企業が社債を発行して資金を調達する動きが活発だ。4~9月は普通社債で合計5兆2000億円を発行し、前年同期比7%増えて上半期で4年ぶりに5兆円を超えた。調達金利は一段と下がり、満期が10年の長期債でも年率1%を下回るものが9割を占める。過去分の借り換えのほか、M&A(合併・買収)など事業拡大への資金に充てる動きも目立つ。
4~9月で最大はソフトバンクで、総額7000億円を発行した。調達資金は借入金返済や将来の投資資金などに充てる方針だ。次いでみずほ銀行が1700億円を調達した。業種では、合計で前年同期の2倍に増やした機械業界が目を引く。
事業環境の改善で久しぶりに発行する企業も出てきた。高島屋は7年ぶりに発行した。楽天は初めて社債を出して300億円を調達した。
著しいのが調達金利の低下ぶりだ。満期が10年の社債は4~9月は延べ78本あり、このうち69本で金利が1%を下回った。9月に三菱地所が発行した10年債は0.643%だった。前年同期は10年債の6割が1%以上で、3年前は1%割れはゼロだった。三菱商事による18年債など満期の長い社債も増えている。
社債の金利を決める際の基準となる国債の利回りが新発10年物で0.5%台と歴史的な低さにあるうえ、企業自身が稼ぐ力を取り戻して信用力も上がっている。金利が低くても機関投資家や個人が買い手になり、企業は調達しやすい環境にある。
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