子宮移植で出産:子の健康への影響、見極めを

毎日新聞 2014年10月04日 19時04分(最終更新 10月04日 21時13分)

 ◇子宮移植 手術受けたスウェーデンの36歳女性が出産

 子宮移植による出産は、女性の卵子を採取し、体外受精させて凍結保存した上で、第三者から移植した子宮に受精卵を戻す。心臓や肝臓などの臓器移植は、患者の生命維持のために行われるのに対し、子宮移植は女性の妊娠・出産を可能にすることが目的という点で異なる。実験段階の治療であり、生まれる子の健康への影響も明らかになっていない。

 子宮のない人が子を持つには、自分の卵子を使って代理出産してもらう方法があるが、国内では日本産科婦人科学会が指針で認めていない。日本では慶応大などのグループが2009年から子宮移植の研究を始めており、12年、子宮を摘出したサルに再び子宮を戻し、妊娠・出産させる実験に成功した。

 このグループや産婦人科医らが今年3月、「日本子宮移植研究会」を設立し、臨床研究を行う際の独自の指針を作成。提供者の安全や自発的な意思決定が確保されなくてはならないとした。また、移植を受ける人に、身体的負担などについて十分に情報提供し、移植を受ける人と提供者へのカウンセリングによる支援体制の整備が必要とした。

 同研究会代表幹事の木須(きす)伊織・慶応大助教は「今回の出産は子宮のない人には福音となるが、早産をしており、生まれた子の状況を見ていく必要がある。手術技術の改善点もあり、医学的な課題や倫理的な問題を含めて、日本でも議論を深めていきたい」と話す。【下桐実雅子】

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