すごい風ですね。
こちらはけさの様子です。
そしてたたきつけるような雨。
大型で非常に強い台風18号が、沖縄県の南大東島の東の海上を北上しています。
台風はあすからあさってにかけて、西日本や東日本に近づく見込みで、気象庁は今後の台風情報に注意して、早めに対策を取るよう呼びかけています。
おはようございます。
週刊ニュース深読みです。
南さん、また大きな台風が近づいているんですか?
そうですね。
今後の動きに警戒が必要ですね。
台風18号ですが、現在の8時の推定の位置は、南大東島の東南東の海上およそ180キロの所に中心があると見られます。
中心の気圧、かなり下がってまして、935ヘクトパスカル、中心付近の最大風速が50メートル。
かなり大きな台風ですので、少し離れていてても天気は大きく荒れますし、中心がやって来ますと、風速が50メートルぐらいですので、車が横転するぐらいの風が吹くということになりそうです。
南大東島、すでに荒れていましたけれども、これから暴風域の中に入っていきますので、これから大きく荒れるということになりそうです。
このあと台風は、あすの朝には奄美大島の東、そして月曜日になると、西日本にかなり接近する見込みです。
この月曜日の朝の段階での中心の気圧や最大風速は、中心の気圧が大体940ヘクトパスカルで、中心付近の最大風速45メートルぐらいなんですよ。
あまり弱まらない?
この辺りまでの海水温、かなり高いので、弱まらないまま近づいてくる、そしてこの中心を通ったとしても、東日本付近に上陸、やや北を通ったとしても、西日本から東日本、かなり近い所に接近してくる見込みですので、かなり大きな台風、かなり影響の度合いの強い台風やって来ますので、この動き、十分注意をしていただきたいと思います。
南さんには、後ほどまた詳しく伝えてもらいます。
さて、戦後最悪の被害となった火山災害から、きょうで1週間となりました。
何?
噴火した。
噴火した!
噴火、噴火。
えー!
先週土曜日、長野と岐阜の県境にある御嶽山が噴火。
やばいね、これ。
下がる?もっと。
噴煙や噴石が、山頂付近にいた多くの登山者を襲い、47人が死亡しました。
料理が大好きだったという伊藤保男さん。
昼食用にみずから作ったサンドイッチは、手つかずのまま、リュックサックに残されていました。
噴火のおよそ2時間前に撮影した写真を家族に送っていた浅井佑介さん。
御嶽山は、子どものころ、家族で登ったこともある思い出の山でした。
23歳でした。
捜索はきょうも続くんですよね?
この47人の方の死亡が確認された御嶽山の噴火なんですが、長野県によりますと、さらに16人の方が行方不明です。
上空から中継です。
御嶽山上空です。
噴火からきょうで1週間です。
先ほど7時過ぎ、画面右側、二ノ池周辺に、次々と捜索隊が、自衛隊のヘリコプターで到着しました。
きょうはこれまで捜索できていなかった場所を中心に、行方不明者の捜索が行われます。
現在撮影しているのは、御嶽の頂上の周辺に向かう列です。
きのうまでの雨で、足元がぬかるんでいるのか、黒く足跡がはっきりと見えています。
不明者家族の思いを胸に、きょうも懸命の捜索活動が行われます。
以上、御嶽山上空からお伝えしました。
とにかく少しでも早く見つかってほしいと思います。
発生から1週間。
亡くなった47人の方が見つかった具体的な場所を、こちらにまとめました。
最も多くの犠牲者が出たのが山頂の剣ヶ峰付近です。
31人の方が亡くなりました。
このように山頂に非常に被害が集中しているということが分かります。
警察の発表によりますと、亡くなったこの47人のうち、46人は、飛び散る噴石が頭ですとか、首、背中などに直撃したことが原因と見られる損傷死だったということです。
多くの命を奪った噴石。
その場にいた人の証言から、実態が見えてきました。
噴火当時、山頂にいた蕪木峯子さんです。
蕪木さんの命を守ったのは、このリュックサックに入っていた登山用品でした。
大きな岩が煙とともに、高く噴き上がっているのが確認できます。
穏やかな晴れの日に突然起きた噴火。
頂上付近には、無数の噴石が降り注ぎました。
わーっ、怖い!
山頂に最も近い山荘で撮影された映像です。
噴石で真っ暗になる中、どんどんと、噴石がぶつかる大きな音が聞こえます。
このとき、蕪木さんはリュックサックを頭に載せ、目をつむり噴火が収まるのを待ちました。
噴火が収まると、目の前には変わり果てた光景が広がっていて、近くで亡くなっている人もいたといいます。
山頂付近の山荘です。
窓ガラスは割れ、壁には噴石が突き刺さり、そして室内はめちゃくちゃになっています。
屋根には多くの穴が開いていました。
専門家は、直径10センチ以上の大きな噴石が、4メートル四方の広さに、平均で10個以上、落下していたと見ています。
さらに噴石の速さは、時速300キロ以上に達していたと見られています。
難を逃れた蕪木さんは、幸運が重なったと考えています。
スタジオには社会部・災害担当の金森記者です。
噴石が飛ぶ様子は、本当に恐ろしいものでしたけれども、あんなことになるなんて、ものすごく大きな噴火だったんですか?
それが、実はちょっと違って、今回の分析では、噴火でいって、噴出した先ほどの火山灰、噴石などを含めて、噴出したものの量は、およそ60万トンから100万トンと言われていまして、3年前の霧島連山、新燃岳の噴火がありましたが、そのときに噴出された火山灰の量は、当初7000万トンといわれていたんですね。
じゃあ、70分の1ぐらいだったんですか、今回は、そのときの。
こうして噴火の規模がやや少ない、小さいにもかかわらず、こういった被害になってしまったということは、やはりこの火口周辺に多くの人がいたというところなんですよね。
当時、登山者はおよそ250人いたという情報もあります。
そういった所に、先ほどのような大量の噴石が落ちてきたために、多くの方が犠牲になったのではないかと。
ちょうど紅葉のシーズンで、土曜日のお昼、皆さんが山頂に集まる時間帯です。
こういうときに遭遇したら、もうなすすべっていうのはないんですか?
実際、噴石が降ってきてるところで、先ほどもありましたが、300キロぐらいのスピードで落ちてくる。
相当厳しい状況であったことは間違いないと思いますよね。
逃げるっていう際に、避難シェルターというのがある火山もあるんですね。
避難シェルター?
浅間山とか、阿蘇山という所には、あるんですが、御嶽山のような所にはなくて。
避難シェルターってこれですか?
