歴史の大海原を旅するキャプテン歴史アイドルの小日向えり。
世界中のさまざまなゲストと一緒にいざ船出しよう!
(小日向)どうぞ。
(ヘフェリン)ハロー。
こんにちは。
ハロー。
グーテンターク。
また来て頂いてうれしいです。
2度目の登場となるドイツ出身の作家…
今日はどんな歴史を紹介してくれるのでしょうか
今日はですね…。
はい。
お土産をお持ちしました。
何だろう?こちら…新聞とか雑誌なんですけども。
え〜あっわあ。
どうぞ見てみて下さい。
英字新聞と雑誌と…。
今日のキーワードは印刷技術なんです。
印刷技術?あちらのプリンターも。
プリンターなんてうちの部屋ない…。
ありましたね。
不自然ですねたるの上で。
この印刷の技術っていうのが今日ご紹介する宗教改革とルネサンスの時代にすごく深く関わっているんですね。
へえ。
そしてですねナビゲーターの方なんですけれども今日のナビゲーターはこちらの2人です。
(レオナルド)私はレオナルド・ダ・ヴィンチ。
名前くらいは耳にした事があるだろう?ルネサンスという時代に活躍した芸術家だ。
現代は個人が自分の考えを表現する事が当たり前になっているだろう。
実はその出発点となったのがルネサンスの時代だ。
私の作品と共に個人主義が生まれた時代のヨーロッパをご覧頂こう。
(ルター)ちょっと待ってくれレオナルド。
同じ時代にヨーロッパで起こったのはルネサンスだけではない。
私はドイツの神学者マルティン・ルターだ。
私はそれまでのヨーロッパを支配していたカトリック教会を批判し宗教改革を起こした。
ルネサンスはレオナルドに任せ私は宗教改革の全貌をご紹介しよう。
今回紹介するルネサンスと宗教改革が起きた時代は…この時代の変革に大きく貢献した印刷技術に注目してご覧頂きたい。
レオナルドとルターってすごく有名な2人ですけど。
そうですね。
14〜16世紀のルネサンスの時代ヨーロッパではとても大事な2人だったんです。
そうなんですか。
14〜16世紀っていうと日本では室町時代から戦国時代真っただ中の時期ですね。
ヨーロッパはルネサンスの時代だったんですね。
ルネサンスってよく言葉は聞くんですけどどういう事ですか?それはですねレオナルドに聞いてみましょう。
はい。
レオナルド〜。
(レオナルド)はいは〜い。
それではルネサンスとは一体どのような時代だったのか私レオナルド・ダ・ヴィンチがご紹介しよう。
舞台は現在のイタリアだ。
13世紀ヨーロッパは十字軍の戦いに敗れローマ教会の権威が低迷していた。
だがこの十字軍の遠征で繁栄したのがイタリアだ。
東方の香辛料や宝石などが貿易によってもたらされ商人たちが財力を手に入れたのだ。
このころのヨーロッパ人はキリスト教の世界観の下に暮らしていた。
神の教えが全てだった。
一方東方のイスラーム世界やビザンツ帝国は古代ギリシャ・ローマの人間中心の文化を受け継いでいた。
貿易によりヨーロッパに入ってきたその文化に人々は憧れ自分たちも取り入れようとした。
(レオナルド)これがルネサンス。
フランス語で再生という意味だ。
つまり消え去ってしまった古代ギリシャ・ローマの文化を再生させようとした時代なのだ。
(レオナルド)ミケランジェロやラファエロなど世界的に有名な芸術家たちがイタリアのフィレンツェを中心に活躍した。
中でもルネサンスを代表する万能の天才と呼ばれたのが私レオナルド・ダ・ヴィンチだ。
この絵は私の代表作…
(レオナルド)まるで本当に目の前に彼女がいるようだろう。
このように目に見えるままに描くのがルネサンスの特徴だ。
中世の絵を見てみると聖母はほかよりも大きく描かれ表情もない。
信仰の対象は人間に似る必要はなく神々しく描くのが決まりだった。
(レオナルド)だが私の作品では聖母を人間らしく描いている。
優しい表情で聖母を身近に感じるように描いた。
(レオナルド)こうして比べてみるとその違いがよく分かるだろう。
ルネサンスは芸術面だけではなくガリレオやコペルニクスなど科学の歴史を変えた天才たちも登場した。
彼らはキリスト教の世界観から解放され科学に基づく新しい世界観を作り上げたのだ。
その後ルネサンスの文化は瞬く間にヨーロッパ中に広まった。
そこには大きな発明が関係している。
活版印刷術だ。
印刷機の発明によってそれまで手書きだった書物を大量に発行する事が可能になった。
印刷技術は新しい思想を広める役割を果たしたのだ。
(レオナルド)こうしてヨーロッパは個人が考えを表現できる時代へと変化していったのだ。
この時期に活版印刷技術が発明されたんですね。
そうですね。
だから雑誌新聞を持ってきてくれてあとあのプリンターがあったんですね。
はい。
ルネサンスって古代ギリシャ・ローマの再生っていう意味だったんですね。
そうなんです。
私が日本のルネサンスかなって思ったのが同時代の室町時代。
北山文化東山文化が栄えていて水墨画だったり能狂言だったり日本の伝統的な芸能や文化がすごく開花した時代なんですよね。
実はもう一つ同じ時代に大きな出来事がありました。
え?
