(基子)
私は去年の夏男性から金をだまし取った詐欺ガス漏出現住建造物放火殺人未遂そして殺人などの容疑で逮捕された
(千葉)絶対刑務所にぶち込んでやるからな!
新しく私の弁護を担当する事になったのは10年前に私が家庭教師として勉強を教えそしてその一夏愛し合った男の子だった
(晴樹)あなたという存在は全てうそだった。
私が人なんて殺せる訳ないじゃない!先生。
彼は今の私をどう思っただろう?
(泉美)あの人悪女なんでしょ?彼女は悪女なんかじゃない。
(前原)被告人は悪女ではありません。
(泰蔵)聖女だ。
聖女そのものなんだ。
私あなたを愛してた。
あなただけを愛してた。
私は絶対にこの裁判に勝ちたい
裁判に勝ってそして今度こそ私は…
(刑務官)肘井基子さん。
出廷の時間です。
はい。
(裁判長)それでは検察官起訴状を。
はい。
まず平成25年6月26日付け起訴状記載の公訴事実。
被告人は平成24年10月12日神奈川県伊勢原市春峰山において坂東幸雄さんに対し殺意を持って坂東さんの手を足蹴りするなどの暴行を加えよって同人を崖から転落させて頭部挫傷等の傷害を負わせそのころ同所において同傷害により死亡させて殺害したものである。
罪名および罰条殺人。
え〜続きまして平成21年10月29日東京都港区所在の阿川博之さん宅において持参していた睡眠薬を大量にのませた上そのころ同居室内において殺意を持ってガス栓を開栓してガスを漏出させ死亡させたものである。
次いで平成24年12月4日東京都練馬区千倉泰蔵方において被告人が購入した灯油をまいて火をつけ殺害しようとしたが火災に気付き興奮ろうばいした同人を2階部分の窓から転落させて脳挫傷等の傷害を負わせるにとどまり殺害の目的は遂げなかったものである。
罪名および罰条現住建造物放火殺人未遂。
(裁判長)被告人。
それぞれの公訴事実にどこか間違いはありますか?はい。
私は誰も殺していませんし殺そうともしていません。
(裁判長)7月20日付け起訴状記載の公訴事実中その日被告人が阿川さんに睡眠薬を渡した事は認めるんですか?はい。
(千葉)テレビ局のプロデューサーだった坂東さんは仕事も優秀で上司からの信頼も厚かった。
この坂東さんが2年前赤坂で開かれた高額所得者限定のパーティーで被告人に出会いました。
このパーティーは最後に指名タイムがあり坂東さんは被告人を指名したが被告人はしなかった。
パーティー終了後坂東さんと被告人の間でこのようなメールのやり取りが行われました。
「なぜ僕を指名しなかったのですか?残念だ」。
「坂東さんは女性にもてそうだったから。
私は真面目にお付き合いできる方を探しています」。
「は?真面目って?」。
「誠意を持って相手のことを考え尊重してくれる人のこと」。
翌日坂東さんはコーヒーショップで被告人と会い「美術をより専門的に学ぶためパリに短期留学したい」と言われその日のうちに口座に100万円を振り込みました。
つまり尊重するとは被告人にとって自分のために金を払うという意味と同意だった。
被告人は当初から金銭が目的で坂東さんに近づいたんです。
それ以降も被告人は数々のおねだりをし坂東さんは計約588万円の金銭を被告人に渡していた。
しかし次第に被告人は結婚を真剣に求めてきた坂東さんが煩わしい存在となり…。
(黒坂)被告人は初めから自分が愛情を金銭で計る面があるという事は認めています。
認めた上で「お金は受け取った。
しかしお金を頂いた上での深い愛情があり殺すはずなどない」と主張しています。
被告人は誤解を受けやすいタイプですが実際は大変真面目な女性です。
男性から受け取ったお金の大半をヨーロッパ各地への留学や語学習得のために使っていました。
そしてまた今まで交際していた男性に尊敬と感謝の気持ちを持ち結婚も真剣に考えていたそうです。
ただ一人坂東さん以外は。
坂東さんは表向きはとても紳士的な方でしたが一方では携帯電話に100人以上の女性のアドレスが登録されそのほとんどが「SF」というファイルに分類されていました。