そうですね、こういった避難シェルターがあるっていう火山も実はあまりないんですね。
ということで、こういう厳しい状況の中で山小屋に隠れる、山小屋の中でもより安全な窓から離れたり、地下のほうに逃げる、もしくは、そういった山小屋もないような状況だと、火口の近くにいた場合は、大きな石があれば、その火口から反対側に、身を低くして隠れるということも一つの手だとは思うんですが、厳しい状況は変わらないというふうに思いますね。
あれですよね、家族をなくされた方は、1日でもずれていたらっておっしゃってましたけれども、なんとか噴火しそうだぞっていうことを事前に知る手だてはないんでしょうか?
非常に厳しいとは思うんですが、気象庁も、火山の専門家も、今回、予測は難しかったと、水蒸気噴火で難しかったと言っているんですが、これほどの犠牲者が出ていますので、難しかっただけでは片づけられない、重要な問題だと思います。
実はこの御嶽山では、噴火の前、9月10日、先月10日ぐらいですね、火山性地震という地下深くの弱い地震が相次いでいて、気象庁は解説情報という情報を出していたんですね。
解説情報?
ただこの解説情報というのは、広く警戒を呼びかけるものではなくて、今後の火山活動の推移に注意してくださいねという情報であって、受け止める側は、どう行動していいかというところが分からない状況だったんですね。
ただ、こういう情報がありますから、情報を出す気象庁、受け止めて、住民や登山客などに伝える行政、そしてわれわれメディア側も今後、どうやってこの情報、ある情報を生かしていくか、考えていくべきときに来ていると思います。
ここまで社会部災害担当の金森記者でした。
中国の新たな火種となるのでしょうか。
香港では今週、民主的な選挙を求めて、中国や香港政府に対する大規模な抗議活動が発生。
混乱は今も続いています。
大混乱の中、警察が投げつける催涙弾。
これを参加者は、傘でかわします。
香港で拡大する抗議活動。
この傘にちなみ、傘の革命ともいわれています。
学生ら数万人が、中心部の道路を占拠。
香港のトップ、行政長官の選挙に、民主的な制度を導入するよう訴え、中国や香港政府に強く反発しています。
この事態に中国は神経をとがらせています。
中国の警戒をよそに、抗議活動は各国に広がっています。
アメリカ、フィリピン、そしてイギリスでも。
こうした中で、香港の抗議活動は日を追うごとにエスカレート。
行政長官の辞任を求める事態に発展しました。
これに対して。
さらに昨夜は一部の地域で、抗議する学生らと、長引く抗議活動に不満を訴える人たちの間で、激しいもみ合いが起きるなど、混乱が収まるメドは立っていません。
抗議活動のそもそものきっかけっていうのは、なんだったんですか?
ちょっとこちらで見ていきましょうか。
きっかけは香港のトップを選ぶ選挙です。
かつてイギリス領だった香港なんですが、中国のトップは習近平国家主席ですけれども、香港のトップはこちらの行政長官が務めます。
行政長官、選挙で選ばれるんですが、これまでは、業界団体の代表など、限られた人たちで行われる間接選挙だったんです。
それが次回の選挙からは、市民が投票する直接選挙が実施されることになりました。
こっちのほうが民主的な感じがしますけど。
ただ、ことし8月、中国の全人代が決定した具体案の内容というのは、この直接選挙を骨抜きにするものだったんです。
実はこの候補者には、誰がなれるわけでもないんですね。
誰でもなれるわけではない?
はい。
全人代の決定では、立候補するには、こちら、指名委員会という委員会があるんですが、ここで過半数の支持が必要だとされました。
この委員会のメンバー、じゃあ、誰なのかというと。
中国政府寄り、親中派の人物が大半を占めると見られています。
これでは中国の政治体制に批判的な民主派の人物は、事実上立候補できないということになってしまいます。
なるほど。
このために反発が強まっているんです。
こうした中、東京でも今週、香港人留学生など、およそ300人が参加した抗議活動が行われました。
参加者が着ている黒い服なんですが、これは中国への失望という意味も込められているそうです。
この活動に参加した大学生を取材しました。
NHKの高井と申します。
よろしくお願いします。
きょうは皆さん、よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
私が会ったのは、3人の大学生。
今回の抗議活動で知り合ったといいます。
香港が返還されてから17年。
抗議活動の背景には、一時、中国の愛国教育を義務化する計画が浮上するなど、香港の個性が失われて、中国に飲み込まれてしまうのではないかという不安があるといいます。
3人は、こうした不安が解消されないかぎり、抗議活動は続くと考えています。
スタジオには中国の政治や社会の現状に詳しい、神田外語大学の興梠一郎教授にお越しいただきました。
よろしくお願いします。
抗議活動が拡大した背景っていうのは、どういうふうに見てらっしゃいますか?
やはりここ数年、こういったものがうっ積してまして、この選挙の問題をきっかけに、一挙に爆発したという、そういうイメージですね。
天安門事件のようなことになるおそれっていうのは?
やはり、中国はそれは絶対に、そうならないようにしたいんですね。
しかしこの運動がずっと続くのも嫌なんです。
ですから、どこを落としどころにするかということで、今いろいろ考えている最中だと思いますね。
この抗議活動には、どう対抗していこうというふうに?
基本的には街なかを占拠してやるっていうのは、運動をやっている若者たちにとっても、決して有利ではないんですね。
やはり交通を遮断したり、営業活動にいろんな支障を来したり、つまり民意が分断されてしまう。
それに反対する人たちも出てくる。
迷惑がる人たちがいると?
そうですね。
そうなりますと、これはこの運動自体がいわゆる正当性っていいますか、そういったものを失っていくと。
ですから、政府市庁舎なんかを占拠するほうが、実は長くやれるわけです。
でも、それは絶対にやらせないと。
そういった面がありますので、そこをついてくるんじゃないかと思いますね。
じゃあ、事態はだんだん収束していくというふうに、中国政府は見ていると?
街なかの占拠っていうのは、長期的にやるのは難しいんじゃないか。
反発する声もかなり出てくると。
そこは中国政府も、かなり協調してくるだろうと。
ところが、これはまあずっとこの火種っていうんですかね、これは消えることがないんですね。
選挙改革をやらない、本当の意味での直接選挙をやらないっていうことになりますと、こういった若い世代、これからどんどん成長していくわけですから、これはずーっと火種になって残っていくんじゃないかと思うんですね。
何かあるたびに、こうしたことが繰り返されるようになると?
そうですね。
これ、ほかの地域に飛び火したりというのは、中国政府はどうですか?
それを一番おそれているんです。
例えばチベットであるとか、新疆ウイグル自治区だとか、より多くの自治を求めたいという地域はたくさんありますよね。
すでにもう国内ではこれ、応援する声などもインターネットで出てきて、すぐに拘束するということになっているんですよ。
したがってこれがまねされたら、今の1党支配体制というのはもたないと、そういった緊張感を持って、これを抑え込んでいくという方向性だと思いますね。
抑え込むというのもまた難しい?
