今日本では自殺へと追い詰められる20代が後を絶ちません。
番組に寄せられた「死にたい」と訴える600通のメール。
その分析から多くの若者がリストカットなど自らを傷つける行為を繰り返している実態が浮かび上がってきました。
切らないと私今すぐ死んじゃうというような感じの思考でがって取ってうわ〜って一気にやるんですよね。
…で切ったら血が出る。
それは生きてる。
ああじゃあまだ大丈夫だというふうに思って安心はしてました。
私まだ生きてるから大丈夫。
「死にたい」という衝動から逃れるために繰り返す自傷行為。
その深みにはまり自殺にまで至る人も数多くいます。
「シリーズ20代の自殺」。
第3回は自傷行為の裏にある若者たちのSOSに耳を傾けます。
こんばんは「ハートネットTV」です。
シリーズでお伝えしています「20代の自殺」。
3日目の今日はリストカットなど自らの体を傷つける自傷行為を繰り返す若者たちの声に耳を傾けます。
今日も映画監督の安藤桃子さんとお伝えします。
よろしくお願いします。
よろしくお願い致します。
今日のテーマは「自傷行為」ですがいかがでしょうか?イギリスに留学時代結構友人2人ほどですかねアルコール乱用やら自傷行為をし続けていた子たちがいたので結構このテーマ胸に迫ってくるものがあるなと感じてます。
ではまずこちらをご覧下さい。
これは番組に届いた600通のメールから死にたいと思う要因をまとめたものです。
これらを読み解いていきますとリストカットなどの自傷行為だけではなくて大量の食べ物を食べたり吐いたりする摂食障害。
更には薬を大量にのんでしまう過量服薬など自らを害する若者が多くいる事が分かってきました。
この自傷行為なんですが繰り返していくうちに自殺のリスクが高くなるという報告もあるんです。
なぜ自傷行為をするに至るのか。
メールを寄せてくれた方を取材しました。
「表向きは社交的で活動的な性格だけど自傷行為は子どもの頃からずっと」。
「死んでもいいやと思う瞬間がいきなり訪れます」。
「リストカットは生きるため」。
「生きたい自分と消えたい自分このバランスがどっちに傾くかなんだろうな」。
今年3月メールを寄せてくれた…死にたいという気持ちが込み上げてくる度にカッターで腕を切ってしまうといいます。
自傷行為を始めたのは小学生の頃。
厳格な家庭に生まれ親の期待どおりの優等生をいつも演じていたももさん。
息苦しさを感じる度に爪で皮膚をひっかくようになりました。
中学を卒業し地元でも有数の進学校に入学するとももさんのストレスは更に大きく膨らんでいきます。
そんな時思い出したのが親友がしていたリストカットでした。
試しにやってみると気持ちが楽になりその後も繰り返すようになりました。
大学卒業後中学校の臨時教員として働き始めたももさん。
慌ただしく過ごす中リストカットの回数は一時的に減りました。
しかし3年前再び状況は悪化。
職場の上司から腕の傷痕をたしなめられたのです。
自分の全てを否定されたように感じうつ状態になったももさん。
時折込み上げてくる死にたいという衝動を自分の体を傷つける事でなんとかしのいでいます。
死ぬため…ではなく生きるために自らを傷つける20代。
自傷行為への依存を深めるうちに自殺にまで至る若者も少なくありません。
10年以上にわたってリストカットを繰り返してきた…3年前大量の睡眠薬をのみ自殺を図りました。
いじめのトラウマを抱え高校1年の時に摂食障害になった良子さん。
そんな自分を受け入れられずリストカットで気を紛らわすようになります。
その後1人暮らしを始めると自傷行為はエスカレート。
孤独を感じる度に腕を切り食べては吐く事を繰り返すようになりました。
自傷行為の深みから抜け出せなくなった良子さん。
自らを傷つけなければ生きていけない自分に死にたいほどの嫌悪感を募らせるようになりました。
がんじがらめの中自殺を図った良子さん。
3年たった今も自傷行為に頼らざるをえない自分を責め続けています。
「死ねないでこんなに恥ずかしい生き方をしている事を毎日毎日後悔します。
