日本の話芸 講談「魚屋本多出世談」 2014.10.04

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ありがとうございました。

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(張り扇の音)
(拍手)
(宝井琴梅)徳川の二代から三代にかけまして「鬼の藤堂猫本多」こういう戯歌が流行りました。
それはどういう事かと申し上げますと伊賀の上野伊勢の津両城兼帯の主で三十有余万石藤堂大学頭というお殿様。
日頃は誠におとなしやかな方でございますが一度酒をお酒でございますが酒を口に致しますとガラリ人柄が変わります。
まぁ鬼のようになるので「鬼の藤堂」。
で「猫本多」と申しますのはこれとは話が逆になりましてお酒をこう召し上がりますとまぁだんだんだんだんおとなしくなる。
まぁ借りてきた猫のようになる。
でこのお方は東海道藤枝田中の城主で4万石本多隼人正政成という殿様でございます。
今日日も麹町のお上屋敷でご家来を相手にお物見で酒宴の最中。
「殿。
いま一献召し上がられては如何でござりますか?」。
「いや。
だいぶ酔うてきてなこれ以上はもう飲めん」。
「なにをそのような事を仰せになられます。
まだその盃で3杯でございますぞ」。
「金太夫。
其方はそのような事を申すが余はあまり酒が強うない」。
「それは殿修業が足りないのでござりますぞ。
うん?誰でも最初はちょっと飲みますとな気分が悪くなったりこう酔いが回ってきまするけれどもその酔いに負けじと挑まれれば酒が強うなりまするからどうぞいま一杯」。
「いやいや。
もうこれ以上飲めん。
ウ〜ンそうであるか?ア〜ア〜ア〜そのように注ぐ奴があるか。
ウ〜ン」。
「ウ〜ッア〜ッあ〜天井がグルグルグルグル回ってきてあ〜もう駄目じゃこりゃアタタッ」。
「殿殿」。
「どれいやもう…」。
「寝てはなりませんしゃんとなさりませしゃんと。
『英雄は色を好み豪傑は酒を好む』。
いま一献召されてもっと強うなりませ」。
「いやもうこれ以上…」。
「アア〜ッもう実に嘆かわしき醜態。
殿。
殿の有様を見て窓下を通行致す町人どもが笑うておりまするぞ」。
「いやな何?余の姿を見て笑っておると申すのか?ぶ無礼なる奴じゃどれいずこにおる?」。
酔眼朦朧として隼人正が今こう窓下を通行致す者たちを見ておりましたが…。
「これ金太夫。
今あの堀端できめ石の上に座って酒を飲んでいる男あの男が余を笑ったのか?」。
「ウッウッいやそうではござりませぬが」。
「しからばいずれの町人じゃ?」。
「ハア〜。
いずれへ参りましたか?」。
「何を申しておるのじゃ」。
隼人正が改めてこう堀端のきめ石の上へ座ってお酒を飲んでおります男。
見るとまぁ年の頃32〜33。
尻切り半纏手拭いで向こう鉢巻き。
髭剃り跡の青い誠に威勢のいい男でございます。
足元に天秤棒盤台には鯛や鮃。
言わずと知れた魚屋でございます。
まぁ商いの途中あんまり暑いものですから腰に下げておりました瓢箪の酒でこれまた腰に差しておりましたわたりづけの小桶のような水飲みまぁ口でこう説明してもね〜?どういうような形なのかイメージができないかなと思いますんで今日は特別ええ持って参りました。
(笑い)まぁこういう水飲みでございます。
でこの中に酒を注いでその魚屋が…。
「アア〜ッええ?」。
その水飲みをこう興味ありげに見ておりました隼人正が…。
「これ金太夫。
今休息を致しておるあれなる魚売り。
尋ぬる子細があるによって早々呼べ」。
「な何しにもちましてご酔狂なる事を?」。
「無礼講じゃ。
よい呼べ」。
「あっあっハハ〜ッ」。
さぁ君命黙しがたしと金太夫が橋を踏んで下りて参ります御門のくぐり。