できるだけ武力とか警察力を使わずに、民意を分断しながら、そういった大義名分の下に徐々に、民衆どうしのトラブルとして、解決していきたいと。
そっちのほうに持っていく可能性があると思います。
ここまで神田外語大学の興梠一郎教授に伺いました。
ありがとうございました。
続いては。
こちらです。
今、テレビの向こうで口ずさんでいる方も多いかもしれませんが。
この超特急っていうのは、こちら、もちろん、東海道新幹線ですね。
今週、開業から50年を迎えました。
この間に走った距離というのは、なんと地球5万周分。
走った分だけ、多くの人たちの思いが詰まっています。
昭和39年10月1日。
開業の日、一番列車が出発した東京駅のホームは、多くの人でごった返していました。
懐かしい形。
それから50年。
同じ19番ホームで、今週、記念の式典が行われました。
乗客の中に、この日を特別な思いで迎えた人がいました。
賀村進一さん66歳です。
当時の切符を今も大切に保存しています。
光1号6号車9番A席。
確かに同じ席ですね。
当時、賀村さんは16歳の高校1年生。
アルバイトでお金をためて、窓口に徹夜で並び、ようやく手にした切符でした。
夢の超特急に乗った感動。
新聞部だった賀村さんは、学校新聞の記事にこう書きました。
発車1分前。
車内は落ち着かない。
ベルが鳴る。
ドアの閉まる音がして発車。
時速200キロ。
遠く離れた場所を結ぶ新幹線。
こんなコマーシャルも生まれました。
ひょっとしてあれかな?やっぱり。
ジングルベルを鳴らすのは、帰ってくるあなたです。
新幹線は人と人との縁もつないでいます。
一方、新幹線が人生の一部だという人にも出会いました。
小宮一慶さんです。
都内で経営コンサルタント会社の代表を務める小宮さん。
新幹線には年に100回以上乗っています。
これはことし乗ったものの控えですね。
これ、全部ですか?
そうです。
4月、5月。
すごい!小宮さんは、ビジネスマンにとって、新幹線は職場の一部のようなものだといいます。
毎日のように、新幹線の窓から景色を見てきた小宮さん。
そこからは、日本の変化が透けて見えてくるといいます。
最後に小宮さん、50歳の新幹線にひと言。
開業から半世紀を迎えた新幹線。
これからもまた、人々を乗せて走り続けます。
続いてはこちらです。
深夜時間帯に1人で勤務させるなど、過重な労働が問題化していたすき家。
労働環境の適正化を図るには、従来のような営業を続けるのは困難だと判断。
水曜日から24時間型店舗の60%以上にあたるおよそ1200店舗で深夜営業を中止しました。
営業が中止されるのは、原則として午前0時から午前5時までで、再び深夜営業を行うかについて、会社側は、今後の状況を見て判断するとしています。
続いてニュースの深層に迫る深読みのコーナー。
皆さん家事ハラってことばご存じですか?今、このことばを巡る問題がクローズアップされています。
今週行われた所信表明演説。
安倍政権の掲げる女性の活躍。
今、女性の社会進出が期待されています。
ということは…。
男性の家事にも注目が。
こうした中、話題となった住宅メーカーの広告。
妻に家事のダメ出しをされて傷つく夫。
広告ではこれを妻の家事ハラと呼んでいます。
今回番組が実施したアンケートでも夫たちの本音が寄せられました。
一方、妻たちからは、こんな声が。
家庭で起きる家事を巡るトラブル。
専門家は家の中の問題と捉えては解決できないと指摘しています。
家事が社会の問題ってどういうこと?家事を誰がどう担えばいいの?とことん深読みします。
きょうもメール、ツイッターでのご参加、お待ちしております。
本音のメールを、そして本音のツイッター。
もしできたら、性別もお書き添えいただけると助かります。
家事ハラっていうことばはお聞きになってましたか?
私は今回、初めてなんですけれども、今の街頭インタビューを見て、あっ、私、ちょっと、夫にきついこと言ってるかもしれないって、ちょっと思ってしまいました。
そうですか。
料理とかしてくれるんだけど、後片づけしてくれないじゃないとかね、お料理はしたのに。
ああ、知らないうちに、もしかしたら。
きょうは、そもそも家事ハラとは一体どういう問題なのか、結婚5年目、1児の父であります中山アナウンサーのプレゼンです。
おはようございます。
私含めまして、今回、取材に当たって、制作に当たった陣営が、30代から50代の全員男、男性目線で家事ハラ、取材させてもらったわけなんですが、冒頭の早見さんもおっしゃっていた広告、男性からの、ちょっと分かるなあっていう声、スタッフ全員から上がったわけなんです。
その元となったのが、こちらです。
調査報告書って形で、今時30代夫の家事参加の実態と意識。
これ、メーカーの研究所が共働きの夫婦1000人を対象に行ったんです。
ここから妻の家事ハラの実態が見えてきた。
その取材と、われわれの実体験をもとに、今回、模型を作らせていただいております。
実体験も入ってるんですか。
私の実体験も若干、入りました。
いきます、こちら劇場となっておりますが、舞台はここ、深読家でございます。
深読太郎さんがいまして、お子さんが3歳と1歳の、そして奥さんが花子さんという方がいるという家庭です。
結婚4年目。
太郎さんは35歳、となると、中高時代、家庭科が勉強する教科になったところで、まさに家庭科を習った第1世代といえる世代なんですね。
ですから、育児、家事、そうしたものには抵抗感がないといわれている人。
そして妻の花子さんは33歳。
33歳というと、女性総合職が当たり前の時代に就職したわけでございます。
となると、働き続けたい、そして育休後も、この方、働き続けているという方なんですが、この2人、働いてますので、家の中では一緒に家事をすることになる。
それをこのように呼んでおりまして、協働。
これをせざるをえないんですが、ここに、妻の家事ハラがあるというわけなんですね。
どういうことか、ご説明いたしますよ。
まず第1幕。
舞台はここは台所でございます。
皿洗いを頑張っております、太郎さん。
しっかりと洗っているわけなんです。
さあ、洗っていたと思ったら、そのとき、花子さんが叫びます。
それはシンク用よ!そんなスポンジで洗ったらよけい皿、汚れちゃうじゃないのよ!ああ、何やってるの、もう、あなた、本当よけいなことしてくれるわね。
となったわけなんですね。
なるほどね。
というのも、花子さんは家庭でこのスポンジ、使うときは、シンク用と皿洗い用と油洗い用と、3つ使っていたんですが、見た目は。
同じですよね。
同じですね。
太郎さん、分からなかったわけなんです。
これ、でも言い方でも変わってきますよね。
シンク用!って言われるより、シンクよ、みたいな、ちょっと優しく言うたらね。
なんかちゃいますやんか、言い方がちょっと。
今回、取材をもとにちょっと再現させていただいておりますけれども、これもぼう然と立ち尽くした太郎さんだったわけなんですね。
じゃあ、第2幕、行きます。
第2幕の舞台は、ベランダ。
花子さんに頼まれて、太郎さん、一生懸命洗濯物を干しておりました。
と、そのとき、花子さんから厳しく注文がきます。
パンパンしなさい!あなたの干し方だともう、しわ寄っちゃってしょうがないのよ!もうあなたに頼むと、こうなるのよねー。
アイロンする一手間が増えちゃいますからね。
ということなんです。
これを聞いて太郎さんは、もうね、ああ、やる気をすっかりなくしてしまうわけなことなんです。
さあ、そしてまだいきますけれども、最後、この舞台です。
居間。
この週、一生懸命働いた太郎さんは、もう疲れきっていたわけなんですね。
週末、テレビを見ながら、ああ、ごろごろ過ごすかなとしていたら、そのとき、花子さん、こちらを向いてこんなことを言ってきます。
もう私、育児をしながら、子育てしながらもういろいろと掃除、洗濯、いろんなことをしてるのに、もう、あなたもやって!もちろん、働いてる花子さんなので、自分も疲れている。
その中、ごろごろしている太郎さんを見て、もう、いろいろと。
太郎さんの心境としては、まあね、テレビ見終わったあと手伝おうと思ってたんだけどなっていう反応をぐーっとこらえまして、ああ、家で休むことすらできないのかということで、これをメーカーは、妻の家事ハラだというふうに名付けたわけなんです。
この名前を名付けた研究所の調査がありまして、こんな結果があるんです。
家事ハラ、妻の家事ハラ、受けたことがありますか?男性の割合、どれくらいか。
6割以上。
1度くらいあるも含めますと、もう7割近くの方が、受けたことがありますと。
これは年齢問わずですか?
