(テーマ音楽)皆さんの毎日の健康作りに役立つ確かな情報をお伝えします。
「きょうの健康」です。
今週はこちら…今日は4日目。
テーマは…今日も専門家をお迎えしています。
分かりやすく教えて頂きましょう。
整形外科特に首の痛みの診断や治療がご専門です。
今日もどうぞよろしくお願いします。
さて手足にしびれが出る首の病気というのはどういう病気が考えられるんでしょうか?やはり多いのは頚椎症といったものや頚椎椎間板ヘルニア。
こういったものの方が多いと思います。
こうしたしびれが出ている場合は生活の改善であるとか姿勢を正したりとか運動したりとかという事ではよくならないんでしょうか?治る事もありますが神経が圧迫されて出る可能性がありますのでタイミングが悪いと適切な治療が間に合わないという事になりますのでやはり医療機関にかかって頂くのが重要です。
神経が圧迫されている。
それではその首の神経とはどこにあるのでしょうか?そこを見ておきましょう。
久田さん。
ではこちらの図で見ていきましょう。
首の骨頚椎ですが私たちの背骨の小さな骨上から7個分です。
この一つ一つの骨と骨の間には椎間板という衝撃を和らげるクッションの役割を果たしているものがあります。
ではここをこう切ってその断面を上から見てみましょう。
こちらです。
まずこの真ん中には脊柱管という空間があるんです。
トンネル状になっています。
そしてこの中を脊髄という神経の束が通っています。
この脊髄からはたくさんの神経が枝分かれして骨と骨の隙間から外に出ているんですがこれを神経根といいます。
ではここからは頚椎症について見ていきましょう。
頚椎症では椎間板が傷んで衝撃を吸収できなくなって骨に負担がかかってしまうんです。
そして骨棘というとげのようなものが出来てしまいます。
ここをこう切って断面図で見てみますとその骨棘が脊髄や神経根を圧迫してしまうんです。
では続いて頚椎椎間板ヘルニアです。
やはり椎間板が劣化衰えてしまうんです。
そうしますと亀裂が入ってきます。
そしてこの中にある髄核というものがその亀裂から外に出てしまうんです。
この飛び出した髄核が神経根や脊髄を圧迫するんです。
頚椎症や頚椎椎間板ヘルニアは神経根や脊髄が圧迫されて症状が出るという事ですがしびれも含めて代表的な症状をご説明頂けますか?脊髄では先ほどの真ん中の神経に圧迫がかかりますのでえてして両側の手足のしびれや感覚の鈍さが出ます。
症状が進行してきますとボタンの留め外しがしにくい箸が持ちにくいそれから文字が書きにくい。
もっと進みますと歩きにくいといった症状が出てきます。
更に進行しますと排尿障害といいまして尿の回数が増えてしまうあるいは尿が残った感じがする。
そういった症状まで出る事もあります。
歩きにくかったり排尿障害これはだいぶ進行した症状でございますね。
一方神経根が圧迫された場合はどんな症状特徴がありますか?これは枝分かれした神経の圧迫になりますので右左どちらかの腕から指手まで強い痛みが出る事が多いと思います。
こちらは両方に対して片方ですね。
その痛みを我々電撃痛と呼んでおりますが電気が走るようなしびれが特徴になります。
もっとヘルニアが大きい場合とか圧迫が強い場合には腕や指の筋肉が力が入らないといった症状まで出てきます。
こういった症状を訴える方への治療でございますがどういう柱になりますか?多くの方は左にあります保存療法で対処できます。
もう一つが手術という事になります。
多くの方々とおっしゃいましたがどれぐらいの割合なんですか?恐らく9割以上の方は保存治療で対処できると思います。
大部分の方は保存療法で対処という事なんですね。
この内容をご説明頂きましょう。
保存療法には多くの治療法がありまして…こういった治療が代表的になります。
いろいろありますね。
ではまず薬物療法からどんな薬を使っていくんでしょうか?まず一番よく使われているのが非ステロイド性の消炎鎮痛薬になります。
続きまして最近非常に使われるようになりました神経痛に対する神経障害性疼痛治療薬というものがあります。
非常に痛みが強い方の場合には医療用麻薬と呼ばれてるオピオイドも使う事があります。
それ以外にアセトアミノフェン筋弛緩薬ビタミン薬血行改善薬こういった薬も使われます。
いろいろ種類がございますね。