一日が終わる度にどうして生きているのだろう。
また一日長く生きてしまったと思います。
生きているのが恥ずかしいです」。
スタジオにはシリーズを通して出演して頂いています小島慶子さん。
そして精神科医の松本俊彦さんにお越し頂きました。
よろしくお願いします。
(一同)よろしくお願いします。
自傷行為を繰り返す女性の姿ですが小島さんにはどう映りましたか?私は摂食障害で過食おう吐というのを18歳から30歳までずっと続けていてとてもつらかったんですけれどもその時の事を思い出しながら見ていました。
松本さんはそういう20代の若者にたくさん接してきていると思うんですがどのようにご覧になりましたか?自傷行為なぜそういう若者たちが繰り返してるのかという事なんですね。
まず誤解されがちなんですけど自傷行為っていうのは決して死ぬためにやってる訳ではない。
もちろん多くの人はそうではないですね。
それからもう一つ誤解してほしくないのは決して構ってちゃんというか私を見てってアピールのためにやってる訳でもないんですね。
自傷行為を繰り返す若者の多くは言葉にならないつらい感情。
絶望感とか怒りとか緊張感恐怖感。
いやひょっとするとそういう名前でうまく呼べないような強烈な気持ちそれを和らげて遠ざけてなんとか耐えられるようにするために自分を傷つけてるんですね。
そういう人たちは人の助けを借りずに自分の体を傷つけて楽になろうとしています。
生きるためっていうふうに言っている人もいましたよね。
要するに死にたいくらいつらい気持ちをなんとか和らげて今を切り抜けるのに自傷行為が役に立つ人がいるんですね。
それは私吐いてる時にあったかもしれないです。
吐く事で死んじゃうんじゃないかというぐらいつらい苦しい思いをして吐きながらでも何か…何かを吐き出してたんですよ。
何ですか?食べ物じゃなかった。
食べ物じゃなくて大嫌いな自分を吐き出してたのか自分を嫌う自分を吐き出してたのか。
それでね明日からは真人間になろうって思うの。
部屋中ぴかぴかに磨いて全部なかった事ぐらいにして私は生まれ変わったんだって思うんですよ。
でも翌日また同じ事をしてしまうとより一層自分を嫌いになっちゃうというループだったから。
そうですね私もそれを吐き出してたんですね。
切ると生きたいという気持ちが逆に上がってくるという言葉が今VTRであったりあと血を見ると生きていると実感するって。
その死にたい死ぬために自殺行為として切っているというのとまた違うという事がVTRでも分かってきたんですがしかしながらその行為がリストカットが自殺につながってしまうケースというのもあるんでしょうか?ある研究によれば10代の時に一回でもそういう自傷行為をした事がある若者はそういう経験のない若者に比べると10年以内に自殺によって死亡する確率が数百倍高くなるというデータがあるんですね。
そんなに…。
いろんな要因があるんですがまず第一に確かにそれで一時的につらい状況をしのぐ事はできます。
でも根本的な問題は解決してない訳ですよね。
むしろそうやってつらい状況に過剰適応する事によってどんどん問題が深刻化していく可能性があります。
それからもう一つ。
自傷行為には独特の依存性があります。
最初は週に1回自分の腕を切ればつらい学校や家庭や職場を生き延びる事ができたのにそれが2回必要になったり3回必要になったり毎日必要になったりより深く切る事が必要になったりというふうな格好でエスカレートしていく事があります。
切ってもつらいし切らなきゃなおつらい。
これまでは人に助けを求めても意味がない。
人は必ず裏切る。
そう思ってリストカットは絶対に自分を裏切らないと思って生きてきた。
そのリストカットに裏切られるという事態になってくるんです。
その時に死にたい気持ちが非常に突出して多くなる強くなる事があるんですね。
とてもこの時に自殺行動に及んだりする人もいます。
本当に当人にとってはその事しかこの場を切り抜けてその先の時間を生きる方法って思いつかないんですよね。