これは30代。
これも?
30代の。
われわれスタッフ、実体験と話しましたけれども、まあ、みんなですね、ほとんどが、ちょっとあるかなと。
声がちっちゃくなる。
ちょっとなんか、結構、皆さん、きょう、女性陣近いから、なんか。
そういうことなんですね。
なるほどね。
男性の主張は、これで以上ですか?
以上となりますけれども。
じゃあ、いきますか。
怖い、怖い、もう。
きょうでも、男性のほうが多いですからね、これ。
そうですけど、どうぞ、早見さんも今井解説委員も。
いやでもね、大きくなると、こういうのが少子化問題にまた、つながってしまうんですよね。
なんかうまくこう、ハラスメントっていうことばも、どうなのかなって思うけど、これがでも、社会問題になっているわけですよね。
社会問題だから、こういうことがあるっておっしゃっていましたね、先ほど、テレビの中で。
社会問題っていう切り口で見ると、こういう問題の原因って何なんでしょうね。
何なんでしょう?
でもこれ、女性から見ても、今の流れでいくと、ちょっと奥さんの言い方とか、ちょっとあまりよくないよなと思うでしょ?
いやいや。
違うんですか?
思うけど、でも毎日のことだから、やっぱり、シンク用よ、とか、毎日は言えないんですよね。
新婚のときだけですね。
そうかもしれない。
女性も働いてて忙しいですから、育成に時間をかける余裕がないから、即戦力を求めるっていう、家庭の中でも。
あと、やっぱりこのぐらいのことでめげてもらっちゃ困るよっていうふうに思うんですよね。
やっぱりその背景には、さっき何回も出てきましたけど、手伝っているっていう感覚があるからだと思うんですね。
なんか褒められたいの?って。
そう、手伝っている。
だから、もともと専業主婦が多かった時代はね、手伝うっていう感覚でよかったのかもしれないんですけど、今、どうなっているかっていうと、こちらの共働き世帯の推移なんですけれども、90年代後半は同じぐらいだったのが、今、どんどん共働きの世帯が増えていっているわけですよね。
そうすると、女性も外で働いているわけですから、男性も一緒にやっぱり、台所でも家の中でも家事、育児をやる、それが当たり前というふうになってほしいんですね。
ところが実態を見てみますと、これ、6歳未満の子どもを持つ夫の1日平均の家事、育児時間なんですけれども、欧米と比べて日本、今、やっぱり圧倒的に少ないんですよね。
これ今、共働きの時代になっているからこそ、手伝うという感覚じゃなくて、自分がもっと覚悟を持って、主体的に家事、育児をやるんだっていう意気込みと覚悟を持ってほしいなと思いますね。
このさっきのチャートを見ると分かりますよ。
やっぱり、アメリカは、パパたちは3時間もあるのに対して、日本は1時間っていうのは、残業が多いからじゃないですか。
そう、日本人のお父さん方、働いてますよ。
働いてるから、そうなると、ああ、よく分かりますよね。
神奈川県の40代の男性からは、…。
ー
どっちが多いんですかね。
男性と女性、どっちが多いんですかね。
それぞれの立場のを読みますね。
やり方を否定したからといって、しない選択肢が男性にはあるわけですよね。
女性にはしない選択肢はありません。
それがそもそもの問題だと思います。
もう一つ女性。
妻の立場から。
本当、家事ハラしまくってるなと反省。
ご自身なさってると。
男性からのご意見もご紹介しましょう。
だめ出しがきついと、やる気がなくなる。
誰でも最初は下手なんだから、どこを直したらいいのかを優先して伝えないと。
男性、もう1人。
うち、完全に家事ハラやん。
特に洗濯物畳むとき。
もう1人。
やっぱり台所には、男は入っちゃいけないのかな。
いや、それ結構、僕は子どものころ、言われましたからね。
台所入ったらおかんにね、男の子は台所入ったらあかんって言われて育った。
だから。
そうですか。
団塊世代の方?
団塊、そんな年いってないですよ、僕。
まだ40半ばですけど。
だからその分、はっきり言って、きっと家事のスキルが高くないっていう問題はあるのかもしれませんよね。
おっしゃるとおりです。
まさに共働きが増えてくる中で、そうしたロースキルパパたちが、参入してこざるをえなくなってきてるわけですね。
そうなると、どうしても経験もないし、スキルも低いので、つたない家事をせざるをえない。
そうするとそこでハレーションが生まれてしまうという状況はあります。
駒崎さんはNPO法人の理事で、保育の事業をなさってるんですよ。
だから、働くお父さん、お母さんの強い味方でいらっしゃいますが。
自分自身も2人の子どもがいてですね、育休も2回取っていて、比較的、家事をやっているほうだと思うんですけれども、確かに最初はなかなかうまくいかなかったりして、洗い残しもあったりとかありました。
ただ、先ほども言ったように、そもそも手伝うじゃないんですよね。
共働きであれば自分の仕事なんだから、それはやっていくべき。
そしてやり続けていくと、スキルも上達していくわけなんですね。
なんで、ちょっとぐらいの失敗でめげるんじゃなくて、やり続けていくっていうのが、絶対重要じゃないかなと思います。
だって家事の得意な男性、もてるっていうイメージ、ありませんか?
