きょうの健康 うつ病が治らないあなたに「双極性障害の可能性」 2014.10.02

(テーマ音楽)皆さんの毎日の健康に役立つ確かな情報をお伝えします。
「きょうの健康」です。
今週はこちら。
うつ病がなかなかよくならない場合のさまざまな注意点について見てきました。
今日は4日目。
テーマは…双極性障害。
さあこれ。
うつ状態そう状態両方書いてありますね。
これいわゆるそううつ病と我々が聞く病気ですかね。
気分が落ち込むうつ状態の時期と気分が高ぶるそう状態の時期がある病気です。
双極性障害はうつ病とは違う異なる病気なんですがうつ状態の時期に間違ってうつ病と診断される事が少なくないんですね。
その場合うつ病の治療をしていてもなかなかよくなりません。
これはこの病気しっかり見極めなくてはいけませんね。
さあ今日も専門家をお迎えしております。
分かりやすく教えて頂きましょう。
ご紹介致します。
精神科特にうつ病双極性障害などの薬物治療がご専門でございます。
今日もよろしくお願い致します。
よろしくお願い致します。
さあそれではうつ病がなかなか治らないという方の中にはあるいはこの双極性障害という病気が隠れているんではないかと考える必要がある訳ですね。
ここまでうつ病がよくならない場合いろんな要素が考えられるとお話ししてきましたがまあ私はその中で最も注意しなければいけないと思ってますのが今日ご紹介する双極性障害の可能性だと思っています。
なるほど。
ただこのうつ病と双極性障害の鑑別というのは容易につくものなんですか?残念ながらちょっと難しくてですねあるアメリカの研究ではここにありますようにうつ病と診断された方でもその後10年間見ていくと約20%の方が双極性障害の診断に変わったという事が示されてます。
つまり今はうつ病と思っていてもその後双極性障害と分かる事があったりする訳ですね。
うわ〜こんなに時間かかるんですね。
長い経過の中でですね。
これは治療法は全く違うんですか?はい。
双極性障害の治療薬はうつ病とはやはり異なります。
それどころかうつ病と思い込んで抗うつ薬を使うとかえって症状が悪化する場合がありますので気を付けなければいけないと言えますね。
その点はでは後ほどまた詳しく伺いますけれどもそれではうつ病と診断されていても双極性障害を疑った方がいいという場合はどんなケースなのか一例を見ましょう。
久田さん。
はい。
ではこちらで見ていきましょう。
Cさんは20歳の時初めてうつ病と診断され30歳の現在まで何度も再発を繰り返してきました。
治療には抗うつ薬を使っていますが効果は一時的でよくなったと思っても半年くらいすると症状がぶり返します。
また食べ過ぎたり眠り過ぎたりするという症状が特徴で体が重く感じて動かなくなる事もあります。
ただよくなるとCさんは活動的になる事があります。
先日も仕事のアイデアが次々に浮かんだという事で徹夜をして企画書をいくつも書き上げました。
同僚たちは人が変わったようだと驚きました。
さあこのCさんのどういう点から双極性障害を疑っていくという事なんでしょうか?双極性障害がうつ病と違う最大の特徴は気分が高ぶるいわゆるそう状態がある事です。
先ほどのご紹介のようにCさんが活動的になって徹夜して企画書を書き上げたという出来事はまさにそのそう状態のサインだと考えられる訳ですね。
しかしこれは猛烈に仕事ができている。
大変能率が上がっているように見えますのでこれは何か病気から来ている状態だとは思えませんね。
そうなんですね。
双極性障害というのはそう状態が激しい場合もあるんですけれども実は軽いそうと書いて軽そうという状態の方が多い訳です。
軽そう。
この場合本人はとても気分がよくて仕事などで目をみはるような頑張りを示す事があります。
周囲の人もよい状態と認識して病気だとか異常とは感じない訳ですね。
その結果双極性障害でもうつでつらい時にしか受診をしないためうつ病というふうに思われてしまってなかなか双極性障害とは思われないんですね。
なるほど。
つらい時はちょっとしんどいからね受診する事があるかもしれませんが。
ではこの双極性障害を見逃さないためにどんなサインに注目すればいいんでしょうか?ここにありますようにうつ病と診断されていても…そういった体験があったらもしかしたら双極性障害じゃないかと疑った方がいいと思っております。
今この軽そうつまり軽いそうの状態の事をお話しして頂きましたがそれでは軽くないそうとはどういう状態になるんでしょうか?気分の高ぶりがより激しくなってここに挙げたような症状が現れます。