だからとっても当人にとっては切実な生きるための手段なんだという事は分かるんです。
でもそれが結果として本人を自殺に追い詰めてってしまうのは本当やるせないですね。
ではどうすれば自傷行為に頼らずに生きていけるのか。
自傷行為を乗り越えた女性のケースからヒントを探っていきます。
12ジャンジャン。
そしたら今度はこっちから。
中学生の頃からリストカットを繰り返してきた…5年ほど前から自分を傷つけなくなりました。
腕の傷痕は少しずつ目立たなくなっています。
リストカットを始めた原因は過剰ともいえる親の期待でした。
優等生である事を常に求められそのプレッシャーで押し潰されそうになっていたといいます。
やがて一度に20か所以上も腕を切りつけるようになりました。
たくさんの睡眠薬ものむようになり学校に通えなくなりました。
立ち直ったきっかけはある支援団体との出会いでした。
この団体では虐待や引きこもりなどさまざまな問題を抱える若者を支援しています。
共同生活を通して生きる意欲を取り戻すきっかけを作り社会復帰につなげようとしています。
あ〜じゃあお茶漬けでいいや。
父親の勧めで高校1年の時からここで暮らし始めた優衣さん。
当初慣れない生活への不安からリストカットの回数は増えました。
そんなある日心を揺さぶられる出来事がありました。
いつもより深く腕を切り大量に出血。
深夜にもかかわらず仲間が駆けつけてくれたのです。
無条件に自分を受け止めてくれる仲間たち。
生まれて初めてありのままの自分をさらけ出せる居場所を見つけました。
自傷行為をしなくなったもう一つのきっかけ。
それはこの団体が運営する学童保育の責任者を任された事です。
(一同)頂きます。
子どもたちの世話に悪戦苦闘する毎日。
いつの間にかリストカットから遠ざかっていました。
それから5年。
両親とも適度な距離を保てるようになりました。
今でも深く落ち込んだり気持ちが不安定になる事があるという優衣さん。
それでも再びリストカットに頼る事はないと断言します。
優衣さんのお父様に対して今もう受け流してるっておっしゃったじゃないですか。
本当は絶対的な権威だなんて思わなくても自分にこういう期待をする人もいるけど「ワン・オブ・ゼム」だよなって本当は考えていいんですよね。
全くそうだと思います。
あるべき姿とか価値観とかを押しつけてくる人あるいは支配する人こういう人と適切な距離感を取る事によって何がいいかというとありのままの自分でいれる場所を確保する事ができる。
まあ居場所というんですかね。
よい子である必要もないし誰かの期待に応えなくてもいいんです。
腹が立った時には怒り悲しい時には泣く。
それを受け止めてくれる人がいる。
先ほど優衣さんもその施設でそういう経験してるって言いましたが自傷した時に今までは自傷した事を誰かに怒られる。
でもそうではなくて自傷したって事は何かつらい事があるんだよねというふうにSOSとして受け取ってくれて応えてくれる仲間がいる。
これもまた居場所では大事だと思います。
それからあとは仕事というか役割を与えられてましたよね。
人から必要とされる。
これまで自分は誰からも必要とされない余計な人間いなければいい人間と思っていたのがそうではない。
必要とされてるんだ。
まとめると距離感と居場所とそして役割。
これが優衣さんの回復にすごく大きな力になったんじゃないかなというふうに私見てて思いましたね。
優衣さんは乗り越えたと。
もうあそこには戻らないとおっしゃってますけど小島さんは摂食障害というものをどうやって乗り越えたんでしょうか。
母が私を産んだ時の年齢を越えた時に…37ぐらいかな。
はっとか思って。
私を抱いている母がいつの間にか私より年下になっていると思って。
摂食障害の理由になった母に対して今となっては共感ができるようになったんですよ。
「あなた孤独だったんだね」とか「あなたも不安の中にあるんだね」とか「あれ?ちょっと私とあなた人間関係が苦手とかいってちょっと似てない?」とかいうふうに今は思えるようになった事がびっくりで。