僕はもてなかったですけど。
いやいや、今ね、料理ができる男、かっこええみたいなね。
そっちの風潮になってきてね。
料理と片づけができる男はかっこいいですよね。
なるほど。
かっこいいというか、便利に。
いやいや、そんなことないです、かっこいい。
でもやっぱり…を取ってやればいいのかなと思いますね。
奥さんのほうのやり方に、お手伝いしようと思うから、ハラスメントが起きるわけで、うちなんて、お洗濯物、私がやると、反対に言われます。
なんか下手くそだねとか、なんか臭うねとか、すぐ干さなかったでしょとか。
だから、じゃあお願いしますって、もう私はだから、もう洗濯物に関しては、本当、ずっとノースキルです。
お互い、言い合ってるほうがいいんですかね。
すごくよく分かります。
お皿洗い、僕もお皿洗い、最初やっていたんですけれども、どうしてもうまく洗えなくて、どうしたらね、時間をもっと削減できるんだろうと考えて、それで食洗器を導入したんですね。
そういう形で、改善の楽しみみたいなものが生まれてくると、どんどんどんどん、なんか家事も楽しくなってくるっていうのがあります。
田中さんは、男性学。
そうですね。
男性の生き方や働き方の専門家です。
そうですね。
さっきのやっぱり、シンクとお皿と油の区別ができないっていう、そういうレベルに自分がいるんだっていう、自覚をまず持つことが大事なのかなと思うんですね。
ですから、家事をやるときに、自分が妻よりもレベルが低いっていう謙虚な気持ちを持つことが大事かなっていうふうには思います。
ただやっぱり、ということなので、言い方って増田さん、おっしゃいましたけれども、新人のバイトが入ってきたときにそんなこともできないのって、先輩が言ったら、嫌な先輩だなってなっちゃうじゃないですか。
だから、男性はまず謙虚になってもらって、奥様のほうは、レベルが低い人が、これから家事に入ってくるんだっていうことを、思っていただいたほうが衝突は少なくなるのかなというふうに思いますね。
ゆっくりゆっくり育ててという。
そう思います。
じゃあ、子どもも育てて、夫も育てる感じなんですね。
とげがありますよ?
お気持ちはよく分かるんです。
なんで育てなあかんねんというところはあると思うんですけれども、ただ、今後やっぱり共働き率も上がらざるをえない中で、そこはある種、折り合いをつけていかなければならないところも必要かなっていうふうには思いますね。
あとやっぱり、そう育てられてきたっていう中で、増田さん、おっしゃったように、台所入るなんてって言われてきたっていうこともあると思うんですね。
現実が急に変化してしまったんで、やっぱりその対応の戸惑いっていうのが男性の中にはあるのかなというふうに思いますよね。
あと、極端なこと言いますけど、やっぱり料理作るとか、家事をするってのは、女性の一つの特技かなという考えもあるんですよね。
その特技をちょっととっちゃうことによって、女性の魅力が半減する。
なんか。
それは、形の押しつけだと思います。
女性に対するリスペクトがちょっと減っちゃうんじゃないかという部分で、男性が引いてるっていう方も、中にはいらっしゃるんじゃないですかね、どうですか?
逆にでも、料理をしてみると、料理って、こんな大変だったんだっていうのが分かって、本当ありがとうっていうリスペクトが増すっていう意味においては、家事の参加によって、感謝の度合いは気持ちが増すということです。
そうですね、ギブアップです。
ギブアップ。
そのとおり。
どうぞ、今井さん。
もう一つ家事、育児が家庭だけじゃなくて、社会にとっても、非常に大事だというデータもあるんですね。
これ、1人のお子さんがいる夫婦について、夫が休日にどのくらい家事、育児をしているかという調査。
そしてそれぞれに、8年後に2人目、3人目以降が生まれているかどうかというのを、追跡調査した結果なんですけれども、夫が休日に家事、育児を全くしない家庭では、2人目以降が生まれた確率は10%弱。
これはさっきの早見理論の裏付けですね。
それが6時間以上夫が家事、育児をしている家庭で、70%近くが、2人目、3人目が生まれていると。
驚きのデータですね。
やっぱり少子化対策としても、夫が家事、育児をするということは、非常に大事だということを示していると思うんですね。
ただ現実問題、本当に共働きで、本当に2人とも疲れてるわけじゃないですか。
なんかそこで外の助けとか、お金のかからない、何かお手伝いとかあると、もっといいのになと思っちゃうんですけど。
ちょっとこのあとの話は、ちょっとこちらのアンケートをご覧いただいてからにしましょうか。
番組では今回、独自アンケートを行っていまして。
そこから見えてきたものが。
外のっていう意見で、900人アンケートを行わせていただきました。
題して、家事ハラ、どう解決する?聞いてみました。
皆さんの声、深く読み込んでいきますと、どうもその家事ハラが、家の中の問題だけではないと感じられてきたんです。
まずこちら。
共働きの30代の女性、
家事を自分のすべき労働ではないとおっしゃっていましたけれども、男性の意識が家事参加を遅らせて、家事ハラ、生んでいるのではというご意見なんです。
こちら、ほかにも正社員の方、女性。
働きながら家事をすることというのが、職場では、男から、そして女から、それぞれ男女で評価が真逆になっちゃう。
職場で感じるこの雰囲気も、また家事ハラを生んでいるのではないかという、切実な声、そしてこれもご覧いただきます。
こちらの60代の男性。
これも職場での経験なんですが。
これは職場ならではの話なんです。
こうして皆さんのメールを読んでいくと、職場などなどの家の中の問題だけじゃないと。
われわれ男性スタッフ陣ですね、あれ、これ、家事ハラって、もともとなんなのかなと。
妻の家事ハラっていうことじゃないことが、突き止められました。
じゃあ、なんなのかというとこちらだったんです。
家事労働ハラスメント。
これ、社会全体が、主にこれまで女性が家事労働をしてきた、その家事労働を、軽視・蔑視していることが問題なんだよということ、これこそが家事労働ハラスメント・家事ハラなんだということをおっしゃった方がいたんですね。
最初に提唱した方といわれているのが。
もともと家事労働ハラスメントっていうことばを作った人は、こういう意味で作っていた。
そう。
その方、実はきょう、連れてきちゃいました。
お呼びいたします。
和光大学の教授、竹信三恵子さんです。
どうぞ、こちらに。
おはようございます。
家事ハラということばの生みの親ですか?
まあそうです、そうなってますね。
でもなんか、ちょっと今、意味が違ってるんですね。
ニュアンス変わってますよね。
もう大変迷惑してます。
あら?今はどっちかいうたらね、家事をうまくできない男性に対して、奥さんがなんかいうことみたいな感じのほうが先行してません?
