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「引きこもり」するオトナたち

発達障害の当事者自らが考えた
引きこもりの6分類40タイプを一挙紹介!

池上正樹 [ジャーナリスト]
【第215回】 2014年10月2日
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 「引きこもり」のタイプを40に細分化したうえで、大きく6つに分類し、こうした傾向を知ることによって、当事者との「心の距離が近くなるのではないか」

 そう語り、孤高の啓蒙を行う当事者がいる。

 山形県で「発達障がい家族会mamoruno」をつくり、当事者目線の個人活動を続ける高村孝子さん(45歳)だ(「高」の字は正確には「はしごだか」)。

 高村さんは、『誰でも自己管理できる当事者のためのチャレンジドガイド』など、いろいろな資料を作成して、研究会などで専門家に見てもらったり、つながりを求めたりしてきた。

 「もしかしたら自分も引きこもりなのではないかと感づきながら、特定的な診断名を受けていない人の中にも、当てはまる可能性のある人がいる。また、正体がわからないまま、長年、苦しんでいる人たちもいます。もっと引きこもりを身近に感じてもらえるきっかけになりたくて、思いつきで書き出してみたんです」

 こうして少しずつ傾向を書き溜めていったら、1週間もかからないうちに、40もの「引きこもりの分類」が出来上がった。

“外出できる引きこもり”だった高村さん
40代に「広汎性発達障害」と診断

 高村さん自身もこれまで、社会でうまくいかないことがたくさんあった。

 外出はできたものの、心の状態が引きこもりの分類に当てはまると思ったことが多々あった。自分のように、“外出できる引きこもり”もいる。

 40代に入って、初めて「広汎性発達障害」という診断を受けた。

 当初は「あなたの個性です」と言われて「あなたは、どこも悪くない」と独自に解釈をしてしまい、経過観察を中断してしまったこともあった。

 苦しんできたのは、自分の特性のためであって、「あなたは、どこも悪くない」と言われ、ホッとした反面、受け入れられない心と現実の間で葛藤した。

 そうした自分の経験を当事者研究するほかに、ピアサポート会議や居場所を求める精神疾患を持った友人・知人の話を聞いて、自分と違う症状の人でも、引きこもることがわかった。

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池上正樹 [ジャーナリスト]

1962年生まれ。大学卒業後、通信社の勤務を経て、フリーに。雑誌やネットメディアなどで、主に「心」や「街」をテーマに執筆。1997年から日本の「ひきこもり」現象を追いかけ始める。東日本大震災後は、被災地に入り、震災と「ひきこもり」の関係を調査。著書は、『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』(青志社)、『ドキュメント ひきこもり~「長期化」と「高年齢化」の実態~』(宝島社新書)、『ふたたび、ここから~東日本大震災、石巻の人たちの50日間~』(ポプラ社)、『ダメダメな人生を変えたいM君と生活保護』(ポプラ新書)などがある。最新刊は『石巻市立大川小学校「事故検証委員会」を検証する』(ポプラ社)。池上正樹 個人コラム『僕の細道』はこちら

 


「引きこもり」するオトナたち

「会社に行けない」「働けない」――家に引きこもる大人たちが増加し続けている。彼らはなぜ「引きこもり」するようになってしまったのか。理由とそうさせた社会的背景、そして苦悩を追う。

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