われています。
・
(サイレン)
(垂れる音)・
(鍵の開く音)・
(ドアの開く音)
(紗和)おかえり。
・
(俊介)ママ。
(紗和)うん?
(俊介)昨日の火事放火だって。
(紗和)放火?怖っ。
犯人捕まったの?
(俊介)いや。
まだ。
住人は助かったらしいんだけど全焼だって。
せっかく建てた家燃やされたら泣くに泣けないよな。
(紗和)あっ。
家といえばさ引っ越ししてきたよ。
(俊介)えっ?ああああ。
あの新築?
(紗和)うん。
夫婦と子供が2人。
(紗和)まあ普通の家族みたいね。
(俊介)新しい家に住めるなんていいよな。
(俊介)ヤバい。
こんな時間だ。
ああ。
はむすけ。
はむみちゃん。
行きますよ。
はいはい…。
おっおっおっ…。
朝一ショールームに寄らなきゃいけなかったんだ。
えっ?パパ行ってくるからね。
ちょっと。
パパ。
私も一緒に行く。
(俊介)おふくろ頼むね。
6時に来るって言ってるから。
またか。
(俊介)悪いけど食事作ってやってくれる?大したもんじゃなくていいよ。
肉じゃがと干物とサラダと味噌汁とかでいいから。
それじゅうぶん大したものなんですけど。
ママ。
靴またほどけてる。
ああ。
・
(エレベーターの到着音)
(俊介)あっ。
ごめん。
ママ。
先行くよ。
えっ?
ホントはママなんて呼ばれたくありません
でも夫は子供のいない私を喜ばせているつもりです
わざわざ傷つけることもないのです
695円のお返しです。
ありがとうございました。
(女性)はい。
お世話さまです。
いらっしゃいませ。
(利佳子)これ冷えたのないかしら?あっ。
こちらは常温のみとなります。
(利佳子)そう。
じゃあこれお願いします。
ゆうべの火事驚きましたね。
お引っ越しされてきましたよね?うち川を挟んだ反対側のマンションなんです。
放火だなんてもう許せないですよね。
警察早く捕まえてくれないと…。
(利佳子)お幾ら?あっ。
すいません。
5,706円になります。
カードお預かりします。
ありがとうございました。
どうも。
(峰子)ありがとうございました。
何か嫌みね。
そうですか?奇麗な方じゃないですか。
(峰子)ああ。
人生って不公平よね。
・
(子供)フフフ。
(子供)しっしっ。
・
(子供)さとし見っけ。
(子供)うわっ。
ヤベえ。
(子供)待てよ。
危ないよ。
危ない。
あっ…。
もう。
(従業員)ご来店中のお客さまにお車のお呼び出しを申し上げます。
横浜333ら422。
横浜333ら422でお越しのお客さま。
お伝えしたいことがございます。
至急お近くの従業員にお声掛けください。
ご来店中のお客さまにお車の…。
・
(智也)泥棒!・
(警報器の音)
(警備員)すいません。
・
(警備員)どうしました!?・
(啓太)やってねえっつってんだろ。
・
(警備員)ちょっと。
ちょっと…。
・
(智也)嘘つけ。
こら!
(啓太)この野郎!
(智也)何じゃこら!警察呼べ。
警察。
(警備員)お客さまのお車ですか?
(智也)おい。
利佳子。
利佳子。
ヤバいよ。
車やられたぞこいつに。
(警備員)ちょっと。
落ち着いて。
(智也)放せこら!
(啓太)てめえも放せよこの野郎。
どうしたの?大きな声出さないでちょうだい。
ちょっと。
あのう。
お名前は?えっ?私の名前は滝川利佳子。
たった今からあなたのお友達よ。
お友達?口紅のこと黙っててあげるから話合わせて。
(啓太)よせよ!痛っ。
(三島)被疑者の少年と学校の先生です。
(北野)失礼します。
晴鐘学園の北野と…。
(啓太)くそじじい。
てめえ。
おい。
(智也)おら!何じゃこら!押さえとけよくそがき!