それは、すばらしいCMのおかげなんです。
冒頭に紹介されたCMで、意味が全く違うものになってしまった。
その風潮に、先生は?
ちょっと。
つまり家事ハラって、もともとは日本の会社の生活の中に、家事とか育児って、全く入ってないんですよね。
正社員って、家事、育児、しない人っていうことになっている。
労働時間も全部そうですよね。
そのあたりをですね、模型で再びご紹介いたしますが、家事労働ハラスメント、先ほどの深読家のこの周りにあったというわけなんですね。
先ほどありましたけれども、要はこういうことっていうふうに、竹信先生、教えてくださいました。
家事は女性が無償でするものであると、これ根強く、この考え方がずっと日本にはあったというふうに、根強く残っている考え方であると。
この問題がいろんな社会問題につながっているだろうと。
まずここいきましょうか。
ここです。
会社、もう、先ほどからお話、少し上がっておりましたが、労働時間が長くなっちゃうことにつながっているんですよと。
というのも、もともと家事は、女性が家で一身に担ってもらい、男性は会社で働くもの。
これ、高度経済成長にどんどん出てきた考え方だったわけなんですが、これによって、なかなか会社から戻れなくなった男性が多い。
で、会社の仕組み自体も長時間労働というのが根強く残るようになっていた。
今、まだ根強くありますので、家にいなくて会社に残るという、そういうことにつながっていると。
長時間労働だから、家事は女性が無償でするものだっていう意識が生まれたっていうよりは、先生は逆を考えてらっしゃるんですね。
もともと家事は女性が無償でしてくれるもんなんだから、男は頑張って外で働くのよっていう考え方が、長時間労働を生んだと。
そういうことです。
そして社会問題、こういったことにもつながっているわけなんです。
待機児童。
これ。
待機児童の問題も?
家事も、そして育児も女性がするものということを前提としてきました日本は、育児などの公的サービスを行うお金、ずっと、抑制されることになってきて、その結果、今も保育園の数が足りなかったり、保育士さんが不足していると。
で、もちろん、先ほどご紹介した花子さんは、育休を終えて、職場復帰しようとしたとき、保育園がなかなか見つからなくて、苦労したということになるわけなんですね。
仮に保育園が見つかったとしても、家から非常に遠い所だったりする。
そうすると、送り迎えが非常に大変になってしまうと。
そのもとにも、この家事労働ハラスメントがあると。
この家事労働ハラスメント、ほかにもこんな問題が。
すごいな。
こちらいってみましょうかね。
介護の担い手不足と。
介護というのも、家事と同じように、これまで女性が家で無償で行うというふうに考えられてきた。
そのために、介護の現場の人たちのお金的にも低賃金になり、介護の担い手が不足してしまうということにつながってしまうと。
ほかにもね。
あ、熟年離婚って書いてあります。
熟年離婚ですとか、気になるところありますけれども、非正規雇用ですとか、いろんな問題につながっていってしまっていると。
こうした状況の中で、深読家の花子さん、そして太郎さんも、会社で長時間労働を迫られ、保育園の送り迎えもあって、家に帰れば疲れきっているわけです。
となると、ついつい、家の中でこの妻の家事ハラ、家事ハラということが、家の中でも起きてしまうという現状があるわけなんですがね。
でもこれ、なんとか、ハラスメント、家事ハラ。
ちょっと、旦那さんも奥さんもちょっと、いらいらした状態がある感じですよね。
とにかく、家事というものが入る余地がない仕組みになっているんですね。
そこを無理やりやれといわれたら、男も女もいらいらするのが当たり前ということですよね。
でもこれだけ女性も外に出て働きなさいといわれる時代になり、その時代の変化に私たちの頭の中がついていってないということなんでしょうか。
頭の中ももちろんですし、同時にそれに伴って、仕組みがなかなかできてこないっていうことなんですよね。
どこを変えていったら変わるんですか?こういうものって。
やっぱり男性の長時間労働っていうのは、非常に重い問題だと思うんですよね。
先ほど、男性の家事の時間が日本は突出して低いっていうデータがありましたけども、逆にいうと、この長時間労働が突出して長いということがあるんですよね。
ですから、男性の働き方の見直しってことをしないと、この社会問題が解決していかないっていう構造があるのではないかというふうに考えられます。
これでも、長時間労働者の割合も、だいぶ減ってきてはいるんですか?
いや、減ってないです。
減ってないんですか?
パートの人が増えてるので、非正規とか。
それを平均すると、全体に減ってますけども、実は長い人と短い人がいてっていう、平均は下がりますけどね。
二極化ですよね。
そっちも格差が。
二極化です。
だから実際、正社員の人は、必ずしも短くなってない。
そうなんですね。
それでだから、男性だけじゃなくて、女性も本当にフルに働こうと思うと、こうした長時間労働をして、わりと当たり前という。
その上で、家事も育児もということになってくると、なかなか、じゃあ、働きに出ようか、本格的に輝ける社会にしていこうかっていうのの足かせにもなっていく。
しかもですね、なんで長時間労働がこんなにどんどん進むかっていうと、まず女性が家事やるもんだとなっているから、女性が長時間働けないでしょう。
で、パートやるわけですよね。
パートの賃金が日本ってものすごく低くて、それから、条件もよくないんですね。
しかも短期だから、すぐに首になっちゃったり、不安定ですよね。
そうすると、夫は妻の稼ぎに期待できない。
そうなると、家族賃金を自分が稼がなきゃいけないと思って、必死で長時間労働を引き受けちゃう。
そこに女性が入っていって、ちゃんと働こうと思うと、全くそれが、家事時間とか育児時間、入ってないので、またパートに行く。
そうすると、また男性だって、このもう、悪循環が起きているんですね。
先生は家事労働ハラスメントっていうこれ、人間の意識の問題ですよね。
意識の問題が、こういう長時間労働とか、待機児童の問題、引き起こしているってお考えになってるわけですけれども。
今、田中さんは、これを解決すれば、こっちも変わるんじゃないかっていう発想ですよね。
そうですね。
伸びしろがすごく大きいと思うんですよね。
男性が実際、1時間しかしてないってときに、それが2時間になったときっていうのは、例えば家庭で1時間、家事時間が増えると、できる分量もすごい増えますし、家庭でもう1時間、家事しようと思ったら、働き方見直して、早く帰ってこざるをえないと思うんですよね。
ですから、その男性の長時間労働の部分をいじることで、女性に対しても、女性の活躍っていう文脈でポジティブな変化があるんじゃないのかなっていうふうに考えています。
家事労働ハラスメントは、意識だけの問題じゃなくて、社会のシステムが、もうそういったふうに組み込まれちゃっているっていう、システムハラスメントっていう言い方したらいいと思うんですけれども、両方なんですよね。
システムも変えていかなきゃいけないし。
システムがそもそも、それでもって、そういうふうにやるもんだと、だから、システムで回ってしまっていること自体なんですね。
システムと、考え方ですよね。
両方ですよね。
システムが考え方を生み、考え方がシステムを生むと。
どこかで悪循環を断ち切らなければ。
考え方を変えるには、行動が必要です。
働き方にイノベーション、成果を出してとっとと帰るということが必要です。
僕は実は社員数250人の団体の経営者ですけれども、実は残業時間、1日当たりの平均残業時間は20分っていう水準に抑えてるんですね。
これ結構、ベンチャーにしては、すごく時間としては少ないと思うんですね。
うちは何か難しいことやっているかっていったら、全然やってないんですね。
働き方を工夫して、みんなでやれるようにし、むだを省いていくっていうことをしたので、長時間労働から脱することができたんですね。
だからできるんですよ。
できるんだけれども、いや、長時間労働、労働基準法を守ってたら、会社立ち行かないよとかですね、なんかこう、昔ながらのメンタルモデルに縛られてるっていう職場が多すぎる。
そこを行動によって、打破していく時期に来てるんじゃないかなと思います。
しかたがないとか、当たり前っていう人が、ちょっとこの問題に関しては、多すぎるのかなって、駒崎さんの話を聞いてると思いますね。
できるんですよね、実際には。
成果を上げるためには、実は労働時間規制がちゃんとしてないと、だめなんですね。
抑制下でやるから、労働規制いらないとかっておっしゃる方、たまにいるんですけれども、これはちょっとかなり考え違いです。
なぜかっていうと、8時間が人間の基本なんだということがあるからこそ、その中で何ができるかを人間は考えるんです。
日本の場合、だらだらよく働いてるっていうんですけど、調査をしたのがあって、長くなる理由のトップは、業務量が多い。
つまり、人手が足りない?
