるのは正当な武士の作法であった。
その背景には剣のたつ武士を一人でも多く雇い入れ味方にしておきたいとする戦国時代的な考えがあった
茶の腕も上がったものじゃな。
ありがたきお言葉にございます。
どうじゃ?こう家の中に閉じ籠もっては気鬱にもなろうぞ。
それは確かにさようでございますが…
事態は急展開する。
敵討ち側
あの〜…。
えっ?それは…?
その手紙は何者かによって書かれた源之助の居場所を密告するものだった
かような事に…おたき。
はい。
くれぐれもお気をつけて。
ついに宿敵伊藤源之助の居場所が判明した。
前田左馬助は敵を討つため屋敷を出発する。
江戸時代藩はいわば独立した小さな国である。
犯人が他の藩に逃げ込んでしまえば元いた藩の司法権は及ばなくなり追跡する事はできなかった。
敵討ちが公に認められていたのにはこうした当時の社会体制によるところもあった。
犯罪事件の決着は遺族が独自に犯人を捜し出し敵を討つ事に委ねられていたのである
いくつも山を越え宿場町に出た。
小田原が近い
松沢邸。
敵持の源之助側。
彼らは和やかに夕食をとっている
…とそこへ
・
(江原加次郎)殿失礼つかまつります。
加次郎か入れ。
(加次郎)はっ。
(松沢)何じゃ?まあただの旅の者じゃろう。
(瀬尾伊織)はっ。
(伊織)はっ。
討ち手左馬助側。
松沢の屋敷を目前にして日が落ちる。
そのためこの日は野宿をする事になった
明日いよいよ屋敷へと討ち入る覚悟だ
夜明けとともに左馬助が動きだす。
…とその時
(左馬助)誰だ?なに…?なに?
戦国時代が終わり戦が行われなくなると敵持を囲うという武士の作法は不合理な事であると次第に認識されていく
源之助側
警護役の伊織から報告が入る
(伊織)殿ただいま戻りました。
(松沢)さようか。
ほれ杞憂であっただろう。
そうですな。
ハハハハハ。
松沢家の屋敷近く
屋敷の周辺は侍たちにより厳重な警備が敷かれていた。
隙をついて物置小屋に身を隠す
敵の源之助が屋敷から出てくるのを待った
おお。
松沢様何の事でございますか?
それは左馬助が道端に隠していた荷物であった
その荷の中に入っておったもの…
(源之助)なんと…よくも貴様!このたわけが!松沢様…しかし…。
ハハハハ…。
そして…
その時は来た
はい。
なんと源之助ではない。
罠だった!背後から待ち伏せていた武士たちが飛び出す
どりゃあ!いやああっ!うりゃあ!うあああっ!やあっ!だあ〜っ!
それはあまりにも無残な光景だった
屋敷には釣りを楽しむ源之助と松沢の姿があった
はっ。
うむ。
(源之助)まことか!ああありがたや!ハハハハハ…。
ああ。
アハハハ!松沢様本当の釣りに出かけましょう。
ああそうじゃな!加次郎支度をせい。
はっ。
では参るか。
ハハハハハ…。
え〜本部本部こちら古橋。
ワープをお願いします。
沢嶋さん。
あ古橋さん…。
こちらは取材対象者が亡くなってしまいました。
そのようですね。
これが江戸時代の現実です。
(かよ)兄上!
(かよ)兄上…。
兄上…兄上…。
兄上!兄上…。
兄上!兄上…。
2014/09/19(金) 02:00〜02:29
NHK総合1・神戸
タイムスクープハンター「リベンジ 敵を討て!」(前編)[字][再]
シーズン6の第18回。時空ジャーナリストの沢嶋雄一(要潤)と古橋ミナミ(杏)は江戸時代へタイムワープ。親を殺された子の敵討ちについて2人が密着取材を行う。前編
詳細情報
番組内容
今回の取材対象は敵討ち(かたきうち)。江戸時代、一定の条件を満たせば、かたきを討つことは認められ、その罪を問われなかった。討ち手は主君から暇をもらい、敵討ちの旅に出る。1684年、江戸の武家屋敷、前田左衛門尉と妻は寝室に忍び込んだ伊藤源之助に殺される。事件発生から15年後、長男の左馬助は敵討ちのため剣の稽古に励み、その様子を妹のかよが見守る。ある日、源之助の居場所について情報がもたらされる。
出演者
【出演】要潤,杏
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
ドラマ – 国内ドラマ
バラエティ – その他
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サンプリングレート : 48kHz
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