(花子)蓮様…。
(蓮子)あなたが純平を戦地へ送ったのよ。
あなた…ラジオで日本中の子どもたちに語りかけてたじゃない。
「お国のために命をささげなさい」と。
純平を返してちょうだい!蓮様…。
お願い…。
純平を…。
蓮様…。
(泣き声)あなたのせいで…。
あなたのせいで純平が!返して…返してちょうだい!蓮様…。
(龍一)蓮子よさないか!純平が死んだのは花子さんのせいなんかじゃない。
戦争のせいだ。
花子さん…すみませんが今日はお帰り下さい。
(泣き声)・「これからはじまる」・「あなたの物語」・「ずっと長く道は続くよ」・「虹色の雨降り注げば」・「空は高鳴る」・「眩しい笑顔の奥に」・「悲しい音がする」・「寄りそって今があって」・「こんなにも愛おしい」・「手を繋げば温かいこと」・「嫌いになれば一人になってくこと」・「ひとつひとつがあなたになる」・「道は続くよ」
(吉太郎)はな。
兄やん…。
どうかしたのか?あ…ごめんなさい。
入って。
美里と直子は?学校よ。
空襲で校舎は焼けてしまったけど9月から授業を再開したの。
そうか。
英治さんは?ももや旭さんたちと甲府に食糧を調達しに行ったわ。
そうか。
兄やん?みんな無事だって聞いて安心した。
大森の町も随分焼けたのにこの一角は焼け残ってよかったな。
ええ。
兄やんずっと顔見せてくれないからみんなで心配してたのよ。
ああ…いろいろと忙しくてな。
醍醐さんはどうしてる?南方から戻ったっきりまだ会えてないの。
そうか…。
これから日本はどうなるのかしら…。
さあな…。
兄やんは?軍人が大勢逮捕されてるって新聞に出ていたけど。
俺たちは戦争に負けたんだ。
どうなってもしかたないさ。
兄やん…。
ごめんなさい何も出してなくて。
いやもう行くからいい。
まだ来たばかりじゃない。
ちょっと待ってて。
防空壕にお菓子があるの。
兄やん?
(醍醐)吉太郎さん?吉太郎さん!醍醐さん…。
よかった…。
ご無事だったんですね。
あなたもご無事でよかった。
心配していたんです。
私もずっと心配してたんです。
もう自分の事は心配しないで下さい。
えっ?醍醐さん…。
あなたに会えてよかった。
吉太郎さん…。
どこかへ行ってしまわれるんですか?いえ。
自分には行くところなんてありません。
すみません。
これで失礼します。
待って下さい!また…すぐにお目にかかれますよね?どうか幸せになって下さい。
吉太郎さん!回想純平。
よろしくね…。
(純平)じゃあ僕お母様をず〜っと守ってあげるよ。
純平!武運長久を祈っています。
はい!
(富士子)お母様もお夕食を召し上がって下さい。
もう何日も食べていないでしょう?少しだけでも…。
(戸が揺れる音)純平?純平!純平なの?帰ってきてくれたのね!純平。
純平…。
純平…。
純平!
(龍一)蓮子!
(蓮子の泣き声と風の音)
(梶原)ああここだよ。
(小泉)ああ…。
村岡花子先生のお宅あの空襲でも焼けずに残ったんですか。
ごめんください!・は〜い。
ああ梶原さんお待ちしてました。
どうぞ。
いや〜元気そうで何よりだよ。
ええ。
あっこちら小鳩書房で児童文学の編集をしている小泉君だ。
ごきげんよう。
村岡花子です。
この度はお忙しいところお時間を作って頂き誠に恐縮でございます。
ああそんなかしこまらないで下さい。
片づいていませんがどうぞ。
失礼します。
(梶原)さあ。
うわ〜!すごいですね!こんなに本が残っているとは。
(英治)ああどうも梶原さん。
ご無沙汰してます。
いや〜英治君も元気そうで何より!おかげさまで。
英治さん。
こちら小鳩書房の小泉さんよ。
どうも初めまして。
どうも。
お二人のお話は梶原さんからいろいろと伺っています。
大変仲のいいご夫婦との事で。
ああ…。
いや…。
英治君聞いたよ青凜社の事。
本当に残念だったね。
ええ…。
今はまだ食糧を作ったりするので精いっぱいですがまた何かの形で本の仕事をしたいと思ってます。
そうだね。
とにかく家族とこのうちが無事だっただけで幸運です。
梶原さんのところは?家は焼けてしまったけど幸い妻の実家は無事でね。
妻と2人で身を寄せているんだ。
富山先生…あっ今は梶原先生ですね。
お元気でいらっしゃいますか?ああ。
彼女は家より本を失ってしまった事を悔やんでるよ。
あっあのいつでも本を読みにいらして下さいとお伝え下さい。
世の中が少し落ち着いてきたら出版業界も一気に動き出すと思うんだ。
これから出版できる原稿を探していると言うんで小泉君を連れてきたんだよ。
ああそうですか。
実は小泉君「にじいろ」のファンだったそうだ。
そうなんですか?へえ〜!はい。
お小遣いをためて毎号買っていました。
先生の「王子と乞食」ももう夢中で読みましたよ。
これは君を紹介しない手はないと思ってね。
「にじいろ」のファンとお仕事を一緒にできる日が来るなんて何だか不思議な気分です。
早速ですが先生の翻訳されたものを弊社で出版させて頂けませんか?あ…それは私もうれしいお話ですがでもすぐに出版なさりたいのでしょう?そうなんです。
短編でも長編でも何か翻訳が終わっている原稿があれば。
あっちょっとお待ち下さい。
よいしょ。
お待たせしました。
こちらの作品はどうでしょうか?ああ…ストー夫人ですか。
ええ。
戦前に訳し終えたものなんですけど結局出版を見合わせる事になってしまって。
こちらでよろしければ。
ありがとうございます。
それから…。
こちらは翻訳し終わったばかりのものなんです。
花子が空襲の中命懸けで守り翻訳した物語がいよいよ出版されるのでしょうか。
ごきげんよう。
さようなら。
生字幕放送でお伝えします2014/09/17(水) 08:00〜08:15
NHK総合1・神戸
連続テレビ小説 花子とアン(147)「どんな朝でも美しい」[解][字][デ]
蓮子(仲間由紀恵)から純平(大和田健介)が死んだのはあなたのせいだと言われ、花子(吉高由里子)がしょう然と帰宅すると、家の前に吉太郎(賀来賢人)が立っていた…
詳細情報
番組内容
蓮子(仲間由紀恵)から純平(大和田健介)が死んだのはあなたのせいだと言われ、花子(吉高由里子)がしょう然としながら帰宅すると、家の前に吉太郎(賀来賢人)が立っていた。終戦後、連絡が取れていなかった吉太郎はみんなの近況を確かめたきり押し黙ってしまう。花子が防空壕にしまっていた菓子を手に戻って来ると、すでに吉太郎の姿はなかった。闇市で偶然に吉太郎を見かけた醍醐(高梨臨)は声をかけお互いの無事を喜ぶが…
出演者
【出演】吉高由里子,仲間由紀恵,賀来賢人,高梨臨,鈴木亮平,中島歩,藤本隆宏,白石隼也,【語り】美輪明宏
原作・脚本
【原案】村岡恵理,【脚本】中園ミホ
音楽
【音楽】梶浦由記
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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日本語(解説)
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