そういうことですね。
だから8時間というものを考えないで業務を与えている職場が実は結構あるということになると思います。
今でも国は、女性が社会に出て働くことを促進のほうに動いてますけど、それをするためには、まずこの男性側の労働時間、働き方、意識の問題だと、そこを変えないといけないっていうことなんですね。
そうしないと、この絵みたいにこれ、サラリーマンやめて主婦になるっていう絵ではないと思うんですよね。
ばりばり働いて…。
なんですか?男女共同参画週間のポスター。
ポスターということになりますけれども。
火事場のパパヂカラ。
ばりばり長時間労働ををして帰ってきて、あげくにスーパーマンに変身するっていうことになってしまうので、これはやっぱり、男性にとって求められるものとしては厳しすぎるんじゃないのかなっていうことに。
大変ですよね。
普通の人ですからね、われわれは。
スーパーマンではないので。
結構、それが正社員女性が味わってきた苦しみなんですよね。
要するに、男性並みに働いて、家事も育児も、子どもも作りなさいと言われると、本当に皆さん、苦労していらっしゃる、今井さんなんかも、たぶん苦労されてきたと思いますが、そういうようなことなんですよ。
だからスーパーマンを期待しては、やっぱり、男も女もいけなくて、やっぱり両方働けるシステムに切り替えるっていうことを明確に意識していかなくてはいけないということになると思います。
女性から、そんなツイッターの声で、ストレスは不妊の大きなストレス。
社会進出、家事、出産、子育て、介護と、女性に求め過ぎですという声も来てますね。
一つ、聞いてもいいですか?失礼ですけど、男性は、早く家に帰れたら、家事、やりますか?
やってみたら、楽しいっていう側面もあると思うんですよね。
家事とか育児って。
例えば自分の思うとおりに料理が出来たときっていうのは、手順を踏んで、おいしいものが出来るって感動あると思いますし、育児なんかっていうのは、特に赤ちゃんって日々、成長してくじゃないですか。
その姿を見れるっていうことは、自分にとってやってみたらおもしろかったってことってあると思うんですよね。
だから駒崎さんおっしゃったように、やっぱり、やってみるってことってすごい大事なんじゃないかなというふうに僕は思いますね。
ノルウェーの…ってあって、これは一定期間だけパパだけが取れるんですね。
やってみたお父さんが、おもしろかったと、育児で、育児休暇取るんですけど、やってみたらおもしろくて、だんだんそれが延びていった。
初め1か月間取ったやつが、3か月に延び、最後、半々になったみたいなところもあるんで、やるってすごく大事、時間が大事なんですね。
でも、じゃあ、女性の側ですけれども、どっか、縄張りみたいなとこ、ないんですかね?
うちはないです。
やってくれるならお願いしますって感じなんですけど。
本当ですか?
でもやっぱり、ちょっと注文つけてしまってるなっていうのはありますけど。
ある意味、明け渡す意識っていうか。
でもそういう方もいますよね。
先ほど増田さんがおっしゃったように奥様はこういうやり方してるのに、任せてるっていう気持ちもありますしね。
だからもしかしたら、踏み込むためには、男性だけじゃなくて、女性の側も、ひょっとして変わんなきゃいけないものがあるのかもなと思ったんですが。
それについても、一つ、データがあるんですけれども、これは夫が外で働き、妻は家庭を守るべきであるという考えについて、どう思うかというふうに聞いたアンケートなんですけれども、一番最新のデータでは、賛成の人が合わせると51.7%。
これ、3年前よりも10%増えてるんですね。
この中では、20代、30代の女性でも40%以上がこうした考え方に、賛成だと答えてるんですね。
え?え?20代、30代の女性が?
