食欲の秋本番!うまい魚が食べたいと思って向かったのが都心から車で90分ほどの千葉県南房総市
そこに地元の人や観光客が続々押し寄せる場所がある
それがまるで道の駅のようなここ…
ここには3軒の店があってそれぞれ違ったスタイルで海の幸が堪能できるという。
楽しみだね
早速のぞいてみよう。
1軒目のこちらはテーブルの上にコンロが。
旬の貝が食べ放題!自分で焼いて食べる!ホタテに…。
サザエのつぼ焼き。
そして…カキ!2,000円程度で楽しめる
続いてのお店は
ここは海鮮丼の専門店
うわぁイクラがたっぷり!
いちばん人気がこのスペシャル丼!
大トロにイカや甘エビウニイクラなどドーンと10種類も!
そして3軒目はどんな店だろう?
回転寿司というが寿司が回ってない
お客はこのタッチパネルで注文。
ピッと押すと…
注文が入ってから職人が握ってくれる
そして透明パネルで覆われたレーンを流れて…
誰の手にも触れず頼んだお客に直接届く仕組み
人気は
赤身に中トロ大トロとマグロの旨みを堪能できる。
こちらは穴子を丸ごと使った
ネタがいいだけじゃない。
ここの板さんたち魚をよりおいしくするさまざまな裏技を持っている
例えばこれは普通なら捨ててしまうマグロの皮だが
この脂を使って作るのがねぎとろ。
よそじゃあ食用油を混ぜることも多いというがここは本物にこだわる。
残った皮も湯通しして細かく刻めば…
魚のおいしさを知り尽くしたこれらの店
回ってる!回ってるねすごいね。
実はある1つの会社が運営しているという
その会社があるのは
この地で30年以上続く
中を覗いてみると生けすがいっぱい。
房総名産の
ヤマトの本業は魚の卸。
天然ものにこだわりこの部門の売り上げ33億円。
その他直営の鮮魚店などを7つ
更に千葉や東京で
この3本柱で…
まさに魚の総合デパートだ
そんなおさかな集団を率いるのがこの男
鷹松の実家は千葉で
海と船を遊び場にして育った。
ところが…
なんと船酔いで漁師の道は断念。
15で家を出て
23歳でふるさと
常に魚と関わり続けてきたのだ。
漁師卸小売りとさまざまな目線を持っていることが鷹松の強みだ。
通常漁師が獲った魚は産地の市場でセリにかけられその後築地などで再びセリにかけられる。
消費者に届くまでに多くのステップがあるのだ。
一方ヤマトは築地などにも卸すが自前の店に魚を直接運んでいる。
だから新鮮な魚がリーズナブルな価格でいち早く消費者に届くのだ
まずは仕入れ
ヤマトの仕入れ担当がやってきていた
早速目利きに入る
ここのセリは一風変わっているという
黒板には水揚げされた魚の種類と量が書かれている。
で変わっているのはこの木の札。
裏に欲しい魚と金額が書いてある。
「山」にカタカナの「ト」。
これがヤマトの札だ。
セリが始まると札が開かれる
どんどん競り落としていく
顔が細長いのでキツネと呼ばれている。
なるほどね
ヤマトはとにかくたくさん魚を仕入れる
この担当者1人で
買い付けた魚は自社のトラックで築地に卸すほか直営店にも配送
ここは東京・赤坂にある直営の居酒屋…
この店には千葉から毎日新鮮な魚が届く。
天然ものにこだわるから届く魚も毎日変わる
この日の目玉は鴨川で獲れた
さてさてどんなふうに料理してくれるの?まずは皮目をあぶってお刺身に
お次は小麦粉をまぶした分厚い身
季節のキノコや野菜を添えて鉄板焼きに
そして頭はカブト煮。
魚を1匹余すところなく楽しませてくれる
早速客のもとにカブト煮が
どう?