「SF」って何だと思われますか?坂東さんは被告人に自慢げにこう教えてくれました。
「バ〜カ。
セックスフレンドに決まってんだろ」と。
被告人の名前ももちろんこのファイルに分類されていました。
被告人はこれに納得がいかずやめてほしいと言いましたが坂東さんは「これだけ金を払ってやってるのに文句を言うな。
とんだ高級売春婦だな」と笑い飛ばしました。
坂東さんはお金は払ってくれましたが明らかに被告人の求める誠意ある男性ではなかった。
そのような一面を知った被告人は坂東さんに別れを切り出しました。
すると坂東さんは急に被告人に激しく執着するようになり「お前だけは特別だ。
結婚しろ」などと言って何度も電話をしたり家の前で待ち伏せしたりしました。
被告人は恐怖を感じ電話番号を変え引っ越しもしましたが坂東さんは探偵を使うなどして被告人を捜し出し「頼むからもう一度だけ会ってくれ」と泣いて頼み込んだ。
そしてしかたなく出てきた被告人を春峰山に連れ出し「別れるなら一緒に死んでやる」と崖の上で脅した。
それを止めようとした被告人ともみ合い結果崖から足を踏み外した。
(黒坂)この時被告人が坂東氏の手を足蹴りしたとしても危難を避けようとしてやむをえずとった行為であり違法な行為とは言えません。
坂東さんが自ら招いた事故です。
いわば自業自得…。
(瑞穂)ちょっとさっきから何なのよ!弟は死んだのよ!被害者なのよ!被害者なのに何でこんな侮辱…!
(裁判長)傍聴人は発言を慎んで下さい。
弁護人。
ここでは事実のみを話して下さい。
失礼致しました。
被告人の足には坂東さんの全体重がかかっていました。
自分も落ちないようにと必死でした。
え〜それでは事件当日の出来事を教えて下さい。
(美里)はい。
山道を歩いていたら大きな声がしたんです。
何なのよ!もう…放してよ。
(坂東)怒るなよ。
(美里)何か女の人が怒っていてけんかしているみたいに見えました。
(千葉)崖の2人はどのような様子でしたか?
(美里)男の人がしがみついていて女の人の方が怒って何度も何度も男の人の手を蹴っていたように見えました。
この地点Bが証人の休憩していた場所です。
そして地点Aが転落した崖。
あなたと被害者との距離は直線距離にしておよそ700メートル。
例えるなら山手線の代々木駅ホームの端っこから新宿駅まで1駅分はある。
この距離で本当に見えたんですか?被告人の足が何度も何度も男の人の手を蹴るところを。
ああ…はい。
目立っていたから白い靴で。
そうですか。
実は被告人の利き足である右足のヒールの靴は崖の上に残されていました。
被害者ともみ合った時に既に脱げていたんです。
またもう片方の靴も坂東さんが被告人の足にしがみついた際に脱げてしまっていた。
じゃ…じゃあ素足だったのかも。
質問を変えます。
あなたはこの山登りをした2日後の10月14日に新宿の眼鏡量販店で眼鏡を買っていますね。
ああ…。
その際あなたは右目のレンズの度を2つ上げています。
それはなぜですか?写真を撮る時いつも右目でファインダーを見るんですけどちょっと見えにくかったんで…。
見えにくかった?見えにくかったんですね?えっと…。
大丈夫です。
責めている訳ではありません。
ただ非常に大事なことなのでもう一度確認させて下さい。
あなたは事前に坂東さんと被告人が口論する姿を見ていた。
そのあと遠くの方で崖から落ちそうになっている2人を偶然見かけた。
はい。
男の人だけ落ちたのを見て「あっ殺人事件見ちゃった」って思ったんです。
すごいもの見ちゃったって。
あなたが本当に見たのは男性が落ちていくところだけだった。
それを2人がけんかをしているのを見ていたためにこの被告人が彼を殺したのだと思い込んでしまったという可能性はありませんか?え〜と…。
弁護人中村からは以上です。
(裁判長)弁護人。
片瀬さんへの反対尋問は以上でよろしいですか?はい。
(裁判長)検察官。
何かありますか?
