(テーマ音楽)皆さんの毎日の健康に役立てて頂きましょう。
「きょうの健康」です。
この2日間は…昨日はお酒と関係のない脂肪肝というものがあってその中でもナッシュというものはちょっと気を付けなきゃいけないという話をしましたね。
そこで今日のテーマはこちらです。
今日も専門家をお招きしています。
分かりやすく教えて頂きましょう。
ご紹介致します。
消化器内科特に肝臓病などの診断治療がご専門です。
どうぞ今日もよろしくお願い致します。
ナッシュになるのを防ぐためにも脂肪肝を改善させる事が大事だという事は昨日教えて頂きましたがしかし一度脂肪肝のような状態になったその肝臓を元に戻す事はできますか?はい改善する事はできます。
食べ過ぎとか飲み過ぎ運動不足で脂肪肝やナッシュになるという事でございますがその一部はこちらにございますように肝硬変や肝臓がんへ進行します。
これは怖いですよね。
肝硬変や肝臓がんまで進行しますとさすがに元に戻す事は難しくなっておりますがしかし脂肪肝ナッシュの段階であれば改善し元に戻す事が十分可能でございます。
ここに何か希望の矢印が出ましたね。
これは実際の例で改善例を教えて頂けますか?こちらは私が見た山本さんのケースですが61歳の女性でナッシュでございます。
このように肝臓に線維化がございます。
ここは硬く変わっているという事ですね。
治療前はこういう状況でしたが約1年間治療を致しますとこのように線維化もなく白い脂肪の沈着もかなり減ってきております。
一目瞭然ですね。
では実際にどのように改善していったのかという事ですが今ご紹介にありました患者の山本さんの例で見ていきたいと思います。
まずナッシュが見つかった時について見てみましょう。
こちらです。
主婦の山本ゆり子さん。
運動の習慣はなくやや肥満気味です。
高血圧の持病はありますが特に気になる自覚症状はありません。
間食はしますがお酒を飲む習慣はなく健康にも気を遣って毎日果物を多くとるようにしています。
ところが人間ドックの検査を受けたところ肝臓に脂肪がたまる脂肪肝と診断されました。
更に精密な検査を受けたところ肝臓に炎症が起きている事が分かったんです。
山本さんのような場合どのような指導をしていかれますか?現在のところ脂肪肝の特効薬というのはございませんので食事療法や運動療法こういう事を行いながらふだんの生活習慣を見直すという事で改善する事ができます。
ここに柱が出ました。
食事療法そして運動療法という2つの柱ですよね。
1つずつ見ていきましょう。
まずは肥満を解消させる事で食事が大事ですね。
やや肥満という事ですので食事療法では患者さんの肥満度理想体重を把握して1日の適正エネルギー量を設定するところから始めます。
肥満度というのはBMIと呼ばれる体格指数が目安になります。
BMIは体重を身長の2乗で割る事で計算できます。
こちらの式ですね。
例えば山本さんの場合身長が150cmで体重は60kgですのでBMIは26.7となります。
これややこしいのでちょっと見ましょうね。
体重60kgですね。
60kgをここに入れますね。
で身長掛ける身長これ単位がmですので150cmは1.5という事になりますから1.5掛ける1.5をここに当てはめます。
この結果が26.7という事ですからやや肥満であるという事が分かった訳ですね。
こちらで確認してみましょう。
基準ですが…。
BMIが18.5以上25未満が普通体重でございますのでBMI25以上が肥満になります。
山本さんの場合は26.7ですので少し肥満という事になります。
では理想の体重はどうなのかという事ですね。
山本さんにとって理想体重はいくつかという事を計算してみましょう。
最も病気になりにくい普通体重はBMIが22である事が知られております。
理想体重は身長掛ける身長掛ける22。
例えば山本さんの場合は身長が150cmですので体重60kg。
理想体重は49.5kgと計算できます。
ここも思い出して下さいね。
1.5掛ける1.5掛ける22というこの結果が49.5。
およそ50kgで10kg…。
今60kgですからね。