周囲の対応というか反応のしかたっていうのはすごく大事だと思うんですけども。
まずいくつかあるんですが一番大事な事は自傷がいいとか悪いとかを最初に決めつけないでほしいと思うんです。
だから叱責怒ったりもうやめなさいって禁じたりそれはやめてほしいと思います。
いいか悪いかはちょっと保留にしてほしい。
そして大事な事は自傷にもいい面があります。
少なくともその瞬間死なずに済みますよね。
つらい瞬間をなんとか切り抜けるには役立ってる訳ですよ。
こうやってつらい今を生き延びたのねっていう肯定的な部分はきちんと評価をして下さい。
その上でただ心配だなっていう心配する気持ち懸念を伝えてほしいと思うんですよ。
つらい瞬間を生き延びるのにはいいかもしれないんだけど専門家から聞いたんだけれども繰り返すうちでだんだんとエスカレートしてきちゃって切り始める前よりも消えたいとかいなくなりたいあるいは死んでしまいたいという気持ちが強くなっちゃうって聞いたんだ。
あなたがそうなったらと思うととても心配だっていう事を伝えてほしいと思います。
ただ援助する上で最後にとても大事な事はやっぱり援助者は1人で抱え込まないでほしいと思います。
いろんな自分の知り合いとか専門家とかそういった人たちに助けを求める。
これがこういう人たちを支える上でとても大事なポイントだと思いますね。
「シリーズ20代の自殺」3回にわたって死にたいと思っている20代の現状を見ていきました。
安藤さんはこの3回を通してどんな事を感じましたか?死にたいっていうのはそれだけのエネルギーのやり場がない。
やっぱり単純に若者イコール未来って考えるとその未来をちゃんと守っていく立場に大人があるべきだというのが最終的にやっぱり強く思った感想で。
だって幸せをみんなが求めるのであればそういう社会にしていこうという思いを持ってバトンタッチしていかなきゃいけないと。
小島さんはご自身の経験も踏まえながらお話しして頂きましたけども改めてどんな事を感じました?他人から見たら本当にどうでもいいような事で死にたくなっちゃうとしてもそれを恥じないでほしい。
私もそうだったから。
苦しい時は苦しいって言っていい。
それがどんなくだらない理由でも。
それからうれしい時も自分がうれしいなとか好きだなとか何か一個好きなものを見つけてその日を生き延びるっていうその事の積み重ね現在の積み重ねでも生き延びられる事はあると思うから私は一つでもそういうものが今日この番組を見てる人でしんどい人がいたら見つかるといいなって本当に思います。
「20代の自殺」という事で3回にわたってお伝えしてきました。
皆さん今日はありがとうございました。
(一同)ありがとうございました。
2014/09/18(木) 13:05〜13:35
NHKEテレ1大阪
ハートネットTV シリーズ20代の自殺(3)“自傷行為”生きるために傷つけて[字][再]
20代の自殺を考える3回シリーズ。第3回は“生きづらさ”を増す社会の中で追い詰められた若者たちが繰り返す「自傷行為」の実態に迫り、抜け出すためのヒントを探る。
詳細情報
番組内容
20代の自殺を考えるシリーズ。第3回は“生きづらさ”を増す社会の中で追い詰められた若者たちが繰り返す「自傷行為」の実態に迫る。NHKに届いたメールを分析すると、リストカットや摂食障害など、自らを傷つける行為に及ぶ人がかなりの数に上っていた。専門家によれば、こうした行為は、死ぬほど辛い現実から一時的に逃れるための“生きるための”行為だと言う。若者たちに寄り添い、そこから抜け出すためのヒントを探る。
出演者
【出演】ラジオパーソナリティ…小島慶子,映画監督…安藤桃子,精神科医…松本俊彦,【司会】山田賢治
ジャンル :
福祉 – その他
福祉 – 高齢者
福祉 – 障害者
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音声 : 2/0モード(ステレオ)
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