こういった症状が高じると社会的に逸脱した行為を起こしやすくなってしまいます。
その結果として大きなトラブルを生じやすくなる訳です。
例えば注意した職場の上司などと大げんかをするとか暴力的となる。
時には犯罪に進んでしまう場合もあったりします。
あとは衝動的に非常に高額の買い物をしてしまう事もあります。
例えばちょっと外出した時に車屋さん見たらかっこいい車があったので即現金で買ってしまうと。
その場で。
え〜…。
そういう事もよくあったりしますね。
それは軽いそう軽そうではここまではいかないという。
そうですね。
軽いそうですと先ほどご紹介したように時に美談になる訳ですよね。
「すごいね」と言われると。
周りから羨ましがられると。
本人はもちろん気付かないんですけれども周りの方も「いいね」「よかったね」と思ってしまう。
「調子いいじゃん」という事ですね。
ところがここに挙げましたようなそう状態の場合は「ちょっとね」とびっくりする訳ですよね。
ですから本人はもしかして気分がいいかもしれませんが周りは「ちょっと変だ」と。
病気だと思うような状態なのでその辺が違いになるんだと思うんですね。
双極性障害に気付くのはやはりなかなか難しそうですがほかにCさんで何かサインございますでしょうか?Cさんのケースで考えてみますとまず二十歳でうつ病と診断されている点ですね。
年齢に注目されましたね。
双極性障害は一般的にうつ病に比べると発症年齢が若いとされています。
大体25歳以下でうつ病を発症している場合は双極性障害ではないかと考えた方がいいといわれています。
それからCさんは再発を繰り返している訳ですね。
うつ病でももちろん再発は繰り返すのですが一般的に双極性障害の方が再発を繰り返していて大体4〜5回以上再発している場合はやはり双極性障害ではないかと疑った方がいいんじゃないかといわれています。
この双極性障害の場合は常にうつ状態かそう状態このどちらかの状態にあるという事なんでしょうか?違うんですね。
そううつといわれるぐらいですがご覧のとおりうつ軽そうそしてそうとあったりする訳ですがこのようにどちらでもないような症状がない時期がある訳ですね。
むしろこの症状がない時期の方が多かったりする訳です。
なのでまずそれが1つ目の特徴です。
それからここに挙げましたようにうつと軽そうそうで言うとうつの方がどっちかと言うと期間が長いという事があります。
かつ回数もここにありますようにうつの方が総じて多いという事がよく見られます。
うつ状態の方が回数も期間も長い。
更にここに挙げましたようにうつを最初繰り返していくと。
後で何年かたってからようやく軽そうそしてそうが現れる事もあったりします。
私たちの行った調査なんかで最終的には双極性障害と診断がついたんだけれどもその前にうつ病ですとかほかの診断がついていてようやく双極性障害と診断がついたのに大体平均6.3年かかった事が分かりました。
なんと10年以上かかった人も2割以上おられたという事がありますのでそういう意味では双極性障害というのはそう状態があって初めて明らかに分かる訳ですがここの状態をいかに注意深く見ていかないときちっと診断されない。
誤って診断されてしまう訳ですね。
これは伺うと確かに難しいですね。
最初は調子が悪いうつ状態がある訳でこの時間がもし長いとしますとここまでず〜っとこれはうつ病でしょうと診断されてもちょっと無理はないというところもありますよね。
これが出て初めて双極性障害ではないかとなってくる訳ですね。
難しい特徴がありますね。
さてCさんはほかに注目点はございますでしょうか?先ほどのご紹介の中でうつの時に食べ過ぎる眠り過ぎるとか体が動かない。
よく鉛のように体が動かないという方も多いです。
こういった症状があるという点が一つ考えられます。
少し疑います。
あとは妄想を伴ううつの方ですとかあとは家族に双極性障害の方がいらっしゃる場合そういった場合ももしかしたら双極性障害じゃないかと私たちは疑ったりします。
うつ病と診断されていてその治療が続いている。
しかしひょっとして双極性障害ではないかと思った場合はどうしたらいいですか?先ほど来ご紹介しているようにうつ病と双極性障害の鑑別は非常に難しいですのでまず精神科の専門医に診てもらう事が望ましいと思います。
ただ過去に軽そうですとかそう状態を経験している場合は医師にその事について詳しく伝えて頂きたいんですね。
仮に本人は自覚していなかったとしても自覚していない事が多いですから自覚していなかったとしてもご家族とか周りの方が同行して実は本人は自覚してないけど過去にこういう事があったよと伝えて頂くと診断する上でも非常に助かるんですね。