他のお客もこの表情
卸から小売りまで魚のすべてを手がける。
これがヤマトの強みだ
鷹松がもう1つ力を入れているのが地元千葉で獲れる地魚の普及だ
実は鷹松20年ほど前から地魚を世に出してきた。
そのきっかけにはこんな出来事があった。
それは中学生の頃。
漁師だった父親を手伝って市場に魚を届けていた。
そんなある日のこと。
父が獲ってきたのは高級魚ではなく地味な地魚ばかり。
でも食べればおいしいので買ってもらえるだろうと思った。
ところが…
消費者になじみのない魚には誰も見向きもしなかった。
おいしい魚なのにどうして売れないんだ。
その思いが心から離れることはなかった
今こう考えてみると…。
ここはヤマト直営の鮮魚店
この日の目玉は…
うわ〜っでか〜っ!え?これなんて魚?
魚の卸から飲食店まで手がける
人呼んで
そのきっかけとなった魚がある
それがこの
かつては売り物にならず漁師が家で食べるか捨てるしかなかったという
鷹松はこのエンザラを回転寿司で人気のネタに仕立て上げた
今まで捨てるしかなかった魚をどうやって売れるようにしたのか?ここまでは普通だが…
身を包丁で叩きはじめた
やわらかくなった身をスプーンで削り取っていく。
すると…。
皮にへばりついて太い骨が出てきた。
この骨のせいで煮ても焼いても食えないと敬遠され世に出ることがなかったのだ
だが鷹松は漁師だった父親がよくやっていたこの方法にヒントを得て寿司のネタにした
埋もれた地魚のエンザラに新たな価値を生み出し今では人気商品に
注文したのは小学生の男の子
どうかな?
もう一皿おかわり。
ほんとにおいしいんだね
こちらは千葉県大多喜町のショッピングセンター
ここにあるヤマト直営の鮮魚店でもこの日ある地魚が売られることになった
え?でかい!!天津で水揚げされた
体長は1m以上!お値段もビッグに3万円なり!
水族館とかおいといて。
へぇ。
もちろんこのまま売ろうなんて思っちゃいません
お披露目がすんだらさばいて切り身にする
結構きれいな白身だね
みんなが知らない魚だからまず試食してもらうことにした
おいしい?
100g250円でお刺身用として売り出した
おいしいとわかるとみんな買っていく。
こうして鷹松は埋もれた地魚に光を当て続けている
こちらに市場の近海で獲れた地魚の一部を持ってきていただきました。
こちらがVTRにあったエンザラというものですね。
今までは捨てられちゃって…。
捨てるっていうか家でみんな消費してたり…。
食べやすいように叩いてましたけどあれはお父様がやられてたんですよね?そうなんです。
すごいおいしそうでした。
深海にいるんですか。
カマスだから歯とか鋭いですね。
ほらほら。
ほんとだ。
手切れます。
お〜危ない危ない。
他にもたくさんありますけれども。
漁師さんが釣るわけでしょ基本的に。
ええ〜っ!お魚の値段ってわからないな。
切り身にして煮付けとかにするとすごい高いですよね。
めちゃくちゃ高いですね。
お店で食べるとしたらいくらくらいなんですか?えっ!?鷹松さんは漁師のお家のお生まれで今は卸から飲食店までやっていらっしゃるんですよね。
漁師の息子で船酔いする人もいるんですね。
そうですかおもしろいな。
地魚に目を向けていく流れっていうのはどういった…。
それはたまたま私が魚屋として…。
知識がないんですね。
それはちょっとうまかったんじゃなくてめちゃくちゃうまかったんでしょうきっとね。
ダントツにうまくないと流行らないですもんね今の時代。
イシナギなんかもVTRにありましたけど東京のスーパーじゃ見ないですもんねああいった魚は…。
見向きもされないようなお魚ヤマトさんだったら買ってくれるよねみたいな感じはないんですか?いかしてくれるといいますか。
魚を知り尽くした男鷹松。
今地元の漁師たちにとってなくてはならない存在になっていた
かつては有数の漁師町として賑わった
漁師の家に生まれた鷹松はこの浜で育った
ここにテント張ってですね…。
しかし漁師を継いだ兄もすでに引退。
かつては賑わっていた港も寂れる一方だ
年老いた漁師に話を聞いてみた
お父さんお一人?跡継ぎは…。
やっぱ漁師になりたいってないんですか?何でですか?