(千葉)ありません。
(美咲)気の毒だよね千倉さんの奥さん。
旦那さんにもう来なくていいって言われたのにそれでも毎日来てて。
先生千倉さんに何て言ってました?まだ外出は無理ですって。
当然だよ。
それなのに「法廷に出て証言したい」なんて。
弁護士が悪いんですよ。
千倉さんに「あなたが証言すれば肘井基子は無罪になるかも」なんてそそのかすから。
あれ?その弁護士って将来の夫じゃなかった?あっ…いいんですいいんです。
裁判が終わるまでは連絡取らないって決めたんですから。
そっか。
じゃあお先。
お疲れさまでした。
お疲れさま。
やっぱり変だ私…。
何で嫉妬しなきゃなんないのあんな女に。
(山崎)社長はいつも前向きで自殺するようなタイプの人じゃなかった。
絶対に殺されたんだと思います。
ほう…そうですか。
なぜそう思うんでしょう?それは…僕は創業当時から阿川社長のもとで働いていました。
彼女が社長を誘惑し惑わせる姿をずっとそばで見てずっと思っていたんです。
こいつは絶対悪い女だと。
頭のいい社長はこの女が名前や経歴でうそをついている事なんて最初から気付いていたんです。
全てを知った上で「あの子は寂しい女なんだ」と惜しみなく金を払っていた。
資格も何もないこの女にアートコーディネーターと名乗ればいいってアドバイスしたのも社長だった。
なのにこの女その恩も忘れて…。
(千葉)分かりました。
失礼話を戻させて下さい。
あなたは亡くなる前日も阿川さんに会ってますね。
はい決算の報告をしていました。
その時阿川さんは被告人の話はしましたか?はい。
このころ会社の業績があまり思わしくなく社長は身銭を切って経営に充てていました。
なのにこの人が「学芸員の資格を取りたい。
金が足りない」と言ってきたと。
(千葉)なるほど。
阿川さんは被告人の要求に対してどのようにしたかご存じですか?
(山崎)それでも彼女のために払ってやりたいって。
「だから俺はこんなところで負けてられない」って。
「もっともっと頑張らなきゃな」って前向きに…。
社長は最後まで笑って前向きにそう言いました!阿川さんが興した会社が経営破綻したのは阿川さんが亡くなってわずか半年後ですね。
はい。
でもそれはたまたまで…。
阿川さんが会社経営に悩み更に被告人に捨てられるのではという恐れと焦燥から自殺に至ったという可能性が本当にゼロだとは言い切れますか?あんたたちはこの女の事を何も知らない。
知らないからこんな殺人犯の弁護なんかできるんだ!
(裁判長)証人は関係のない議論はしないように。
弁護人続けて下さい。
はい。
では山崎さん。
具体的な負債状況についてお伺いします。
(山崎)はい。
(黒坂)2009年10月5日に取引先の…。
それでは休廷します。
再開時間は13時です。
すいません。
少しいいですか?休廷後の証人尋問の争点ですが…。
嫌いになった?はい?法廷って嫌な場所ね。
人間の嫌な面を見せつけ合う劇場みたい。
何でそんな事言うんですか?僕はあなたを守るためにここにいるんですよ。
(前原)少し疲れましたか?心配ありません。
いつもどおり堂々としていて下さい。
はい。
ありがとうございます。
(ため息)
(前原)まあため息も出るわなぁ。
憧れていた先生の本性がどんどん見えてくるんだから。
あっ…いやそんな事は。
ばれないようにしろ。
もし過去にお前と肘井基子の間に家庭教師と生徒以上の何かがあったんだとしたら絶対にその事は誰にもばれないようにしろ。
永遠にだ。
いいな。
実際に傍聴されてみていかがでしたか?どうもありがとうございました。
お大事に。
「一部専門家の間でも死刑求刑は難しいのではないかという意見もあるようです。
このように公判が進むにつれて肘井基子被告自身への注目度は増すばかりです。
中には個人でファンクラブを作ったりホームページを立ち上げている人もいるようで肘井被告への関心の高さがうかがえます」。
大丈夫ですか?もう結構ですよ。
今お話しして頂いたとおり証言して頂ければ問題はありません。
そうですか。
よかった。
何としても…僕がまりあさんを救わなければ。