(北野)はい。
すいません。
(啓太)うるせえなくそじじい。
(北野)木下。
(北野)晴鐘学園の北野と申します。
親御さんが仕事で来られないので私が参りました。
このたびはうちの生徒が大変ご迷惑をお掛けしました。
よく指導してください。
先生。
(北野)はい。
こちらは示談で結構ですから。
ねえ?
(北野)ありがとうございます。
本人もちゃんと反省しますんで。
(北野)ちゃんとおわびしなさい。
(啓太)便所どこ?
(北野)おい。
木下。
(啓太)うんこ。
(北野)木下。
(三島)トイレならこっちだ。
(北野)お前。
ちゃんと…。
(三島)来なさい。
来なさい!
(啓太)何だ?こら。
(北野)すいません。
(啓太)おい。
こら。
(三島)頭冷やそう。
(智也)反省してんのかくそがき!あのう。
おケガ大丈夫ですか?あっ。
はい。
これから病院にご一緒します。
えっ?
(北野)一応診てもらった方がいいと思うんです。
あっ。
いえ。
そんな大げさな。
(北野)いや。
あのう。
治療が終わったらちゃんとご自宅までお送りします。
紗和ちゃん。
そうしていただいたら?結構です。
ホントに大丈夫ですから。
そんな大したことないんで。
ちょっとどいてよ。
すいません。
(北野)すいません。
神様ごめんなさい
私のしてしまったことは本当にいけないことです
心からおわびして改めます
でも一つだけ言わせてください
あんなすてきなおうちと家族がいるのに不倫するなんて罰当たりです
どうかあの女の不倫が旦那さんにバレて地獄に落ちますように
(俊介)自転車で転んだ?パートの帰りにね猫がニャーって出てきてよけようとしたの。
痛かった。
(慶子)ひびでも入ってたら大変だから病院行けって私は何度も言ったんだけどね。
だってお母さん。
大丈夫なんです。
ほら。
ほら。
(慶子)いいからいいから。
休んでなさいあなた。
(慶子)パートで大変なんだから。
どうせ赤ちゃんができたら私に頼ることになるんだし。
ぐさっ。
「ぐさっ」ってどういう意味?いえ。
(せきばらい)
(俊介)あれ?とろろじゃない?最近食べてなかったな。
うまそう。
(慶子)でしょう?食べ物は大事よ。
精のつくもの食べたら結果が出るわよきっと。
あっ。
ご飯の時間だ。
ちょっちょっ…。
ただいま。
パパ帰ったよ。
(慶子)ネズミが「パパ」って言ってくれたらいいけどね。
お母さん。
あれネズミじゃなくてハムスターです。
もしもし。
あっ。
紗和ちゃん?私。
利佳子。
あっ。
どうしました?
(俊介)眠いの?連絡先聞いておいてよかった。
ねえ。
無事に帰れた?ご心配なく。
主人がおわびしたいって言ってるの。
ちょっといい?はっ?主人?
(滝川)もしもし。
お電話代わりました。
初めまして。
(滝川)いつも利佳子がお世話になっております。
お世話はしてません全然。
(滝川)今日妻がお誘いしたせいで何かケガをさせてしまったそうで。
申し訳ありませんでした。
いえ。
(滝川)妻は世間知らずなところがありますがこれに懲りずこれからも仲良くしてやってください。
世間知らず。
アハハ。
(滝川)ハハハ。
あっ。
じゃあ利佳子に代わります。
失礼します。
お大事に。
突然ごめんなさいね。
主人こういうところ堅苦しくて。
普段はいいかげんなのにね。
さよなら。
待って。
木曜日パート3時までよね。
終わったら横須賀ベイサイドホテルまで来てくれない?どうして私が?今日の先生。
ほら。
北野先生と示談の話し合いをするの。
私には関係ありません。
「あなたにもぜひもう一度おわびしたい」だって。
参りません。
私もあなたに会いたいの。
ホントはちゃんと謝りたいの。
ねっ?ねえ。
うん?お母さんさ。
私に色気がないから子供ができないと思ってるみたい。
そんなことないよ。
紗和はカワイイよ。
すべすべだろ?うん。
(においを嗅ぐ音)いい香りなんだよ。
アロマ入り。
買ったの?うん。
ネットでコスメのバーゲンやっててさ。
ママも使っていいよ。
ありがとう。
寝よっか。
夫は同性愛者ではありません。
美しくありたいだけです
結婚する前は普通に私を求めてきました
ただセックスレスだからといって別れたいわけではありません
私たちは仲良しなんです。
でも…
(深澤)乱れてんだよな。
奥さまたち。
日本も終わりですよ。
(京子)あのね男が悪いのよ。
妻を釣った魚状態にしてまともにケアしないからこうなるわけ。
(滝川)うわ。
耳が痛い。
やめて。
(深澤)ハハハ。
(京子)はい。
プラン会議始めるよ。
(美和)複数の男と付き合う奥さま。
どうですか?出会い系じゃ3人4人は珍しくないですよ。
(滝川)タフだね。
いいね。
それ追っ掛けてみようよ。
「日替わりで男を抱く奥さまたち。
木曜日はどんな彼?」
(京子)いいですね。
(滝川)山下と田村は取材対象何とかして見つけて。
(山下・田村)はい。
(滝川)カメラは田島ちゃんでいいんだよね?