出て様子を窺うとまさかこんな偉い方がお呼び止めになったとは思いませんから魚屋が…。
「アア〜ッええ?いつまで飲んでたんじゃな〜?親子3枚の干物が出来上っちゃあえ〜いしょうがねえええ?気を取り直してまた商売にかかるか。
ヨイショ。
それ。
え〜魚屋で。
え〜お総菜は如何さまで?魚屋でござい」。
「あ〜これこれ魚売人魚売人しばらく待て」。
「えっ?えっ?冗談じゃねえ俺のことを夜這い人と言ってやがら冗談じゃねえや。
おい。
俺がいつ夜這いをしたってんで」。
(笑い)「あ〜これは何か勘違いをしておるな。
そうではない魚を売る人と書いて魚売人」。
「チェッ何を言ってやんでえ。
この蒸し暑いのに言葉を難しくしやがって。
魚売りは魚屋でいいんでえ。
ええ?何か用か?」。
「あ〜尋ぬる子細があるによってあれなる門内に入れ」。
「冗談じゃないですよ。
あのね魚買ってくれるからお客様なんですよ。
魚買わなきゃただ行きがかりの人ですから断るぜ」。
「お〜お〜なるほどそれはもっともの道理である。
しからば当屋敷でその方の着ておる半纏腹掛け天秤包丁もろとも魚を買い得させるがどうじゃ?」。
「ヘッ大きな事言っちゃいけねえよええ?あのね売るのは魚だけなんだからええ?所帯が大きいと思ってそういう人を驚かすような事言っちゃいけませんよ。
じゃあなんですか?魚間違いなくお買い上げ下さる?」。
「武士に二言はない」。
「ヘッその一言が気に入ったね。
へえ。
じゃあお供を致しますんで」。
さぁ御門のくぐり中へ入って辺りを見回しますと誠に結構なお屋敷でございます。
「ハア〜なるほどな〜ええ?こらぁお殿様なんてぇなすげえ所に住んでんだな〜。
まぁ『蟹は甲羅に似せて穴掘る』ってぇなぁこの辺りの事を言うのかな?ええ〜?ア〜ア〜これは枯れ葉一枚落ちてねえな。
まぁこういう家は大変だ使用人が。
な〜?朝から晩まで掃除をしていなきゃならねえんだから。
オ〜オ〜オ〜池の中に大きな鯉が泳いでいやがるな。
ア〜ア〜俺も一度な〜?下駄履いて鯉に餌をやってみてえな」。
「あ〜それでは魚売人よいか?これより殿の御前に罷り出る事になれば頭を低くして参れ」。
「え〜もう何とでも言うとおりに致しますんでよろしくお頼申しますんで」。
「シ〜ッシ〜ッ」。
偉い方の前に参ります時のこれは警蹕の声というんだそうでございますが。
「あ〜畏れながら申し上げます。
かかる魚売人を召し連れましてござります」。
「お〜魚売人見えしか。
苦しゅうない面を上げぃ」。
「何か表の戸を開けろって言ってますよ」。
(笑い)「そうではない其方の顔を上げろというのだ」。
「あ〜顔を上げるんですか?ええええ。
お〜なるほどこれのほうがよく見えらぁ。
ええこんちわ」。
「お〜その方名は何と申すのじゃ?」。
「えっ?エ〜エ〜私は宗太郎と申しますが」。
「ほ〜良い名であるな。
妻子はあるか?」。
「ええっ?あの〜さいしってのは?ア〜ア〜女房子ア〜ア〜。
え〜それでしたら女房が1人にガキが1人でございます」。
「ほ〜面白い奴じゃな。
酒を過ごせ」。
「ええっ?」「酒を過ごせ」。
「えっ?エ〜エ〜。
え〜私はパンダじゃねえんですからね…」。
(笑い)「笹は食べませんが」。
「これこれささとは酒の事じゃ」。
「ア〜ア〜酒ですか。
エ〜エ〜酒なら大好きでいくらでも頂きます」。
「これ。
酒の用意を致せ」。
しばらくすると5合ぐらい入ります朱塗りの盃でございます。
まぁなみなみと注がれましたその盃を取って。
「エ〜エ〜じゃあ殿様遠慮なくこれご馳走になります。
ええ?ありがてえなエ〜エ〜エ〜じゃあこれ頂きますんでへえへえへい」。
「アア〜ッいや〜こらぁうめえな〜ヒックッ。
殿様。