重労働のわりには儲からないのだ
ヤマトグループで働く社員たちも実は漁師の息子が多い
今から50年ほど前漁師は70万人もいたが今ではその3分の1以下。
20万人にまで減少している。
しかもその半数が60歳以上…
漁業離れを食い止めるには漁師の収入を少しでも増やすこと。
そのため鷹松はさまざまなかたちで漁師たちを支援している
漁師の手間はかかるが鮮度は抜群によくなるという
更に考えたのが船の上で活け締めした鮮度のよい魚であることをアピールするために独自のタグをつけることを提案
これが付加価値となって今では
高値で売れるとわかれば漁師も納得。
鴨川の定置網漁では鷹松が進めた首折れが実践されていた
鮮度が抜群だから東京・赤坂の店でも生のまま食べることができる
早速さばいてもらうと…。
身が透き通るようにきれいだ。
貴重な首折れ鯖の刺身がこの値段。
よそじゃめったにお目にかかれない
注文したのは魚にはうるさいお父さんたち
鷹松のもとには漁師からさまざまな魚が持ち込まれる
通常…カツオ船がよく…。
この日持ち込まれたのは
しかしこのシイラは鷹松の指示どおり…
鮮度に問題ないと踏んだ鷹松。
自ら包丁を握りさばいていく
さすが元寿司屋の板前
今も腕は衰えていない。
見事な刺身に仕上げた
スタッフを集めて試食してもらう
みんなの評判も上々
そんな鷹松を漁師はどう思っているのだろうか
日本の漁業を絶やさないために鷹松は新たな仕掛けを模索し続けている
船の上で活け締めというものをするとそんなに変わるものなんですか?あれ他ではやってないんですか?あったんですかへぇ。
面倒ですもんね一個一個。
僕らは釣ったばかりの魚がおいしいっていう常識があるけどそうでもないんですよね。
絶対全然違うんです。
熟成させるんでしょ?ええ。
日本人は…お刺身の話もありましたけどお魚大好きじゃないですか。
これだけ食べるのになぜ漁師さんは儲からないといいますか…。
差が激しいということなんですか?昔からのただ流れで。
結構漁師ってどんぶり勘定の典型みたいな…。
60代で若いって言われる…。
60代で若手だって言われる。
後継者問題とかもあるんですもんね。
どうしたらいいってお考え…。
おいしい天然の地魚を獲るちっちゃい船の漁師さんがいなくなっちゃったら…。
困ります。
日本中全国そうです。
日本でも漁師を儲かる仕事にしたい。
鷹松が千葉を飛び出した。
舞台はサケ漁真っ盛りの北海道
いったい何?