(京子)はい。
(滝川)加藤さん。
加藤さん次は絡みの絵にしてもらえますか?
(加藤)絡みですか?
(滝川)ええ。
こないだのだとちょっと上品過ぎてこれ。
インパクトに欠けるから。
こういうのは割り切ってぎんぎんにエロい方がいいんだな。
(加藤)絡まない方がエロスはありますよ。
(滝川)えっ?
(加藤)女性は一人で横たわってる方がエロチックです。
(滝川)ああー。
分かる。
ですがそういう高尚なエロスじゃなくてもっと直接的なストレートな表現が欲しいの。
ひとつお願いします。
何か?こんな特集して主婦をあおって責任取れるんですか?
(滝川)責任って。
いやいや。
われわれが作ってるものは娯楽ですよ。
教科書じゃない。
自己責任でしょう。
(滝川)お疲れさまでした。
(京子)よろしくお願いします。
・
(クラクション)
(北野)修理代および笹本さんの治療代についてはこちらで責任持って対応させていただきます。
先生が責任持つんですか?
(北野)あのう。
事件を起こした生徒の家庭には事情がありまして。
現在母親は不在。
父親も出張がちです。
校長と相談し私の方で対応することになりました。
熱心な先生ね。
すごいって言いたいところだけど気に入らないわ。
だって本人はおろか親御さんも来ないんじゃ誠意が感じられないもの。
ねえ。
これはお引き取りいただけます?
(北野)おっしゃることはごもっともですが。
考え直していただけないでしょうか?将来ある子供です。
もちろん謝罪については今後きちんと本人からさせます。
そうね。
先生がデートしてくれたら考えてもいいですよ。
私と。
本気よ。
先生が私と一日過ごしてくれたらちゃらにしてあげます。
私は真剣に謝罪に来てます。
私も真剣に誘ってます。
(北野)からかわないでください。
生徒の人生が懸かってるんですから。
先生に生徒の人生なんか救えるのかしら?あなたが恩着せがましい顔をするより被害者の女とデートするぐらいふてぶてしい方が生徒もたくましくなるんじゃない?