これなかなか大変ですね10kg減量。
ただ一気に10kg落とす必要はございませんので少しずつ減量していく事が重要じゃないかと思います。
急な食事制限はかえって肝炎を悪化させますのでやはり徐々にやっていく事が重要だと思います。
何と言っても食事の量が大切ですね。
肥満の方は食べ過ぎの傾向がございますので自分にとって適切なエネルギーはどれぐらいかという事を知る事が大切です。
どうやって知りましょうね。
1日の適正エネルギー量ですが真ん中辺りにあります理想体重。
これに身体活動量を掛けて出していくんです。
身体活動量というのはその人が日常生活でどのくらい活動しているかという事なんですが軽い作業あるいは普通なのかそれとも力仕事が中心なのかという事によって数値がちょっと違っています。
山本さんの場合主婦ですので軽い作業の中から30kcalというこの数字を掛けていきます。
実際計算してみましょう。
山本さんの理想体重先ほど49.5という事が分かりました。
そして身体活動量は今ご紹介した30ですね。
これを掛けますと適正エネルギー量1日に1,485kcalという事になります。
ちょっと待って下さい。
1日で1,485。
え〜!3食食べると…。
1食にすると500kcal以下という事ですがね。
なかなか厳しいですがね。
でもどれぐらいのカロリーなのかなという事を知るには食事をいちいち注意しなきゃいけませんね。
最近ではレストランとかお弁当屋さんでメニューにカロリー表示が書いてあるものが増えてまいりました。
ですからそういうものを参考にしまして1食500kcalというのを目安に食事をとる事がよろしいんじゃないかなと思います。
では続いて山本さんの食生活について見ていきましょう。
飲酒の習慣はなかったと。
問題ありませんね。
ただ間食が多いそして毎日果物を多くとるという事がありました。
間食が多い事は問題ですね。
脂肪肝になりやすい食事というのは当然お砂糖や脂質を多くとる食品ですね。
こういうものは心配になるんですが山本さんの場合はお菓子などの間食が多く本人は少しのつもりでも回数が多くなれば摂取エネルギー量が増えてしまいます。
従いましてこういう事を意識して控えるように指導致しました。
果物をお好きだというのは体にいいように思うんですが…。
これは多くの方が誤解するんですが山本さんの場合とればとるほど体によいと思っていたという事です。
みかんは1日に数個。
冬場になりますと10個ほどみかんを食べるという生活を行っておりました。
実は果物の果糖は肝臓で中性脂肪になってしまうので食べ過ぎには注意が必要です。
同じように清涼飲料水にも果糖がたくさん入っているので最近は熱中症対策でこまめに水分をとりましょうといわれておりますのでこういう事も加味しますと清涼飲料水の飲み過ぎも注意が必要だと思います。
ペットボトル飲料は成分をよく確かめた方がいいですよね。
さて食事療法の大切さは分かりましたがもう一つの柱運動療法も大事だという事ですが山本さんの場合はどのような指導をされましたか?運動の種類は有酸素運動であるウオーキングやサイクリングがお勧めです。
運動の目安としてはウオーキングでしたら20分から30分を週5日ほど行うのが理想でございます。
こうした運動は有酸素運動軽くうっすらと汗をかく程度の強さの運動ですがそうした事で効果はありますか?実は肝臓は脂肪もためやすいんですが脂肪を消費しやすいという特徴がございます。
ですから短い運動でも十分効果的と考えてよいと思います。
そして山本さんですが高血圧があったんですね。
これも治療する事が大事なんでしょうか?脂肪肝の方は糖尿病や高血圧あるいは脂質異常症などの生活習慣病を合併している方が多いようでございます。
合併症を治療する事が脂肪肝の改善にもつながりますのでこういう病気を放置せずにきちんと治療する事が大切です。
今日は食事療法運動療法の大切さをるる教えて頂きましたがいざ実行となりますと週に5回ウオーキングってなかなか…。
なかなかできませんよね。
これどうですか?山本さんの場合も実際食事療法とか運動療法を指導しましたがなかなか実行は難しかったです。