「北の街ではもう」の襟裳岬。
北海道の南部に位置するえりも町ではある漁がシーズンを迎えていた
それがこの天然のサケだ。
しかしこのサケ
千葉から鷹松がやってきていた。
鷹松は今各地の埋もれた魚に光をあてるため全国を飛び回っている
本音は乗りたくないが意を決して船に。
鷹松はここえりものサケに付加価値をつける方法を見つけに来たのだ。
少しでも高く売れれば漁師も潤う
仕掛けていた網をあげる。
船に弱い鷹松この表情
その目の前で10トンのサケが獲れた
船は苦手な鷹松だが魚の顔を見ればごきげん
水揚げされたサケが持ち込まれたのは港に近い水産会社。
この会社と共同で今まで生食できなかったサケの商品化に挑んでいる。
皆さんはサケなんて生で普通に食べてると思っていませんか?しかしあれはノルウェーなどで養殖されたもの。
天然のサケには寄生虫がいることがあるため生で食べることができないのだ。
これがその
この難題を鷹松はどうクリアするのか
アニサキスは加熱か冷凍で死滅する。
そこで…
そうですね本来であれば。
アルコールを使って一気に凍らせ寄生虫を殺す。
しかも味もそこねないという。
通常は冷気で冷凍する。
これだと凍るまでに時間がかかる。
時間がかかるぶんだけ氷の結晶が大きくなるので細胞を壊してしまう
一方液体冷凍は熱が伝わる速度が冷気の数十倍。
一気に凍るので氷の結晶は小さいまま。
このため細胞を壊すことなく旨み成分も逃げないのだ。
魚を知り尽くした鷹松はここでもうひとひねり。
地元の日高昆布でコブ締めに。
サケの水分を抜きおいしさを引き出すためだ。
真空パックしたら液体冷凍装置に入れていく
そしてマイナス50℃まで一気に冷やす。
これで寄生虫も死滅
取り出してみるとこのとおり
早速解凍して刺身にしてみる
コブ締めの効果かこのツヤツヤ感。
しかし肝心なのは味。
水産会社のメンバーも加わり試食してみる
でも絶対…全然違っちゃったね。
違いましたねこれ。
全然変わったなこれ。
生で食べられる天然のサケ
さっきのVTRにありましたけども地魚に光を当ててそれでまだまだ地方にもたくさんいろんなお魚が宝として眠ってるということですけどこういった活動みたいなものは全国にこれから広めていきたいって…。
本当は鷹松さんみたいな人が日本にあと10人とか20人くらいいると消費者としてはすごいハッピーになるんじゃないんですかね。
結構最近は皆さんそういった地魚ブームで頑張ってる方もいらっしゃるとは…。
そうですか。
えぇ。
ちょっとふかん的に漁業っていうの見ていただいて日本の漁業のこれからのいちばんの課題っていうか一般の消費者が本当においしい魚を適正価格で食べられるための課題みたいなものがもしあったら教えていただければと思うんですけども。
収録を終えて村上龍はこんなことを考えた
2014/10/02(木) 22:00〜22:54
テレビ大阪1
カンブリア宮殿【魚を知り尽くした男の“儲かる”漁業!】[字]
衰退の一途をたどる日本の漁業。そんな中、産地仲買から卸売り、小売り、飲食店と手広く手がけ、“儲かる漁業”を一代で実現させた男が、千葉・鴨川にいた!
詳細情報
番組内容
今、注目されている観光施設が千葉県南房総市にある。それが「道楽園」だ。寿司、海鮮丼、海鮮浜焼き食べ放題などの専門店が軒を連ね、多くの客で賑わっている。人気の理由は、新鮮な魚を格安で食べられること。店は魚の専門知識を熟知しており、もっとも適した方法で魚を提供しているのだ。この「道楽園」を経営するのが、創業35年、年商90億円、千葉県鴨川市に本社を置く「ヤマト」グループだ。
番組内容つづき
産地仲買から卸業、さらに小売り・飲食店と「魚に関するすべての事業」を手掛ける総合水産会社だ。これを一代で築き上げたのが、代々続く漁師一家に生まれた社長の鷹松募。行商から身を起こした鷹松は、売り物にならずに漁師が自家消費していた雑魚に目をつけ、「地魚ブーム」を生み出した男でもある。南房総をベースに日本各地へ活躍の舞台を広げる鷹松を取材し、“儲かる”漁業のヒントを探る。
出演者
【ゲスト】ヤマト社長 鷹松募
【メインインタビュアー】村上龍
【サブインタビュアー】小池栄子
関連情報
【ホームページ】
http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/
【公式Facebook】
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