よろしくお願い致します。
(文江)あなた。
お前…。
これ…返しますね。
何言ってんだ。
僕は…。
私絶対別れません。
早く気付いて下さいよ。
あなたはねだまされてたの。
あなたはだまされてたんですよ。
なぜそれが分からないの?うるさい。
黙れ!黙らないわ。
早く気付くまであなたが…あなたが本当のあなたに戻るまで私絶対諦めませんから!うるさい!出てけ!千倉さん落ち着いて下さい。
あなた…。
落ち着いて下さい。
私ってバカね…。
あの人が生き返ってくれたら意識さえ戻してくれたら昔のあの人に戻ってくれてると思ったの。
あの女に出会う前の…平凡だけど幸せだったあのころの私たちに戻れるって。
それなのに…。
こんな事なら永遠に眠っていてくれた方がよかった。
千倉さん。
私は千倉さんの味方ですから。
負けないで下さい。
きっと…きっといつか本当に大事なのは誰か旦那さんだって気付くはずです!ありがとう。
ありがとう…。
泉美。
奥さん大丈夫だった?うん。
今お帰りになった。
そっか…。
いや…いろいろ迷惑かけて申し訳ない。
ねえ晴ちゃん。
うん?あの肘井基子さんってもし無罪になったら約束どおり千倉さんと結婚するのかな?えっ?まあ私には関係ないけど。
もうすぐ裁判終わるね。
頑張って。
連絡待ってるから。
うん。
では被告人との関係を教えて下さい。
(あかね)大学時代の知り合いです。
仲は良かったんですか?いえそれほどではないんですけど一度だけパーティーに誘って一緒に行った事があります。
友達に全員おごるからかわいい女の子たくさん集めてほしいって頼まれて。
行ってみたらそれが阿川さんの主催するパーティーでした。
内藤さんは阿川さんとは面識があったんですか?いいえ。
その日初めて会ったんですけど緒沢さん…じゃなくて肘井さんを紹介したらとても喜んでました。
阿川さんと被告人の交際はそこから始まったと?そう肘井さんからは聞いてます。
肘井さんから聞いたんですね?はい。
「あれからどうなったの?」って聞いたら「とても理想的な人なのでおつきあいしている」って。
聞いてどのように思いましたか?う〜ん…正直私はあんまり好みじゃなかったので「どこがいいの?お金だけじゃないの?」って聞いたんです。
そしたら彼女笑って「お金って大事だよ。
お金を大事に扱う人は恋愛相手も大事に扱うんだから」って言ってて。
「へぇ〜大人だなぁ」なんて思いました。
なるほど。
肘井さんが大学に来なくなってからは会った事はありますか?いいえ。
携帯を変えたのか連絡が取れなくなって。
ただ…阿川さんには会ったんです。
偶然5年前に。
詳しく教えて頂けますか?はい。
10月19日です。
何だか疲れた感じで。
それでちょっと気になって声をかけたんです。
私の事は全然覚えてなかったみたいなんだけどまりあの友達だって言ったら喜んでいろいろ話してくれました。
会社が倒産寸前とかまりあもそのせいか最近自分に冷たいとか。
私何て言っていいか分かんなくてとりあえず「頑張って」って言ったんです。
そしたら彼…。
(阿川)でもあいつに捨てられるぐらいだったらもう死んだ方がいいんだ。
「死んだ方がいい」と?はい。
確かにそう言っていました。
そんな事言いそうな人じゃ全然なかったのに。
だから私新聞読んで「ああ本当に死んじゃったんだな」って。
やっと会えた…。
2人で暮らそうと用意したアパートは隙間風がひどくてそれで私は灯油を買ってきてほしいとまりあさんに頼んだんです。
(千葉)火災の原因には思い当たる節はありますか?はい。
きっと私がタバコの火をきちんと消さずに眠ってしまったんでしょう。
まりあさんが私に優しく布団をかけてくれたのは覚えています。
火の不始末が原因で火災が発生しそのままあなたはそれを放置したという事ですか?はいそうです。
それではあなたが…!あなたが放火したという事になるんですよ。
はい。
火災の原因はあなたのタバコの不始末で間違いないですか?はい。
妻には申し訳ないが私は…。
私たちは恋をしてしまっていたんですよ。
(前原)恋…ですか?