(レオナルド)ルネサンスの時代フィレンツェの商人の中で最も力と財力を持っていたのが…
(レオナルド)16世紀そのメディチ家出身のレオ10世がローマ教皇に就任した。
彼はカトリック教会の総本山である聖ピエトロ大聖堂をラファエロやミケランジェロといったルネサンスを代表する芸術家たちの作品で彩ろうと計画を進めていた。
しかしそれにはばく大な費用がかかる。
そこで教皇は資金を集めるために免罪符なるものを発行した。
免罪符とはこれをお金で買えば…
(レオナルド)当時のヨーロッパはペストの流行がしばしば起き人々は常に死への不安を抱えていた。
そのため皆が我先にと免罪符を買い求めた。
しかしこの免罪符に異を唱え教会の腐敗を批判する男が現れたのだ。
その男とは私の事だ。
ルネサンスの話はこれくらいにして続きは私マルティン・ルターに語らせてくれ。
私は1483年現在のドイツに生まれ厳格なキリスト教徒の家庭で育った。
ある日大学へ向かう途中私は落雷に遭い死のふちをさまよった。
私は神の怒りを感じ恐怖に震えた。
それからはひたすら真剣に修行に励む日々を過ごした。
そんな時にあの免罪符の登場だ。
これで罪から解放されるなんて冗談ではない!信仰を愚弄するものだ!1517年私は…教会の扉に掲示した。
その中で信仰の意味を問いかけ免罪符を発行する教皇を批判した。
この私の行動がやがてヨーロッパ全土を巻き込む宗教改革へと発展する。
カトリック教会に反発した人々がプロテスタントと呼ばれる新しい宗派を生み出す事になるのだ。
お金を払って免罪符を買ってそれで生きている間の罪が許されるなんてそんなおいしい話があるのかなとちょっと疑問に感じますよね。
ねえ。
今のドイツ人の感覚からいっても「お金を払えばそれでいいんだ」というのはみんな「よくない歴史だったな」と思っていて。
そうなんですか。
はい。
だからやっぱりすごく言葉はちょっと悪いんですけど当時は「カトリック教会がぼったくってたよね」みたいな感じの事をドイツ語で言ってたりするんです。
へえ。
ところでルターがプロテスタントを生むきっかけを作ったんですか?そうなんです。
マルティン・ルターがプロテスタントを誕生させた人物としてドイツではすごく有名で例えばプロテスタントの人はもちろんマルティン・ルターは好きですし逆にカトリックの人でも別に「マルティン・ルター嫌い」とかいう事はあんまりなくて。
今でも好かれてるんですねルターさん。
そうですね。
知的で改革のきっかけになった人であるのはドイツ人の共通の認識としてありますね。
それでは宗教改革の全貌をご覧頂こう。
95か条の意見書は印刷され広く世間に行き渡った。
ここでも活版印刷の技術が活躍したという訳だ。
反響は大きかった。
多くの賛同者や支援者が現れ私の予想を超えて大きな教会の改革運動に発展した。
これが世にいう…この事態に教皇が黙っている訳はない。
私は教会から破門宣告をされた。
更に皇帝からも見放され私は命を失ったも同然だった。
しかし私を支援する反教皇派反皇帝派に保護され生き延びる事ができた。
私はそれまで一部の人にしか読めなかったラテン語の…それは印刷技術によって数多くの人々に広まった。
誰もが「聖書」を手元に置く事が可能となったのだ。
更に私は賛美歌もラテン語からドイツ語にした。
こうして人々は神の言葉を直接知る事ができるようになったのだ。
やがてカトリックから分離した人々がプロテスタントという宗派を誕生させる。
ルネサンスの精神と同じくキリスト教も一人一人が向き合い信仰を深める宗教へと変化していったのだ。
先生こんにちは。
(大久保)こんにちは。
ルネサンスの時代って激動の時代ですね。
そうですね。
どうぞお掛けになって下さい。
はい。
ルネサンスの時代宗教改革と同時に…同じ時期に重なって起こる別々の出来事だっていうふうにあまり思わないで人間それぞれが一人一人自分の能力を活かすとか自分の信仰っていうのを神様に問いかけてみる。
ひと言でいうと個人主義なんていう言い方もしますけど。
個々の自己自我自分そういうものを確立していくというそのきっかけがこの時期に始まってくる。
自分を発見する個人主義という事になる。
それぞれ自分の考えをしっかり持ち始めた時代。
そうですね。
個々の人がいろんな考えを自分なりに持ち始めた時にそれを伝えるメディアが出来たという事が実はとっても重要だった。