40%以上が妻は家庭を守るべきであるという考え方に賛成していると。
社会派女性進出促進のほうに向かっているけれども、一個人の人たちは、家庭を守りたいと。
専業主婦を願望する女性も多いと。
増えてますよね。
家事を、多少働いていても、その家事を完璧にやって、母親を完璧にやってこそ、立派な女性であるという、まだイメージ、非常に強いですよね。
2つ理由があるからですね。
1つは、やっぱり、すごく圧力が、完全主義社会っていいますか、鉄壁社会といいますか、なんでもちゃんとやらなきゃいけないっていう圧力がすごく強い。
で、もう一つは、働く場がかなりきつくなっているので、女の人が夢を持てない、若い女性が、どうせ非正規なんだわとか、正社員になっても、ものすごい長時間労働だからと思うと、夢が持てない、だったら、もうできれば、専業主婦で、誰かに養ってもらえばいいかなという空気ですよね。
ただ現実問題を見ると、こちらもデータなんですけれども、サラリーマンの平均年収を見ると、1997年をピークに、どんどんどんどん下がっていってるわけですよね。
こうしたことを見ると、男性1人でやっぱ家計を支えるっていうことは、もうなかなか難しい時代になってきて、やっぱり女性が社会に出て、家計も支えるということが非常に大事になってくる。
やっぱりさっきの話ですけれども、実際に共働き世代がどんどん増えてるということを考えると、こういう意識自体も、どんどん変えていかないと成り立っていかないんだなと。
ツイッターでですね、いろんなご意見が来ています。
夫婦で同じ職場で働いていますが、会社は私にしか時短勤務を勧めてこない。
本当ですよね。
なんで育児で休みを取ることが軽蔑されなきゃならないの?子どもを育てることをなんだと思ってるの?というお怒りの声。
女性が働ける環境は大切だと思うが、だからといって、子育てに専念したいという女性の肩身が狭くなってもいけない気がする。
女性が輝く社会といいますが、社会の中で輝くことだけを強いて、結局、家庭と社会の役割のおもしを二重に載せられているだけ。
男性からこんな声が来ています。
私は専業主夫、夫、になりたいぐらいだよ。
なんで男が働かなきゃいけないんだよ。
うーん。
それはよく分かります。
やっぱり男性の経済的な力を持てっていう圧力がものすごく強く、女性には家事、育児を完璧にやり、プラス経済的にももっと働いて少子化に貢献しろっていうことで、環境を整えたり、経済力をちゃんと上げて食べられるようにしていくことよりは、働き手に、頑張れ、頑張れって言ってるだけの様子が非常に強いんですよね。
僕は男性の大黒柱ヘッドギアって呼んでるんですけれども、大黒柱たらねばならない意識っていうのが、まだ若い人たちにもあるんですけれども、しかしデータはもう男性だけでは一家は養えないということを示しているわけですね。
やっぱりそのヘッドギア早く外して、自分は家事、育児、ちゃんとやって、じゃあ、シェアしていこうと、で、両方で働いていこう、2馬力で働いていこうよという形に、ライフスタイルをチェンジしていくっていうことを、とっととやらなきゃいけないかなと思います。
ただ、下がってるってデータを出すことによって、憧れちゃうっていう側面って出てくると思うんですよね。
そういうふうになれる人が希少だから、じゃあ、自分はなりたいなって願望を育てちゃう面があると思うんで、ですから多様な働き方ですとか、それだけじゃなくて、多様な家族の在り方っていうのがあるんだよってことを見せてあげないと、やっぱり今、不安定になっていると言われると、これはかちっとしているように見えちゃうわけじゃないですか。
そこにはまって安心したいって人が増えちゃうので、そうじゃなくて、多様な生き方っていうのがあるんですよっていうですね、モデルを女性も男性も、ともに提示していくことが大切なのかなというふうに思います。
ヨーロッパやアメリカで、少し両方が働く2本柱経済に変わってきたっていってるじゃないですか。
育休とか仕組みをどんどん変えてますよね。
あれってやっぱり、背景に経済的要因が実はあって、もちろん女性の人権の問題もあるんですけれども、プラス何かというと、グローバル化で男性の得意技といわれてきた、製造業の正社員がどんどん減っちゃっているわけですよね。
代わりにサービス業が出てきていて、そうなると、女性の力は当然必要で、男性の経済力も下がってきている、2本柱でちゃんと働けるしくみに変えていこうっていうそういう要因があるので、日本社会が、そこまで変わっちゃってる、けいざいがかわってるよっていうことの合意を作る必要は絶対にありますね。
少なくともうちの中でもめてる場合じゃないっていうことだけは。
そういうことですね。
本当にそう。
どうしても見ていただきたい声が届いているんで、ご紹介いたします。
定年退職後、料理教室に通って、家事もバリバリやっているという方のご意見なんですね、声。
コミュニケーション、家庭内、これ、重要じゃないかっていう声が、実は900人の方、多くの方がおっしゃっておりました。
そうですね、だから、今の方にあるように、あとで気付いたからよかったと思うんですけれども、奥様の中に、もう諦めちゃって、夫に家事をやらなくてもいいですと。
それって、その方が急に亡くなっちゃったりとかすると、もう、夫は無能力者でですね、家庭生活ができないわけじゃないですか。
これって、ある意味では、妻から夫へのものすごい復しゅうなんですよね。
何もさせないで、技能も磨かせない、私がやるからいいですって言ってもう諦めて、遮断しちゃう。
そうすると、本当にあと、もしいなくなったら、もうなんにもできない。
たぶん、無意識の復しゅうだと思いますので。
そういう家庭には、今、家事ハラはたぶんないんですね。
ないです。
なぜ家事ハラがないかっていうと、それを生む場じゃないから。
もうなんにも言わないから。
うわっ、そっちのほうが怖いかもしれませんね。
だからあつれきを恐れる必要もないのかなっていう気もしますよね。
よく感謝をことばに出してっていいますけど、怒りもためないで、怒っているときは、早いときに出して、夫婦で解決していくっていうのも、僕はいいのかなっていうふうに思いますね。
そうするとコミュニケーションにつながりますよね。
家事をしない男性も、家事の大変さ、感謝をしていると思いますよ。
その分、その家事できへん分、仕事のほうを頑張ろう思うて、長時間労働をあえてやってる人もいてると思うんですけどね。
そうですね。
だからみんなの多様な生き方というか、やっぱりそれ人それそれぞれっていうところは。
一番問題でいうと、やっぱり今、共働きのことをモデルケースで、中心に考えてあげるというのはすごい一番ね、最優先せなあかんことかなとは、なんか見えてきます。
恐らく、多様な生き方ができる労働時間になってないんですよ。
だから標準が共働きになっていれば、したくない人は、会社でバリバリもちろん最終まで働きますよね。
でも今は標準が、バックに妻がいる、妻付き標準モデルなので。
そうすると、妻がいない人は働けないということになるんですよ。
そうですね。
きょうはツイッターが2000件を超えました。
2014/10/04(土) 08:15〜09:30
NHK総合1・神戸
週刊 ニュース深読み「あなたの家庭は…どう考える“家事ハラ”」[字]
成長戦略の柱とされる女性の社会進出。一方で、家事をめぐる問題がクローズアップされています。家事を誰がどのように担うのか?働き方をどうする?深読みします。
詳細情報
番組内容
成長戦略の柱とされる女性の社会進出。一方で、“家事労働ハラスメント”、いわゆる“家事ハラ”が課題となっています。家事労働の蔑視や軽視がもたらす問題、家事を担う夫に対し妻がダメ出しするといった家庭内の問題…、家事をめぐる問題は、女性の社会進出のあり方、男性の働き方にも密接につながる社会問題だと指摘されています。家事を誰がどのように担うのか、どうすれば円滑に進められるのか、とことん深読みします。
出演者
【ゲスト】増田英彦,早見優,【解説】和光大学現代人間学部教授…竹信三恵子,武蔵大学社会学部助教…田中俊之,NPO法人「フローレンス」代表…駒崎弘樹,NHK解説委員…今井純子ほか
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