これいい酒ですね。
ええ?こらねグッと飲んだ時に引っかかりが何もねえ。
これはいい酒ですね。
高いでしょ?1合いくらぐらいするんです?こちとらの腰へ下げてる瓢箪の酒とはまあ〜えれえ違いだ」。
「まだ過ごすか?」。
「ええええ。
もうねただでしたら何杯でも頂きますよ」。
(笑い)また注がれましたお酒をグ〜ッと。
まぁ『百川を吸う鯨』とはこの事か。
隼人正は「小気味の良い男である」と満足気にこう宗太郎の顔を見ておりましたが…。
「のう宗太郎」。
「えっ?ええ」。
「その方腰に手挟んでおる水飲みは何やら子細ありげであるが余に語り聞かせぃ」。
「ええっ?えっええまぁこうやってね殿様にご馳走になっちゃってまぁ世話になったもんですからね話をしろってんならえ〜やりますけれどもちいっとばっかり湿っぽくなりますけどよろしゅうございますかい?」。
「無礼講じゃ相許す」。
「相許すときたね。
え〜それじゃまぁ殿様話を致しますけどねまぁ私が生まれる前といいますから今から33年ほど前の事でございますよ。
尾州小牧山在徳本寺って所に私の祖父様とお種って娘が親1人子1人で暮らしていたとこう思し召しておくんなさいませ。
そこへ徳川様と大坂の秀吉方が戦したそうでまぁふだん強い徳川様がその日に限っての負け戦。
あちらこちらの村々へ手負い落ち武者が入り込んだそうでございます。
その徳本寺って祖父様とお種って娘のおります茅葺き屋根の汚ねえ家に一人の年若な侍が『手傷を負うたから傷の手当をしてくれろ。
明朝夜明けを待って出立をするから』と。
まぁこう言われたんじゃねまぁ下世話にも言うとおり『窮鳥は懐に入るってぇと猟師はこれを撃たねえ』ってんでそこまで言われたんじゃ断る筋合いもなかろうってんで焼酎で傷口を洗ってやる。
薬を塗ってやる。
まぁ手当万端をしてやりますってぇとまぁ『若え者と小袋は油断がならねえ』ってぇのはこの事でございましょうかその晩娘と間違いをしでかしましてね。
で翌朝別れを告げる。
別れを告げる時に『万々が一子供ができた時にはこの水飲みを遣わすによってこれを証しに後日訪ねてこい』と。
ア〜ッ素人娘の悲しさだ。
相手の名前が何てえのかそれを聞かねえでただポカ〜ンと口を開けている間にその侍がいなくなっちまう。
やがて十月十日経ちまして私という者が生まれました。
生まれた時から親不孝のかけっ放し。
ええ。
産後の肥立ちが悪くて翌年の春おふくろは死んじまったんでございます」。
「何?母親は亡くなったのか?」。
「ええ。
死んじまったんでございます。
それから私は祖父様の耳たぶを乳房だと思って夜泣きをしながら随分と迷惑をかけたそうでございます。
17の秋までその村におりましたが病葉が1枚2枚チラチラチラチラ舞ってくる寒い時でございました。
祖父様持病が悪くなって今際の際だと思ったんでございましょうか私を枕辺に呼んで『な〜宗太郎や。
今までお父っつぁんが戻ってくる戻ってくると嘘のつきとおしできたがもう隠す事ができねえ。
実はなお前の父親というのはこうこうこういう訳でこの水飲みを証拠に。
だからこれを持ってお前が江戸に出てその父親に会って親子の名乗りをしてくれれば迷わず成仏ができる』と肩の荷が下りたようにジ〜ッと私の顔を見ておりましたがポロッと椿の花が落ちるように祖父様死んじまったんでございます。
しかたがねえ。
その徳本寺って寺で回向致しまして私は二十歳の夏までその村にいたんですがもう矢も盾もたまらねえ。
『お父っつぁんに会いてえ』この一心でこの水飲みを持つってぇと将軍さまのお膝元江戸へ出て参りました。
魚屋に奉公してまぁ30過ぎてやっと手前の店を持つ事ができたんでございます。
まぁまだ使用人を使うほど派手にやる事はできませんがそれでもどうやらこうやら先が見えるようになった。