一つの考えを印刷に写す事で一度に何百とか場合によっては何千という人に伝える事ができる。
西洋では少なくとも最初の大きなメディア革命だったと。
なるほど。
ちょうどそういう個人主義が進んだ時期にそういう技術革新があったっていうのは何か意味があるような気がしますよね。
そうですね。
ですから印刷術がなければ例えばルターの宗教改革はまず成功しなかっただろうと言われていますよ。
しっかり関連があるんですね。
だから下にプリンターが置いてあった訳。
そういう事なの。
今私たちそれまで紙に印刷された文字情報でいろんなコミュニケーションをとってきた時代から人類史上2番目のコミュニケーション革命の時代。
今度はネットで画面を見るという時代に生きてるとよく言われるんだけれども。
ちょうど私たちが新しいメディアでも次々新しい情報を個々にもやりとりできるようになった時代のような大きな変化があの時あった。
じゃあ今の時代何となくインターネットも使ってるけどそれもすごい革新な訳ですよね。
そうですそうですね。
印刷技術が発明された時と同じぐらい革命的な事なんですね。
そうだと思って下さい。
そう思うとすごい時代に生まれてきたなって…。
そうですよ!先生またお話聞かせて下さい。
はい。
是非またよろしくお願いします。
カトリック教会に反旗を翻した私の宗教改革はやがて政治の世界にも影響を及ぼした。
当時の神聖ローマ帝国の皇帝は教皇を支持していたため日頃から皇帝の支配に不満を持つ小さな国々は私の宗教改革を支持してくれた。
その中には純粋に私の教えに賛同する者もいれば教会が持つ領土を奪い勢力を拡大する事を目的とする者もいた。
やがて宗派を巡る対立が激しくなり帝国内は混乱状態となった。
そして1555年アウクスブルクの宗教和議でようやく対立関係は終結し私たちの宗派は神聖ローマ帝国内で信仰を認められた。
しかしこの時宗派を選ぶ権利は個人には認められず国が決定権を持つ事となった。
こうしてそれまで支配力が大きかった神聖ローマ帝国や教会は力を失っていった。
代わってそれぞれの国が支配力を高めていく時代へと突入する事になるのだ。
今日の宗教改革とルネサンスの話いかがでしたか?キリスト教の縛りがちょっとずつ緩くなってそのおかげで科学とか技術が発達したっていうのがすごい面白かったですね。
うん。
観光でもしドイツとかヨーロッパに行かれる時にはプロテスタントの教会に入ると建物の中がすごく質素なんですね。
だから拍子抜けしちゃうようなところがあると思うんですけど逆にカトリックの教会に入ると中がすごく豪華で見応えがあるんですね。
へえ。
建築物の鑑賞に行くならカトリックですね。
そうですね。
案内して下さいその時は。
じゃあミュンヘンで。
はいミュンヘンで。
ヨーロッパ行った事ないんです…。
14〜16世紀にかけて古代ギリシャ・ローマ時代の「再生」を意味するルネサンスという動きがヨーロッパ中に広がりさまざまな芸術や科学技術が発達した。
マルティン・ルターは教会が発行した免罪符に意を唱え95か条の意見書を発表し宗教改革を始めた。
ルターがドイツ語に訳した「聖書」は印刷技術によって大量に発行された。
宗教改革によってカトリックから分離したプロテスタントという宗派が誕生した。
2014/10/03(金) 14:20〜14:40
NHKEテレ1大阪
NHK高校講座 世界史「ルネサンスと宗教改革」[字]
歴史好きな「歴女」の部屋を、世界各国にルーツを持つゲストが訪れ、歴史上の人物のメッセージを届ける…ダ・ヴィンチとルターが個人主義の出発点となった時代を語る
詳細情報
番組内容
「個人が考えを表明し始めた“ルネサンス”」「一人一人が神に向き合うようになった“宗教改革”」「インターネットに匹敵するメディア革命だった“印刷技術”」。学習ポイントは「ルネサンスの諸側面」「ルターの宗教改革」「宗教改革の政治的帰結」。【司会】小日向えり【ゲスト】サンドラ・ヘフェリン【講師】大久保桂子(國學院大学教授)【語り】高木渉
出演者
【講師】国学院大学教授…大久保桂子,【ゲスト】作家…サンドラ・ヘフェリン,【出演】小日向えり,【語り】高木渉
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趣味/教育 – 中学生・高校生
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