(泰蔵)そう。
だから私は離婚して財産の全てを妻と娘に渡し彼女とあのアパートで貧しくとも幸せな生活を送りたいと思っていた。
私にもしもの事があってはいけないと保険金も自分で掛けた。
彼女は無実です。
無実だ!無実なんです!彼女は無実なんです!千倉さん。
(裁判長)証人落ち着いて下さい。
前原さん!いよいよ裁判も大詰めですけども被告人のご様子は?被告人の支援団体が出来たといううわさですが本当ですか?前原さん!やってくれましたね千倉さん。
ああ。
中村。
はい。
最終弁論お前がやれ。
えっ?はい!
(千葉)検察の求刑と致しましては以上の諸事情を考慮して被告人を懲役20年に処するのを相当と思量する。
以上。
肘井基子さんは…誰も殺していません。
確かに肘井さんは交際相手から多額のお金をもらっていました。
しかしお金をもらって何が悪いんですか?専業主婦と言われる人々は配偶者から給料を受け取る代わりにおいしい料理を作って家を守り愛人と言われる人々はマンションや金を頂く代わりに生きる情熱や安らぎを与える。
彼女もそうだっただけです。
ただ彼女が違ったのは正直だった事だ。
「愛さえあれば何も要らない」。
そんな安易なうそをつかず自分らしく生きるにはお金も大事だと正直に話していた。
その事だけです。
彼女は普通の幸福な恋人たちと同じように男性とお互いを必要とし愛し合っていた。
そんな彼女が彼らを殺せるはずがないんです。
千倉さんは意識が戻った直後に僕にこう言いました。
「彼女は聖女である」と。
それが真実です。
これであなたに対する審理を終えます。
最後に何か言いたい事はありますか?私は…自分の生き方は正しいと思っていました。
いえ…正しいと思い込もうとしていました。
でもここに来てようやく気付かされました。
私はたくさん間違った事をしていたのだと。
ご迷惑をおかけした皆様やご家族の皆様には大変申し訳ない事をしたと思っています。
でも…。
私は誰も殺していません。
もし…。
もし許されるのなら私はもう一度生き直したい。
そして今度こそ自分の思っていたような…母が願ってくれていたような人間に…そういう人間になれるように努力したいと思います。
(裁判長)被告人肘井基子に対するガス漏出殺人現住建造物放火殺人未遂被告事件の判決を言い渡します。
被告人前へ。
主文被告人は平成25年6月26日付けおよび同年8月13日付け各起訴状記載の公訴事実についてはいずれも無罪。
同年7月20日付け起訴状記載の公訴事実については被告人を免訴とする。
即刻控訴だ。
(裁判長)これから判決の理由を述べますので被告人は証言台の前のイスを引き出してそれに腰掛けて聞いて下さい。
正面にはマスコミがたくさんいますので裏口から出ます。
はい。
肘井さん!肘井さん!何かひと言お願いします!
(黒坂)こっちにもいたか。
私はマスコミに対応してますので後ほど。
後は頼んだよ。
はい。
(黒坂)すいません。
全て記者会見で話しますので。
(クラクション)今からニュー東京ホテルに向かいます。
今月いっぱいは予約してありますので身辺の事が決まるまではそちらに滞在して下さい。
明日は…え〜と午後1時から記者会見でそのあとは…。
いつ来られる?もういいのよね?私はもう被告人じゃない。
もうあなたと自由に会えるのよね?出なくていいの?はい。
恋人?