(北野)失礼します。
あらためてご連絡します。
行ったら?えっ?追っ掛けてって友人がご迷惑をお掛けしましたって謝れば?詐欺によくある手口らしいわよ。
一人が悪役をしてもう一人が正義の味方をする。
どうして私が?今彼のことすてきって思ったでしょ?何言ってるんですか?悪くないわよねあの先生。
ちょっとスマートさに欠けるけど。
でもあなたのように免疫がない人にはちょうどいいかも。
あのう。
あなたに何言っても無駄かもしれませんが私結婚してるんです。
だからじゃない。
ホントの恋愛なんて結婚してからじゃなきゃできないわ。
ハッ。
決めぜりふのつもりですか?だって結婚する相手には経済力や家柄見えが優先するでしょう?自覚はないかもしれないけどあなただってきっと打算で選んだはずよ。
失礼な。
私は夫を好きになって結婚しました。
あなた幾つ?お宅さまよりかは若いですよ。
かなり。
警察で31って言ってたっけ?しっかりチェックしてるじゃないですか。
このまま女を捨てて一生を終えていいの?私は若い男とちゃらちゃら不倫するよりあったかい家庭がつくりたいんです。
分かってないわね。
温かい家庭をつくるためにも恋が必要なんじゃない。
意味不明。
理解不能。
じゃあ聞くけど。
ご主人は温かい家庭をつくろうと努力してくれてる?昔と変わらずあなたを大事にしてくれてる?そんなご主人にあなたはまだときめける?無理よね。
結婚は平穏と引き換えに情熱を失うものだから。
3年もたてば夫は妻を冷蔵庫同然にしか見なくなる。
冷蔵庫?ドアを開けたらいつでも食べ物が入ってると思ってる。
壊れたら不便なのにメンテナンスなんてしたことない。
でもね外で恋愛をすれば夫にも寛大になれるわよ。
機嫌よくパンツも洗えるわ。
家族みんなが幸せになるの。
そうですか。
だったらもっともっと幸せにおなりください。
こないだの彼が連絡取れないって心配してスーパーに来てましたよ。
ああ。
彼とは終わりにしたわ。
若い人は危険ね。
外で名前を呼ぶような男とは付き合えないわ。
絶対にバレてはいけない。
それが私たちの恋のルールだと思わない?「私たち」?同意求めないでください。
何が恋よ。
あら。
不倫は究極の恋愛の形よ。
映画だって小説だってたくさん名作があるわ。
それは物語だからでしょ。
でもあなただって美しいヒロインになりたい願望はあるんじゃない?だから赤い口紅を。
あの口紅なら返しました。
だから?あなたは口紅が欲しかったわけじゃない。
退屈な毎日に穴をあけるようなドキドキするようなことがしたかった。
もしかしたら放火したのもあなただったり…。
いいかげんにしてください!今あなたを刺したくなりました。
(メールの着信音)あのう。
何してるんですか?
(北野)都会ではあまり見ない虫がいたんで。
虫?
(北野)あっ。
あのう。
生物を教えてます。
ああ。
生物ね。
(北野)ヨツボシモンシデムシといいますこれ。
うわっ!臭い!
(北野)おっ。
あっ。
外敵から身を守るためにお尻から腐敗臭のする液体出すんですよ。
こいつら昆虫には珍しく一夫一妻制も見られる虫なんです。
一夫一妻制?
(北野)人の結婚と一緒ですよ。
特定の雄と雌が一対一のつがい関係で子供を育てたりするんですよ。
僕は嫌いです。
えっ?たとえ冗談でも簡単に男誘うような女。
そもそも冗談で誘うのが許せない。
あっ。
すいません。
こんなこと言うつもりなかったんですけど。
先ほどは大変失礼しました。
怒って席立つなんて大人げなかったです。
いいえ。
あれは怒って当然です。
私だったら殴りかかってたかもしれません。
えっ?ホントに?どうかな?フフフ。
あのう。
実を言うと晴鐘学園の先生って聞いて驚きました。
私卒業生なんです。
そうでしたか。
はい。
僕あのう去年赴任したばかりなんです。
まあ理科は一番苦手だったんですけど。
ああ。
滝川さんとはご友人ではないですよね?えっ。
何でですか?僕にはあなたと彼女が気が合うようには思えない。
立ち入ってすいません。
友達です。
あのう。
虫が結婚生活するって話面白かったです。
あっ。
こっちでした。
・
(チャイム)
(男性)昼顔さんですか?
(男性)今日はついてるな。
こんなに奇麗な人だとは思っていなかった。
あなたもなかなかよ。
(男性)フッ。
(男性)何時までいられますか?子供がお稽古から帰るから5時には出るわ。
(男性)ちょうどよかった。
僕も6時には仕事に戻らないと。
いきなり?まだホントの名前も知らないわよ。
(男性)真実は携帯の番号だけ。
ネットの出会いなんだからそれでいいじゃないですか。
知らない方があれこれ想像できて燃えますよ。
それは男の理屈ね。
女はまず好きになりたいの。
たとえその場かぎりの相手でも。
でも昼顔ってハンドルネーム付けてるってことはあなたも世間話がしたいわけじゃないでしょ?僕頑張りますから。
『昼顔』って映画見たことあるの?あっ。
昔の。
上流家庭の奥さまが真っ昼間に売春する話でしょ?罪を犯したら罰を受けるって映画よ。
白状します。
今日はキッチンに立ちたくありません
あの人に会ったせいでしょうか?