では双極性障害と分かった場合治療はどうしていくんですか?双極性障害の場合は薬による治療が基本なんですがここにありますように気分安定薬というカテゴリーの薬が中心になります。
そして最近抗精神病薬もよく使われるようになりました。
これらのカテゴリーの薬は一部はうつ状態にそして一部はそう状態に効果がある訳です。
更に先ほどご紹介したように双極性障害というのは非常に症状を繰り返す病気ですのでそれを未然に防ぐためにも症状がない治まっている時にも再発予防のために薬は継続する事が望ましいとされています。
この病気はうつ状態の時も長い訳ですからでは抗うつ薬は使わないのですか?はい。
抗うつ薬を単独で使う事は基本的には望ましくないとされています。
また併用する場合もまれにあるんですが必ず気分安定薬や抗精神病薬と併用してただあまり安易には使わないと。
慎重にという事が望ましいとされています。
なぜなら抗うつ薬を使う事でうつは一旦よくなったかに見えるんですがそのあとにすぐそう状態が現れてしまったりとか更にうつとそうを短期間の間に繰り返してしまう。
そういった状態を起こしてしまう危険性があるんですね。
そうしますと双極性障害なのにうつ病だという事で抗うつ薬を使っている場合はやはり注意が必要ですね。
そうですね。
抗うつ薬を使っていても治療があまりうまくいかなくなってかえって病状がいつまでも長引いてしまうというそういう危険性があったりする訳ですね。
そういった点からしても特に双極性障害とうつ病をきちっと鑑別するという事は不可欠だと私たちは考えております。
ここで復習ですがお薬としてはこちらの上2行気分安定薬と抗精神病薬これを使うのが基本なんですね。
さてこの双極性障害という病気ですが薬以外に対処方法何かできる事はございますか?やはり患者さん自身でも気を付けて頂きたい事はいくつかありまして簡単な生活習慣なんですがまず何よりも皆さんにご理解頂きたいここですね。
特に睡眠が短くなると一般的にそうになりやすいといわれてますのでやはり決まった時間に寝るという事。
それを心掛けて頂きたいですし大体6時間ぐらいは最低とって頂きたいと思います。
アルコール。
続きましてアルコールですね。
アルコールもご存じのようにアルコールというのは非常に朝早く目が覚めてしまう傾向があります。
アルコールそのものもそうですがトイレが近くなる事もあるんですね。
ですからそういった睡眠を乱すために基本的にお酒は避けて頂きたい訳です。
この2つは?大勢の集まりとか刺激を与える場合も気を付けた方がいいと思うんです。
海外旅行も刺激になりますし特に時差は先ほどのような睡眠が短くなってしまう事がありますのでこれも要注意です。
とはいえやはりどうしてもこういった刺激の場というのは誰でも避けられないと思いますので仮にイベントを経験したとしてもその翌日とかしばらくしたあとにしっかりとした休養をとるという事。
これがやはり必要だと考えております。
生活習慣の対策お話を頂きました。
今日のお話どうもありがとうございました。
(2人)ありがとうございました。
2014/10/02(木) 20:30〜20:45
NHKEテレ1大阪
きょうの健康 うつ病が治らないあなたに「双極性障害の可能性」[解][字]

うつ病と診断されていても「急に活動的になった」「多くの仕事を一気にやりとげた」などの経験があれば、うつ病ではなく双極性障害かもしれない。精神科で改めて診断を。

詳細情報
番組内容
双極性障害はうつ状態と気分が高ぶるそう状態とが時期をおいて現れる。うつ病とは異なる病気だが、うつ状態で受診するとうつ病と誤診されることがある。双極性障害の治療には気分安定薬などが必要なので、うつ病と間違えて抗うつ薬だけで治療しているとなかなか治らない。うつ病と診断されていても「急に活動的になった」「多くの仕事を一気にやりとげた」などの経験が一度でもあれば双極性障害が疑われる。精神科で改めて診断を。
出演者
【講師】杏林大学教授…渡邊衡一郎,【キャスター】濱中博久,久田直子

ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
福祉 – 高齢者
趣味/教育 – 生涯教育・資格

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
サンプリングレート : 48kHz

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