(百合子)お兄ちゃんねひげもそって服装もすっかり普通になっちゃって。
じゃあやっぱりあれは…。
えっ…今日はどこに?どこかしらねぇ?最近警察じゃなくて検察?…か何かの人から電話がかかってきて時々出かけてくのよ。
検察?何で?
(百合子)何でかしらね?
(克樹)ただいま。
(百合子)あっお帰りなさい。
よう。
うん…。
来てたよね?法廷に。
驚いたか?もうすっかり廃人だと思ってた兄貴が突然お前の職場に現れたから。
いや…。
でもどうして?検察の千葉さんだっけ?あの人から連絡があったんだよ。
証人として協力してほしいって。
えっ?俺脱サラしたじゃん。
あれ阿川さんの会社に引き抜かれたからなんだよね。
ベンチャーサークルで出会ってさそこで目かけてもらって「お前みたいな優秀なヤツはあんな一企業に埋もれるべきじゃない。
是非うちに入って会社を救ってくれ」って。
いや…俺も思ってたんだよ。
俺はあんな普通の会社で終わるような人間じゃないって。
それで会社辞めて何週間かバイトしてそのまま就職って話が出ていたやさきに阿川さんが死んじまった。
そうだったんだ。
ごめん全然知らなかった。
(克樹の笑い声)そりゃそうでしょう。
そのころもうお前は司法試験に合格して前途洋々の弁護士様だったからな。
そんなんじゃ…。
驚いたよ。
阿川さんの女があのころお前がずっと捜していた家庭教師にそっくりだったからさ。
えっ?せっかくだから控訴審では俺も証人でもやってみようかな。
ちょっと待ってよ。
何証言するつもりだよ?そうだなぁ。
例えば…あの被告人がうちの2階で俺の弟とセックスしていた話とか。
(小池)いや…すごい数のマスコミですね。
いいねぇ。
わくわくするねぇ。
あまり具合がよくないみたいなの。
食事もとってなくて。
そっか。
昨日どうして電話に出なかったの?ごめん。
まだ慌ただしくて。
相変わらず下手だねうそが。
ああ…弁護士さん。
あっおはようございます。
すいませんうるさくして。
失礼しました。
お加減はいかがですか?いや〜実は思い出したんです。
あの火事の日…。
はい。
まりあさんは少しおかしな事をしていたんだ。
(泰蔵)私はガタンという音で少し目が覚めて…。
(泰蔵)私は見てはいけないものを見てしまったような気がしてすぐにまた目を閉じたんです。
(泰蔵)もしかしたら…。
もしかしたらあれは…。
(泰蔵の笑い声)これ…思い出さない方が幸せだったんでしょうかねぇ。
神様は私に最後のチャンスを下さったのだ。
この先に何が起こるかは分からない。
でも何が起ころうとも私は…。
私は今度こそ聖女になる
2014/09/16(火) 22:00〜22:50
NHK総合1・神戸
ドラマ10 聖女(4)「裁かれる女」[解][字]
十年前、彼女は突然僕の前から姿を消した。そして今、彼女と僕は運命の再会を果たす。連続殺人の容疑者と、弁護士として…女と男の切なくも狂おしい愛の物語がいま始まる!
詳細情報
番組内容
基子(広末涼子)の裁判がついに始まった。所長の前原(岸部一徳)を筆頭に晴樹(永山絢斗)や黒坂(田畑智子)たち弁護団は、検事の千葉(池田成志)が繰り出す証拠に反証を重ね、裁判員に基子の無実をアピールする。殺人未遂事件の被害者とされた千倉(大谷亮介)が基子の無実を証言するに及び、裁判の形勢は基子有利に傾く。だが、晴樹の兄・克樹(青柳翔)が阿川(浜野謙太)殺害に関する重要な証言をするつもりだと言い出す。
出演者
【出演】広末涼子,永山絢斗,蓮佛美沙子,岸部一徳,田畑智子,田中要次,清水富美加,青柳翔,筒井真理子,大谷亮介,中田喜子,安藤玉恵,浜野謙太,森岡豊,上野なつひ,篠原真衣,山口まゆ,池田成志ほか
原作・脚本
【作】大森美香
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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日本語(解説)
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