あの人の声が耳から離れないせいでしょうか?
(呼び出し音)もしもし?ごめん。
仕事中。
(俊介)どうしたの?今夜どっかにご飯一緒に行かないかなと思って。
(俊介)今日無理だな。
展示会の打ち合わせあるから。
私待ってるよ。
(俊介)えっ?美容院でも行ってこようかな。
(俊介)いや。
ご飯作るの面倒なら何か買ってきたら?僕はコンビニでもいいから。
そういうことじゃないんだけどな。
まあいいや。
じゃあね。
(バイブレーターの音)
(美鈴)「奥さまですか?」
(俊介)「よく分かったね」
(美鈴)「課長のことなら何でも分かりますよ」
(俊介)「おいおい」どうしてうちが分かったの?
(智也)利佳子んちの近くのマンションって言ってたから。
帰って。
近所に変に思われるじゃない。
利佳子とまだ連絡が取れないんだ。
電話するように言ってくれないかな?あなたとは別れたって言ってたわよ。
別れた?そう。
諦めなさい。
じゃあ。
ちょっ。
待って。
待って。
放して。
やめて。
待って。
聞いてって。
聞いてよ!放して。
何?
(智也)もう1回だけ会いたいんだ。
頼みます。
自分で会いに行けばいいじゃない。
怒られるよ。
利佳子。
家を大事にしてるから。
大事にしてたらあなたと遊んだりしないよ。
ただの遊びじゃない。
そんなに好きなわけ?ご主人がいる人よ。
バレたらあなたが慰謝料請求されるの。
あんたには分からないよ。
あっそう。
(智也の泣き声)えっ。
ちょっと。
こんなとこで泣かないでよ。
(智也の泣き声)
(慶子)何てこと。
だから子供ができないわけね。
・・
(音楽)・
(加藤)おい。
何してんだ?あっ。
利佳子さんのご主人ですか?
(チャイム)はい。
(加藤)加藤です。
今開けます。
(解錠する音)皆さん。
お揃いになったばかりです。
(加藤)トイレお借りしていいですか?あっ。
突き当たり左になります。
紗和ちゃんも上がっていって。
お取り込み中みたいですね。
あっ。
主人の職場の方が新築祝いに来てくれてるの。
ちょっといいですか?どうしたの?お宅の彼がうちのマンションに来ました。
また来られたら困るから連絡してあげてください。
ごめんね。
(滝川)おい。
どうした?あっ。
ううん。
紗和ちゃんよ。
ほら。
こないだ一緒にいた。
(滝川)ああ。
どうもどうも。
どうも。
へえー。
おい。
上がってもらえよ。
どうぞ。
こんにちは。
どうぞどうぞ。
入って。
えっ?いや。
私は…。
・
(音楽)どうぞどうぞ。
入って。
ホントに大丈夫です。
すげえ。
主人ね出版社に勤めてるのよ。
ねえ『BONITO』って雑誌知ってる?この編集長なの。
・
(真菜)こんにちは。
・
(陽菜)こんにちは。
こんにちは。
(陽菜)こんにちは。
陽菜です。
(真菜)姉の真菜です。
今日はようこそ。
紗和ちゃんよ。
お母さんのお友達。
幾つ?
(陽菜)8歳です。
(真菜)あっ。
今日ゆっくりしてってください。
こんにちは。
(陽菜)こんにちは。
陽菜です。
(真菜)姉の真菜です。
今日はようこそ。
(陽菜)怖い。
2人ともご飯食べてらっしゃい。
(真菜)行こう。
主人呼びましょうか?いえ。
ねっ。
紗和ちゃんも食べていったら?私やっぱり帰ります。
いや。
そんなこと言わないで。
(女性たち)エロい。
ちょっと。
子供もいるんだから。
(校長)けじめをつけろ。
高校は卒業しないと職探しにも苦労するぞ。
(教頭)木下。
返事は?