こうしたお薬を使っていく時に副作用がやはり気になりますが注意すべき副作用はどういう事でしょう?まず非ステロイド性の消炎鎮痛薬はやはり消化管への負担がすごく強いんです。
胃潰瘍が非常に珍しくないです。
それから腎への負担もかかります。
こういった事が代表的な副作用です。
そうしますとこうしたタイプのお薬は漫然とダラダラと使うものではないという事ですね。
できれば急性期のみにとどめる方がよいと思います。
こちらの神経障害性疼痛治療薬に関してはふらつきがかなり高率に見られます。
特に最初の頃に起きますので…。
フラフラする?そうですね。
特に年配の方にはそういった症状が出やすいですので転倒に非常に気を付けて頂く必要があります。
転んでしまうと危ないですね。
そして…。
オピオイドになりますがオピオイドはやはりどうしても吐き気が特に初期には高率に出ます。
それから内服を続けますと便秘といった症状も出ますのでそういったものに対する対策が必要になります。
いろいろな薬があるようですが薬の選択ですねどのように使い分けていくんでしょうか?やはり症状が強い方の場合には効果の強い薬という事になりますがそのかわり副作用もある程度認識して頂く必要があります。
効果が強ければ副作用も強いよという事ですね。
そういったものの代表として非ステロイド性の消炎鎮痛薬それから神経障害性疼痛治療薬オピオイドが挙げられるかと思います。
一方効果がマイルドだが副作用もマイルド。
中等度までの痛みであれば少し頑張れるという方もいらっしゃいます。
そういう方の場合副作用がどうしても気になるという方もいらっしゃいます。
そういった場合はまずアセトアミノフェンを使って頂くのがよろしいかと思います。
こうした使い分けがあるという事ですね。
さあそれではさまざまな治療法があった中で薬物療法を伺いました。
ほかにもいろいろございますがまず生活指導というのはどういう事でございましょう?やはり首に負担のかかるような生活やあと枕があまり合わない場合には症状を悪化させる事がありますのでやはりそちらの方に我々は注意を促しています。
枕の高さね。
これは大事でしょうね。
それから装具を使う装具療法。
これは?装具療法は症状が強い方によく我々お出しするんですがここに頚椎カラーの見本がありますがこれをこういうふうに丸くして首に巻きつけるんです。
そうしまして首の動きを少し制限する訳です。
そうしますと頑張ってつけて頂くと症状が結構軽くなる方がいらっしゃいます。
ちょっとタイプの違うもの同じ頚椎カラーをこちらにも用意して頂きましたが首にこうして巻きつけて固定するという事でこうなりますとうわ〜ちょっと下も向きにくいし久田さんの方を向こうとするとこういう感じで体ごとで。
首はひねられないんですね。
首はしっかり固定されていて動きが制限されているという事ですね。
治療法としては強いんですが下が見えにくくて年配の方は転びそうになる事があるので使う場所は気を付ける必要があると思います。
それでは続いて保存療法温熱療法というのもありますね。
温熱療法は赤外線や可視光線を使った首を温めて血行をよくして症状を軽くするという治療です。
温めるという事ですね。
神経ブロックとありますがこれは薬を使うという事ですか?そうですね。
痛みの原因になっていそうな神経に局所麻酔薬やステロイド薬を注射して症状を軽くするという治療になります。
この神経ブロックは痛みが抑えられる人は多いんですか?中には手術しかないという形で紹介頂いた方にこの神経ブロックを打った場合劇的に効果があって手術をしなくて済むというふうに劇的に効く方もいらっしゃいます。
非常に効く方もいらっしゃるという事ですね。
さて治療法の柱として保存療法を今伺ってまいりました。
こちらの方が大部分だという事ですが手術を検討しなければいけない時というのはどういう時ですか?やはり保存治療を行ってもよくならない方。
脊髄の症状の方の場合は何年かすると症状が悪くなる方がいらっしゃるんです。
そういった方の場合我々は手術をお勧めしています。
ただ症状があまり進んでしまうといろんな手術や治療を行っても後遺症がどうしても残りがちになります。
ですから我々手術を受けて頂くタイミングを非常に気にしています。