ホッとしておりますので。
殿様今度はね私は嬶をもらったんですよ。
ええ。
え〜名前はねお琴ってぇんですが『麹町の小町』と言われた荒物屋の娘なんですがねとにかくね小股切れ上がったいい女ですからもうみんながね買いたくもねえその荒物屋に行ってね箒とかちり取り買って終いにはね手前の家が箒とちり取りで山のようになっちゃって…」。
(笑い)「そいつの家が荒物屋始めたってぇぐらいまぁみんなでそのぐらい取りっこした女なんですが私がね間違えて出したつりを返しに行ったらね『その気性に惚れた』ってんですよお殿様。
ね〜男ってぇなぁ顔じゃねえや。
腹とこの働きだ。
ね?こらぁもう見てたって飽きがこねえ。
そのうちにねガキができたんでございます。
もう幸せすぎてね何も言う事は無えんでございますがただできねえのはお父っつぁんの行方だけだ。
だから飲みたくねえ時も酒を飲んでこの水飲みをね侍が来るとこう目の前に出して。
ところが今の今まで誰ひとり『おい魚屋。
その水飲みは如何したんだ?』と聞いてくれた者はございません。
殿様が今日が初めてでございますよ。
ありがとうございます。
どうぞ殿様ね〜お顔が広いしご大身でございますから『各々方。
こういう者をご存じないか?』と一言言って下さればどんなところで糸口が解けねえ事でもございません。
どうぞお父っつぁんの行方が分からねえんですから殿様から声をかけて頂ければこんなありがてえ事はございませんのでよろしくお願えを致します」と口のきき方はぞんざいではございますが誠を面に表して語る魚屋宗太郎の一部始終。
両眼を閉じてジッと聞いておられました隼人正が…。
「やよ一同の者。
余の若盛り尾州小牧の戦に出陣なした事がある。
戦物語聞かせ取らせるによって一同よう承れ」。
「ハッハハ〜ッ」。
「宗太郎。
その方もよう聞け」。
「えっ?では殿様あの小牧山の戦に?」。
「うむ」。
一座の静まるのを待ちかねたように隼人正が…。
(張り扇の音)「今を去る事33年前じゃ。
時は天正12年月は6月日は某。
我らいまだ若盛り本多三弥政成と申せし頃手勢こぞって百余人。
尾州小牧山在徳本寺。
松と杉との林の中に伏せ勢成し『御敵ござんなれ』と待ち受けたり」。
(張り扇の音)「折しもあれや前方に上がってどっと上がった人馬の声。
『何人ならん?』と小手をかざして見てあればこれぞ黒印の具鶴の丸を染め抜いたる旗一流れ鶴の丸二段馬簾の馬印を押したて攻め寄せ来たるはこれ敵方名代の黒母衣組森武蔵守長可が同勢なり。
『御敵ござんなれ』と得物得物をひっ提げ余もともどもに斬り込んだり〜」。
(張り扇の音)「前に現れ後ろに隠れ左手に斬り伏せ右手に引き受け真っ向眉庇幹竹割り四天直垂打兜面頬とりだし揺の板をげしじ合当理2〜3抜いたバッタバッタと打ち倒し」。
(張り扇の音)「逃げるは追いつきあるいは袈裟に斬り一上一下一往来猿臂の下り影翅蝶の三転龍と影に虎と影に挑み戦う有様はげに我が事ながらものすごきもの。
なれど敵は大勢味方は小勢。
残るは某がただ一人。
『主君の安否を見届けず死するばかりが武士の道ならず』とまたもや敵に斬り入って進むともなく遠近の露踏み分けるほどの道。
一軒のあばら家じゃ。
手傷を負うたる事なれば案内を請うてその家の親父と娘じゃ。
心持ちよく匿いくれたが余は若盛り。
恥ずかしながらその夜賎の女と一夜の契りを結び後の証拠に水飲みを遣わし参ったが宗太郎。
その方が余の胤とは尽きせぬ縁じゃのう」。
「ええ〜っ?そそれじゃ殿様は私のお父っつぁんでございますか?アア〜ッ長えこと探していてよかった。
なんて今日はいい日だ。
死んだおふくろや祖父様がどんなに喜ぶか。
ええ。
おお父っつぁん」。
(笑い)「いかにも余の胤とは申しながら身分が違う。