そこで毎日の生活に運動を取り入れるように指導致しました。
例えば出かける際には駅ではエスカレーターを使わずになるべく階段を使うとかあるいはこまめに体を動かす掃除をするこういうような事。
運動して下さいと言うとなかなか気が進まなかったり特別な時間を作らなくてはいけませんがこまめに体を動かして下さいというような事であれば患者さんも日々の生活に取り入れて実行しやすいんではないかなと思います。
なるべく体を動かすんだという意識を持つという事ですよね。
意識を少し変えるだけで脂肪肝の改善につながると思います。
では実際に山本さんが行った対策まとめて見てみましょう。
駅で階段があったら「あ〜しんどい」と思わずに「ここに脂肪を減らしてくれるお薬がある」と思えばいいですね。
こうした事で山本さん効果は出ましたか?治療して1年でむしろ悪くなる方が多いんですがこの方は体重が2kgBMIも1減りました。
2kg減ってBMIが1減る。
しかし体重で言いますと10kg減らすのが理想だという事から考えるとまだまだ遠いと思いますがどうなんでしょう?ところが実際の画像を見ますとこちらが治療前です。
このように線維化がございますね。
白い脂肪滴もたくさんある訳ですが治療後このように線維化が全く無くなっております。
肝臓は脂肪をためやすく消費しやすい臓器のために少しの減量でもこのように効果がある事がございます。
理想は10kgなんだけれどもその辺りの考え方ですね。
もちろん理想は10kgでございますが最終的にそこを目指すのは重要ですが大事な事は10kg減量しなくても少し減量するだけでも着実に効果があるという事です。
急いで10kg落としますと特に無理な減量をしますと逆効果でございます。
長続きもしません。
ですから実際体重の5から7%これぐらいを落とすだけで脂肪肝が改善するというデータもございます。
実際7%の減量で考えますと体重50kgの方は3.5kg。
70kgの方でも4.9kgの減量で十分治療効果がある事が分かっております。
10kgは無理と思いますが234kgならなんとか…。
こまめに動く事でね。
さあまとめのお話ですがとにかく脂肪肝は多くの病気と関係している事を教えて頂きましたから肝臓から余分な脂肪をとる事は大変大事な事なんですね。
脂肪肝は自覚症状がないので超音波検査を受けた事がない方はまず一度検査を受ける事が大事だと思います。
それから脂肪肝と診断されたらまず医療機関を受診してナッシュじゃないかどうかをチェックすべきだと思います。
また肝臓の脂肪は非常に減らしやすいという特徴を持っておりますので日々の生活習慣を見直して今日から対策をとる事が大事ではないかなと思います。
一度はナッシュというタイプではないかという事を診断して頂く事が大事ですね。
どうもありがとうございました。
2014/09/16(火) 20:30〜20:45
NHKEテレ1大阪
きょうの健康 忍び寄る脂肪肝「改善するには?」[解][字]
脂肪肝・ナッシュを改善するには、適切な食事や運動が大切。わずかに体重が減るだけで、効果がみられることもある。実際の方の例から改善するポイントを紹介する。
詳細情報
番組内容
脂肪肝がナッシュを経て肝硬変まで進行すると、元の状態に戻すことは難しい。しかしナッシュの段階であれば、適切な食事や運動で改善できることも多い。肝臓は脂肪をためるが、一方で消費しやすいため、わずかに体重が減るだけでも効果が出やすい。しかし、食事や運動といった生活習慣の改善は継続することが難しく、長続きしないことも多い。ナッシュを改善させた患者の例を紹介しながら、肝臓を改善させるポイントを紹介する。
出演者
【講師】横浜市立大学教授…中島淳,【キャスター】濱中博久,久田直子
ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
福祉 – 高齢者
趣味/教育 – 生涯教育・資格
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