ですから症状が悪い時にはご自分でほっとく事はよろしくなくてなるべく医師のチェックを定期的に受けて頂く必要があると思います。
ではその手術ですがどのような方法があるんでしょうか?大きく2つありますがまず一つが首の後ろ側から行う手術になりますが椎弓形成術という手術になります。
首の後ろから手術をする。
こちらが背中になります。
背中の方から皮膚を切らして頂いてこの後ろ側の骨がちょうど弓のように見えるので椎弓と呼んでおりますがこの骨に少し切れ目を入れるんです。
切れ目を入れて後ろに下げます。
ちょっと下がってますね。
後ろに下げると空間に余裕が出来ますので神経が後ろに下がります。
そうしますと結果的には圧迫が軽くなって症状も場合によってすごくよくなる方もいらっしゃるという事になります。
後ろに少し解放するような感じですね。
圧迫がとれてくるという事ですが隙間開いたままですか?やっぱり開けっ放しだとたまに問題が起きる方もいるといわれていて現在多くの病院では人工骨とか金属をあてて開いた状態を維持するという形になります。
さあ手術2つあると言いました。
もう一つの方法は?もう一つは前方除圧固定といいます。
これは喉の前の方から手術をする方法になります。
前の方から手術をするのでこういうヘルニアとか骨棘を直接取ってしまいます。
直接取るので隙間がかなり出来てしまうんです。
そういう所にこういう人工のものとか多くの場合はご自分の骨盤の骨を頂いてそれを移植する形で症状を軽くするという事になります。
この2つの手術法はどちらがたくさん行われているんですか?こちらの椎弓形成術の方が現在安全な手術になっていますので年配の方でなかなか…いろいろな事を考えるとやはり現在の日本ではこちらの手術をする事が非常に多くなっております。
ただこちらの手術も非常に安全にできますので症状によってはこちらを受けて頂くという事になります。
圧迫している所から直接取るという手術ですよね。
ですから場合によっては症状は劇的によくなる事になります。
こうした手術のリスクとして考えられる事はどんな事ですか?あまり大きなトラブルは起きないんですがやはり数%の方にこういう人工の骨が少しずれてしまったりとかそれから神経のすぐ近くを触る手術になりますから少し神経の症状が悪くなる方が数%どうしてもいます。
これはやはり専門医を探したいですね。
やはり脊椎の専門の医者の所にかかって頂きたいんですね。
例えば日本整形外科学会の認定脊椎脊髄病医というものがあります。
そちらにかかって頂くのが一つの方法だと思います。
手術方法の選択も我々悩みますけどね。
実は最近ものすごく勉強なさってご自分で「この手術を受けたい」という方が結構いらっしゃるんです。
でも我々から見ますとやはりお一人お一人最適な手術が違いますのでどういう手術かよく医者と相談して決めて頂くのが重要かと思います。
今お話に出ていたように専門医の方を探してよく治療法を相談する事が大事ですね。
お話ありがとうございました。
2014/09/18(木) 13:35〜13:50
NHKEテレ1大阪
きょうの健康 首の痛み 予防・改善法「しびれがある場合の治療」[解][字]
「手足のしびれ」が現れた場合、「頚椎(けいつい)症」や「頚椎椎間板ヘルニア」などが疑われる。治療は保存療法と手術。薬の種類や手術の方法などをお伝えする。
詳細情報
番組内容
手足のしびれ、排尿障害、片方の肩、腕、指に強い痛みやしびれなどが現れた場合、「頚椎(けいつい)症」や「頚椎椎間板ヘルニア」などが疑われる。これらの治療には、保存療法と手術がある。保存療法で最も多く行われる方法は、薬物療法。「効果は高いが副作用が強い薬」と「効果は低いが副作用が弱い薬」が選択できる。手術は、脊髄が圧迫されている症状が現れているかどうかが判断の要素となる。
出演者
【講師】自治医科大学教授…竹下克志,【キャスター】濱中博久,久田直子
ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
福祉 – 高齢者
趣味/教育 – 生涯教育・資格
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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