名乗りはできかねるぞ」。
「えっ?名乗りはできねえ?冗談言うねえ。
ケッ手前みてえななそうやって自分勝手な不実な男がいるから世の中泣きを見る女が出てくるんだい。
おう。
手前で蒔いた種な手前で刈れ。
どうするか覚えていやがれ」とこれはさすが侍の血をひいておりますからお小姓の持っておりました殿様のお佩刀それをひったくりますとまさか刃を父親に向けるような親不孝者ではございません。
懐から真新しい手拭いを取り出すと太刀の刃をグルグルグルグル巻いてまぁ鯛や鮃の腹は毎日割いておりますが自分の腹を切るのは今日が初めて。
(笑い)「魚屋だって死に方は知ってるんだ。
さぁ見ていやがれ」。
腹へブスッと刺そうと致しましたる時に…。
「あっ待て!待て待て待て。
気の短いところは余にそっくりじゃ」。
(笑い)「しばらく待て。
祖父と母のその徳本寺の寺に今までの詫び料として50石ずつを遣わし仏事供養を致し遣わす。
これ宗太郎。
余の若気の至りじゃ。
このとおり詫びを致す」。
「エ〜エ〜ちょっとお殿様手を上げておくんなさい。
それじゃなんですかい?50石ずつ寺に供養して下さるんですか?ありがとうごぜえます。
死んだ者にゃ…盆もあれば正月もございますが仏になった者は何もございません。
折れた線香の1本欠けた茶碗で水をすくってあげても回向になると聞いております。
どんなに仏が喜ぶか。
ええ。
仏に代わってこのとおりお礼を申し上げます」。
「お〜許してくれるか宗太郎。
その方明日より魚屋稼業はやめに致し髷の結いぶりを改め側用人として200石余に仕えくれ。
名前も本多宗太郎と名を名乗れ」。
「ええっ!私が魚屋やめて明日から侍に?」。
「其方の伜余にとっては孫である。
これまた二十歳を超しなば一家分家をさせて200石を遣わすがどうじゃ?」。
「ハア〜『だんだんよくなる法華の太鼓』とはこの事で。
ええ。
ありがとう存じます。
エ〜トそれと殿様最前から行儀作法が良くねえってんでね私の足をつねってる爺がいるんですがえ〜あれは何石ぐらい?」。
「あ〜金太夫か。
彼は80石じゃ」。
「ざまあみやがれ」。
(笑い)驚いたのが金太夫で今まで魚屋だった男が侍になって自分より120石上になったんですから「ア〜アこんな事ならもっとごまをすればよかった」と思いましたが後の祭りでございます。
さぁ我が家に戻って参りまして翌日どこでどう工面を致しましたのか紋の付いた衣類仙台平の袴女房と子供を連れて晴れてお殿様とご対面がかないます。
我々手合いの約束と違いましてお殿様誠に義理堅うございます。
伜の宗吉が二十歳になりました時に堀端の二番町に本多宗吉という旗本を1軒分家をさせてくれました。
「親父の魚屋をいつまでも忘れぬように」というので鯛が2匹こう逆立ちを致しましたおめでたい紋を家紋につけたと申します。
(張り扇の音)徳川様瓦解までこの本多宗吉の旗本の家が連綿と堀端二番町に残っていたという事でございますが「徳川百本多」の中より「魚屋本多」という一席の講談でございます。
(拍手)ありがとうございます。
(拍手)2014/10/04(土) 04:30〜05:00
NHK総合1・神戸
日本の話芸 講談「魚屋本多出世談」[解][字][再]

講談「魚屋本多出世談」▽宝井琴梅

詳細情報
番組内容
講談「魚屋本多出世談」▽宝井琴梅
出演者
【出演】宝井琴梅

ジャンル :
劇場/公演 – 落語・演芸

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
サンプリングレート : 48kHz

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