(啓太)職なんかいらねえし。
(北野)じゃあどうやって生活するんだ?自分の力で働いてその報酬で生活する。
それが生きることだろ。
(啓太)先生。
「何であいつらが警察に嘘ついてること言わなかった?」って聞いたよな?金もらうためだよ。
あの不倫女に。
木下!
(校長)北野先生。
(校長)どういう意味だ?
(啓太)あの女旦那にバラすって脅したら結構払うぜ。
つうか一発ぐらいやらせるかもな。
(北野)お前いいかげんにしろよ。
(啓太)子供過ぎんだよあんたら。
(啓太)生きるっつうのはそういうことなんだよ。
あんたも教師ならさくだらねえ虫の話ばっかしてないでホントのこと教えたらどうなんだよ?
(北野)おい。
待て。
座れ。
いいから座れ。
おい!
(啓太)退学にでも何でもしろよ。
(北野)おい木下。
痛っ!?
(教頭)あっ。
大丈夫ですか?
(舌打ち)
(北野)痛っ。
(教頭)おい。
木下。
(滝川)そういやさこの間この近くで火事があって放火じゃないかっていわれてたんだけどあれ無理心中らしい。
無理心中?
(滝川)うん。
住人の誰かが火を付けたとしか考えられないって。
どうして自分の家に?
(田村)常識的に言えば借金とか?
(京子)介護問題とかっていうのもあるわよ。
(滝川)いやいや。
男女関係っていう情報あるんだよ。
夫の浮気に憎悪を燃やした妻がってとこか。
もしそうならお子さんが気の毒よね?
(女性)ホントそうですよね。
逆かも?
(滝川)えっ?逆?あっ。
奥さんが不倫をしてて全てを清算しようとしたとか。
(滝川)ああ。
それあり得ますね。
まさにうちの雑誌で特集した昼顔妻の成れの果てってわけだ。
ねえ?加藤さん。
そう思いませんか?女がそんな割に合わない清算のしかたするかしら?今の奥さんはもっと器用に不倫するわよ。
だってほら。
あなたの本に書いてある。
(滝川)うん。
確かに。
(女性)びっくりした。
(美和)奥さん美人だし浮気してんのかと思っちゃいました。
(滝川)ないないない。
こいつ顔だけでそんな器量ないから。
ひどい。
・
(真菜)お母さん。
お母さん。
お母さんにお客さま。
萩原って男の人よ。
(滝川)誰?さあ?誰かしらね。
(滝川)ちょっと待って。
不審者だったらまずいよ。
俺が行くよ。
(男性)あっ。
僕も行きます。
あっ。
私です。
あっ。
私の弟です。
(滝川)弟さん?はい。
今日遊びに来るって言ってて迎えを頼んだんです。
(滝川)ああ。
あっどうもごちそうさまでした。
紗和ちゃんごめんなさいね。
何のお構いもせずに。
あっ。
早かったね。
行こう。
(智也)はっ?何だよ!行かない!・
(足音)お肉やビール足りてる?
(滝川)えっ?家まで来るなんてどうかしてるわよ。
(智也)あんただって行けばって言っただろ。
あれは売り言葉に買い言葉っていうか。
会いたいんだよ。
駄目よ。
家には利佳子さんの子供がいるのよ。
ママの彼氏が来て旦那と修羅場になったらどうなると思うの?俺はむしろ修羅場になってほしいよ。
がきね。
そんなんじゃ絶対相手にされないから。
・紗和ちゃん。
驚いた。
自分でまいた種でしょ?違う。
あなたが味方してくれたことに驚いたの。
私は真菜ちゃんたちがかわいそうなことになったら嫌だから。
私たちいい友達になれそうね。
どこが?あなたも私も嘘つきだから。
一緒にしないでください。
・
(ドアの開閉音)あら。
もうお帰りですか?
(加藤)用は済みました。
まだ全然召し上がってないじゃないですか。
これからまだ。
お宅の飯は口に合いそうにないんで。
ごめんなさい。
蚊が。
加藤さん。
絵を描いてくださいませんか?一流の画家なんですよね?一度でいいからプロの方に私自身を描いてもらいたかったんです。
昔漫画が上手な友達に描いてもらったことがあるんですけど全然似てませんでした。
描きにくい顔だって言われました。
・
(滝川)おい。
なあ。
利佳子?ビールの追加ある?はーい。
ちょっとごめんなさい。
・
(警備員)何か?あっ。
すいません。
(北野)あれ?あれ?北野先生。
眼鏡は?
(北野)ああ。
ちょっとこけちゃって壊しちゃいました。
それよりどうしました?あっ。
偶然通り掛かって懐かしくなって。
どうも。
さよなら。
ごめんなさい。
自分でモデル頼んでおいて。
どうぞ。
(加藤)いえ。
できました。
うれしい。
不満ならすいません。
僕は三流画家です。
いいえ。
あなたは超一流です。
だって私にそっくりだもの。
また道間違えました?違います。
偶然じゃありません。
私この間嘘つきました。
嘘?滝川さんと友達じゃありません。
頼まれてそう言いました。
わざわざそんなこと言いに?「そんなこと」?あっ。
嘘ついたままは嫌なので。
これまで嘘ついたことないんですか?結構意地悪なんですね。
あっ。
靴ひもほどけてますよ。
あっ。
よくやっちゃうんです。
縦結びだから。
ここ下から入れてでここで輪っか作ってでぎゅっ。
簡単でしょ?そっちも。
はい。
やってみて。
すいません。
この年までちょう結びのしかた覚えないままきちゃって。
あっ。
ここ。
下から入れて輪っか。
不倫。
みだらで薄汚く非常識な欲望
(俊介)腰の辺りもしっかり。
(美鈴)これで快適に過ごせますね。
サポートできてるな。
家族を裏切り周囲を傷つけ友達を失い自らも苦しみの淵に落とす罪
足を踏み入れたが最後出口がないことに気付いても決して引き返せない
全てを破壊する許されない恋
(北野)じゃあ。
私には一生縁のないものです
2014/09/17(水) 14:57〜15:53
関西テレビ1
昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜 #01[再][字]【明日夜10時は第10話!上戸彩ほか】
平日午後3時…夫以外の男性と恋に落ちる妻たちの生と性を通して、その欲望と孤独と本音を描く、綺麗事ではすまない怖くて痛くて愛しい大人のラブストーリー。
詳細情報
番組内容
笹本紗和(上戸彩)は、結婚5年目の主婦。家具メーカーに勤務する夫・俊介(鈴木浩介)と平凡ながら幸せな日々を送っている。ある日、スーパーのパートを終えた紗和は、客として店に来ていた滝川利佳子(吉瀬美智子)から不倫のアリバイ作りへの協力を頼まれる。利佳子は最近この街に引っ越してきたばかりで、大手出版社の女性誌編集長をしている夫の徹(木下ほうか)、ふたりの娘と新築の一軒家で裕福な暮らしをしている。
番組内容2
だが、実は彼女は、平日の昼間に不倫を繰り返している、いわゆる“平日昼顔妻”だった。この日も萩原智也(淵上泰史)と不倫をしていた利佳子は、スーパーの駐車場で車上荒らしに遭ってしまい、とっさに紗和を利用したのだ。利佳子にある弱みを握られていた紗和は、警察の事情聴取で、利佳子とは友人で仕事の後に彼女と会う約束をしていたと嘘をつく。そこに、車上荒らしをした高校生・木下啓太(健太郎)が、担任教師の北野裕一郎
番組内容3
(斎藤工)と一緒にやってくる。北野の謝罪を受けた利佳子は、示談でいいと彼に告げた。数日後紗和は、利佳子とともに北野に会う。北野は、事件を起こした生徒の家庭には事情があるため、自分が対応するとふたりに説明した。そんな北野に、誠意が感じられないと示談書を突き返す利佳子。それでも北野が説得しようとすると利佳子は、デートしてくれるなら考えてもいいと言い出し・・・。
出演者
笹本紗和: 上戸彩
滝川利佳子: 吉瀬美智子
北野裕一郎: 斎藤工
乃里子: 伊藤歩
長谷川美鈴: 木南晴夏
滝川徹: 木下ほうか
萩原智也: 淵上泰史
笹本俊介: 鈴木浩介
笹本慶子: 高畑淳子
加藤修: 北村一輝
ほか
スタッフ
【脚本】
井上由美子
【プロデュース】
三竿玲子
清水一幸
【演出】
西谷弘